展示会を失敗させないセミナー

第7章 調査から見えてきた示唆|展示会白書

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前章までに、公的統計・業界団体データ(第2章・第3章)、出展者の実態(第4章)、来場者の実態(第5章)、そしてAI時代における展示会の位置づけ(第6章)を、それぞれ独立したパートとして整理してきた。本章では、これらの章で得られた知見を統合し、展示会をめぐる構造的な課題と可能性を多角的な観点から整理する。あわせて、出展者、主催者、中小企業支援機関が今後の展示会活用を考えるうえでの実務上の示唆を提示する。

7-1. 出展者と来場者のギャップ分析

出展者と来場者の双方の視点を照らし合わせることで、展示会という場に潜む「すれ違い」が浮かび上がる。本節では、本白書が独自に実施した2つの調査を突き合わせ、出展者の行動と来場者の期待の間に存在するギャップを整理する。

■ギャップ1:出展目的と当日行動のずれ

まず、出展者の出展目的と当日注力事項の間に構造的なずれがある。第4章で確認したとおり、出展目的の上位には「見込み顧客情報(リード)や見込み客との商談機会の獲得」「自社ブランド・企業認知度の向上」「既存顧客との関係強化・深耕」「新製品・新サービスの発表・デモンストレーション」が並ぶ。これらには、リード数の確保という量的な目的も含まれる一方で、いずれも最終的には、来場者との接点を商談や関係構築へとつなげていくことを前提とするものである。

ところが当日の注力事項は、「多くの来場者に積極的に声をかけること」、「ブースの見栄えや演出で来場者の目を引くこと」、「来場者の名刺やリード情報を多く獲得すること」、「チラシやノベルティを多くの来場者に配布すること」と、不特定多数の来場者との接触機会を量的に増やす活動が上位を占めている(4-2節参照)。

「見込み客との商談機会の獲得」を掲げながら、商談化に直結する「展示会後の商談の約束を取り付けること」は6.9%、「来場者の課題をヒアリングし、最適な提案を行うこと」は13.8%にとどまる。つまり、展示会には「目的と当日行動のずれ」というギャップが存在している。

■ギャップ2:出展者の注力活動と来場者期待のずれ

出展者の量を追う当日の行動が、来場者の期待とさらなるずれを生む。このずれは、大きく二つの場面に分けて捉えることができる。第一は、来場者がブースを選ぶ段階でのずれである。第二は、来場者がブースに立ち寄った後、接客や説明を受ける段階でのずれである。

まず第一のずれは、来場者がブースに立ち寄る前、すなわちブースを選ぶ段階で発生する。第5章で確認したとおり、来場者がブースに立ち寄る際に重視する要素として最も多かったのは、「自社の業務課題に直結するキーワードや展示内容が目に留まったこと」であった。続いて、「製品・サービスの実物展示やデモ体験ができること」、「事前に気になっていた企業やブランドであること」、「事例や開発者の見解、初公開情報など展示会場でしか得られない情報に触れられること」が上位に挙がっている。

この結果が示しているのは、来場者は単に目立つブースに反応しているのではないということである。来場者がまず求めているのは、自社の課題に関係がありそうだと直感できるメッセージであり、次に実物展示、デモ体験、独自情報といった、展示会場だからこそ得られる具体的な内容である。

一方で、出展者が当日に最も注力している活動が、「声かけ」、「ブース演出」、「名刺・リード獲得」、「チラシ・ノベルティ配布」であることは、第4章ですでに見たとおりである。ここには、来場者がブース立ち寄りの際に重視する「課題に直結するキーワード」「実物展示やデモ体験」「会場でしか得られない情報」と、出展者が注力している「声かけ」「演出」「名刺獲得」「配布活動」との間に、明確なずれが見られる。

第二のずれは、来場者がブースに立ち寄った後、すなわちブース接客のタイミングで生じる。来場者が「期待以上」と感じたブースの特徴は「開発者やエンジニアから直接話を聞けた」、「他社では聞けない導入事例や活用ノウハウに触れられた」、「自社の課題に合わせた具体的な提案をしてもらえた」、「製品・サービスを実際に体験・操作できた」であった(5-4節参照)。上位項目はいずれも、「深い対話」「質の高い情報」「個別課題への対応」「実体験」といった、量ではなく質に関わる内容である。

出展者の注力活動と来場者が期待以上と感じたブースの特徴

【表7-1】

出展者が当日注力している活動と来場者が期待以上と感じたブースの特徴

表7-1 出展者が当日注力している活動と来場者が期待以上と感じたブースの特徴
出展者が
展示会当日、最も注力している活動(複数回答)|n=536
来場者が
期待以上と感じたブースの特徴(複数回答)|n=1089
多くの来場者に積極的に声をかける42.7%開発者やエンジニアから直接話を聞けた49.1%
ブースの見栄えや演出で来場者の目を引く37.5%他社では聞けない事例やノウハウに触れられた42.2%
名刺やリード情報を多く獲得する27.4%自社課題に合わせた具体的な提案をしてもらえた34.3%
チラシやノベルティを多く配布する24.1%製品・サービスを実際に体験・操作できた30.9%

