展示会を失敗させないセミナー

展示会の集客方法10選|人を集めるより「会いたい相手を呼ぶ」ための事前・当日施策

展示会に出展する以上、できるだけ多くの人に自社ブースへ来てもらいたい。そう考えるのは当然です。

しかし、展示会営業®では、単純に「人をたくさん集めれば成功」とは考えません。

たとえば、ノベルティ目当ての100人が集まったとしても、自社が役立てる相手がほとんどいなければ、その後の商談にはつながりにくいでしょう。

一方、30人しか立ち寄らなかったとしても、その多くが自社のターゲットであり、具体的な課題について会話し、後日アポまで決まったのであれば、展示会営業としては成果の高いブースです。

株式会社展示会営業マーケティング代表の清永健一は、展示会営業®コンサルタントとして、これまで1,300社超を支援してきました。ほぼ毎週展示会会場を現地確認し、多くの企業の集客、ブース接客、商談化を支援しています。

その経験から、展示会集客について最初にお伝えしたいのは、次のことです。

展示会集客の目的は「ブースに人を集めること」ではない。
自社が役立てる相手に気づいてもらい、会話を始め、次の一歩へつなぐことである。

この記事では、展示会の集客方法を「事前集客」と「展示会当日のブース集客」に分け、具体的な10の方法を解説します。

あわせて、集客が失敗する原因、DM・メール・SNS・自社サイトの使い方、スタッフの役割、声かけ、ノベルティ、展示会後のフォローまで体系的に整理します。

さらに、出展者536名・業務目的来場者1,089名を対象に2026年4月に実施した独自調査「BtoB展示会白書」の一次情報を交えながら、現在の来場者行動に合った展示会集客を考えていきます。

目次

展示会集客には「事前集客」と「当日集客」がある

展示会の集客というと、会場の通路を歩いている来場者へ声をかけ、ブースへ誘導することをイメージする方が多いでしょう。

しかし、展示会集客はもっと前から始まっています。

大きく分けると、次の2つがあります。

集客の種類目的主な施策
事前集客来場前から「このブースへ行こう」と思ってもらうDM、メール、Web、SNS、営業担当からの案内、アポ設定など
当日集客会場を歩くターゲットに気づいてもらい、足を止めてもらうキャッチコピー、実物、体験、デモ、スタッフ配置、声かけなど

どちらか片方だけではなく、両方を組み合わせることが重要です。

展示会集客=「事前に指名訪問をつくる」+「当日に新しい出会いをつくる」

白書データ|来場者の9割以上は「行くブース」を事前に考えている

展示会集客を考えるうえで、非常に重要なデータがあります。

株式会社展示会営業マーケティングが業務目的来場者1,089名に「来場前から立ち寄ると決めていたブースは何社ですか?」と尋ねたところ、

  • 3~5社:39.2%
  • 1~2社:38.2%
  • 6~10社:9.6%
  • 0社:8.8%

という結果でした。

つまり、90.6%の来場者が、少なくとも1社以上は事前に訪問候補を決めて来場しています。

一方、実際に立ち寄ったブース数では、「4~6社」が43.1%で最多でした。

ここから分かるのは、来場者が会場で無限にブースを回っているわけではないということです。

多数のブースが並んでいても、実際に一定以上の接点を持つブースは限られています。

展示会集客は、展示会初日の朝に始めるものではない。
来場者が「どこへ行こうか」と考え始めた時点から始まっている。

展示会でブースを選ぶ最大の理由は「派手さ」ではない

では、来場者は何を見てブースへ立ち寄るのでしょうか。

同じ調査で、ブースへ立ち寄る際に重視する要素を尋ねたところ、上位は次のようになりました。

  • 自社の業務課題に直結するキーワードや展示内容:51.5%
  • 製品・サービスの実物展示やデモ体験:40.1%
  • 事前に気になっていた企業・ブランド:36.8%
  • 事例・開発者の見解・初公開情報など会場でしか得られない情報:34.6%

