展示会へ出展することが決まると、多くの企業が既存顧客や見込み客へDMを送ります。
しかし、よくあるのが、
「〇月〇日から〇〇展に出展します。ぜひお越しください」
というだけのDMです。
これでは、受け取った相手からすると、
「なぜ、わざわざあなたのブースへ行く必要があるのか」
が分かりません。
展示会営業®コンサルタントとして累計1,300社超を支援してきた清永健一は、展示会DMを単なる「出展のお知らせ」とは考えていません。
清永健一の結論
展示会DMは「展示会へ来てください」という招待状ではありません。
展示会へ行く前の段階で、相手に「このブースには行ってみよう」と思ってもらい、限られた訪問候補の中へ自社を入れてもらうための事前営業ツールです。
だからDMで伝えるべき中心メッセージは、「当社が出展します」ではなく、「あなたが来れば、こんなことを見て、試して、確かめられます」です。
展示会白書のデータ
展示会DMの役割を最も端的に表すのが、来場前の訪問候補に関するデータです。
株式会社展示会営業マーケティングが2026年4月に業務目的来場者1,089名へ実施した独自調査では、90.6%の来場者が少なくとも1社以上、訪問候補のブースを事前に決めていました。
事前に訪問すると決めていたブース数では、「3~5社」が39.2%で最多、「1~2社」が38.2%で続きました。
- 0社:8.8%
- 1~2社:38.2%
- 3~5社:39.2%
- 6~10社:9.6%
- 11社以上:3.6%
「0社(すべて当日その場で決めた)」は8.8%にすぎません。つまり、展示会DMは会期前から訪問候補へ入るための営業活動だといえます。
つまり、多くの来場者は展示会場へ着いてからゼロからブースを探すわけではありません。
展示会が始まる前から、すでにブース間の競争は始まっているのです。
この記事では、展示会DMの目的、基本構成、デザイン、キャッチコピー、写真、QRコード、文面例、作成手順、郵送・メール・SNSとの使い分け、送付時期、事前アポ、効果測定まで体系的に解説します。
さらに、出展者536名・来場者1,089名への独自調査「展示会白書」をもとに、現在の来場者行動に合ったDMづくりを考えていきます。
展示会DMとは?
展示会DMとは、展示会への出展を知らせ、自社ブースへの来場を促すために、顧客や見込み客へ送るダイレクトメールです。
郵送物を指す場合が多いですが、展示会の事前集客という意味では、
- 郵送DM
- 案内状
- 招待状
- メール
- 営業担当者からの個別案内
なども同じ役割を持ちます。
ただし、DMの目的は、
「展示会へ出展することを知らせる」
だけではありません。
受け取った相手に、
「それなら、そのブースへ行く意味がありそうだ」
と思ってもらうことが本当の目的です。
展示会DMが重要な理由|来場者は実際に立ち寄るブースを絞っている
まず、来場者は展示会で何十社、何百社ものブースをじっくり見ているわけではありません。
展示会白書のデータ
展示会DMが重要なのは、来場者が実際に立ち寄るブース数にも限りがあるからです。
来場者1,089名への独自調査で、直近の展示会で「立ち寄った」と認識しているブース数を尋ねると、「4~6社」43.1%が最多でした。
「4~6社」43.1%、「7~10社」32.0%を合わせると、多くの来場者が「立ち寄った」と認識するブースは限られています。
来場前に訪問候補を決めている状況は、冒頭の図5-5「来場前に訪問を決めていたブース数」で示したとおりです。展示会当日の通行客だけではなく、会期前の段階で「このブースは見ておこう」と思ってもらう必要があります。
清永健一の解説
展示会当日に通路で一生懸命呼び込みをすることも必要です。
しかし、それだけでは遅い場合があります。
来場者の多くは、会場へ行く前から数社の候補を持っています。
展示会DMの役割は、「来場してください」とお願いすることではありません。限られた訪問候補の中へ、自社ブースを入れてもらうことです。
展示会の事前集客全体については、展示会の集客方法|事前集客から当日までもあわせてご覧ください。
展示会DMで伝えるべきは「出展します」ではなく「来る理由」
展示会DMでありがちな失敗が、出展企業側の事実だけを書いてしまうことです。
たとえば、
このたび弊社は〇月〇日より開催される「〇〇EXPO」に出展いたします。