指定の差し替え表をHTMLテーブルとして再現。

これに対して、来場者が「期待外れ」と感じたブースの特徴では、「売り込み感が強く、話を聞く気がなくなった」、「質問しても的確な回答が得られなかった」、「チラシやノベルティを一方的に押し付けてきた」が上位に並んでいる(5-4節参照)。

この結果から、来場者はブースに立ち寄った後、単なる説明や資料配布ではなく、自社の課題に即した対話、専門的な情報、具体的な提案、実体験を求めていることがわかる。一方で、出展側が注力している「声かけ」や「チラシ配布」は、来場者側には「売り込み」や「押し付け」として受け取られる可能性がある。また、名刺・リード獲得に注力するあまり、来場者が求める質の高い対話や具体的な提案が十分に行われていない可能性もある。

出展側が「量」を追う運営スタイルから抜け出せない限り、来場者が求めている「質の高い対話」とのずれは広がり続ける。この構造は、対象外リードの発生(獲得リードのうち「31%以上が対象外」と回答した企業が57.4%)、および商談化率の伸び悩み(商談化率が29%以下にとどまる企業が56.5%)といった実態とも整合的である(4-3節参照)。

■ギャップ3:リード獲得観の違い

出展者の出展目的の1位は「見込み顧客情報(リード)や見込み客との商談機会の獲得」であり、リード獲得は展示会の中心的な目的として明確に位置づけられている(4-2節参照)。そして展示会の場において、リード獲得の主要な手段となるのが名刺交換や、来場者バッジのバーコードスキャンである。

ところが来場者側の視点から見ると、名刺交換やバーコードスキャンは必ずしも「商談への同意」を意味しない。展示会後のフォローアップで不満を感じたと回答した来場者の43.2%が、「名刺交換しただけなのに強引な売り込みをされた」を不満理由として挙げている(5-5節参照)。来場者からすれば、名刺交換やバーコードスキャンは情報交換の一形態であり、即座の商談を受け入れる意思表示ではない。ここに認識のずれが存在している。

出展者が当日の行動として名刺・リード情報の獲得数を重視する一方、来場者は「会話の質」や「自社課題との関連性」を重視する。来場者調査では、ブースに立ち寄る際に最も重視される要素が「自社の業務課題に直結するキーワードや展示内容が目に留まったこと」であり、「ブースの見た目や演出」、「ノベルティや特典」といった要素を大きく上回っていた(5-3節参照)。

この結果から、来場者は単なる豪華な装飾や販促品だけではなく、自分の業務課題にとって意味のある接点を求めていることがうかがえる。もちろん、ブースの造作やノベルティは来場者の注意を引くきっかけとして有効であるが、それだけで十分な接点形成につながるとは限らない。重要なのは、視覚的な演出や配布物を入口としながらも、その先に「自社に関係がありそうだ」と感じられる課題提示や会話の導線を設計することである。

さらに、この論点は、出展者と来場者の認識のずれだけでなく、出展企業内部におけるマーケティング部門と営業部門の評価指標のずれとしても表れる。展示会出展をマーケティング部門が主導する場合、会期中の成果指標として設定されやすいのが、名刺枚数やバーコードスキャン数などの獲得リード数である。もちろん、リード数は展示会活動の入口を把握するうえで重要な指標である。しかし、それが過度に重視されると、現場では「いかに多くの来場者情報を取得するか」が目的化しやすい。

その結果、ノベルティやチラシ配布をきっかけに、関心度の低い来場者からも名刺やスキャン情報を取得する行動が増える。第5章の来場者調査において、期待外れだったブースの特徴として「チラシやノベルティを一方的に押し付けてきた」が挙がったことは、こうした現場行動が来場者の不満につながっていることを示している。

表面的にはリード数が増え、マーケティング部門のKPIは達成されたように見える。しかし、その後にリードを受け取る営業部門にとっては、必ずしも有効な商談機会とはならない。来場者が自社製品・サービスに関心を持っていたのではなく、単にノベルティを受け取るため、あるいはその場の流れで情報提供に応じただけであれば、営業担当者がフォローしても商談化する可能性は低い。

ここに、展示会成果マネジメントにおける典型的な部分最適がある。マーケティング部門はリード数で評価され、営業部門は売上や受注で評価される。前者にとっては「多くのリードを獲得した」ことが成果であっても、後者にとっては「商談化しにくいリードへの対応工数が増えた」ことになり得る。つまり、展示会は企業内のKPI分断が可視化されやすい場でもあると考えられる。

したがって、展示会の成果を高めるためには、マーケティング部門と営業部門が共通して追うべき指標を設計する必要がある。リード獲得の本質は名刺やスキャン情報を増やすことではなく、来場者が「もう一度話を聞いてもよい」と感じる接点を、できるだけ多くつくることである。具体的な指標設計と実践論については第8章で詳しく論じる。

■ギャップ4:フォローアップをめぐる認識の乖離

出展企業の課題認識として、「出展後のフォローアップ体制が不十分」という回答は32.5%にとどまり、上位課題として認識されている度合いは必ずしも高くない(4-3節参照)。一方、来場者の71.6%が展示会後のフォローアップに不満を感じた経験を持つ(5-5節参照)。

