展示会に出展すると、多くの企業がまず考えるのが、
「どうすれば来場者に足を止めてもらえるか?」
ということではないでしょうか。
そこで、
「もっと派手なブースにしよう」
「大型モニターを入れよう」
「VRやARを使おう」
「照明を強くしよう」
「SNS映えする仕掛けをつくろう」
と考えがちです。
もちろん、こうした方法が有効なケースはあります。
しかし、展示会営業®コンサルタントとして累計1,300社超の展示会出展を支援してきた清永健一は、来場者の足を止めるうえで、もっと先に考えるべきことがあると考えています。
清永健一の結論
展示会で来場者の足を止めるために、最初に考えるべきことは「どう目立つか」ではありません。
来場者に、
「これは自分に関係がある」
と気づいてもらうことです。
そのために必要なのが、ターゲットの課題を表す言葉、実物、デモ、体験です。
まず自分事化してもらう。
次に実物へ近づいてもらう。
そして実際に触れたり、試したりしてもらう。
展示ブースは、商品を並べて説明する場所ではなく、来場者との「会話を始める装置」です。
展示会白書のデータ
来場者1,089名に「ブースへ立ち寄る際に重視する要素」を尋ねると、「自社の業務課題に直結するキーワードや展示内容」51.5%が最多でした。続いて、「製品・サービスの実物展示やデモ体験」40.1%、「事前に気になっていた企業・ブランド」36.8%、「展示会場でしか得られない事例・開発者の見解・初公開情報」34.6%。一方、「ブースの見た目や演出」20.3%でした。来場者の足を止めるうえでは、派手さより先に「これは自分に関係がある」と分かる言葉と、実物・デモを用意することが重要です。
展示会白書の来場者調査でも、ブースへ立ち寄る判断では、派手な演出よりも、自社課題との関連や実物・デモが重視されています。
つまり、
「目立つブース」より、「自分に関係があると一瞬で分かるブース」
の方が、来場者の行動に強く関係しています。
この記事では、現在のページで解説している、目的・ターゲット設定、記憶に残る企画、VR・AR、SNS、照明、デモンストレーション、体験型展示、事前集客、展示会後のフォローをすべて残しながら、
- 来場者は何を見て足を止めるのか
- どんなキャッチコピーが必要なのか
- 実物をどう見せるのか
- スタッフはどこに立つのか
- 派手な演出は本当に必要なのか
- AI時代に展示会場でしか提供できないものは何か
まで詳しく解説します。
この記事で使用する一次データは、出展者536名・来場者1,089名への独自調査「展示会白書」によるものです。
展示会で来場者が足を止めるまでの4段階
展示会で成果を出したいなら、来場者がいきなりスタッフの説明を聞くと考えない方がよいでしょう。
来場者がブースへ立ち寄り、会話を始めるまでには、おおむね次の4段階があります。
- 気づく
- 近づく
- 触る・見る・体験する
- 会話する
この順番を飛ばして、最初からスタッフが、
「こんにちは!何かお探しですか?」
「弊社の商品をご説明しましょうか?」
と声をかけると、来場者にとっては売り込みに感じられる場合があります。
反対に、
「これ、自分の会社の課題かもしれない」
「何だろう?」
「触ってみよう」
という順番で来場者自身が動けば、スタッフとの会話は自然になります。
来場者を捕まえるのではなく、来場者自身が近づきたくなる状態をつくる。
これが、展示会での効果的な展示方法の基本です。
展示会白書のデータ
来場者1,089名に1社あたりのブース滞在時間を尋ねると、「10~20分未満」39.5%が最多で、「5~10分未満」36.8%が続きました。「30分以上」は5.0%です。限られた時間の中で、気づく→近づく→体験する→会話する、という流れを自然につくることが重要です。
展示会白書から見る|来場者は何を見てブースに立ち寄るのか
では、来場者本人は何を基準にブースへ立ち寄っているのでしょうか。
この点は、記事冒頭の図5-7「ブースに立ち寄る際に重視する要素」で示したとおりです。
清永健一の解説
冒頭のデータから分かるのは、まず必要なのが、「あなたの課題に関係がありますよ」と分かる言葉と、「実際に確かめられますよ」という実物・体験だということです。
この結果は、展示方法を考えるうえで非常に重要です。
もちろんデザインや見た目も必要です。
しかし、来場者本人の回答を見ると、まず必要なのは、