社員一同、皆様のご来場を心よりお待ちしております。
という文面です。
失礼ではありませんし、案内として間違っているわけでもありません。
しかし、受け取った相手からすると、
「だから、私が行くと何があるの?」
という疑問が残ります。
そこでDMの中心を、
「当社が出展します」
から、
「あなたが来ると、こんなことを確認できます」
へ変えます。
来場理由になる情報の例
- 新製品を会場で初公開する
- 実機を動かしている
- 従来品と新型を比較できる
- 実際に触って体験できる
- 開発者・技術者へ直接質問できる
- 展示会限定の導入事例を聞ける
- その場で診断・測定できる
- 自社に近い業界の事例を相談できる
- 普段持ち込めない大型機械を展示している
こうした「Webではなく、わざわざ会場へ行く理由」をDMの主役にします。
展示会白書から見る「来場理由になる情報」
では、実際の来場者は、どんな要素を見てブースへ立ち寄るのでしょうか。
展示会白書のデータ
来場者1,089名へ、ブースへ立ち寄る際に重視する要素を尋ねました。
一番大きいのは、「自社の業務課題に直結するキーワードや展示内容」51.5%です。
続いて、「実物展示やデモ体験」40.1%、「事前に気になっていた企業・ブランド」36.8%、「展示会場でしか得られない事例・開発者の見解・初公開情報」34.6%です。
一方、「ブースの見た目や演出」20.3%、「ノベルティや特典」11.4%にとどまっています。
清永健一の解説
DMでも同じです。まずおしゃれにするのではなく、「これは自社の課題に関係がある」と気づいてもらう。その意味を短時間で伝えるためにデザインを使う、という順番です。
清永式|展示会DMは「DM版ワンブース・ワンアイテム・ワンターゲット」でつくる
展示会ブースでは、私は、
ワンブース・ワンアイテム・ワンターゲット
という考え方をすすめています。
DMでも同じです。
展示会へ持っていく商品を全部載せ、
「新製品Aもあります」
「サービスBもあります」
「製品Cも見られます」
と並べると、結局、何を見に行けばよいのか分からなくなります。
DMでは、今回もっとも来てほしい相手と、その人にもっとも見てほしい価値を一つ決めます。
たとえば、
- 食品工場の人手不足に悩む生産責任者
- 物流倉庫のピッキング作業を減らしたい責任者
- 新しい販路を探している食品メーカー経営者
などです。
そして、その人へ、
「あなたなら、ここを見る価値があります」
と伝わるDMをつくります。
展示会DMの基本構成|この7要素を入れる
展示会DMは、情報を詰め込むほどよいわけではありません。
最低限、次の7要素で構成できます。
- 誰向けかが分かるキャッチコピー
- 会場で確認できる価値
- 実物・体験・デモなどの見どころ
- 展示会名・日時・会場
- 自社ブース番号
- QRコード・予約導線
- 会社名・担当者名・連絡先
1.キャッチコピー
DMを見た人が最初に読む場所です。
展示会名や会社名より先に、
「自分に関係があるか」
が分かる言葉を置いてもよいでしょう。
たとえば、
「〇〇EXPOに出展します」
ではなく、
「人手不足で、検品工程だけが自動化できていない食品工場の方へ」
とします。
展示会キャッチコピーについては、展示会キャッチコピーの作り方・例文で詳しく解説しています。
2.会場で確認できる価値
「〇〇製品を展示します」ではなく、
- 何が分かるのか
- 何を比べられるのか
- 何を体験できるのか
- 誰に質問できるのか
を書きます。
たとえば、
会場では、従来型と新型を実際に動かして、処理速度の違いを比較していただけます。
と書けば、来場理由が明確になります。
3.実物・体験・デモ
実演や体験があるなら、DMの目立つ位置に書きます。
- 「実機展示」
- 「15秒体験」
- 「その場で診断」
- 「毎日14時に実演」
- 「旧型と新型をその場で比較」
など、具体的であるほど、受け手が会場での体験をイメージできます。
体験のつくり方については、展示会ブースで体験をつくる方法も参考にしてください。
4.展示会名・日時・会場
基本情報は一か所へまとめ、一目で分かるようにします。
- 展示会名
- 開催日
- 開催時間
- 会場
- ホール名
などです。
5.ブース番号
ブース番号は必ず目立たせてください。
