展示会に出展するとき、早い段階で決めなければならないのがブースサイズです。
「1小間とは何m×何mなのか?」
「初出展なら1小間で十分なのか?」
「2小間、4小間と大きくすれば、その分成果も増えるのか?」
「展示する商品が多いので、大きなブースにした方がよいのか?」
このような疑問を持つ企業は少なくありません。
一般的な展示会では、1小間(1コマ)が3m×3m、または3m×2.7m程度に設定されているケースがよくあります。
ただし、ここは重要です。
「1小間=必ず3m×3m」ではありません。
小間寸法は展示会ごとに主催者が決めています。
出展を検討するときは、必ずその展示会の出展要項・出展者マニュアルで確認してください。
そして、ブースサイズは単に「大きい方が目立つ」という理由で決めるものでもありません。
展示会営業®コンサルタントとして累計1,300社超の展示会出展を支援してきた清永健一は、ブースサイズを次のように考えています。
清永健一の結論
ブースサイズは「何商品置きたいか」ではなく、「誰に、何を体験してもらい、どんな会話を始めたいか」から逆算して決めます。
大きなブースには、大きなブースのメリットがあります。
しかし、「大きければ大きいほど成果が出る」というものではありません。
むしろ小さいブースだからこそ、主役商品、ターゲット、メッセージを一つに絞りやすい場合もあります。
必要なのは「商品を置くための面積」ではなく、実物を見て、触って、体験し、スタッフと会話し、次の商談へ進むための面積です。
展示会白書のデータ
出展者536名に、直近の展示会での出展規模(小間数)を尋ねると、「4~6小間」30.8%が最多で、「2~3小間」28.0%、「7~10小間」15.1%、「1小間」12.1%、「11小間以上」11.6%でした。ただし、これは出展規模の実態を示すデータであって、最適サイズを示すものではありません。自社に必要なブースサイズは、ターゲットに何を体験してもらい、どんな会話を始めたいかから逆算して決めます。
展示会白書では、来場者がブースを選ぶ際、ブースの広さそのものよりも、自社課題との関連や実物・デモなどを重視していることが分かっています。
つまり、広さそのものより、
- 誰のためのブースか分かる
- 主役の商品が見える
- 実物に近づける
- 触れる・試せる
- スタッフと会話できる
状態をつくることが重要です。
この記事では、1小間の大きさ、小間数と面積の考え方、ブースサイズの決め方、1面・2面・3面・4面開放の違い、小規模・中規模・大規模ブースの活用方法、レイアウト、予算、集客効果まで詳しく解説します。
また、出展者536名・来場者1,089名への独自調査「展示会白書」の一次データも使い、現在の来場者行動に合ったブースサイズの考え方を解説します。
展示会ブースサイズの基本とは
展示会でいう「ブースサイズ」とは、出展者が展示・接客・実演などに使用できるスペースの大きさです。
展示会では、この出展スペースを「小間(こま)」という単位で数えることが一般的です。
1小間、2小間、4小間というように、小間数を増やせば使用できる面積も広がります。
ただし、展示会によって、
- 1小間の縦横寸法
- 隣接小間との壁
- 高さ制限
- 開放面
- 通路位置
- 島小間にできる最低小間数
などが異なります。
したがって、
「前回の展示会が3m×3mだったから今回も同じ」
と思い込まないようにしてください。
1小間(1コマ)のサイズはどのくらい?