「あなたの課題に関係がありますよ」と分かる言葉と、「実際に確かめられますよ」という実物・体験
です。
展示ブースは「きれいにする」前に「自分事化できる」状態にしてください。
来場者の興味を惹くための事前準備
展示会で来場者に足を止めてもらう施策は、当日突然考えるものではありません。
展示方法を決める前に、準備段階で、
- 目的
- ターゲット
- 相手の課題
- 自社がどう役立てるか
- 主役商品
- 出展コンセプト
を整理します。
目的とターゲットを明確にする
展示会出展の成功を左右するのが、明確な目的とターゲット設定です。
計画段階では、たとえば次の項目を決めます。
| 項目 | 具体例 |
|---|---|
| 展示会出展の目的 | 新規顧客開拓、商談創出、新製品PR、既存顧客深耕、市場調査など |
| 主要ターゲット | 業種、部署、職種、役職、企業規模、抱えている課題など |
| 期待する成果 | 後日アポ数、商談数、案件数、受注数、顧客から得たい情報など |
以前は展示会目標として「名刺獲得数」を置く企業が多くありました。
もちろん名刺枚数も途中指標としては使えます。
しかし、新規営業が目的なら、もっと重要なのは、
- 自社が役立てる相手との有効会話数
- 後日アポ数
- 商談数
- 案件数
です。
また、ターゲットも、
「製造業」
「40代男性」
だけでは不十分です。
たとえば、
「食品工場で、検品工程の人手不足に困っている生産責任者」
くらいまで具体化します。
すると展示する商品、キャッチコピー、デモ内容が変わってきます。
展示会の目的については、展示会の目標設定・KPIも参考にしてください。
「誰に、どう役立てるか」を決める
ターゲットを決めたら、次に、
「当社は、その相手の何に役立てるのか?」
を決めます。
ここが曖昧なまま、
「商品をたくさん見せよう」
「会社の強みを全部書こう」
とすると、情報量ばかり多いブースになります。
来場者は立ち止まって長文を読みません。
通路を歩きながら、
「自分に関係があるか、ないか」
を短時間で判断します。
そこで私は、展示会の出展コンセプトを、
ワンブース・ワンアイテム・ワンターゲット
と考えることをおすすめしています。
商品を一つしか置いてはいけないという意味ではありません。
今回の展示会の「主役」と「最優先ターゲット」を一つ決めるという意味です。
記憶に残る企画を立てる
展示会で来場者を惹きつけるには、記憶に残る企画も有効です。
現行記事でも、次のような企画を紹介してきました。
| 企画 | 具体例 |
|---|---|
| 体験型コンテンツ | 商品の実演、体験コーナー、インタラクティブなデモ、参加型ワークショップ |
| デジタル技術 | VR・AR、タッチパネル、デジタルサイネージ |
| エンターテインメント | ミニプレゼン、クイズ、ゲーム、ノベルティを使った企画 |
これらは現在も有効です。
ただし、
「面白いからやる」のではなく、「商品・技術の価値を理解してもらうためにやる」
ことが重要です。
たとえば、製品と関係のない輪投げで人を集めても、輪投げの記憶しか残らない可能性があります。
反対に、自社の技術・商品特性をそのままゲームや体験にできれば、遊びながら商品理解を深めることができます。
展示会で使える企画については、来場者が食いつく展示会の面白い仕掛けも参考にしてください。
来場者が足を止めるブースキャッチコピーの作り方
展示会で来場者が最初に見るものの一つが、ブースに掲げられた言葉です。
ここでよくあるのが、
「高品質」
「高性能」
「トータルソリューション」
「未来を創造する」
といった抽象的なコピーです。
これでは、来場者が、
「自分に関係がある」
と判断しにくくなります。
前述した図5-7でも、来場者が最も重視していたのは、自社の業務課題に直結するキーワードや展示内容でした。
そこで、企業側が言いたい強みではなく、ターゲットが日頃使っている「困りごとの言葉」を大きく出します。
たとえば、
「AI搭載次世代検査システム」
ではなく、
「検品工程にまだ3人使っていませんか?」
のようにします。
すると、その課題を持っている人だけが、
「えっ?」
と足を止めます。
全員を止めなくていい。自社が役立てる人に止まってもらう。
これが展示会営業®における集客です。
ブースキャッチコピーについては、展示会キャッチコピーの作り方・テンプレートで詳しく解説しています。