大規模展示会では、来場者が会場でブースを探すだけでも時間を使います。
「東京ビッグサイト 東3ホール E12-34」
のように、どこへ行けばよいかすぐ分かる状態にします。
6.QRコード・予約導線
DMを見た人が、その場で次の行動へ進めるようにします。
- ブース訪問予約
- 個別相談予約
- デモ予約
- セミナー予約
- 展示内容の詳細ページ
などへQRコードで誘導します。
リンク先を会社トップページにしてはいけません。
興味を持った相手に、もう一度サイト内を探させることになるからです。
今回の展示会専用ページ、対象商品ページ、予約フォームなどへ直接つなぐ方が分かりやすくなります。
7.会社名・担当者名
BtoB展示会では、企業名だけでなく、普段やり取りしている営業担当者の名前を入れることも有効です。
既存顧客や商談先なら、
「当日は私も会場におります」
と入れることで、会いに行く理由が一つ増えます。
展示会DMの文面例|そのまま使える基本形
たとえば、製造業向けの設備を出展する場合は、次のような構成になります。
検品工程の人手不足でお困りの食品工場の方へ
〇月〇日~〇日、東京ビッグサイトで開催される「〇〇展」に出展します。
当社ブースでは、現在人手で行っている検品工程を自動化する新型〇〇を、実際に動かしてご覧いただけます。
会場で確認できる3つのポイント
・従来機との処理速度の違い
・実際の操作方法
・御社の製品にも対応できるか、その場で技術担当者に相談当日は開発担当者もブースにおります。
「自社の場合はどう使えるのか」を確認したい方は、ぜひお立ち寄りください。
〇〇展
〇月〇日~〇日
東京ビッグサイト 東3ホール
ブース番号 E12-34▼事前相談・デモ予約はこちら
[QRコード]
ポイントは、
「出展します → 来てください」
ではなく、
「こんな課題の人へ → 会場でこれを確認できます → だから来る価値があります」
という順番にすることです。
既存顧客向けDMと新規見込み客向けDMは変える
全員へ同じDMを送る必要はありません。
既存顧客向け
既存顧客には、
- 新製品
- 新しい使い方
- 普段見せられない実機
- 開発担当者との面談
- 既存製品との比較
などを案内します。
既に関係があるため、
「ぜひお越しください」
より、
「〇日の午後なら開発担当もおります。30分ほど時間を確保しておきましょうか」
と個別アポまで進める方が有効です。
過去商談・休眠顧客向け
以前商談したものの、当時は条件が合わなかった相手も重要です。
たとえば、
「以前ご相談いただいた〇〇について、新型では△△が改善されました」
「以前課題になっていた処理能力を、今回は実機で比較いただけます」
など、過去の会話とつなげます。
これは大量一斉DMではできない、営業担当者だからこそできる案内です。
新規見込み客向け
まだ関係がない企業には、会社名よりも、
「何の課題に役立つ会社なのか」
を先に伝えます。
自社紹介を長く書くより、相手の課題、会場で見られるもの、得られる情報を優先してください。
展示会DMのデザインで最も重要なのは「3秒で意味が分かること」
DMを受け取った人が、最初から最後まで丁寧に読んでくれるとは限りません。
まず、ぱっと見た瞬間に、
- 誰向けか
- 何が見られるか
- 何が自分に役立つか
が分かるようにします。
デザインの目的は「きれいにすること」ではありません。
伝えたい意味に、最短距離で気づいてもらうことです。
展示会DMのデザインポイント1|情報に優先順位をつける
DMに載せる情報を、すべて同じ大きさで配置してはいけません。
優先順位をつけます。
たとえば、
- ターゲット・課題
- 最大の来場メリット
- 実物・体験・デモ
- 展示会名・日程
- ブース番号
- QRコード
- 会社名
という順番です。
企業や展示会によって優先順位は変わります。
しかし、知名度の高い企業でなければ、会社名だけが最も大きく、肝心の「何が見られるのか」が小さいDMにする必要はありません。
展示会DMのデザインポイント2|余白を使う
せっかく郵送するのだから、と空いている場所へ情報をどんどん追加すると、かえって読まれにくくなります。
余白は「もったいないスペース」ではありません。
一番伝えたい情報を目立たせるためのスペースです。
特にBtoB展示会DMでは、
- 主役のキャッチコピー