展示会でよく見られる1小間の寸法例は次のようなものです。
| 例 | 寸法 | 面積 |
|---|---|---|
| 1小間例① | 3m × 3m | 9㎡ |
| 1小間例② | 3m × 2.7m | 8.1㎡ |
これはあくまで代表例です。
展示会によっては異なる寸法を採用しています。
必ず主催者の最新出展資料を確認してください。
小間サイズの基礎知識
ブースサイズを検討するときは、床面積だけを見ないことが重要です。
たとえば3m×3m=9㎡あっても、
- 壁面
- 展示台
- 大型製品
- 収納
- スタッフ
- 来場者
が入ると、実際に自由に使えるスペースはかなり小さくなります。
狭いブースに商品、パンフレット棚、モニター、商談テーブル、イスなどを詰め込むと、来場者が商品へ近づけなくなることもあります。
ブース面積を「物を置ける面積」と考えない。
来場者とスタッフが動き、体験し、会話できる面積まで含めて考える。
標準的なブースサイズの種類
一般的には、小間数によって、小規模・中規模・大規模のブースに分けて考えることができます。
| 規模のイメージ | 寸法例 | 向いている展示 |
|---|---|---|
| 小規模 | 3m×3m、3m×2.7m程度 | 主役商品を絞った展示、実機1台、シンプルな体験 |
| 中規模 | 6m×3m、6m×6mなど | 複数展示、デモ、体験、ミニプレゼンなど |
| 大規模 | 12m×12m以上など | 複数部門、複数製品、大型設備、ブランド訴求など |
ただし、「中型は何㎡から」「大型は何㎡から」という統一基準があるわけではありません。
展示会によって小間規格が異なるため、ここではサイズ感をつかむ目安として考えてください。
2小間・4小間にするとどのくらい広くなる?
仮に1小間が3m×3mの展示会であれば、単純な床面積は次のようになります。
| 小間数 | 配置例 | 面積 |
|---|---|---|
| 1小間 | 3m×3m | 9㎡ |
| 2小間 | 6m×3m | 18㎡ |
| 4小間 | 6m×6m | 36㎡ |
ただし、2小間を横並びにできるのか、4小間を正方形にできるのか、島小間にできるのかなどは主催者ルールによって異なります。
また、小間数が倍になれば、出展料だけでなく、
- ブース施工費
- 床・壁・照明
- 電気工事
- 展示台
- スタッフ数
- 物流
- 販促物
なども増えやすくなります。
「出展料が2倍になるだけ」ではありません。
たとえば1小間から2小間へ増床すると、単純に床面積が2倍になるだけでなく、壁面、照明、展示什器、電源、装飾なども増える可能性があります。
さらに大型化すれば、来場者対応のスタッフ数や、施工・撤去に必要な工数まで増える場合があります。
ブースは大きいほど成果が出るのか?
大きなブースには、大きなメリットがあります。
遠くから目立ちやすくなり、大型製品や複数の商品を展示でき、体験スペースやプレゼンテーションスペースも設けやすくなります。
多くの来場者を同時に受け入れる余裕も生まれます。
一方、
大きなブースだから成果が出る、というわけではありません。
むしろ、展示スペースが広がったことで、
「せっかくだから、この商品も置こう」
「空いているので、このサービスも紹介しよう」
となり、何を伝えたいブースなのか分からなくなるケースがあります。
小さいブースには、
- 主役商品を絞りやすい
- メッセージを一つにしやすい
- スタッフの役割を単純化できる
- 費用を抑えられる
- 来場者との距離が近い
というメリットがあります。
清永健一はこれを、
ワンブース・ワンアイテム・ワンターゲット
と表現しています。
商品を一つしか展示してはいけない、という意味ではありません。
「今回の展示会で一番出会いたい人と、一番伝えたい価値を決める」という意味です。
大きくした結果、訴求が薄まるくらいなら、小さなブースで一点突破した方が来場者に分かりやすいこともあります。
ブースサイズを決める際のポイント
ブースサイズを決める際には、主に次の項目を確認します。
- 出展目的
- ターゲット
- 主役商品
- 商品の大きさ
- 体験・デモに必要なスペース
- スタッフ数
- 商談スペースの必要性
- バックヤード・収納
- 開放面
- 予算・ROI
出展目的を明確にする
ブースサイズを決める前に、何を成果とする展示会なのかを決めます。
たとえば、