来場者の注目を集める効果的な展示方法
ここからは、現行記事で解説していた5つの展示方法を残しつつ、現在の来場者データを踏まえて、どんなときに使うべきかまで掘り下げます。
VRやARなど最新技術を取り入れる
VR・ARは、商品やサービスの価値を実物だけでは伝えにくい場合に有効です。
たとえば、
| 方法 | 活用例 |
|---|---|
| VR | 大型設備の内部、完成施設、設置後の空間、危険な現場などを仮想体験してもらう |
| AR | スマートフォンやタブレット上で設置イメージ、内部構造、追加情報などを重ねて表示する |
従来は、
「最新技術を使えば珍しいので人が止まる」
という面もありました。
しかし現在は、VRやARそのものが目的にならないよう注意してください。
来場者にとって大切なのは、
「VRを体験したこと」
ではなく、
「VRを使ったから、自社でこの製品を使ったときの状態が分かった」
ことです。
単なる目新しさではなく、商品理解のために使います。
SNS映えするフォトスポットを設置する
SNSで写真をシェアしてもらうことを目的に、フォトスポットを設ける方法もあります。
たとえば、
- 商品と連動したフォトプロップス
- 大型商品と一緒に撮影できる場所
- 企業キャラクター
- 専用ハッシュタグ
- 展示会限定デザイン
などです。
BtoC展示会やブランド認知目的の展示会では、特に有効な場合があります。
ただし、BtoB展示会で新規商談を増やすことが目的なら、SNS投稿数だけを成功指標にしないでください。
「写真はたくさん撮られたが、誰も商品について話していない」
では、営業成果につながりません。
フォトスポットを使うなら、商品・技術・課題との関連性を持たせます。
照明や空間演出で視覚的なインパクトを与える
照明や空間演出は、商品を見やすくしたり、主役商品へ視線を誘導したりするために有効です。
企業の世界観を伝えるため、色や素材を統一する方法もあります。
天井の空間や床を活用する方法もあります。
現行記事で紹介していたように、天井側にバルーンやサインを設置したり、床面へグラフィックを入れたりすれば、遠くからの視認性が高まることがあります。
ただし、前述の図5-7で示したとおり、見た目や演出よりも、自社課題に直結するキーワードや実物・デモの方が重視されています。
したがって、
照明・空間演出は「意味」を伝えるために使う。意味の代わりにはしない。
ことが大切です。
デモンストレーションを活用する
デモンストレーションは、展示会との相性が非常によい方法です。
前述した図5-7でも、実物展示やデモ体験は、ブースへ立ち寄る際の重要な判断要素になっています。
たとえば、
- 機械を実際に動かす
- 従来品と新商品を比較する
- 処理前・処理後を見せる
- 加工時間をその場で測る
- 製品を壊して強度を確認する
といった方法です。
専門スタッフが実演することで、Webサイトの写真・動画だけでは分からない、
- 音
- 速度
- 操作感
- サイズ感
- 品質
を伝えることができます。
ただし、スタッフだけが操作して、来場者が離れた場所から見るだけでは、単なる実演で終わります。
安全上問題がないのであれば、できるだけ来場者本人に触ってもらうことも検討してください。
体験型アクティビティを導入する
体験型展示は、商品・サービスへの理解を深めるうえで有効です。
たとえば、
- ハンズオン展示
- サンプル品の試用
- 簡単なワークショップ
- 製品の使用感体験
- 測定
- 診断
- 比較
- 試食・試飲
などがあります。
ここで重要なのは、
実物 → 体験 → 説明
の順番です。
スタッフが最初から、
「弊社の商品はですね……」
と説明を始めるのではなく、まず実物を見せる。
来場者に触ってもらう。
そして、
「これ、どうなっているんですか?」
という質問が出たところから説明します。
この方が、来場者自身が興味を持った状態で話を聞いてもらえます。
体験のつくり方は、展示会ブースの体験型企画で詳しく解説しています。
展示会白書から見る|「期待以上」のブースに派手さは出てこない
展示会白書のデータ
来場者1,089名に、「期待以上だった」と感じたブースの特徴を尋ねました。
もっとも多いのは、「開発者・エンジニアから直接話を聞けた」49.1%です。
続いて、
- 他社では聞けない導入事例・活用ノウハウ:42.2%