- 商品・実物写真
- 来場メリット
の周囲に十分な余白を取ると、情報の優先順位が伝わりやすくなります。
展示会DMのデザインポイント3|色を増やしすぎない
色は企業ブランドや出展コンセプトに合わせて選びます。
ただし、多くの色を使えば目立つわけではありません。
色数が増えるほど、どこが重要なのか分かりにくくなることがあります。
基本色、補助色、アクセント色など役割を決めて使います。
また、
「食品だから赤と黄色」
「BtoBだから青」
と機械的に決めるのではなく、自社ブランドと今回伝えたい意味に合わせてください。
展示会DMのデザインポイント4|フォントは読みやすさを優先する
DMのフォントは、装飾性より読みやすさが重要です。
特に、
- キャッチコピー
- 展示会名
- 開催日
- ブース番号
は、瞬時に読める文字を使います。
フォントを何種類も混ぜると情報が散らかるため、必要以上に種類を増やさない方がよいでしょう。
展示会DMのデザインポイント5|商品写真ではなく「価値が伝わる写真」を選ぶ
商品写真を載せる場合も、単に商品がきれいに写っているだけでよいとは限りません。
たとえば、
- 実際に人が使っている写真
- 大きさが分かる写真
- 動いている様子
- Before/After
- 従来品との比較
- 内部構造
- 利用現場での写真
の方が、商品の価値を理解しやすい場合があります。
「写真を見れば、説明文を読む前に商品の意味が少し分かるか」
を確認してください。
展示会DMのデザインポイント6|DMとブースを同じメッセージにする
DMでは、
「作業時間を半分にしたい工場へ」
と訴求していたのに、展示会場へ行くとブースのパラペットには会社名しか書いていない。
これでは、DMを見て来た人がブースを見つけにくくなります。
DMのキャッチコピーと、ブースのキャッチコピーはできるだけ連動させます。
DMで約束したことを、ブースで再現する。
これによって、事前集客から当日の体験までが一つにつながります。
ブース全体については、展示会ブースの作り方・デザインをご覧ください。
展示会DMのサイズと形
展示会DMでは、A4、A5、はがきサイズなど、さまざまな形式を使えます。
サイズや形そのものに絶対的な正解はありません。
選ぶときは、
- 情報量
- 郵送方法
- 送付数
- 予算
- 封筒に入れるか
- 既存顧客向けか新規向けか
を考えます。
変形DMや特殊加工によって目を引く方法もあります。
ただし、形が珍しいだけで来場理由が弱ければ意味がありません。
形状はメッセージを伝える手段であって、目的ではありません。
展示会DMを作る7ステップ
STEP1.今回、一番来てほしい相手を決める
「顧客全員」ではなく、今回の出展商材で特に役立てる相手を決めます。
- 業種
- 部署
- 役職
- 抱えている課題
- 現在の対応方法
などを整理します。
STEP2.来場者にとっての「行く理由」を一つ決める
商品機能を並べるのではなく、
「会場へ行くと何が分かる、試せる、相談できるのか」
を決めます。
STEP3.キャッチコピーをつくる
ターゲットの課題と来場メリットを短く言葉にします。
このキャッチコピーは、その後、
- DM
- メール
- 自社Webサイト
- SNS
- 展示ブース
にも共通して使えます。
STEP4.必要情報を配置する
キャッチコピーを最も強くし、その下へ来場メリット、実物・デモ、日程、ブース番号、QRコードなどを配置します。
STEP5.QRコードの先をつくる
DMより詳しい情報をWebで確認できるようにします。
ただし、QRコードのリンク先にDMと同じ情報しかないのでは意味がありません。
Web側には、
- 詳しい展示内容
- 実演・デモ時間
- 導入事例
- 事前予約フォーム
- 担当者情報
- よくある質問
など、次の判断に必要な情報を用意します。
STEP6.実物を印刷してチェックする
パソコン画面だけで確認せず、実際のサイズで印刷します。
- キャッチコピーが最初に目に入るか
- 文字が小さすぎないか
- ブース番号を見つけやすいか
- QRコードを読み取れるか
- 何を見に行くDMなのか3秒程度で分かるか
を確認してください。
STEP7.DMを送った後の動きまで決める
郵送して終わりにしません。
重要顧客なら営業担当者から、