- 新規商談をつくる
- 新商品を発表する
- 大型実機を体験してもらう
- 既存顧客と関係を深める
- 市場ニーズを聞く
- 代理店を開拓する
などです。
目的が違えば必要なスペースも変わります。
従来の展示会記事では一般論として、
「顧客との交流を重視するなら、くつろげるミーティングルームをつくる」
という考え方もよく紹介されてきました。
しかし、BtoB展示会で新規顧客との商談機会を増やすことが目的なら、一つ注意があります。
ブースの中で30分、1時間と長く商談することが、本当に最適とは限りません。
限られた3日間により多くのターゲットと出会うため、
展示会当日のゴール=後日アポ
と考え、詳しい商談は展示会後に行う方法もあります。
その場合、小規模ブースの大部分を商談テーブルで占める必要はありません。
出展目的については、展示会の目標設定・KPIも参考にしてください。
ターゲットから逆算する
ブースの広さを決めるときも、
「自社が何を置きたいか」
だけではなく、
「今回、誰と出会いたいか」
を考えます。
たとえば、
- 経営者と短時間で会話したい
- 技術担当者に実機を操作してもらいたい
- 大人数の部門メンバーへデモを見せたい
- 購買担当者に複数モデルを比較してほしい
では、必要な空間は変わります。
ターゲットが、「何を見て」「何を試して」「誰と話したいか」を考えてから必要面積を計算します。
予算の設定方法
ブースサイズを決める際には、全体予算を把握します。
展示会費用には、
- 小間料金
- ブース施工・装飾
- 什器
- 電気・通信
- 展示物の運搬
- 販促物
- スタッフ人件費
- 交通・宿泊
などがあります。
ブースを1小間から2小間へ増やした場合、面積だけではなく、それに伴う施工や設備も増える可能性があります。
したがって、
「大きくすれば人が増えるから」
ではなく、
増えた投資で、何件の後日アポ・商談・案件を増やすのか
まで考えてください。
展示会の費用対効果については、展示会の費用対効果・ROIで詳しく解説しています。
展示物の数やサイズを考慮する
当然ながら、大型機械や自動車などを展示する場合には、それだけのスペースが必要です。
さらに、展示物本体の寸法だけではなく、
- 来場者が見るための距離
- 触るためのスペース
- 実演時の安全範囲
- スタッフが操作するスペース
- 搬入・搬出経路
も必要です。
たとえば幅2mの設備だからといって、幅2mの場所だけ確保すればよいわけではありません。
その前で来場者が立ち、横からスタッフが説明し、安全にデモを動かす余白が必要になります。
ただし、展示商品が多いからといって、すべて持っていく必要があるとは限りません。
商品が10種類ある企業でも、展示会では主役商品を1~2点に絞り、残りはカタログやデジタル画面で補完する方法もあります。
商品数にブースサイズを合わせる前に、展示する商品数そのものを疑ってみる。
体験・デモに必要なスペースを考える
後述する図5-7のとおり、来場者はブースを選ぶ際に実物展示やデモ体験を重視しています。
そのため、ブースサイズを決める際には、
「商品を何台置けるか」
だけではなく、
「その商品を来場者がどう体験するか」
を考えます。
たとえば、
- 実際に操作する
- 持ち比べる
- Before/Afterを比較する
- 試食・試飲する
- 測定する
- 診断する
などです。
機械を置けるギリギリの面積ではなく、来場者が実際に動いて体験できる余白まで見てください。
体験方法については、展示会ブースで体験をつくる方法も参考にしてください。
スタッフ数を考慮する
スタッフ人数も必要面積に影響します。
しかし、
「10人参加するから10人がブース内に立つ」
必要はありません。
多すぎるスタッフがブース前面に並ぶと、来場者にとって入りにくいブースになります。
ピーク時に同時に何人と会話したいか、誰が説明員で、誰が技術担当なのかを決めて配置します。
また、社長や責任者まで最前線にずっと立ち続けるのではなく、重要顧客対応や全体指揮へ回る方法もあります。
スタッフの立ち方については、展示会スタッフの立ち方・接客もご覧ください。
バックヤード・収納も忘れない
展示会では、
- スタッフの荷物
- 段ボール
- パンフレットの予備
- サンプル
- ノベルティ
- 飲料
などが発生します。
これらが来場者から見える場所に山積みになると、ブース全体が雑然として見えます。
