マーケティングにおける手段のひとつに、展示会への出展があります。
展示会への出展を検討する際、出展にかかる費用は気になる要素のひとつではないでしょうか。
この記事では、展示会出展費用の相場や費用を抑える方法などを解説します。
目次
ここではリアル展示会をメインに、出展にかかる費用を解説します。
単に出展するだけなら出展料を負担するだけでよいのですが、それでは展示会で成果を出すことは困難です。
成果を出すには、「見込客に足を止めさせるブースづくり」をはじめとして、色々な工夫や取り組みが必要になります。それに伴い、さまざまな要素に費用が発生します。
出展費用は、展示会への出展そのものにかかる費用です。
展示会で使用するスペースの広さには小間(コマ)という単位が設けられており、1小間あたりの料金が設定されます。
通常、1小間は、3メートル×3メートル(または、2.7メートル)で、費用は、45万円程度となることが多いです。
6メートル×3メートルなら、費用は、倍の90万円程度となります。
展示会主催者によっては、出展のための最小単位を6メートル×3メートルとするケースもあります。
詳細は、展示会主催者に確認ください。
ブース装飾の費用に含まれるものは、床・壁・電気関係の施工費や、装飾の材料費、運搬費などです。
これらをすべて外注に発注すると費用は掛かりますが、自社で設営や装飾をする場合と比べて手間が大幅に減ります。
展示会の主催者がブース装飾の基礎セットを用意しているケースもあります。また、その基礎セットの利用料が出展料に含まれている場合もあります。
ブース装飾は、展示会の来場者を自社ブースに立ち止まらせるために非常に重要ですが、かっこいいブースをつくろうと思って過度にデザインしすぎる必要はありません。ブース装飾費用は、成果につながるかどうか、という観点で慎重に検討しましょう。
ブース装飾の費用は、多くの場合、出展費用と同程度の予算が設けられています。
人件費や協力会社への費用には、社内スタッフやMC・ナレーター、コンパニオンなどに支払う費用があります。
人件費に加え、会場が遠方であれば、宿泊費や交通費なども必要ですし、展示する商材が大型な場合、トラックなどでその商材を会場まで運び込む費用も発生します。
また、展示ブースの演出としてMC・ナレーターやコンパニオンを依頼する場合は、依頼先のイベント会社に費用を支払いうことになります。この場合、費用は、依頼するMC・ナレーターやコンパニオンの経験やランクに応じて上下します。
集客では、来場者に自社のブースに来てもらうための集客と、会場に来場してもらいたいターゲットへの集客の2種類があります。
自社のブースに来てもらうための集客方法は、来場者、特にブースの前にいる見込み客に声をかけたり、ノベルティグッズやパンフレット、チラシなどを配ったりすることです。
ノベルティグッズやパンフレット、チラシの製作する際のロットは、想定している来場者との接点数を元に見積もりましょう。
ターゲット顧客に会場に来場してもらうための集客方法は、商談中客、失注客にメールを送ったり、自社ホームページやSNSで告知したりするとよいでしょう。
展示会の出展をプレスリリースすることも有効です。
展示会の費用は、展示会の規模やジャンルによって相場が異なります。
出展を検討する際は、目的とターゲットを設定し、どのような種類の展示会に出展するかを検討します。
また、見込客の有効名刺獲得数と望ましい獲得単価から予算の上限を算出するのもよいでしょう。
例えば、見込客の有効名刺獲得目標数が300枚で、名刺獲得単価を10,000円以内にしたい場合、300枚×10,000円=300万円が予算の上限となります。
東京ビッグサイトや幕張メッセ、インテックス大阪、ポートメッセなごやなどの主要な展示会場で開催される展示会は、1小間(3m×3m)でおよそ45万円が、出展料の相場です。
初めて展示会に出展する企業では1〜2小間を使用するケースが多く、出展料はおよそ45〜90万円です。
設備や装飾の費用が同額と想定した場合、出展料と合わせて90~180万円程度の費用がかかります。
また、人件費・協力会社への費用、チラシなどの販促物の費用は、多めに見て、20万円~と考えるとよいでしょう。
合計すると、展示会の総費用は、110万円~200万円と考えられます。
東京都立産業貿易センター浜松町館やマイドーム大阪などの中規模展示会場で開催される展示会は、1小間(3m×3m)でおよそ20万円〜が相場です。
1〜2小間の出展費用で20〜40万円、前述のその他費用を含めると、多めに見て60〜100万円程の費用がかかります。