- 自社課題に合わせた具体的提案:34.3%
- 製品・サービスを実際に体験・操作できた:30.9%
- 業界の最新動向・未公開情報:29.8%
となっています。
清永健一の解説
この上位回答に共通しているのは、
Webサイトだけでは得にくい一次情報
です。
豪華な壁。
巨大なロゴ。
派手なBGM。
それらは上位には出てきません。
来場者の期待を超えるには、「目を引く」だけで終わらず、「ここへ来たから得られたもの」を用意する必要があります。
スタッフの立ち位置も「展示方法」の一部
展示方法というと、パネル、モニター、展示台など「物」だけを考えがちです。
しかし、展示会ではスタッフ自身もブースの一部です。
展示会白書のデータ
出展者536名に展示会当日に最も注力していることを尋ねると、「多くの来場者に積極的に声をかける」42.7%が最多でした。一方、「来場者の課題をヒアリングし、最適な提案を行う」13.8%、「展示会後の商談の約束を取り付ける」6.9%でした。声掛けそのものを目的にせず、実物や体験を起点に自然な会話へつなげる設計が重要です。
たとえば、スタッフ5人がブース入口に横一列に並び、通路をじっと見ている。
来場者からすると、かなり入りにくいブースです。
特に、商品へ触ってほしい場合は、スタッフが展示台の真正面に立たないことが重要です。
私は、
展示台の斜め後ろに少し下がって待つ
方法をよくおすすめしています。
来場者が先に商品へ近づく。
触る。
そこで初めて、
「それ、触っていただいて大丈夫ですよ」
「実は15秒ほど触っていただくと違いが分かるんです」
と声をかけます。
すると、呼び込みではなく、体験の補助としてスタッフが登場します。
スタッフは来場者を捕まえる人ではなく、来場者の体験を助ける人。
スタッフの立ち位置については、展示会で来場者との接触数を増やすスタッフの立ち方も参考にしてください。
展示台の高さでも来場者の行動は変わる
実物を展示するときは、展示台の高さも重要です。
一つの目安として、私は、
- 標準:約90cm
- 手に取って触ってほしい:約100cm
- 商品全体を上から見せたい:約80cm
程度から検討します。
もちろん商品の大きさやターゲットによって調整が必要です。
重要なのは、
「施工会社が用意した標準什器だから」
ではなく、
来場者にどう行動してほしいか
から高さを決めることです。
手に取ってほしい商品なら、奥へきれいに陳列するより、通路から手の届く位置に置く方がよい場合があります。
展示会の備品については、展示会の備品・持ち物リストをご覧ください。
展示会の展示で注意すべきポイント
展示会で来場者の注目を集めるためには、目立つ方法を考えるだけでなく、成果を下げる行動を避けることも重要です。
自社にとって最適な展示会を選ぶ
どれだけ優れた展示方法をつくっても、そもそも自社が役立てる来場者がほとんどいない展示会へ出展していれば成果は出にくくなります。
展示会を選ぶ際には、
- 過去の来場者数
- 来場者の業種
- 部署・役職
- 出展企業
- 出展費用
- 開催時期
などを確認します。
現行記事では「自社の求める集客数を確保できるか」を重視していました。
現在は、それだけでなく、
「何人来るか」ではなく、「自社が役立てる人が来るか」
を重視してください。
展示会の選び方については、成果が出る展示会の選び方をご覧ください。
来場者に伝わらない仕掛けは避ける
「面白い企画をしなければ」
と考えるあまり、商品の価値と関係のない仕掛けにならないよう注意してください。
また、情報を詰め込みすぎるのも避けます。
現行記事では、特徴を3つ程度に絞ることをおすすめしていました。
これは現在も有効です。
ただし、さらに進めるなら、最初に見せるのは3つの強みですらなく、
「このブースは誰の、どんな課題に役立つのか」
という一つのメッセージです。
詳しい特徴は、来場者が立ち止まった後に説明すればよいのです。
「目立つこと」が目的にならないようにする
展示会会場では、他社より目立ちたいという心理が働きます。
その結果、
- 大きな音
- 派手な照明
- 大量のスタッフによる呼び込み
- 商品と関係のないゲーム
へ向かうことがあります。
しかし、目立ってもターゲットが来なければ、商談成果にはつながりません。
展示会の集客とは、会場にいるすべての人をブースへ集めることではありません。