収納付き展示台を使う、最小限のバックヤードを確保するなど、保管スペースも設計してください。
ただし、1小間の大部分を大きなバックヤードに使ってしまえば、肝心の展示・体験スペースがなくなります。
「見せない物」を増やしすぎないことも大切です。
会場や他のブースとの位置関係を確認する
ブース位置もサイズ・レイアウトに影響します。
確認したいのは、
- メイン通路か
- サブ通路か
- 角小間か
- 入口からどちら向きに人が流れるか
- 正面に何があるか
- 隣はどんな企業か
- 柱などの構造物がないか
です。
たとえば2面開放なら、2方向からブースが見えます。
その場合、片面だけにキャッチコピーを置くのではなく、どちらの通路から来ても「何のブースか」が分かるようにします。
ブースサイズを決める実践的な計算方法
ブースサイズを感覚だけで決めず、必要な要素を書き出して考える方法があります。
まず、ブース内に絶対必要なものを洗い出します。
- 主役商品
- 体験・デモスペース
- 来場者が立つスペース
- 説明スタッフ
- 必要なら商談スペース
- 収納・バックヤード
そのうえで、紙やPowerPointなどに実寸比率で配置してみます。
もっとよいのは、社内の会議室や倉庫の床にテープを貼り、実際のブース寸法を再現することです。
3m×3mなら、その寸法を床につくり、
- 実機
- 展示台
- スタッフ役
- 来場者役
を実際に配置してみます。
これをやると、図面では余裕があるように見えたブースが、実際にはかなり狭いことに気づく場合があります。
1小間に入れるものを事前に実寸確認する
1小間で出展するなら、本番前に、
- 主役商品
- 展示台
- モニター
- スタッフ2~3人
- 来場者2~3人
などを実際に置き、窮屈でないか確認します。
商談テーブルとイスを置くなら、それも実寸で置いてください。
「図面では入る」と「営業しやすい」は別です。
さらに、スタッフ役と来場者役に分かれて、
「通路を歩く → 商品に気づく → 近づく → 触る → 会話する」
ところまで動いてみてください。
実際に動けば、
- 展示台が10cm前すぎる
- スタッフの立ち位置が邪魔
- モニターが見えない
- 商談イスを一脚減らした方がよい
といったことに気づけます。
ブースレイアウトの取り方
同じ9㎡でも、開放面によって使い勝手は大きく変わります。
展示会では一般的に、
- 1面開放
- 2面開放
- 3面開放
- 4面開放(島小間)
があります。
1面開放型のレイアウト
1面開放型は、正面だけが通路に面し、左右と背面が隣接ブース・壁面などになる形です。
1小間の基本的な配置としてよく見られます。
メリットは、
- 壁面を大きく使える
- 視線を正面へ集中させやすい
- ブース設計をシンプルにしやすい
ことです。
一方、入口が一面しかないので、その正面を大きなテーブルやスタッフが塞ぐと非常に入りにくくなります。
一般論としては「中央にデモスペース」「奥に商談スペース」というレイアウトもあります。
これはブースサイズによっては有効です。
ただし、小さな1小間であれば、主役商品を通路近くへ出し、スタッフはその斜め後ろに待機する方が、来場者が商品へ近づきやすい場合があります。
入口を人や什器で塞がないことが重要です。
2面開放型のレイアウト
2面開放は、角小間などで隣り合う2方向が通路に面している形です。
大きなメリットは、2方向から視認されることです。
一方、壁として使える面が少なくなるため、パネルや大型グラフィックを置ける場所は減ります。
そのため、
- 主役商品を角へ置く
- 2方向から読めるキャッチコピーにする
- 通路を什器で塞がない
ことを意識します。
2面開放だからといって、ブースの中へ来場者を誘導しなければならないわけではありません。
通路際の実物から会話が始まる構成も有効です。
3面開放型のレイアウト
3面開放は、背面以外の3方向が通路またはオープンスペースに面する形です。
多方向から見られるため、視認性は高くなります。
反面、壁面が少ないため、
- サイン
- 商品展示
- 収納
- スタッフの待機位置
を工夫する必要があります。
「スタッフが入口で迎える」という考え方もありますが、3面すべての入口にスタッフが立ってしまうと、来場者から見ると人の壁になることがあります。
スタッフは来場者を待ち構えるのではなく、商品へ自由に近づける余白を残してください。