この非対称性は重要である。出展側は「フォローアップは一定程度できている」と認識している一方、受け手である来場者の大多数は「フォロー対応に不満を持っている」という構造が浮かび上がる。

不満の具体的な内容を見ると、「ブースで話した内容と無関係な営業をされた」、「名刺交換しただけなのに強引な売り込みをされた」、「興味のない製品・サービスのメールが大量に届いた」といった選択肢が上位を占めた(5-5節参照)。一方、来場者が求める理想的なフォローの内容は、「ブースで話した内容を踏まえた提案や情報提供があること」、「自社の状況に合わせてカスタマイズされた事例の提供」であった(5-5節参照)。

ここからわかるのは、来場者が求めているのは、一方的な売り込みや営業攻勢ではなく、ブース体験を踏まえた、自社にとって役立つ個別具体的な情報提供だということである。また、月に1回程度のメルマガ配信について、「基本的に目を通す」と「内容が自社の業務に関連する情報であれば目を通す」の合計が85.1%に達している(5-5節参照)。これは、情報の質と業務関連性が担保されていれば、来場者は継続的な接点そのものを拒んでいるわけではないことを示している。

一方で、実際のフォローアップが来場者の期待と乖離している背景の一つとして、会期中に獲得したリードの選別不足があると考えられる。展示会で獲得したリードには、「今すぐ客」「そのうち客」「対象外」が混在している(4-3節参照)。

この状態でリード数を重視し、関心度の低い来場者や対象外に近い層まで広くカバーすると、会期後のフォロー対象は膨大になる。その結果、自社が役に立てる可能性の高いリードが埋もれ、来場者の関心や課題に応じた情報提供に十分な工数を割けなくなる。

フォローアップの質は、会期後の対応力だけで決まるものではない。会期中にどのようなリードを獲得し、どのように優先順位をつけるかによって大きく左右される。展示会後のフォローアップ改善は、会期後の対応設計だけでなく、リード獲得時点からの分類設計、さらには出展前のコンセプト設計と一体で考える必要がある。具体的な実践論については第8章で詳しく論じる。

■ギャップ5:認識の一致点 ── AI時代の展示会の価値

ここまで出展者と来場者のギャップを見てきたが、本調査では、両者の認識が大きく一致する領域も確認された。それが、AI時代における展示会の価値についての認識である。

AI・デジタルマーケティングが急速に普及するなかで、対面展示会の重要性が「高まる」と回答した割合は、出展者側で69.6%(4-6節参照)、来場者側で67.9%(5-6節参照)であり、ほぼ同水準である。さらに、その理由として挙げられた上位3項目は、双方でまったく同じ順序で並んでいる。

展示会の重要性が高まる理由

【表7-2】

展示会の重要性が高まる理由(出展者・来場者)

表7-2 展示会の重要性が高まる理由(出展者・来場者)
重要性が高まる理由(複数回答)出展者側|n=373来場者側|n=740
オンライン商談だけでは構築しにくい信頼関係を対面で築けるから66.5%63.4%
AI検索では得られない、五感を使った製品体験や実物確認ができるから53.4%42.7%
情報過多の時代に、直接対話で得られる一次情報の価値が高まっているから47.7%41.6%

「対面での信頼関係構築」「五感を使った体験」「一次情報の価値」。これらは、デジタル技術では代替しにくい展示会固有の価値として、出展者・来場者の双方から認識されている。この一致点は、今後の展示会運営の方向性を示唆する重要な手がかりとなる。

ここで重要なのは、この一致が単なる偶然ではないという点である。AIやデジタルマーケティングの普及が進むほど、オンラインで完結しにくい確認・体験・対話の価値が相対的に高まるという構造は、出展者・来場者の双方が現場感覚として実感していることを示している。

この構造的背景については第6章で詳しく論じた。そして、この認識の一致点こそが、出展企業が展示会設計を見直す際の出発点となる。来場者が求めているものと、展示会が本来提供できる価値が重なっている以上、あとは出展企業がその価値を意図的に設計できるかどうかにかかっている。具体的な実践論については第8章で論じる。

7-2. 業界トレンドの可視化

本節では、独自調査と公的統計・業界団体データを組み合わせて、展示会産業をめぐる業界トレンドを整理する。

■トレンド1:展示会投資は「拡大基調」で一致している

第2章で確認したとおり、国内展示会の開催件数はコロナ前を上回る水準まで回復し、2025年・2026年も増加基調が続く見通しである。重要なのは、この拡大が主催者側の開催件数だけにとどまらない点である。

個別の出展企業レベルでも、同じトレンドが確認できる。今後1年間の展示会関連予算について、「大幅に増加」と「やや増加」の回答割合の合計が63.5%に達し、「減少」と回答した企業は合計4.1%にとどまった(4-4節参照)。また、今後1年間の出展方針について、「拡大する予定」と「現状維持」の合計は、87.1%に達した(4-7節参照)。

開催件数の増加と個別企業の予算・出展意欲の拡大という、マクロとミクロの両面から、展示会産業への投資が継続的に増加している構造が確認できる。第5章で確認した来場者側の来場意向と合わせれば、出展側・来場側・主催側の三者が「拡大」方向で足並みを揃えている状況が浮かび上がる。