自社が役立てる相手に、自分との関係を気づいてもらうことです。
売り込み感を強くしない
展示会白書のデータ
来場者1,089名に、「期待外れだったブース」の特徴を尋ねました。
最多は、「売り込み感が強く、話を聞く気がなくなった」42.4%です。
続いて、
- 質問しても的確な回答が得られなかった:40.1%
- 展示内容がWebサイトと大差なかった:35.1%
- 担当者が忙しそうで声をかけにくかった:26.4%
- チラシやノベルティを一方的に押し付けられた:15.8%
となっています。
清永健一の解説
つまり、来場者は、
「話しかけてほしい」
一方で、
「売り込まれたくない」
のです。
ここに展示会接客の難しさがあります。
だからこそ、スタッフが先に捕まえるのではなく、実物や体験から自然に会話が始まる展示が有効です。
事前集客を行う
展示会当日に足を止めてもらう工夫は重要です。
しかし、来場者のすべてが当日その場で訪問先を決めているわけではありません。
展示会白書のデータ
来場者1,089名に、来場前から立ち寄ると決めていたブース数を尋ねると、「3~5社」39.2%が最多で、「1~2社」38.2%が続きました。「0社(すべて当日その場で決めた)」は8.8%で、90.6%が少なくとも1社以上の訪問候補を事前に決めています。
つまり、
展示会の「足を止めてもらう競争」は、開催当日の朝に始まるのではありません。
その前から始まっています。
現行記事で紹介してきた、
- 停滞案件客・休眠客への直接連絡
- Webサイトでの出展告知
- プレスリリース
- DM
- メール
- チラシ
- SNS
などを活用します。
ただし、
「〇〇展に出展します。ぜひ来てください」
だけでは弱いでしょう。
たとえば、
「会場で新型機を実際に操作できます」
「開発者本人へ直接質問できます」
「これまで公開していなかった導入事例をご覧いただけます」
など、
会場へ来る理由
を伝えます。
重要な顧客・見込み客なら、案内だけでなく、日時まで決めて事前アポにしてください。
展示会DMについては、展示会DMの作り方・デザインをご覧ください。
展示会当日から事後まで準備しておく
来場者に足を止めてもらうことはゴールではありません。
ブースへ立ち寄ってもらった後に、
「名刺をもらった」
だけで終わってしまえば、売上にはつながりません。
展示会当日は、
- 来場者の課題を聞く
- 自社が役立てるか確認する
- 必要な情報だけ伝える
- 約束事項を決める
- 次の一歩を決める
ところまで進めます。
詳しい商談が必要であれば、展示会後に行えば構いません。
そのため私は、
展示会当日のゴール=後日アポ
と考えることをおすすめしています。
名刺ではなく「会話データ」を残す
展示会終了後に、
「この人、何を話した人だったかな?」
となることがあります。
これは名刺だけ持ち帰っているからです。
ブースで会話したら、最低限、
- 何に興味を持ったか
- 何に困っているか
- 何を質問されたか
- 自社がどう役立てそうか
- 何を約束したか
- 次に何をするか
を残してください。
展示会で持ち帰るべきなのは「名刺データ」だけではありません。
顧客との「会話データ」です。
展示会後は会話の続きを行う
展示会後のフォローで重要なのは、一斉に営業メールを送ることではありません。
来場者調査では、フォローへの不満として、
展示会白書のデータ
フォローで不満・ストレスを感じた内容では、「ブースで話した内容と無関係な営業をされた」が50.6%で最多でした。
理想的なフォローでは、「ブースで話した内容を踏まえた提案・情報提供」が56.3%で最多でした。
が最多でした。
一方、理想のフォローでは、
が最多です。
つまり、
展示会後のフォローとは、新しい営業を始めることではない。展示会場で始まった会話を続けることである。
ということです。
お礼メールについては、展示会のお礼メールの書き方も参考にしてください。
AI時代に「足を止める展示」はどう変わるか
現在は、来場者がAIやWebで展示会前に企業・商品を調べる時代です。
展示会白書のデータ
展示会白書では、業務上の情報収集に、
- Web検索:56.5%
- AI検索ツール:50.2%
- リアル展示会:50.0%
が利用されていました。
そして、展示会後にWebやAIで追加調査を行ったことがある来場者は76.7%です。
つまり現在の来場者は、