4面開放型(島小間)のレイアウト
4面開放、いわゆる島小間は、四方が通路に面した自由度の高いブースです。
複数方向から見えるため、ブランドの存在感を出しやすく、大型デモや複数の体験コンテンツも配置しやすくなります。
一方、四方すべてから見られるため、
- 裏側がつくれない
- 荷物を隠しにくい
- どの方向からも訴求を成立させる必要がある
- 施工・スタッフ・管理コストが増えやすい
という点に注意します。
島小間だから豪華にする、ではありません。
四方向から何が見え、どこで何の体験が始まるかを設計する必要があります。
ブースサイズと集客効果
ブースサイズは集客に影響する要素の一つです。
大きなブースは遠くから見えやすく、社名・ブランドを大きく表現できます。
しかし、サイズだけで来場者がブースを選んでいるわけではありません。
展示会白書のデータ
来場者1,089名へ、「ブースに立ち寄る際に重視する要素」を尋ねました。
来場者がブースへ立ち寄る理由として、
- 自社課題に関連するキーワード・展示内容:51.5%
- 実物・デモがある:40.1%
- 以前から企業・ブランドに関心:36.8%
- 展示会でしか得られない情報・事例・開発者の話:34.6%
- ブースの見た目・演出:20.3%
となっています。
清永健一の解説
「ブースの見た目・演出」も無意味ではありません。
しかし、それ以上に、自分の課題との関連や、実物・デモがあることが選択理由になっています。
大きさで勝とうとするより、「これは自分に関係がある」と気づいてもらい、実物に近づいてもらう方が重要です。
小さなブースでも集客できる
1小間でも成果を出すことはできます。
むしろ小規模ブースでは、
- 主役商品を大きく見せる
- 余計な商品を減らす
- 課題を一言で訴求する
- 実物へ触れやすくする
ことで、強いブースになることがあります。
大きなブースの縮小版を作るのではなく、
小さいからこそ一点突破する。
この考え方が重要です。
たとえば3m×3mのブースに5商品、会社案内、大型モニター、商談テーブルを詰め込むより、主役商品を1点前へ出し、
「この課題の方へ」
というキャッチコピーを一つ掲げる方が、来場者から見て分かりやすい場合があります。
集客効果を高めるデザインのポイント
カラー、フォント、グラフィック、体験展示なども重要です。
ただし、最初に決めるべきなのは色ではありません。
来場者から、
「誰の、どんな課題を解決するブースなのか」
が分かることを優先します。
そのうえで、
- 文字を読みやすくする
- 重要な情報を絞る
- 主役商品を目立たせる
- ブランドカラーを統一する
といったデザインへ落とし込みます。
ブースデザインの詳細は、展示会ブースの作り方・デザインをご覧ください。
ターゲットに合わせた装飾
「若年層ならカラフル、ビジネス層なら落ち着いた色」といった一般的な考え方もあります。
もちろんターゲットの好みを考えることは大切です。
ただし、BtoB展示会では「年齢に合わせた色」よりも、
- どんな業種か
- どんな課題か
- 何を確かめたい人か
を重視した方がよいでしょう。
製造責任者なら実機。
開発担当者なら技術比較。
経営者なら成果・導入事例。
というように、ターゲットが知りたい一次情報を前面に出します。
来場者の動線を意識したレイアウト
ブースの入口を広くし、商品へアクセスしやすくすることは重要です。
一方、
「来場者が長くブース内に留まるようにする」
ことを必ずしも目標にする必要はありません。
展示会白書のデータ
来場者1,089名に1社あたりのブース滞在時間を尋ねると、「10~20分未満」39.5%が最多で、「5~10分未満」36.8%が続きました。30分以上は5.0%です。長時間ブース内へ囲い込むことより、限られた時間で実物・体験・会話を成立させ、次の行動へつなげるレイアウトを考えることが重要です。
BtoB展示会では、滞在時間を長くすることより、
必要な人と短時間で良い会話をし、次の商談へ進める
方が重要な場合があります。
来場者を長時間囲い込む設計ではなく、
立ち止まる → 実物を見る → 触る → 会話する → 次の行動を決める
という自然な動線を考えてください。
レイアウトについては、展示会ブースのレイアウトも参考にしてください。
訴求点が明確なディスプレイ
展示会場では、来場者が短時間に多くのブースを見ています。
そのため、情報を詰め込みすぎると読んでもらえません。