■トレンド2:業界横断的な広がりとデジタル施策との併用

展示会は特定の業界に偏ったマーケティング手法ではない。第2章で見たとおり、2024年の国内展示会は生産財関連が444件、消費財関連が483件となり、業界分野は製造、食品、ファッション、建築、医療、ITなど多岐にわたる61)。こうした業種の広がりは、展示会がBtoBマーケティングの手法として業界を問わず活用されていることを示している。

さらに、BtoBマーケティング施策の実施状況(4-6節参照)からは、展示会とデジタル施策が代替関係ではなく、対等な組み合わせとして運用されている実態が読み取れる。

具体的には、現在実施している施策の1位が「展示会・見本市への出展」でありながら、「Web広告」、「セミナー・ウェビナー」、「SNSマーケティング」と幅広く併用されている。加えて「最も成果を実感している施策」として展示会を選んだ企業は41.9%に達し、2位の「Web広告」を2倍以上引き離している。

展示会は、BtoBマーケティングのポートフォリオの中核として位置づけられ、他施策と組み合わせて運用されているチャネルであることが、今回行った独自調査からも裏付けられている。

■トレンド3:海外展示会産業と日本の位置づけ

第3章で触れたとおり、世界の展示会産業はコロナ禍からの回復にとどまらず、コロナ前を上回る成長軌道に入っている。UFI Global Exhibition Barometer第34版によれば、2024年の世界平均収益は前年比16%増、2025年はさらに前年比18%増が見込まれている62)

成長を牽引しているのは、インド(2019年比+40%)、アルゼンチン(+34%)、マレーシア(+22%)、UAE・ブラジル(+18%)、サウジアラビア(+17%)といった新興市場である。一方、ドイツ(-12%)、中国(-8%)などの従来の主要市場はなお回復途上にある(3-1節参照)63)

日本国内の展示会産業は、件数ベースでは2019年を上回る水準に回復したものの、2024年の来場者数は2019年の約3分の2強(67.5%)にとどまっており(2-4節参照)64)、世界全体の勢いと比べると、日本市場は相対的に穏やかな回復軌道にあるといえる。ただし、JIMTOF 2024では海外来場者が前回比で倍増(4,815人→10,423人)しており65)、国内展示会がインバウンドの接点としての機能を強めている兆しも見られる(3-2節参照)。

7-3. 中小企業支援機関に求められる役割

商工会議所、産業振興センター、自治体などの中小企業支援機関にとって、展示会は、地域の中小企業や小規模事業者の販路開拓を支援するための重要なチャネルの一つである。実際に、支援機関が地域企業の単独出展を支援したり、複数社を取りまとめて共同ブースや地域ブースとして出展を後押ししたりする取り組みは、さまざまな展示会で行われている。

さらに、展示会出展には国や自治体の補助金・助成金が活用される場合もあり、費用面のハードルを下げる支援策として機能している。これらの取り組みは、自社だけでは出展費用や準備負担の面で参加が難しい中小企業にとって、展示会に挑戦する貴重な機会となっている。

一方で、展示会出展を支援する現場には、特有の難しさもある。支援機関が出展機会を用意しても、参加企業側に展示会活用のノウハウが十分にない場合、結果として「出展しただけ」で終わってしまうことがある。また、出展企業側が受け身の姿勢で出展する場合、出展目的や会いたい相手、訴求すべき価値が曖昧なまま会期を迎えてしまう可能性もある。

したがって、中小企業支援機関には、出展枠の確保や費用面の支援に加えて、参加企業が展示会を販路開拓の機会として主体的に活用できるよう支援する視点が求められる。具体的には、出展前の目的設定、ターゲット整理、展示内容の設計、会期中の接客、会期後のフォローまでを一連の支援プロセスとして捉えることが重要である。

7-4. 主催者への示唆

展示会産業の主要プレイヤーには、出展者と来場者に加えて主催者がいる。主催者は、展示会の企画・運営を担い、出展者と来場者の接点を生み出す中核的な存在である。本節では、これまでの調査結果から主催者側への示唆を整理する。

■示唆1:新規展示会の創出と既存展示会の再設計

2019年以降の新規展示会の増加傾向と、海外主催企業の日本進出の動きは、日本の展示会市場にまだ成長余地があることを示している(2-5節、3-4節参照)。一方で、既存展示会の中には来場者の伸び悩みに直面するものも存在する。半導体やエネルギー関連では過去最高規模を記録する展示会がある一方、IT・DX関連では伸び悩みが見られるものもある。

こうした状況を踏まえると、展示会の企画段階での「テーマ設計」の重要性は増している。来場者がブースに立ち寄る最大の動機は自社の業務課題に直結するキーワードや展示内容にあり(5-3節参照)、展示会全体の開催企画の段階でも、この視点は応用可能である。来場者が解決したい業務課題や探している情報を明確に提示する企画は、出展者の集客動機とも合致し、結果として展示会全体の求心力を高める可能性がある。