「DMをお送りしました。〇日の午後なら私もブースにおります」
と個別に連絡します。
DMは営業活動の代わりではなく、営業担当者が連絡する理由をつくるツールとしても使えます。
展示会DMの作成に使えるデザインツール
デザイン制作には、目的やスキルに応じてさまざまなツールを利用できます。
Adobe Illustrator・Photoshop
印刷会社やデザイン会社と連携し、本格的に制作したい場合に向いています。
Canva
テンプレートを活用しながら、専門的なデザインソフトに慣れていない人でも比較的制作しやすいツールです。
PowerPoint
社内で簡単な案をつくったり、デザイナーへ構成イメージを伝えたりする用途にも使えます。
重要なのは、どのツールを使うかではありません。
誰に何を伝えるDMなのかが決まっていることです。
展示会DMのデザイン3パターン
1.課題訴求型
DM上部に、ターゲットの課題を大きく書きます。
「まだ目視検品に3人使っていませんか?」
その下に、展示会場で確認できる解決方法を配置します。
BtoB展示会では特に使いやすい構成です。
2.実物・新製品型
大型の製品写真や実物写真を主役にします。
「新型〇〇、会場で初公開」
「実物を見ること自体」に価値がある商材に向いています。
3.体験・相談型
体験内容や相談内容を主役にします。
「5分で御社の〇〇コストを、その場で診断します」
無形サービス、IT、コンサルティングなどでも使いやすい構成です。
展示会DMの印刷方法
印刷方法は、部数、納期、仕様、予算によって選びます。
一般的には、少部数や短納期ならデジタル印刷、大部数ではオフセット印刷などが候補になります。
しかし、印刷方式以上に重要なのは、必要部数を考えることです。
過去顧客データを整理せず、
「とりあえず5,000枚刷って全件発送」
とすると、印刷費・郵送費だけでなく、ターゲット外へ送る無駄も増えます。
送付先を絞ること自体が、DMの費用対効果を高める施策です。
展示会DMの送り方|郵送・メール・SNSを使い分ける
郵送DM
物理的に手元へ届くため、既存顧客や重要見込み客への案内に向いています。
特に重要な相手には、一斉印刷物だけでなく、
- 担当者からの一言
- 手書きの付箋
- 署名
などを加えると、単なる大量郵送物との差が生まれます。
メール
リンクや予約ページへすぐ誘導でき、リマインドもしやすい方法です。
郵送DMを送った相手へ、後からメールで、
「先日ご案内した展示会ですが……」
と知らせる方法もあります。
SNS
SNSは広く告知する施策として使えます。
一方、DMのように相手を特定して届ける施策とは役割が異なります。
DMのデザインをそのまま投稿するだけでなく、
- 実演動画
- 展示品の一部
- 設営風景
- 開発者からの一言
など、SNS向けの情報も組み合わせます。
「展示会場でDMを配る」は事前DMとは役割が違う
展示会前に郵送するDMの役割は、訪問候補へ入ることです。
一方、展示会場で配布する紙には、
- ブースへ誘導する
- 展示内容を短く伝える
- 会話後に情報を持ち帰ってもらう
という別の役割があります。
同じデザインを流用できる場合もありますが、目的は別です。
展示会場で配るなら、事前DMほど「ブース番号」を大きくする必要がなく、
「今ここで何を体験できるか」
を強くした方がよいケースもあります。
展示会DMは何日前に送ればよい?
「展示会の何日前に送るのが正解ですか?」
とよく聞かれます。
一律の正解はありません。
相手の立場や展示会規模によって、予定を決める時期が違うからです。
重要なのは、1回だけ送って終わりにしないことです。
たとえば、
- 早めの案内:予定を押さえてもらう
- 開催が近づいた時点:実物・デモなど展示内容を具体的に伝える
- 直前:ブース番号、デモ時間、担当者をリマインドする
という段階をつくります。
特に重要顧客には、DMを送るだけでなく営業担当者が直接連絡してください。
展示会DMから「事前アポ」まで取る
DMの成果を、
「何人来場したか」
だけで考える必要はありません。
本当に会いたい企業なら、展示会前の段階でアポを取ってしまう方法があります。
たとえば、
〇日の14時~16時は弊社の開発責任者もブースにおります。もしご来場予定でしたら、14時30分から20分ほどお時間を確保しておきましょうか?