たとえば、
「高品質・高性能・安心のトータルソリューション」
より、
「検品工程にまだ3人使っていませんか?」
のように、ターゲットの課題を具体的に示す方が、自分との関係を認識しやすくなります。
キャッチコピーについては、展示会キャッチコピーの作り方も参考にしてください。
小規模・中規模・大規模ブースの活用例
ここでは、具体的な企業名や出典がないものを実在する「成功事例」として扱わず、ブースサイズ別の活用モデルとして解説します。
小規模ブースの活用例
たとえば食品メーカーが1小間程度の限られたスペースで出展するとします。
大量の商品を棚に並べるより、主力商品を一つに絞り、試食・比較ができるカウンターを設けます。
来場者が商品を実際に味わい、
「何が違うんですか?」
と質問したところから会話が始まります。
タブレットを使って商品の開発ストーリーや導入事例を見せる方法もあります。
小規模ブースでは、説明する情報を増やすのではなく、会話が始まるきっかけを絞る。
中規模ブースの活用例
中規模ブースでは、主役商品に加えて、実演・体験スペースをより広く取れます。
たとえばIT企業なら、複数のタブレットやモニターを設置し、来場者自身が製品を操作できるコーナーを設けます。
その横に導入事例や比較資料を用意し、体験した人と短時間で会話します。
一定のスペースがあるからといって、商品を増やしすぎず、ゾーンごとの役割を明確にします。
たとえば、
- 体験ゾーン
- 比較ゾーン
- 専門家との相談ゾーン
というように、来場者が「ここで何ができるか」を分かりやすくします。
大規模ブースの活用例
大規模ブースでは、複数の製品・部門を紹介したり、大型デモやミニセミナーを実施したりできます。
一方で、
「〇〇事業部」
「△△事業部」
という社内組織ごとのゾーニングだけでは、来場者にとって分かりにくい場合があります。
来場者の課題や用途別に、
- 省人化
- 品質改善
- コスト削減
- 新規事業
などのテーマで分ける方法もあります。
大規模ブースで重要なのは、面積を埋めることではありません。
複数の体験を、一つの出展コンセプトの下にまとめることです。
ブースを大きくする前に考えたい5つのこと
翌年、
「去年は1小間だったから、今年は2小間にしよう」
と何となく拡大する企業もあります。
しかし、ブースを大きくする前に、次の5点を確認してください。
- 昨年、接客しきれないほどターゲットが来ていたか
- 体験・実演スペースが足りなかったか
- 大型商品を展示できず機会損失があったか
- ブースサイズを増やせば増える成果を説明できるか
- 増えた費用を商談・案件で回収できる見込みがあるか
昨年成果が出なかった理由が、
- ターゲットが曖昧だった
- キャッチコピーが弱かった
- スタッフが説明しすぎた
- フォローができていなかった
のであれば、面積を2倍にしても問題は解決しません。
むしろ、ブースが大きくなることで費用だけが増える可能性があります。
展示会白書のデータ
出展者536名に今後1年間の展示会出展方針を尋ねると、「現状の出展回数・規模を維持する予定」53.5%が最多でした。「出展回数・規模を拡大する予定」は33.6%、縮小予定は7.6%、中止・撤退を検討しているのは1.9%です。規模拡大は当然の次の一手ではありません。現在の面積で何ができず、増床によってどの顧客体験・商談機会が増えるのかを明確にしてから判断します。
清永健一の判断基準
ブースを大きくする理由は、
「前年より格好よくしたい」ではなく、「現在の面積では、この顧客体験・商談機会を実現できない」
であるべきです。
面積不足による具体的な機会損失が見えるようになったときが、拡大を検討するタイミングです。
ブースサイズ選定でよくある失敗
失敗① 競合より大きくしようとする
競合が4小間なので、自社も4小間。
これだけでは投資理由になりません。
競合比較は参考にはなりますが、最終的には自社のターゲット・展示内容・成果目標から決めます。
失敗② 空いたスペースを商品で埋める
大きなブースを申し込んだ後、空間が余っていると、つい商品を追加したくなります。
結果として、
「何屋なのか分からないブース」
になることがあります。
余白は悪いものではありません。
来場者が商品に近づくスペース、スタッフと話すスペース、体験するスペースとして使えます。
失敗③ 1小間なのに商談席を大きく取る
9㎡程度のブースで4人掛けテーブルを置けば、かなりの床面積を使います。