展示会だけで情報収集を完結しているわけではありません。
展示会前に検索する。
会場で実物・人・体験を確認する。
展示会後にもう一度検索する。
という動きをしています。
だから展示会場で、Webサイトに書いてある文章をもう一度説明するだけでは価値が弱くなります。
前述の図5-10でも、展示内容がWebサイトで得られる情報と大差ないことは、期待外れの理由の一つとして挙げられています。
これからの展示会では、
- 実物
- 五感を使った体験
- 開発者・技術者本人との対話
- 他では聞けない導入事例
- 失敗事例
- 自社の場合についての具体的な相談
- 未公開情報
などを用意してください。
展示会白書のデータ
展示会の重要性が「高まる」と答えた来場者740名に理由を尋ねると、「オンライン商談だけでは構築しにくい信頼関係を対面で築ける」63.4%が最多でした。続いて、「AI検索では得られない、五感を使った製品体験や実物確認」42.7%、「直接対話で得られる一次情報の価値が高まっている」41.6%です。
AIは情報を集める。展示会は意味を確かめる。
「この商品は、本当に自社の現場で使えるのか」
「この会社は信用できるか」
「実際に触るとどう感じるか」
「自社の条件ならどうなるか」
という意味を確認することこそ、リアル展示会の価値です。
無形商材でも来場者の足を止める方法
機械や食品のように実物がある商材なら、商品を見せたり、触ってもらったりできます。
一方、
- SaaS
- コンサルティング
- 人材サービス
- 金融サービス
- 業務支援
などの無形商材は、実物がありません。
そのため、会社説明のパネルとPC画面だけになりがちです。
この場合、サービスを「見える化」します。
たとえば、
- その場で診断する
- 数字を入力してシミュレーションする
- Before/Afterを見せる
- 簡単なゲームにする
- 来場者本人のデータを使って結果を見せる
- 実際の導入画面を操作してもらう
といった方法です。
重要なのは、
スタッフが説明する展示から、来場者本人が参加する展示へ変える
ことです。
来場者の足を止める展示方法チェックリスト
- □ 今回の最優先ターゲットが明確になっている
- □ ターゲットの具体的な課題を一文で言える
- □ 自社がどう役立てるか明確になっている
- □ 主役商品・サービスが決まっている
- □ ワンブース・ワンアイテム・ワンターゲットを意識した
- □ 通路から「誰の何に役立つか」が分かる
- □ キャッチコピーが抽象語だけになっていない
- □ 社名より来場者の課題が先に目に入る
- □ 主役商品の実物が通路から見える
- □ 商品に手を伸ばせる
- □ 体験・デモがある
- □ 来場者自身が参加できる
- □ VR・ARを使う目的が説明できる
- □ SNS企画と自社商品に関連性がある
- □ 照明・装飾が意味を伝える助けになっている
- □ スタッフが入口を塞いでいない
- □ スタッフが売り込みの雰囲気を出していない
- □ 開発者・技術者が参加できないか検討した
- □ 他では聞けない事例を用意した
- □ Webサイトにない情報を用意した
- □ 来場者の課題を聞く質問を決めた
- □ 会話内容を記録する仕組みがある
- □ 展示会当日の次の一歩を決めている
- □ 後日アポを取れる体制がある
- □ 展示会後のフォローまで設計している
- □ 名刺枚数だけをKPIにしていない
よくある質問|展示会で来場者の足を止める方法
展示会で一番来場者の足を止めるものは何ですか?
前述した図5-7のとおり、最も重視されているのは、自社の業務課題に直結するキーワードや展示内容です。
派手な装飾より、まず来場者が「これは自分に関係がある」と判断できるメッセージが重要です。
ブースを派手にすれば人は集まりますか?
視認性を高める効果はあります。
前述した図5-7では、見た目や演出よりも、自社課題に直結するキーワードや実物・デモの方が重視されています。
まず意味を伝え、その意味をデザインで強化してください。
展示会で商品を触ってもらうにはどうすればよいですか?
通路から実物が見える位置へ置き、手を伸ばせる距離にします。
スタッフが商品の真正面を塞がず、少し下がって待つことも有効です。
来場者が触った後に声をかけると、自然な会話になりやすくなります。
VRやARは使った方がよいですか?