■示唆2:主要展示会場の改修・利用制限を、展示会の多極化推進の契機に

2025年以降、国内主要展示会場では改修・再整備に伴う利用制限が予定されている。東京ビッグサイトでは段階的な休館が予定されている66)ほか、インテックス大阪、パシフィコ横浜、ポートメッセなごや、福岡国際センターなどでも、特定ホールの休館、搬入出・アクセスの制限、短期間の全館休館など、会場ごとに異なる制約が生じる見込みである(2-4節参照)。ただし、これを一律に「会場不足」と捉えることは適切ではない。各地域の主要会場が持つ機能と制約を踏まえ、開催地の役割分担を見直す視点が必要である。

一方、第4章で確認したとおり、出展企業が感じる課題として「会場(東京ビッグサイト等)の改修・キャパシティの制約」を挙げた企業は13.6%にとどまり、個別企業レベルでは優先順位の高い課題としては認識されていない。

こうした状況を踏まえると、主催者には、会場ごとの制約を前提とした開催設計、会期や会場レイアウトの再編、搬入出動線の調整、出展者への早期情報提供などを進めることが求められる。これらの取り組みは、展示会産業の分散化と多極化を推進する鍵となりうる。

■示唆3:サステナビリティを展示会運営の価値向上につなげる

今後の展示会運営においては、サステナビリティへの対応も重要な視点となる。展示会は、多数の出展者、来場者、施工・物流関係者が集まる場であり、ブース装飾、廃棄物、搬入出、電力利用などを通じて環境負荷が発生する。

ただし、サステナビリティは、単なる規制対応やコスト増の問題として捉えるべきではない。再利用可能な装飾、効率的な搬入出、無駄の少ない会場運営を進めることは、環境負荷の低減にとどまらず、出展者の準備負担を軽くし、来場者にとって歩きやすい展示環境をつくることにもつながる。

主催者には、出展者に対して環境配慮型のブース設計や再利用可能な装飾、廃棄物削減に関する情報を提供するとともに、会場全体として無駄の少ない運営を設計する視点が求められる。サステナビリティを展示会の価値を高める運営・設計上のテーマとして捉えることが、今後ますます重要になる。

■示唆4:統計の透明性と第三者認証の課題

第2章で触れたとおり、国内展示会の来場者数・出展者数は、UFIやJEXAによる第三者認証を受けた数値ではなく、主催者の自己申告に基づく点には留意が必要である。また、来場者数のカウント方法について、コロナ前後で大きく変更された例もあり、2019年までと2020年以降の来場者数を比較する際に留意が必要である点もすでに述べたとおりである。

世界的には、CES 2025が独立監査済の来場者数142,465人を公表しているように67)、統計の透明性が展示会の国際的な信頼性を担保する要素となっている(3-2節参照)。

日本の展示会産業が国際的な存在感を高めていくうえで、統計の標準化と第三者認証の導入は、中長期的な課題として浮上する。この点は、個別出展企業のみでは解決できない業界構造上の課題であり、主催者・業界団体・行政による共同の取り組みが求められる領域といえる。

■示唆5:来場者属性の詳細データを公開する

出展者が出展成果を高めるうえで、来場者像の把握は極めて重要である。しかし、多くの展示会では、公開される情報が漠然としがちで、中には「来場者数」のみしか公表されないケースもある。来場者数は展示会の規模を示す指標ではあるが、それだけでは出展者が具体的な出展戦略を設計するには不十分である。

出展企業の課題として「獲得リードの質が低い(決裁者に会えない等)」を挙げた企業は34.5%に達している(4-3節参照)。こうした課題の背景には、出展前の段階で来場者像を十分に把握できていないという構造的な問題がある。

出展者が本当に知りたいのは、何人来たかだけではない。どの業種の人が来場したのか、どの部署の人が多かったのか、役職者はどの程度含まれていたのか、どのような課題を持って来場していたのか、といった情報である。これらの情報が実数で公開されれば、出展者は、自社にとって出会うべき来場者像を明確にしやすくなる。

たとえば、経営者層が多く来場する展示会なのか、現場責任者が多いのか、設計部門が多く来場するのか、購買部門の方が多いのかによって、出展者が出会うべき来場者像の設定は変わる。出会うべき来場者像が変われば、ブースの訴求内容も当然変化する。主催者から提供される来場者属性の詳細データによって、その解像度を上げることができれば、出展者は展示テーマ、キャッチコピー、配布資料、ブース内トークをより具体的に設計することができる。

来場者属性データの公開は、出展者の準備精度を高める。来場者の9割以上が事前に訪問候補ブースを決めて来場しており(5-2節参照)、来場者がブースを選ぶ最大の動機は「自社の業務課題に直結するキーワードや展示内容」である(5-3節参照)。つまり、出展者にとっては、来場者が会場に来る前に比較・検討する段階で「自社に関係がありそうだ」と感じてもらえる準備が重要になる。来場者属性データをもとに準備精度が高まれば、来場者のブース立ち寄りを促しやすくなり、接客内容も来場者の関心に沿ったものにしやすい。その結果、商談化率の向上にもつながりやすくなる。

■示唆6:出展者の成功事例を収集・蓄積・共有する

展示会の価値をさらに高めるうえでは、主催者が会場を用意し、来場者を集めるだけでなく、出展者が成果を出すための知見を蓄積し、業界全体に還元していく視点も重要になる。