展示会当日の目的が次回アポなら、そのスペースを主役商品の体験へ使った方がよい場合があります。
「商談するから商談席が必要」ではなく、
「展示会場で何分、何を話したいのか」
まで考えてください。
失敗④ 通路から実物が見えない
商品をブース奥へきれいに並べると、通路から見えなくなることがあります。
来場者は商品を見るために、まずブースの中へ入らなければなりません。
知らない会社のブースへ先に入るのは心理的な負担になります。
できるだけ通路から主役商品が見える状態をつくります。
失敗⑤ スタッフで入口を塞ぐ
広いブースでも、スタッフが前面にずらりと並んでいれば入りにくくなります。
特に開場直後など、来場者が少ない時間帯ほど起こりやすいので注意してください。
ブースサイズを増やしても、その入口を人が塞いでしまえば、開放感は失われます。
失敗⑥ 「大きいブース=ブランド力」と考える
大規模ブースは存在感をつくれます。
しかし、来場者から、
「何をしている会社か分からない」
と思われれば、大きな看板も高価な施工も成果には結びつきません。
ブランド力をつくるのは、面積だけではありません。
「この課題なら、この会社」
という明確な意味を持ってもらうことが重要です。
AI時代ほど「広さ」より「一次情報」が重要になる
現在は、商品スペック、会社概要、機能一覧などはWebやAIで簡単に調べることができます。
だからこそ、展示会場まで来た人に、Webサイトと同じ説明を繰り返すだけでは価値が弱くなります。
展示会白書のデータ
AI時代に展示会の重要性が高まる理由を、来場者側の調査から確認します。
展示会の重要性が「高まる」と答えた来場者740名に理由を尋ねると、「オンライン商談だけでは構築しにくい信頼関係を対面で築ける」63.4%が最多でした。続いて、「AI検索では得られない、五感を使った製品体験や実物確認」42.7%、「直接対話で得られる一次情報の価値が高まっている」41.6%です。ブースを広げるなら、壁や受付を豪華にするためではなく、こうした実物・体験・対話を増やすために使えるかを考えます。
清永健一の解説
ここで注目したいのは、来場者が高く評価しているのが、「広かった」「豪華だった」ではないことです。
開発者との対話、他では聞けない情報、自社への具体的提案、実際の体験。
つまり、展示会場だから得られる一次情報です。
ブースサイズを増やすなら、壁を豪華にするためではなく、実物・体験・専門家との対話・一次情報を増やすために使えるかを考えてください。
たとえば1小間から2小間へ増やすことで、
- 大型実機を置ける
- 来場者自身が操作できる
- 比較デモができる
- 開発者と話せるスペースをつくれる
なら、増床に意味があります。
反対に、
「壁を高くする」
「受付を豪華にする」
「商品数を増やす」
だけなら、それが商談成果にどうつながるかを一度考えてください。
AIは情報を集める。展示会は、実物・体験・対話で意味を確かめる。
展示会ブースサイズを決める最終チェックリスト
- □ 1小間の正確な寸法を主催者資料で確認した
- □ 高さ制限を確認した
- □ 開放面を確認した
- □ 出展目的を一文で説明できる
- □ 今回出会いたいターゲットが明確
- □ 主役商品・サービスを決めた
- □ ワンブース・ワンアイテム・ワンターゲットを意識した
- □ 実物サイズを確認した
- □ デモ・体験に必要な面積を確認した
- □ 安全に必要なスペースを確保した
- □ スタッフが動ける
- □ 来場者が商品へ近づける
- □ 通路から主役商品が見える
- □ 商談席が本当に必要か検討した
- □ バックヤード・収納を考えた
- □ 搬入経路を確認した
- □ 隣接ブース・通路方向を確認した
- □ キャッチコピーが各通路から見える
- □ 実寸で仮レイアウトした
- □ スタッフを含めて実際に動いてみた
- □ 小間数を増やす理由を説明できる
- □ 増えた費用に対するROIを考えた
- □ 増床によってどんな顧客体験が増えるか説明できる
- □ 展示会後の商談・案件までKPIを設定した
よくある質問|展示会のブースサイズ・小間
展示会の1小間は何m×何mですか?
3m×3mや3m×2.7m程度がよく見られますが、統一規格ではありません。
展示会ごとに主催者が寸法を設定しているため、必ず出展要項を確認してください。
「小間」は何と読みますか?