一方、「ブースの見た目や演出」は20.3%でした。

もちろんブースデザインも重要です。

しかし、華美な装飾だけでは不十分です。

来場者が最も強く反応するのは、

「これは自分の課題に関係がある」

と分かったときです。

だから展示会集客で最初に考えるべきなのは、派手な装飾でも、ノベルティでもありません。

誰の、どんな課題に、何を見せるのかです。

展示会集客で失敗する7つの原因

まず、よくある失敗から確認しておきましょう。

1.事前集客をしていない

「展示会には主催者が何万人も集めてくれるから、自社で集客する必要はない」と考えてしまうケースです。

しかし、白書データでは、多くの来場者が事前に訪問候補を決めています。

主催者は会場まで人を集めてくれます。

その人を自社ブースまで連れてくるのは出展者の仕事です。

2.「展示会へ出ること」が目的になっている

「毎年出ているから」「競合も出るから」という理由だけで出展すると、

  • 誰に来てほしいのか
  • 何を見てほしいのか
  • 展示会後にどうしたいのか

が曖昧になります。

展示会出展は目的ではなく、営業・マーケティング上の手段です。

3.ターゲットが広すぎる

「製造業全部」「経営者から担当者まで」「誰でも歓迎」という設定では、メッセージも広く浅くなります。

結果として、誰にも強く刺さらないブースになります。

4.ブースを見ても何の役に立つのか分からない

社名、商品名、専門用語だけが大きく書かれているブースでは、初めて見る来場者は「自分との関係」を判断できません。

商品ではなく、来場者の課題から表現してください。

5.スタッフが来場者を遠ざけている

スタッフ全員がブースの前に横一列で立っていたり、腕組みをして通路を見ていたりすると、来場者は入りにくくなります。

逆にスタッフ同士で話し込んでいるブースも、声をかけにくくなります。

スタッフは「待ち構える人」ではなく、来場者が興味を持った瞬間に会話を助ける人です。

6.ノベルティで「人だけ」を集めている

抽選、景品、人気ノベルティなどで行列を作ることはできます。

しかし、景品を目的に集まった人の名刺を大量に獲得すると、展示会後のフォロー対象だけが増えてしまいます。

ノベルティは集客数を増やす景品ではなく、ターゲットとの会話を始めるきっかけとして使います。

7.集客後の「次の一歩」がない

ブースへ人を呼んだだけで終われば、売上にはつながりません。

集客した後に、

  • 実物を見てもらう
  • 体験してもらう
  • 課題を聞く
  • 自社が役立てるか確認する
  • 資料・サンプル・回答を約束する
  • 後日アポを決める

ところまで設計しておく必要があります。

【事前準備】展示会の集客方法7選

方法1.出展目的とKPIを先に決める

集客施策を考える前に、「なぜ出展するのか」を決めます。

たとえば、

  • 新規顧客を開拓したい
  • 新商品の反応を確かめたい
  • 新しい業界へ進出したい
  • 代理店候補と出会いたい
  • 既存顧客との関係を強めたい

などです。

目的が変われば、集めるべき人も変わります。

さらに、KPIを「来場者数」「名刺枚数」だけにしないでください。

おすすめは、

段階KPI例
集客ターゲット来訪数
接点有効会話数
貢献可能性自社が役立てると判断できた相手数
次の一歩資料・サンプル・回答等が決まった数
商談後日アポ数
成果商談数・案件数・受注額

展示会営業®では、人の「量」から商談・案件の「質」まで追うことを重視します。

出展目的は展示会の出展目的の考え方、KPIについては展示会の目標設定方法も参考にしてください。

方法2.「誰を集めるのか」を具体的に決める

ターゲット設定では、「業種」だけでは不十分です。

たとえば、

「製造業」

ではなく、

「人手不足で検品工程の省人化を考えている、食品工場の製造責任者」

まで具体化します。

少なくとも、

  • 業種
  • 企業規模
  • 部署
  • 役職
  • 抱えている課題
  • 現在どんな方法で対応しているか

まで考えてみましょう。

ここで大切なのは「買いそうな人」を探すことではありません。

「自社が本当に役立てる相手は誰か」を決める。

これが清永式のターゲット設定です。

方法3.自社に合う展示会を選ぶ

どれだけ集客施策を工夫しても、そもそもターゲットが来ない展示会へ出れば成果は出にくくなります。

展示会選びでは、単純な来場者数だけではなく、

  • 来場企業の業種
  • 部署・役職
  • 過去の出展企業
  • 開催テーマ
  • 競合の出展状況
  • 出展費用
  • 開催地域・時期

を確認します。

可能であれば、出展予定の前年に一度見学してください。

主催者資料だけでなく、実際に来ている人、ブースで行われている会話、混雑する時間帯などを自分の目で確認できます。

全国の展示会は、展示会スケジュールから探せます。

方法4.DM・メール・Web・SNSで「事前に訪問候補へ入る」

事前集客で大切なのは、単に「〇〇展へ出展します」と告知することではありません。

来場者が知りたいのは、

「あなたのブースへ行くと、何が得られるのですか?」

です。

案内には、

  • 誰向けの展示か
  • どんな課題を扱うのか
  • どんな実物・デモ・体験があるのか
  • 会場でしか聞けない情報は何か
  • ブース番号
  • 面談予約方法