展示会主催者は、過去から現在に至るまで、多数の出展者と接している。その中には、必ずしも好立地とはいえない場所に出展しながら、ブース前での声かけや展示物の見せ方を工夫し、多くの有効商談を生み出した企業もある。また、名刺獲得数そのものは多くなかったものの、獲得したリードの商談化率や受注率が高かった企業も存在する。

そうした事例を、個々の出展者の努力として埋もれさせるのではなく、主催者側が継続的に収集し、共有可能な形で蓄積していくことが望ましい。たとえば、ブースづくりの工夫、事前告知の方法、展示物の見せ方、商談化率を高めたフォロー方法などを、出展者向けセミナー、公式サイト、出展準備マニュアル、事例集などの形で提供することが考えられる。

さらに、蓄積された知見は、出展者向けの各種支援サービスを高度化するうえでも活用できる。たとえば、主催者がブース装飾パッケージを提供している場合、単に見栄えを整える装飾としてではなく、出展目的や出会いたい来場者像に応じて、訴求内容、展示物の見せ方、導線を連動させる支援へと発展させることができる。成功事例から得られた知見を出展準備支援に反映できれば、出展者の成果向上を後押しし、主催者にとっても提供サービスの付加価値を高める方向に働く可能性がある。

「展示会の担当者が定期的に異動・交代し、ノウハウが蓄積されにくい」という課題を抱える企業が14.2%存在する(4-3節参照)。主催者が成功事例を蓄積・共有することは、こうした個別企業のノウハウ継承の課題を補完する役割も果たしうる。出展者が成果を出せば、展示会に対する満足度が高まり、次回以降のリピート出展につながる。つまり、出展者の成功事例を共有することは、主催者にとっても展示会の継続性と収益性を高める施策となるのである。

■示唆7:来場者と出展者のマッチング機能を強化する

来場者は漠然と会場を歩いているだけではなく、自社の課題に関係する情報や解決策を求めてブースに立ち寄る傾向を強めている(5-2節、5-3節参照)。そうであるならば、主催者は来場者と出展者の偶然の出会いに依存するだけでなく、両者を意図的につなぐ仕組みをさらに強化していく視点が求められる。

具体的には、来場者の業務課題、関心テーマ、検討中の設備・サービス、導入時期などの情報を来場登録時に収集し、来場者と出展者の接点づくりにより一層活用していくことが考えられる。なお、来場者データの活用にあたっては、個人情報保護や利用目的の明示に配慮し、来場者の信頼を損なわない形で運用することが前提となる。

すでに多くの展示会で、関心テーマに応じた出展者紹介やおすすめブース案内は行われているが、今後は、来場者の抱えている課題の種類、業種、職種、検討段階、導入時期などに応じて、「なぜそのブースを見るべきか」まで示す案内へと高めていくことが考えられる。

さらに、会場内では、来場者が関心テーマに合致するブースの近くを通過した際にスマートフォンへ通知を送るなど、事前登録情報を当日の回遊支援に活用することも考えられる。

この仕組みは、出展者にとっても大きな意味を持つ。獲得リードのうち対象外が3割以上を占める企業が約6割に達している(4-3節参照)。来場前の段階からマッチング精度を高めることは、こうした対象外リードの発生を抑制し、商談につながる質の高い接点を増やすことに直結する。とくに、来場者数の多寡だけでは成果を判断しにくくなっている現在、主催者が来場者と出展者のマッチング精度を高めることは、展示会の価値を再定義する重要な取り組みとなる。

こうした動きは一部の展示会ですでに始まっているが、今後は付随的なサービスではなく、展示会の中核機能として位置づけていく必要がある。

今後の展示会では、「どれだけ人を集めたか」だけでなく、「必要としている人と、解決策を持つ企業をどれだけ適切につないだか」が問われるようになる。主催者は、来場者と出展者の接点設計者としての役割を、より明確にしていくことが期待される。

■示唆8:出展者同士の交流を促進する

展示会の価値は、来場者と出展者の接点だけに限定されるものではない。出展者同士の交流もまた、展示会が持つ重要な価値である。第5章の来場者調査においても、業界の人脈づくりやネットワーキングを来場目的に挙げる回答が一定数見られた。こうした点を踏まえると、主催者が出展者同士が自然に交流できる機会を設計することは、展示会全体の価値を高める発展的な取り組みになり得る。

同じ展示会に出展する企業は、同じ市場、同じ来場者層、あるいは近接する業界課題に向き合っていることが多い。そのため、出展者同士の交流から、新たな連携、共同提案、販売代理、技術協力、情報交換が生まれる可能性がある。特に中小企業にとっては、自社単独では接点を持ちにくい企業と出会えること自体が、大きな機会となる。

しかし実際には、会期中の出展者は自社ブース対応に追われ、隣接ブースや他の出展企業と十分に交流できないことも多い。そこで主催者が、会期前後または会期中に、出展者同士が交流できる場を意図的に設計することが有効である。たとえば、出展者限定の交流会、テーマ別の情報交換会、共同プロモーションの機会、出展者向けオンラインコミュニティなどが考えられる。