と提案します。
これなら、相手が混雑した会場を歩いて偶然ブースへ来てくれることに期待する必要がありません。
展示会DMの最終形は「来場してください」ではなく、「会場で会う約束をつくる」です。
展示会DMの効果測定|何をKPIにする?
DMを何通送ったかだけでは、効果は分かりません。
可能なら、
- 送付数
- QRコード・専用ページへのアクセス数
- 事前予約数
- 事前アポ数
- DM経由のブース来訪数
- 有効会話数
- 後日アポ数
- 商談数
- 案件数
まで追います。
QRコードに展示会専用URLやUTMパラメータを設定したり、受付時に「何を見て来られましたか?」と確認したりすると、効果を測りやすくなります。
展示会全体の費用対効果については、展示会の費用対効果・ROIをご覧ください。
展示会DMでよくある失敗7選
1.「出展します」だけで終わる
来場者側のメリットがありません。
2.会社名が一番大きい
知名度が高くない企業では、会社名だけでは足を運ぶ理由になりません。
3.商品を全部載せる
情報が分散し、一番見てほしいものが分からなくなります。
4.文字が多すぎる
DMだけですべて説明しようとすると読まれにくくなります。
詳細はWebへつなぎます。
5.見た目だけにこだわる
おしゃれでも、自社に何の関係があるか分からなければ行動にはつながりません。
6.QRコードの先がトップページ
せっかく興味を持った人に、もう一度情報を探させることになります。
7.送って終わる
重要な相手には、DMをきっかけに営業担当者が連絡します。
予算別|展示会DMの作り方
低予算の場合
CanvaやPowerPointなどを活用して社内で制作し、重要顧客に絞って郵送します。
さらにメールや個別営業を組み合わせれば、印刷数を増やさなくても成果を高められます。
中程度の予算の場合
写真撮影、デザイン、紙質などに一定の予算を使い、ターゲット別にDMを分ける方法があります。
たとえば、製造部門向けと経営者向けで、表面の訴求だけ変えることもできます。
予算をかけられる場合
特殊加工や高品質な印刷を使うこともできます。
ただし、予算が増えても、
「豪華にする」
より、
- ターゲットごとに内容を変える
- 展示会専用ページをつくる
- 予約フォームをつくる
- 営業担当者が個別フォローする
方へ投資した方が有効な場合もあります。
AI時代でも展示会DMが有効な理由
AIやWebによって、展示会の情報は簡単に調べられるようになりました。
展示会白書のデータ
AI時代の情報収集行動を見ると、DMをWebやAIと切り離して考えない方がよいことが分かります。
来場者1,089名への独自調査でも、業務上の情報収集にAI検索を使っている人は50.2%でした。
それでも、DMの役割がなくなるわけではありません。
AIや検索は、基本的に、
「自分が調べようと思った情報」を探す手段
です。
DMには逆に、
「まだ探していなかった相手に、御社に関係がある情報ですよ、と気づいてもらう」
役割があります。
そしてDMを見た相手が、その後WebやAIで会社や商品を調べる可能性もあります。
そのため、DM、Webサイト、展示ブースで、
- ターゲット
- 主役商品
- キャッチコピー
- 提供価値
をできるだけ一貫させておくことも重要です。
DMで興味をつくり、Web・AIで調べてもらい、展示会で実物と意味を確かめてもらう。
こうした一連の情報行動まで設計します。
清永式|展示会DM作成チェックリスト
- 今回もっとも来てほしい相手を決めたか
- 相手の課題が明確か
- 「出展します」ではなく来場理由を書いたか
- キャッチコピーを一つに絞ったか
- 主役商品を絞ったか
- 実物・デモ・体験がある場合は目立たせたか
- 開発者・専門家と話せるなら記載したか
- 展示会名・日程・会場が分かりやすいか
- ブース番号を大きく載せたか
- QRコードを入れたか
- QRコードの先が展示会専用情報になっているか
- 文字を詰め込みすぎていないか
- 写真を見ただけでも価値が伝わるか
- DMとブースのキャッチコピーがつながっているか
- 実寸で印刷して確認したか
- QRコードを実際に読み取ったか
- 既存顧客と新規見込み客で内容を変えるべきか検討したか
- 重要顧客へ営業担当者から連絡する計画があるか
- 事前アポを取る相手を決めているか
- DM経由の来場・商談を測定できるか
よくある質問|展示会DMの作り方・デザイン
展示会DMには何を書けばよいですか?