を入れます。

DM・案内状

既存顧客、過去の商談先、休眠顧客など、住所を把握している相手には郵送DMも使えます。

ただし、「ご来場ください」だけの招待状では弱いでしょう。

例えば、

「食品工場の検品人員を減らしたい方へ。実機で省人化工程をご覧いただけます」

と書けば、行く理由が生まれます。

DMについては、展示会DM・案内状の作り方も参考にしてください。

メール

メールでは、件名を見た瞬間に自分との関係が分かるようにします。

「〇〇展出展のお知らせ」より、

「検品工程の省人化を実機でご覧いただけます|〇〇展」

の方が、来場理由が伝わります。

営業担当者が重要顧客へ個別に送るメールと、メルマガの一斉告知を使い分けてください。

SNS

X、Facebook、LinkedIn、Instagramなどは、既存のフォロワーや業界関係者へ出展を知らせる方法として使えます。

ただし、何度も「出展します!」と投稿するだけでは情報価値がありません。

  • 今回初公開するもの
  • 実演内容
  • 開発担当者が会場にいる時間
  • ブース設営の舞台裏
  • 来場者が体験できること

など、「行ってみたい理由」を発信します。

自社Webサイト

展示会の案内ページを作成し、DM、メール、SNSからそこへ誘導します。

ページには最低限、

  • 展示会名
  • 会期・会場
  • ブース番号
  • 展示テーマ
  • 出会いたい相手
  • 実物・デモ内容
  • 来場メリット
  • 予約・問い合わせ導線

を掲載します。

単なる「出展のお知らせ」ではなく、その展示会専用のランディングページとして考えるとよいでしょう。

AI検索時代は「展示会前のWeb情報」も集客装置になる

BtoB展示会白書では、業務上の情報収集手段として、

  • Web検索:56.5%
  • AI検索ツール:50.2%
  • 展示会・見本市への来場:50.0%

が上位に並びました。

現在の来場者は、WebやAIで調べる人と展示会へ来る人が別々なのではありません。

Web・AIで調べた人がリアル展示会へ来ることがあります。

そのため、展示会専用ページには、

  • 誰向けなのか
  • 何を解決できるのか
  • 何が展示されるのか
  • 実際に何を試せるのか
  • どんな専門家に質問できるのか

を具体的に書いてください。

これはSEO対策だけではなく、AI検索から自社を知った人を展示会場へつなげるためにも重要です。

方法5.「会場へ行く理由」を一つつくる

展示会集客で強いのは、「展示会へ行かないと得られないもの」です。

たとえば、

  • 新製品の初公開
  • 実機デモ
  • 試食・試飲
  • 加工サンプルの比較
  • その場で行う診断
  • 開発者との相談
  • 会場限定の事例公開
  • 自社製品を持ち込んでのテスト