出展者間のネットワーキングは、すでに一部で試みられているものの、現状では付随的な取り組みにとどまりやすい。今後は、来場者向け施策と同様に、出展者の参加価値を高める仕組みとして、より明確に設計していくことが求められる。

出展者同士の交流が活性化すれば、展示会は販売促進の場としてだけでなく、業界内の関係性をつくる機会としても機能する。これは出展者にとっての参加価値を高めるだけでなく、展示会そのものの競争力を高めることにもつながる。

以上を踏まえると、主催者には、展示会の「場」を提供するだけでなく、出展者が成果を出しやすい環境を設計する役割が一層求められる。ただし、これは主催者に対して、経済合理性を度外視した支援を求めるものではない。むしろ、出展者の成果創出を支援することは、展示会そのものの付加価値を高め、主催者の収益機会を広げる取り組みでもある。たとえば、来場者と出展者のマッチング機能は、基本機能として整備するだけでなく、出展者向けの高度な分析レポートや事前マッチング支援、商談設定支援などの有料オプションとして展開することも考えられる。

展示会は、主催者、出展者、来場者の三者が相互に価値を生み出すことで成り立つ。主催者が出展者の成果創出により深く関与することは、単なる出展者支援ではなく、展示会そのものの競争力を高めるための重要な取り組みになりうる。

7-5. BtoBマーケティング全体の中での展示会の再定義

第6章で論じたとおり、展示会はAI時代においてもその価値を失うどころか、むしろ相対的に高まる可能性がある。本節では、この主張を独自調査データによって再確認し、BtoBマーケティング施策の全体像の中で展示会を再定義する。

■展示会はBtoBマーケティングの「第一選択肢」

出展企業調査ではBtoBマーケティング施策のうち「最も成果を実感している施策」として「展示会・見本市への出展」を選んだ企業が41.9%に達し、2位の「Web広告」、3位の「セミナー・ウェビナー」を大きく引き離して最多となった(4-2節参照)。これは、多様化するBtoBマーケティング施策の中で、展示会がなお「最も成果を実感できるチャネル」として企業に評価されていることを示している。

■来場者の行動から見える「対面優位」

また第5章で確認したとおり、来場者側の調査でも同様の構造が浮かび上がった。業務上の情報収集手段としてAI検索ツールを利用する来場者が50.2%に達する状況下でも、購買判断への影響が「対面情報の方が大きい」と回答した来場者は合計60.0%(「展示会での対面情報の方が影響が大きかった」と「どちらかといえば展示会での対面情報」の和)に達した(5-2節、5-4節参照)。

さらに、展示会で得た情報が購買意思決定に影響したと回答した来場者は79.7%に上り、その影響内容の1位は「比較検討していた候補を絞り込む判断材料になった」であった(5-4節参照)。展示会は、購買プロセスの「候補絞り込み」という重要な局面で機能するチャネルとして位置づけられている。

■「展示会は時代遅れ」論への反証

第6章で論じたとおり、「展示会は時代遅れ」という言説は、公的統計・業界団体データ・独自調査のいずれの観点からも、データによる裏付けを欠いた印象論にとどまっている可能性が高い。むしろ、BtoBマーケティングのポートフォリオの中で、展示会は中核的なチャネルとして位置づけを強めているとする見方のほうが、データと整合的である。

ただし、出展者と来場者のギャップ、特に当日の行動と来場者の期待との乖離、フォローアップの質的問題は、出展企業が向き合うべき構造的な課題として残されている。展示会を「出せば成果が出るチャネル」として捉えるのではなく、「顧客起点で設計すべきチャネル」として再定義することが、今後の展示会活用の前提となる。この具体的な方法論については、第8章で詳しく論じる。

7-6. 展示会産業の構造的課題

本章の最後に、展示会産業が抱える構造的な課題を整理する。これらの課題は、個別の出展企業のみでは解決できない性格のものであり、業界全体での中長期的な取り組みが求められる領域である。

■課題1:第三者認証の不在と統計の透明性

国内展示会の来場者数・出展者数は、主催者の自己申告に基づく値であり、UFIやJEXAによる第三者認証を受けた数値は限定的である(2-4節参照)。一方、CES 2025が独立監査済みの来場者数を公表しており、欧米の主要展示会では統計の透明性確保が慣行となりつつある(3-2節参照)。日本の展示会産業における統計の透明性には、改善の余地があるといえるだろう。

この課題は、展示会の国際競争力、海外主催者・出展者からの信頼、投資判断の客観性など、複数の観点に影響する。業界団体・主催者・行政の連携が求められる中長期的なテーマだといえる。

■課題2:主要展示会場の改修・利用制限と会場キャパシティ

2025年以降、東京ビッグサイトをはじめとする国内主要展示会場では、改修・再整備に伴う利用制限が予定されている。東京ビッグサイトの段階的休館68)が予定されているほか、インテックス大阪、パシフィコ横浜、ポートメッセなごや、福岡国際センターなどでも、特定ホールの休館、搬入出・アクセスの制限、短期間の全館休館など、会場ごとに異なる制約が生じる見込みである(2-4節参照)。

