展示会場の様子がわかる動画です。
会場を歩いてまず感じたこと
秋の気配が少しずつ濃くなってきた9月30日の朝、海浜幕張の駅から幕張メッセへ向かう人の列は、静かな熱を帯びていました。
会場に足を踏み入れてすぐに気づいたのは、来場者がブースの前で立ち止まる時間の長さです。
サンプルを手に取り、光に透かし、指で曲げてみる――そうした素材の展示会ならではの光景が、あちこちで見られました。
完成品の展示会では「見る」ことが中心になりがちです。ところがこの会場では、来場者が「触って確かめる」ことに時間を使っていたのが印象的でした。
素材は、あらゆる製品の出発点です。その出発点に立つ人たちが真剣に向き合う空気に、僕は日本のものづくりの底力を感じずにはいられません。
展示会基本情報
開催日時
2026年9月30日(水)から10月2日(金)までの3日間、幕張メッセで開催されました。
なお、公式サイトではすでに次回2027年の会期が案内されています。毎年秋に開催される、素材分野の定番展示会として定着していることがうかがえます。
会場
会場は幕張メッセ 国際展示場です。
同時開催展を含めて広いホールを使った構成となっており、ホールが横に連なる幕張の構造は、複数の専門展を行き来しながら見て回るこの展示会の性格によく合っていました。
主催者
主催はRX Japan合同会社です。
素材という裾野の広い分野を、フィルム、プラスチック、金属、セラミックス、接着、塗料といった切り口で整理し、来場者が自分の課題から入り口を選べるように設計されています。その構成力には、毎回のことながら敬意を抱きます。
公式サイト
来場者層
来場者の中心は、製造業の研究開発部門、設計部門、生産技術部門、そして購買・調達部門の方々です。
自動車、電子部品、半導体、包装、建材、医療機器など、素材を使う側の業界から幅広く人が集まっていました。
技術者同士が専門用語で会話を交わす場面も多く、来場者の目的意識の高さが際立っていたと感じます。
主な出展分野
今回は10の構成展で展開されました。高機能マテリアル展とマテリアルDX展が新たに加わり、高機能フィルム開発・製造展、高機能プラスチック開発・製造展、高機能金属展、高機能セラミックス展、接着・接合EXPO、塗料・塗装設備展、サステナブルマテリアル展、素材工場の脱炭素化展が並びます。
さらに、Photonix、FINETECH JAPAN、リサイクルテック ジャパン、新設の猛暑テック、【次世代】乾燥プロセス展が同時開催されていました。
特別企画として、AI半導体マテリアルWorld、材料分析・評価World、オープンイノベーションWorldも設けられています。
展示会の特徴
この展示会の最大の特徴は、「素材を探す人」と「素材をつくる人」が直接出会える場であることです。
素材の取引は、カタログやWebサイトだけではなかなか完結しません。質感、厚み、柔軟性、耐熱性といった性質は、実際に手に取ってはじめて判断できる部分が多いからです。
だからこそ、ここには一次情報が凝縮されています。
AIがどれだけ進化しても、サンプルを指先で確かめたときの感覚や、技術者と向き合って交わす会話の中身は、インターネット上には存在しません。素材の展示会は、まさに一次情報の宝庫だと改めて実感しました。
今回のみどころ
今回のみどころは、新設された高機能マテリアル展とマテリアルDX展です。
高機能マテリアル展は、特定の加工形態にとらわれず、新しい機能を持つ素材そのものに焦点を当てた展示です。用途がまだ決まりきっていない素材も多く、来場者との対話の中で新しい使い道が見つかる可能性を秘めていました。
一方のマテリアルDX展では、材料開発にデータやAIを活用するマテリアルズ・インフォマティクスの考え方が前面に出ていました。
素材の世界は、長年の経験と試行錯誤が価値を生んできた分野です。そこにデジタルの力が加わることで、開発のスピードが大きく変わろうとしています。その転換点を目の当たりにできたことは、大きな収穫でした。
注目ポイント
僕が特に注目したのは、特別企画のAI半導体マテリアルWorldです。
生成AIの普及によって、半導体の需要は大きく伸びています。その半導体を支えているのが、封止材、基板材料、放熱材料といった素材の技術です。
完成品の陰に隠れがちな素材メーカーの技術が、実は産業全体の競争力を左右しているのです。この企画は、その事実をわかりやすく示してくれていました。
また、材料分析・評価Worldにも多くの来場者が足を運んでいました。新しい素材を採用するには、性能を正しく評価する手段が欠かせません。開発と評価がセットで語られている点に、この展示会の実務的な深さが表れています。