などです。

Webサイトに書いてある商品説明を会場でもう一度聞くだけなら、来場する意味は弱くなります。

BtoB展示会白書でも、期待以上だったブースでは、開発者との直接対話、他社では聞けない事例、自社課題に合わせた提案、実際の体験が高く評価されています。

「何を展示するか」ではなく、「会場で何を確かめてもらうか」を決める。

方法6.事前アポイントを取る

重要な顧客や見込み客には、「ぜひ来てください」と案内するだけでなく、時間まで決めてしまう方法があります。

たとえば、

「〇月〇日の11時ごろでしたら技術責任者もブースにおります。30分ほどお時間を確保しておきましょうか?」

と提案します。

こうすれば、

  • 確実に会える
  • 必要な専門スタッフを準備できる
  • 相手向けの資料を用意できる
  • 混雑時でも落ち着いて話せる

というメリットがあります。

展示会の集客を「偶然来てくれるのを待つ活動」から、計画的な商談設定へ変えることができます。

方法7.出展コンセプトとブース設計を統一する

誰を集めたいかが決まったら、ブースのメッセージを統一します。

展示会営業®では、

ワンブース・ワンアイテム・ワンターゲット

を基本としています。

「せっかくだから」と10商品を同じ強さで並べると、来場者から見て何のブースか分かりにくくなります。

その展示会で、

  • 最も出会いたい相手
  • 最も伝えたい価値
  • 最も体験してほしい商品

を主役にします。

ブースには大きく、次のような型があります。

ブース型向いているケースポイント
商品展示型実物そのものに強みがある主役商品が通路から見える
体験・デモ型操作・比較・試食等で価値が伝わる短時間で体験できる
セミナー型知識・ノウハウ自体に価値がある通路から内容が分かる
商談型個別条件を詳しく聞く必要がある閉鎖的になりすぎない

ブース全体については、成果につながる展示会ブースの作り方、ディスプレイについては展示会ディスプレイ・陳列のコツをご覧ください。

展示会事前集客のスケジュール例

事前集客は開催直前に一度メールを送るだけではなく、段階的に行うと動きやすくなります。

時期の目安主な準備
2か月前~目的・ターゲット・出展コンセプト決定、案内対象リスト整理
1~2か月前展示会専用ページ公開、DM・案内状準備、営業担当から重要顧客へ案内
3~4週間前メール・メルマガ・SNSで展示内容を告知
1~2週間前デモ・体験・会場限定情報を具体的に告知、アポイント確定
数日前ブース番号、地図、予約時間など実務情報をリマインド

これは一例です。展示会規模や商材、顧客の検討期間に合わせて調整してください。

【展示会当日】ブース集客の方法3選

方法8.課題が伝わるキャッチコピー+実物・体験で足を止める

当日の集客では、スタッフが声をかける前に、ブースそのものが来場者へ話しかけている状態をつくります。

最も重要なのがキャッチコピーです。

たとえば、

「AI搭載画像検査システム」

だけでは、商品カテゴリーしか分かりません。

これを、

「検品の人手不足でお困りの食品工場へ」

とすれば、該当する来場者は「自分のことだ」と認識できます。

そのすぐ下に実機や比較サンプルがあれば、さらに自然に近づけます。

ブースキャッチコピーについては、展示会キャッチコピーの作り方・例文をご覧ください。

「実物 → 体験 → 説明」の順で見せる

私は展示会では、

実物 → 体験 → 説明

の順番を重視しています。

最初から5分間の商品説明をするのではありません。

まず実物に興味を持ってもらい、

「これ、15秒だけ触ってみてください」

と体験してもらう。

そこで相手から、

「これ、どういう仕組みなんですか?」

と質問が出れば、会話が始まります。

体験の作り方は、展示会ブースで提供すべき体験も参考にしてください。

方法9.スタッフの立ち位置・役割・声かけを決める

展示会では、ブースデザインだけでなく、スタッフの存在そのものがブースの一部です。

おすすめは、全員が同じ仕事をするのではなく役割を分けることです。

役割主な仕事
接点担当興味を示した来場者との最初の会話
体験案内担当実物・デモ・試食などへ誘導
ヒアリング・説明担当課題を聞き、必要な説明を行う
専門担当技術的な質問や詳しい条件に対応
コマンダーブース全体を見て、重要顧客への対応やスタッフ配置を指示