地方自治体が開催する展示会は規模の小さいものも多く、出展費用は数万円~で出展が可能です。
展示会によっては、主催する地方自治体が統括する地域内の企業であれば、出展費用が一層安価になる展示会もあります。
地方自治体が開催する展示会では、設備・装飾費用と合わせても20万円以内で出展できるケースもあります。
人件費・協力会社への費用等も、規模の大きい展示会と比べると安価に済ませられるでしょう。
展示会へ出展するにあたり、出展料の削減は困難ですが、そのほかの費用については抑えられます。
どれだけ費用をかけても、出展の効果が得られなければ出展する意味はありません。費用対効果を意識して出展計画を策定しましょう。
プレゼン型の展示方法で、特に費用のかかる項目は設備です。
大きなモニターや音響のレンタル費用に加え、各機材の設置・撤去費用のみでも80万円程度かかる場合があります。
設備を簡素にするために、過分な音響設備を削減したり、たとえば、食堂に設置している大型テレビモニターを流用するなど、既にあるものを利用できないかも検討しましょう。
また、展示会の主催者やブース装飾業者が提供しているパッケージやレンタルブースの利用も、費用を抑える方法のひとつです。
装飾を簡素化しても、効果のあるブースをつくることができます。
ブースデザインを業者に丸投げせず、自社でターゲットに届きやすい言葉やイメージを練り上げてから発注すると、費用を抑えられます。
また、繰り返し使える装飾品を用意することも、費用を抑える方法のひとつです。
初回は費用がかかってしまいますが、2回目以降の装飾にかかる費用を抑えられます。
無駄な廃棄を削減できますから、SDGsの観点からも望ましい方法です。
デザインを外注する場合は費用が高くなる可能性があります。必ず見積もりをとったうえで依頼しましょう。
シンプルなブースでも、ブースキャッチコピーや体験アトラクションを磨くことで、多数の見込み客にリーチすることができます。
※
予算に余裕があれば、能力の高いプロMC、実演販売士やコンパニオンに依頼するという方法もあります。
大きな成果につなげるためには人数よりも能力を重視する方がよいでしょう。
能力が低い3人よりも、能力の高い1人のに依頼する方が費用を抑えられる上、成果にもつながりやすいケースがあります。
また、MC、実演販売士、コンパニオンに依頼して成果を出すためには、教育も重要です。
出展コンセプト、出会いたい相手、ブース接客でのゴールを事前に共有し、来場者へのトークを一緒につくり込みましょう。
また、展示会によっては、主催者が来場者に配布した名札ネームタグの色で、来場者の業種が分かるようになっているケースがあります。
やみくもに声をかけるのではなく、出会いたい相手の色の名札をつけた来場者に絞って声をかけるよう教育するとよいでしょう。
さらに、名刺を獲得するだけに留まらないよう、自社ブースの詳細を担当するスタッフのところに誘導するよう教育することも大切です。
地方自治体や中小企業を支援する法人・団体は、補助金や助成金を設けています。
助成金や補助金の対象には、支援元によって条件がありますが、条件を満たしていれば、展示会にかかる経費の1/3~1/2、場合によっては2/3程度の補助を受けられます。
情報収集し、条件を満たすものがあれば活用しましょう。
商工会議所や産業振興公社など、行政の中小企業支援機関が借り上げた敷地に、店子として出展すると費用を抑えられます。
行政がメインで運営する展示会であれば、わずか数万円の出展料で出展することも可能です。
行政が運営する展示会の例には、たとえば以下のようなものがあります。
「東京ビジネスフロンティア」による共同出展方式」
「香川県産業支援財団が「スーパーマーケット・トレードショー」で香川県企業のために借り上げたスペースへの出展」
展示会にかかった経費の勘定科目は、「広告宣伝費」で仕訳します。
例えば、展示会の出展にかかった費用が250万円であった場合、以下のように仕訳します。
借方:広告宣伝費/2,500,000
貸方:普通預金/2,500,000
展示会出展費用の相場や費用を抑える方法などを解説しました。
展示会の出展において費用対効果を考えることは非常に重要です。
費用を最小限に抑えて成果を最大化するには、計画から出展、フォローまでの一連の流れをプロの専門コンサルタントに任せるという選択肢もあります。
自社に適した方法で、展示会出展の費用対効果を最大化できるように工夫しましょう。
このセミナーに参加すると、
成果を出すノウハウを習得できます。