展示会では一般的に「こま」と読みます。
「1小間」で「ひとこま」「いちこま」などと呼ばれることがあります。
初めての展示会は1小間で十分ですか?
商品サイズや展示目的によります。
小型商品やサービスで、主役商品とターゲットを絞れるのであれば、1小間でも十分成果を狙えます。
大型設備、複数の体験、実演などが必要なら、より広いスペースを検討します。
ブースは大きいほど集客できますか?
大きなブースは視認性を高めやすい一方、大きさだけで集客は決まりません。
前述した展示会白書のデータでも、来場者はブースの大きさだけでなく、自社課題との関連、実物・デモなどを重視しています。
展示会ブースに商談席は必要ですか?
長時間の商談が出展目的なら有効です。
一方、新規顧客との接点を増やして後日アポへつなげることが目的なら、1小間の大部分を商談テーブルで使う必要がない場合もあります。
1面開放と2面開放ならどちらがよいですか?
2面開放は一般に2方向から見え、来場者と接点を持ちやすいメリットがあります。
一方、壁面が少なくなるため、パネルや収納の設計が難しくなります。
どちらがよいかは展示内容とレイアウトによります。
小さいブースでも目立たせることはできますか?
できます。
商品を絞り、ターゲット課題を一言で掲示し、主役商品を通路側から見える位置に置き、実物・体験を中心にすると、小さいブースでも強い訴求が可能です。
ブースサイズを大きくするタイミングはいつですか?
現在のスペースではターゲットを接客しきれない、実物・デモに必要な面積が足りない、大型製品を展示できないなど、面積不足による機会損失が明確になったときに検討します。
「前年より大きくしたい」だけではなく、増床によってどんな成果を増やすかまで考えてください。
1小間でスタッフは何人くらいがよいですか?
一律の正解はありません。
ただし、3m×3m程度のブース内に大人数のスタッフが常時立つと、来場者が入りにくくなる場合があります。
ピーク時に同時に何人と会話したいのか、商品説明担当、技術担当、責任者など役割を決めて必要人数を考えてください。
商品が多い場合はブースを大きくするべきですか?
必ずしもそうではありません。
まず「本当にすべての商品を展示する必要があるか」を確認してください。
主役商品を1~2点へ絞り、その他はカタログ・動画・タブレットで補足する方法もあります。
最適なブースサイズは「広さ」ではなく「成果」から逆算する
展示会の1小間は、3m×3mや3m×2.7m程度がよく見られます。
ただし、1小間の寸法は展示会ごとに異なるため、必ず主催者の出展要項を確認してください。
そして、ブースサイズを決める際に重要なのは、
「予算があるから4小間」
「競合が大きいから4小間」
「商品が多いから大きくする」
という決め方ではありません。
先に、
- 誰と出会いたいのか
- 何を主役にするのか
- 何を見せたいのか
- 何を体験してもらいたいのか
- どんな会話を始めたいのか
- 次にどんな行動へ進んでほしいのか
を決めます。
そのために必要なスペースを計算してください。
ブースサイズは、「展示する物の量」から決めるのではない。
「生み出したい顧客体験と商談」から決める。
そして、小さなブースだから不利だと考える必要はありません。
1小間なら、主役商品を絞る。
メッセージを一つにする。
実物を前へ出す。
体験から会話を始める。
その方が、商品を大量に並べた大規模ブースより分かりやすくなる場合もあります。
ワンブース・ワンアイテム・ワンターゲット。
この考え方で、今回の展示会に本当に必要な広さを決めてください。
清永健一の結論
ブースを大きくするか小さくするかを決める前に、
「そのスペースで、ターゲットに何を体験してもらい、どんな会話を生み出したいのか」
を決めてください。
必要な顧客体験と商談が1小間で実現できるなら、1小間で構いません。実現できない理由が明確になったときに、2小間、4小間へ広げればよいのです。
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ブースづくりの詳しい考え方については、展示会ブースの作り方・デザイン、展示会全体の準備からフォローまでは、展示会成功の強化書をご覧ください。
この記事で使用した出展者536名・来場者1,089名への独自調査については、展示会白書で詳しく公開しています。
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展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照。
展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