特に社長や責任者が、ずっとブース前で平の呼び込みをしている必要はありません。

重要な相手やキーマンが来たときに対応できるよう、全体を見渡す役割を担った方が効果的なケースがあります。

スタッフは商品より前に立たない

商品を見せたいのに、スタッフが商品の真正面に立つと心理的な壁になります。

商品や展示台の斜め後ろなどで待ち、来場者が興味を示したタイミングで話しかけます。

スタッフ配置については、展示会スタッフの立ち方・待ち方をご覧ください。

声かけは「売り込み開始の合図」にしない

BtoB展示会白書では、期待外れだったブースの理由として、「売り込み感が強く、話を聞く気がなくなった」42.4%が最多でした。

したがって、

「弊社の商品をご説明します!」

ではなく、

「そこ、気になりますよね」

「実際に触れますよ」

「今、こういうことでお困りですか?」

と会話を始めます。

声かけの具体例は、展示会の声かけ・呼び込みのコツをご覧ください。

SPIN話法は「短く使う」

営業のフレームワークとしてSPIN話法があります。

  • Situation:現状
  • Problem:問題
  • Implication:影響
  • Need-payoff:解決後の価値

考え方としては有効ですが、展示会ブースでフルサイズのヒアリングを行うと長くなりすぎることがあります。

展示会では、

「今はどうされているんですか?」

「一番大変なのはどこですか?」

「そこが楽になったら助かりますか?」

程度の短い質問から始めれば十分です。

詳しいヒアリングは、後日アポへつないで行います。

展示会営業トークについては、展示会営業トークのコツをご覧ください。

方法10.フライヤー・名刺・ノベルティを「会話の道具」にする

チラシやノベルティを用意すること自体は有効です。

ただし、「たくさん配れた=成功」ではありません。

たとえばフライヤーなら、会社案内を縮小したものではなく、今回の展示会ターゲット向けに、

  • 対象者
  • 課題
  • 提供価値
  • 事例
  • 問い合わせ・次の行動

を絞って掲載します。

展示会専用名刺を使う

通常の名刺に加えて、顔写真、展示テーマ、自社が役立てる課題などを記載した展示会専用名刺を使う方法もあります。

来場者が展示会後に名刺を見たとき、「あのブースの人だ」と思い出しやすくなります。

名刺については、展示会の名刺交換を商談につなげる方法もご覧ください。

ノベルティはターゲットとの接点をつくる

ノベルティを渡す場合も、ただ置いて自由に持っていってもらうだけではなく、会話の入口として活用します。

自社の技術と関係するもの、商品体験と組み合わせられるものなど、「なぜこのノベルティなのか」を説明できるものが理想です。

選び方は、展示会ノベルティの選び方をご覧ください。

「質か量か」ではなく「狙った相手が何人来たか」で考える

展示会集客では、よく、

「質を取るべきですか、量を取るべきですか?」

と聞かれます。

私は、この二者択一では考えません。

見るべきなのは、

「自社が役立てる相手との接点を、どれだけ増やせたか」

です。

たとえば、

 ブースAブースB
来訪者300人80人
ターゲットとの有効会話20人45人
後日アポ3件15件

なら、単純な集客数ではAが上ですが、展示会営業の成果としてはBの方が強い可能性があります。

人だかりではなく「有効接点」を増やす。

これが集客を考える際の基本です。

展示会で集客した後は「会話データ」を残す

せっかくターゲットを集客しても、名刺だけを受け取って終わると、展示会後に、

「この人、何の話をした人だっけ?」

となります。

最低限、

  • 何を見て立ち止まったか
  • どんな課題を話したか
  • 何に関心を持ったか
  • どんな質問をされたか
  • こちらが何を約束したか
  • 次に何をするか

を残します。

名刺データではなく「会話データ」を残す。

展示会の集客とは、ブースへ連れてきた人数を増やして終わる仕事ではありません。

その接点を商談へつなげるための入口です。

展示会当日のゴールを「後日アポ」に置く

自社が明確に役立てる相手と出会えたら、

「後ほどメールします」

だけで終わらせる必要はありません。

その場で、

「御社の条件をもう少し詳しく伺いたいので、来週30分ほどオンラインでお話ししませんか?」

と提案します。

展示会当日のゴール=後日アポ

アポイントまで決まらなくても、

  • 資料を送る
  • サンプルを送る
  • 質問へ回答する
  • 技術担当につなぐ
  • デモを案内する

など、具体的な次の一歩を決めます。

アフターフォローは「集客」ではない。しかし成果化には不可欠

旧来の展示会集客の記事では、アフターフォローまで「集客方法」の一つとして扱われることがあります。

厳密には、展示会後のフォローは集客ではありません。

集めた接点を商談・案件へ変える工程です。

ただし、ここを設計していなければ、せっかくの集客が無駄になります。

BtoB展示会白書では、来場者1,089名の71.6%が展示会後のフォローに不満やストレスを感じた経験があると回答しています。

不満内容では、「ブースで話した内容と無関係な営業をされた」50.6%が最多でした。

一方、理想のフォローでは、「ブースで話した内容を踏まえた提案や情報提供」56.3%が最多です。

つまり、全員に同じ営業メールを送るのではなく、展示会場での会話を引き継ぎます。

具体的なお礼メールは、展示会のお礼メールの書き方・例文、継続的なフォローについては展示会後のフォロー方法をご覧ください。

展示会集客でスタッフがやってはいけないこと

  • ブース前に横一列で立つ
  • 通路で来場者の進路を塞ぐ
  • 目が合った瞬間に商品説明を始める
  • 「どうぞー!」だけを繰り返す
  • ターゲットではない相手を長時間接客する
  • ノベルティ目当ての人を無理に名刺化する
  • スタッフ同士で話し込む
  • 椅子に座ってスマートフォンを見る
  • 自分の商品説明を最後まで聞いてもらおうとする
  • 名刺をもらった瞬間に会話を終える