会場の様子
会場では、サンプルを丁寧に並べたブースが目立ちました。
来場者が自由に手に取れるようにしているブースでは、自然と会話が生まれていました。素材に触れた瞬間に「これ、何に使えますか」と問いかける来場者の姿を何度も見かけたほどです。
一方で、展示物が多すぎて、何が強みなのかが伝わりにくいブースもありました。
技術力が高い企業ほど、伝えたいことが多くなるのは当然です。それでも、通路を歩く数秒間で来場者の心をつかむには、伝える内容を絞り込む勇気が必要だと感じました。
出展者の皆さんが長い時間をかけて準備してきたことは、どのブースからも伝わってきます。その努力が来場者にまっすぐ届くよう、見せ方の工夫ひとつで成果は大きく変わるはずです。

業界への意味
素材産業は、日本が世界で強みを持ち続けている数少ない分野のひとつです。
完成品の市場では海外企業との競争が激しくなっています。それでも、その完成品を支える高機能素材の分野では、日本企業の技術が今なお高く評価されているのです。
この展示会は、その強みを国内外に示す舞台になっています。
同時に、中小の素材メーカーや加工メーカーにとっては、大手メーカーの開発担当者と直接出会える貴重な機会でもあります。営業担当者が何度訪問しても会えない相手が、自ら課題を持ってブースに来てくれるのです。展示会営業の本質が、この会場には色濃く表れていました。
今年の展示会トレンド
今年の会場から読み取れたトレンドは、大きく3つあります。
1つ目は、サステナビリティへの本格的な対応です。サステナブルマテリアル展や素材工場の脱炭素化展、同時開催のリサイクルテック ジャパンに見られるように、環境対応はもはや付加価値ではなく、取引の前提条件になりつつあります。
2つ目は、AIとデータの活用です。マテリアルDX展の新設は、素材開発の進め方そのものが変わり始めていることを象徴していました。
3つ目は、社会課題との接続です。新設の猛暑テックは、暑さ対策という身近な課題に素材の力で応えようとする試みでした。素材が社会の課題解決に直結していることを、来場者にわかりやすく伝える企画だったと思います。
過去のレポート
同じ展示会の過去のレポートを公開しています。業界の流れや変化を立体的に見る定点観測の材料になさってください。
展示会営業の専門家 清永健一のワンポイントアドバイス
素材の展示会に出展される企業へ、実務の観点から3つお伝えします。
1つ目は、「素材の性能」ではなく「来場者の課題」から語ることです。
来場者は素材そのものを探しているのではありません。自社製品の軽量化、耐熱性の向上、コスト削減といった課題の解決策を探しています。キャッチコピーも「〇〇を実現する素材」のように、課題解決の言葉で表現すると足を止めてもらいやすくなります。
2つ目は、その場で売ろうとしないことです。
素材の採用は、評価、試作、量産検討と長い時間がかかります。展示会当日の目的は、商談を決めることではなく、来場者の課題を聞き取り、関係を築くことにあります。サンプル送付や技術相談の約束など、次の接点をつくることを意識してください。
今回、来場者の足を止めていたブースには共通点がありました。それは「誰に、何を伝えるのか」が明確に設計されていることです。こうした成果の出る展示会営業は、決して偶然ではなく再現可能です。その具体的な考え方と手順は、展示会成功のための全体像で体系的にまとめています。
3つ目は、会期後のフォローを事前に設計しておくことです。
素材の展示会では、ヒアリングした課題の内容がそのまま次の提案の材料になります。会期中に聞いた内容を記録し、課題の種類ごとに整理しておけば、会期後のフォローの質は格段に上がるでしょう。
展示会は、営業のためだけのイベントではありません。来場者の声は新しい素材開発のヒントにもなりますし、社員が自社の技術の価値を再確認する機会にもなります。
素材の力で未来をつくろうとしている出展者の皆さんの挑戦を、僕は心から応援しています。来年の会場でも、新しい出会いと発見が生まれることを楽しみにしています。
※この記事はAIを活用して作成しました。
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展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照。
展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。