これは個別の出展企業では対応しきれない規模の変化であり、展示会の分散開催や会場ごとの制約を踏まえた開催地の見直し、会期の再編といった対応が、主催者側で進められる可能性がある。

また、日本最大の東京ビッグサイトの面積(11.7万㎡)は、世界最大級のChina Import & Export Fair Complex(50.4万㎡)の約1/4にすぎない(3-3節参照)69)。会場規模の国際的な差異は、日本が大型の国際展示会を誘致・開催していくうえでの構造的な制約となりうる。

■課題3:担当者の異動とノウハウの非継承

出展企業が感じる課題として「展示会の担当者が定期的に異動・交代し、ノウハウが蓄積されにくい」を挙げた割合は14.2%であった(4-3節参照)。率としては突出した値ではないものの、展示会運営が属人的な知見に依存しやすい領域であることを踏まえると、組織的なノウハウ継承の仕組みは、出展企業にとっての構造的な課題として潜在している可能性がある。

この課題への対応は、出展企業自身の社内プロセス設計、主催者側の出展者支援プログラム、業界団体による研修機会の提供など、複数の主体による取り組みが必要となる。

■課題4:ROI測定の標準化

展示会出展の課題として最多だったのが「費用対効果が見えにくい」であり(4-3節参照)、ROI測定を実施していない企業の63.0%が「展示会の効果は数値化しにくいと考えているから」を理由に挙げている(4-5節参照)。

この課題の背景には、展示会の成果が短期的なリード獲得にとどまらず、ブランド認知、関係構築、新製品発表など多様な価値を持つ一方、その全体像を一つの指標で捉える標準的な手法が確立されていないという構造的な問題がある。業界全体でのROI測定のベストプラクティス共有や、主催者側による成果データの提供など、業界横断での取り組みが進めば、個別企業のROI測定負担は軽減される可能性がある。

一方で、個別企業の実践レベルでは、ROIを単一の指標で捉えるのではなく、リード、商談化、案件化、受注に至るプロセス指標と、顧客理解や一次情報の蓄積といった中長期的な成果を分けて捉えることが重要である。この点については、第8章で具体的に論じる。

本章では、調査結果から見えてくる展示会をめぐる構造的な示唆を整理した。出展者と来場者のギャップ、業界全体のトレンド、主催者への示唆、BtoBマーケティング全体での再定義、産業の構造的課題。これらはいずれも、展示会が持つ可能性とさらに価値を高めていくための課題を示している。

ただし、こうした構造を理解することと、個別の出展企業が明日からの実践に移すことの間には距離がある。次章では、これらの示唆を踏まえて、出展企業が実際にどう行動すべきかを具体的なステップとして提示する。

【脚注】

61. 一般社団法人日本展示会協会(2024)「JEXA pamphlet」
https://cdn.clipkit.co/tenants/897/resources/assets/000/001/429/original/JEXA_pamphlet2025.pdf
62. UFI, The Global Association of the Exhibition Industry(2025)「34th Global Exhibition Barometer」、2025年2月公表、n=390社・56カ国・地域
https://www.ufi.org/mediarelease/ufi-global-barometer-indicates-further-growth-expected-in-2025-for-the-exhibition-industry-globally/
63. 同上
64. 公益財団法人日本交通公社(2025)「旅行年報 2025」、公益財団法人日本交通公社刊
https://www.jtb.or.jp/book/annual-report/annual-report-2025/
65. 一般社団法人日本工作機械工業会 / 株式会社東京ビッグサイト(2024)「JIMTOF2024 結果報告」
https://jimtof.org/jp/finalreport.html
66. 株式会社東京ビッグサイト「利用照会(空き状況のお問い合わせ)」
https://www.bigsight.jp/organizer/guide/inquiry
67. Consumer Technology Association(CTA)(2025)「CES 2025 Audit Reveals Growing Attendance from Executives, Investors, and Media」、2025年3月27日公表
https://www.ces.tech/press-releases/ces-2025-audit-reveals-growing-attendance-from-executives-investors-and-media
68. 株式会社東京ビッグサイト「利用照会(空き状況のお問い合わせ)」
https://www.bigsight.jp/organizer/guide/inquiry
69. UFI(The Global Association of the Exhibition Industry)(2023)「World Map of Exhibition Venues」
https://www.clcvecta.nl/media/zwrkjapm/ufi-world-map-of-exhibition-venues-2023.pdf

■ 本白書の引用・転載について

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引用・転載の際は、以下のように出典を明記してください。
出典:株式会社展示会営業マーケティング「展示会白書」

清永健一

執筆・監修者プロフィール

清永 健一(きよなが けんいち)

展示会営業®コンサルタント/中小企業診断士

株式会社展示会営業マーケティング代表取締役。展示会を活用した売上アップの技術を伝える専門家。
展示会をテーマとした書籍を複数執筆し、執筆書籍はいずれもAmazon部門1位を獲得。
「日経MJ」「NHKラジオ総合第一」など、多くのメディアで取材を受けている。

これまでに1300社を超える企業の展示会出展・営業強化を支援。
ほぼ毎週、東京ビッグサイトをはじめとする展示会場に足を運び、
現場で得た一次情報と独自調査をもとに、展示会を成果につなげる方法を発信している。