スタッフは「呼び込み要員」ではありません。

来場者が興味を持った瞬間を逃さず、必要な会話へつなげる存在です。

ブースの場所が悪くても集客は改善できる

もちろん、小間位置は集客に影響します。

入口付近、主要通路、角小間など、人通りの多い場所が有利になる場合があります。

しかし、小間位置だけですべてが決まるわけではありません。

場所が弱い場合でも、

  • 事前アポを増やす
  • キャッチコピーを強くする
  • 高さを使って遠くから見えるようにする
  • デモの時間を事前告知する
  • ブース番号と位置をメールで知らせる
  • 営業担当者が重要顧客を迎えに行く

などの工夫ができます。

「場所が悪かったから仕方ない」で終わらせず、場所の弱点を別の施策で補うことが大切です。

展示会主催者の最新ルールを必ず確認する

展示会によって、

  • 通路での呼び込み
  • チラシ配布
  • 飲食・試食
  • 音量
  • 実演方法
  • 安全対策
  • 衛生管理

などのルールは異なります。

過去には感染症対策が展示会運営の大きなテーマとなった時期もありましたが、恒常的に特定の対策を前提とするのではなく、出展する展示会の最新の出展規定・安全衛生ルールに従ってください。

ブース外での呼び込みや配布が禁止されている展示会もあります。

AI時代の展示会集客は「情報を知らせる」だけでは弱い

Web検索やAI検索が普及し、商品スペックや基本情報は展示会へ行く前から調べられます。

したがって、

「新製品〇〇を展示します」

だけでは、来場理由として弱くなっていきます。

代わりに、

  • 実物を見られる
  • 触れる
  • 比較できる
  • 自社条件で試せる
  • 開発者へ直接質問できる
  • Webに載っていない事例を聞ける

と伝えてください。

AIは情報を集める。
展示会は、その情報が自社にとって何を意味するかを確かめる。

その「確かめられるもの」を具体的に示すことが、AI時代の展示会集客になります。

展示会集客の効果測定|最低限記録したい指標

展示会終了後は、集客数だけでなく次の指標を確認します。

指標確認したいこと
事前アポ数会期前から指名訪問を作れたか
ブース来訪数どれだけ接点を作れたか
ターゲット来訪数狙った相手が来ていたか
有効会話数課題について会話できたか
次の一歩決定数資料・回答・サンプル等が決まったか
後日アポ数次回面談まで進んだか
商談数具体的な案件検討へ進んだか
受注・案件金額展示会投資が売上へつながったか

こうすれば、

「今年は名刺が200枚、昨年は180枚だから成功」

という評価から抜け出せます。

展示会終了後に必ず振り返りたい5つの質問

  1. どの事前集客から来た人が多かったか?
  2. どのキャッチコピー・展示物に足を止めたか?
  3. 狙ったターゲットと会えていたか?
  4. どんな質問・課題が多かったか?
  5. 何件が後日アポ・商談へ進んだか?

さらに、営業部門だけでなく開発・マーケティング・経営層にも、来場者の声を共有してください。

展示会は新規顧客を集める場であると同時に、顧客が何を考えているかを直接知る一次情報の場でもあります。

展示会集客についてよくある質問

展示会の集客はいつから始めればよいですか?

開催直前だけでなく、ターゲットや展示内容が決まった段階から準備を始めます。重要な顧客には早めに予定を押さえてもらい、開催が近づくにつれて展示内容、デモ、ブース番号など具体的な情報を伝えます。

事前集客では何が一番効果的ですか?

対象によって異なります。重要顧客なら営業担当者からの個別案内やアポイント設定、既存顧客ならメール・DM、より広い認知にはWebやSNSが使えます。

媒体そのものより、「なぜそのブースへ行く価値があるのか」が伝わっているかが重要です。

展示会では何人くらい集めれば成功ですか?