大型設備、設置後の環境、内部構造など、実物では見せにくいものを体験してもらう場合には有効です。
ただし、「VRだから目立つ」という理由だけで導入する必要はありません。
商品理解が深まるかで判断してください。
SNS映えする展示はBtoB展示会でも必要ですか?
認知拡大が目的なら有効な場合があります。
一方、商談創出が最優先なら、SNS投稿数だけでなく、ターゲットとの有効会話・後日アポ・商談につながるかを確認してください。
展示会では積極的に声掛けした方がよいですか?
必要ですが、誰にでも大声で呼び込む必要はありません。
実物や体験に興味を示した相手へ、自然に声をかける方法もあります。
一方で、前述した図5-10のとおり、売り込み感の強さは期待外れにつながります。
展示会で何を展示すればよいですか?
自社の商品すべてを展示する必要はありません。
今回出会いたいターゲットに対して、自社がもっとも役立てる商品・技術を主役にします。
「ワンブース・ワンアイテム・ワンターゲット」を一つの判断基準にしてください。
無形サービスはどう展示すればよいですか?
診断、シミュレーション、デモ操作、Before/After、ゲーム、導入事例などによって見える化します。
説明を聞くだけではなく、来場者本人が参加できる体験へ変えることがポイントです。
来場者を長時間ブースに滞在させた方がよいですか?
必ずしもそうではありません。
BtoB展示会では、限られた会期中に複数のターゲットと出会う必要があります。
短時間で相手の課題と貢献可能性を確認し、詳しい話は後日商談にする方法も有効です。
展示会で足を止めるのは「派手さ」ではなく「自分事化」
展示会で来場者に足を止めてもらうために、
- VR・AR
- SNS
- 照明
- 空間演出
- デモンストレーション
- 体験型アクティビティ
などは有効な方法です。
しかし、これらを導入する前に考えるべきことがあります。
「今回出会いたい相手に、自分との関係を一瞬で気づいてもらえるか」
です。
展示会白書でも、来場者がブースへ立ち寄る際には、自社の業務課題に直結するキーワードや展示内容が最も重視されています。
だから、
会社名を大きくする前に、ターゲットの課題を大きくする。
商品の説明を始める前に、実物を見せる。
スタッフが呼び込む前に、来場者自身に触ってもらう。
そして、そこから会話を始めます。
実物 → 体験 → 説明。
この順番を意識してください。
清永健一の結論
展示会で来場者の足を止めるために、全員から注目される必要はありません。
自社が役立てる相手が、
「これは自分のことだ」
と気づき、実物へ近づき、体験し、スタッフとの会話が始まればよいのです。
目指すのは「人だかりのあるブース」ではなく、「役立てる相手との良い会話が生まれるブース」です。
展示会営業®とは、展示会で名刺を集める活動ではなく、ターゲット企業との接点をつくり、商談・案件・売上につなげ、そのプロセスを通じて会社を強くする営業活動です。
展示会全体の準備から当日、フォローまでについては、展示会成功の強化書で体系的に解説しています。
出展者536名・来場者1,089名への独自調査については、展示会白書をご覧ください。
あわせて読みたい|展示会ブース・集客関連記事
- 展示会キャッチコピーの作り方・テンプレート
- 来場者が食いつく展示会の面白い仕掛け
- 展示会ブースの体験型企画
- 展示会スタッフの立ち方・接客
- 展示会の備品・持ち物リスト
- 展示会のブースサイズ・小間数
- 展示会ブースの作り方・デザイン
- 展示会DMの作り方・デザイン
- 展示会のお礼メールの書き方
- 展示会白書
展示会で成果を出すコツを知りたい方へ
「人は通るのに、ブースへ入ってくれない」
「毎回派手なブースを作っているが、商談につながらない」
「スタッフが声をかけても避けられてしまう」
「どうすれば自社の商品に自然に興味を持ってもらえるか分からない」
「来場者は集まるが、ターゲットではない人ばかり」
という場合は、見た目だけではなく、ターゲット、キャッチコピー、実物、体験、スタッフ接客、展示会後のフォローまでを一つの営業プロセスとして設計する必要があります。
展示会を失敗させないセミナーでは、展示会を名刺集めで終わらせず、商談・案件・売上につなげる展示会営業®の考え方を体系的に解説しています。

展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照。
展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