展示会名、日時、会場、ブース番号に加えて、最も重要なのは「受け手がそのブースへ行く理由」です。実物、体験、デモ、専門家との相談など、会場だからこそ得られる価値を書いてください。
展示会DMは派手なデザインの方がよいですか?
必ずしもそうではありません。目立つこと以上に、「これは自分に関係がある」と短時間で理解できることが重要です。前述した展示会白書のデータでも、来場者は見た目や演出以上に、自社課題に直結するキーワードや展示内容、実物・デモ体験を重視しています。
展示会DMには商品を何点載せるべきですか?
商品数に絶対的な正解はありませんが、主役は一つにすることをおすすめします。複数の商品を載せる場合も、「今回一番見てほしいもの」が一目で分かるようにしてください。
DMとメールはどちらがよいですか?
相手によります。重要顧客には郵送DM+担当者からのメール・電話、新規の広い層にはメールやSNSを組み合わせるなど、それぞれの役割を分ける方法があります。
展示会DMは何回送ればよいですか?
一律の正解はありません。早めの案内、具体的な展示内容の案内、直前リマインドなど、複数回に分ける方法があります。特に重要顧客はDMだけに頼らず個別連絡してください。
展示会DMは何日前に送ればよいですか?
重要顧客の予定確保が必要なら早めに案内し、開催が近づいたら具体的な展示内容、直前にはブース番号やデモ時間を知らせます。「〇日前が唯一の正解」と考えるより、複数段階で接点をつくることをおすすめします。
DMの成果はどう測ればよいですか?
専用QRコード、予約フォーム、専用URLなどを使い、事前予約、来場、有効会話、後日アポ、商談まで追います。送付枚数だけで評価しないことが重要です。
展示会DMは「招待状」ではなく「事前営業」である
展示会DMを成功させるために、最も重要なのは、デザインソフトでも、紙質でも、特殊加工でもありません。
「誰に、何を見に来てほしいのか」
を明確にすることです。
来場者の多くは、展示会当日より前から訪問候補を決めています。
だから展示会DMでは、
- 誰向けかを明確にする
- 相手の課題を言葉にする
- 会場で得られる価値を書く
- 実物・体験・デモを見せる
- 専門家との対話ができるなら伝える
- ブース番号を分かりやすくする
- QRコードから次の行動へつなぐ
- 重要顧客には個別に連絡する
- 可能なら事前アポまで取る
ことが重要です。
清永健一の結論
展示会DMとは、「私たちが出展します」という通知ではありません。「御社なら、ここを見に来る価値があります」と伝える、展示会前の営業活動です。
そして、DMで約束した価値を実際の展示ブースで提供します。
DM → Web → ブース → 会話 → 後日アポ
までが一本につながれば、DMは単なる案内状ではなく、商談を生み出す営業ツールになります。
展示会営業®とは、展示会で名刺を集める活動ではなく、ターゲット企業との接点をつくり、商談・案件・売上につなげ、そのプロセスを通じて会社を強くする営業活動です。
展示会を準備・当日・フォローまで一気通貫で成果につなげる方法は、展示会成功の強化書で体系的に解説しています。
この記事で使用した出展者536名・来場者1,089名への独自調査については、展示会白書をご覧ください。
あわせて読みたい|展示会の事前集客・DM関連記事
- 展示会の集客方法|事前集客から当日まで
- 展示会キャッチコピーの作り方・例文
- 展示会ブースの作り方
- 展示会で体験をつくる方法
- 展示会営業のコツ
- 展示会の費用対効果・ROI
- 展示会成功の強化書
- 展示会白書|出展者536名・来場者1,089名への独自調査
展示会で成果を出すコツを知りたい方へ
「DMを送っているが、どれくらい来場につながっているか分からない」
「毎回『出展します』という案内だけになっている」
「事前集客をもっと強化したい」
「展示会当日の通りがかり客だけに頼っている」
「重要顧客とは展示会前にアポを取りたい」
という場合は、DM単体ではなく、ターゲット設定、事前集客、Web、ブース、接客、後日フォローまでを一つの営業プロセスとして設計する必要があります。
展示会を失敗させないセミナーでは、展示会を名刺集めで終わらせず、商談・案件・売上へつなげる展示会営業®の考え方を体系的に解説しています。

展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照。
展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