一律の正解はありません。総人数ではなく、ターゲットとの有効会話数、次の一歩が決まった数、後日アポ数、商談数で評価してください。

ブースの場所が悪いと集客できませんか?

小間位置は影響しますが、それだけで決まりません。事前アポ、キャッチコピー、実物・デモ、スタッフ配置などで補えます。

ノベルティは必要ですか?

必須ではありません。ターゲットとの会話を始めたり、自社を思い出してもらったりする意味がある場合に使います。ノベルティ目当ての集客だけにならないよう注意してください。

呼び込みはした方がよいですか?

興味を示している来場者への声かけは重要です。ただし、通路で無差別に捕まえるような呼び込みは売り込み感につながります。

詳しくは展示会の声かけ・呼び込みのコツをご覧ください。

スタッフは何人必要ですか?

小間数、想定来訪者、実演の有無などによって異なります。人数だけでなく、接点、体験案内、専門説明、コマンダーなどの役割を決めて配置することが重要です。

展示会後はいつ連絡すればよいですか?

重要な相手や具体的な約束がある相手ほど、記憶が新しいうちに対応します。特に資料・回答・サンプルなどを約束した場合は、その約束を優先してください。

展示会集客チェックリスト

  • 展示会へ出る目的を明確にしたか
  • 名刺枚数以外のKPIを決めたか
  • 誰を集めたいのか具体化したか
  • その展示会にターゲットが来る根拠があるか
  • 事前集客の対象リストを作ったか
  • DM・メール・Web・SNSを使い分けたか
  • 「出展します」ではなく「行く理由」を伝えているか
  • 重要な相手にはアポイントを提案したか
  • 展示会専用の案内ページを用意したか
  • ブース番号を分かりやすく案内したか
  • ワンブース・ワンアイテム・ワンターゲットになっているか
  • 課題が分かるキャッチコピーになっているか
  • 実物・デモ・体験を用意したか
  • スタッフが商品を隠していないか
  • スタッフの役割分担を決めたか
  • 声かけの練習をしたか
  • ノベルティだけを目的に集客していないか
  • 会話データを残す方法を決めたか
  • 自社が役立てる相手には後日アポを提案しているか
  • 展示会後の担当者と期限を決めたか
  • 商談・案件まで成果を追う仕組みがあるか

まとめ|展示会集客は「人を集める」から「役立てる相手と出会う」へ

展示会集客では、単純にブース来場者を増やすことだけを考えてはいけません。

大切なのは、

  1. 出展目的を決める
  2. 自社が役立てるターゲットを明確にする
  3. そのターゲットがいる展示会を選ぶ
  4. 会期前から訪問候補へ入る
  5. 会場へ行く理由をつくる
  6. 事前アポを取る
  7. ブースのメッセージを絞る
  8. 課題・実物・体験で足を止める
  9. スタッフが自然に会話を始める
  10. 次の一歩・後日アポへつなげる

ことです。

展示会集客のゴールは、人だかりではない。
「この会社なら自社に役立つかもしれない」と感じてもらい、会話が始まることである。

そして展示会営業®では、その先まで考えます。

名刺データではなく会話データを残す。
「買いそうか」ではなく「自社が役立てるか」を見る。
展示会当日のゴールを「後日アポ」に置く。

展示会営業®とは、展示会で名刺を集める活動ではなく、ターゲット企業との接点をつくり、商談・案件・売上につなげ、そのプロセスを通じて会社を強くする営業活動です。

準備から展示会当日、フォローまでの全体像は、展示会成功の強化書をご覧ください。

この記事で使用した出展者536名・業務目的来場者1,089名の調査については、BtoB展示会白書で詳しく公開しています。

あわせて読みたい|展示会集客・ブース運営の関連記事

展示会で成果を出すコツを知りたい方へ

「事前集客を何から始めればよいか分からない」

「ブース前を大勢の人が通るのに、なかなか立ち止まってくれない」

「来場者や名刺は集まるのに、商談につながらない」

「スタッフによって声かけや接客のやり方がバラバラ」

という場合は、集客だけを部分的に改善するのではなく、ターゲット設定、出展コンセプト、ブース設計、接客、フォローまで一つの営業プロセスとして設計する必要があります。

展示会を失敗させないセミナーでは、展示会を名刺集めで終わらせず、商談・案件・売上につなげる展示会営業®の考え方を体系的にお伝えしています。