展示会場の様子がわかる動画です。
会場を歩いてまず感じたこと
東京ビッグサイト東展示棟に入って最初に目に飛び込んできたのは、「AI」の二文字でした。
通路の左右、視界に入るサインのほとんどに、生成AI、AIエージェント、自動化、といった言葉が並んでいます。数年前の同じ展示会を思い出すと、そこには「クラウド」「ペーパーレス」が並んでいました。会場の言葉が入れ替わる速度に、あらためて驚かされます。
ところが、実際に人だかりができていた場所は、必ずしもAIのブースばかりではありませんでした。
非常食の試食に列ができ、オフィスチェアに座り込んで立ち上がらない来場者がいて、健康診断の代行サービスのカウンターでは相談が途切れません。
画面の中の技術と、手で触れられるモノ。その両方が同じ屋根の下に並んでいる光景こそ、今のバックオフィスという領域そのものを表していると感じました。
僕はふだん、製造、食品、ITなど業種の異なる展示会を年間を通して歩いています。その目から見ても、この展示会は来場者の「職種」で切り取られている点が独特です。
展示会基本情報
開催日時
第26回 総務・人事・経理Week【東京|9月】は、2026年9月16日(水)から18日(金)までの3日間、10時から18時まで開催されました。最終日のみ17時までの開場です。
同じ「総務・人事・経理Week」は東京で年2回、さらに大阪と名古屋でも開催される構成になっており、今回は9月開催の回にあたります。
会場
会場は東京ビッグサイトの東展示棟です。10の専門展が広い東ホールを横断するかたちで配置されていました。
主催者
主催はRX Japan合同会社です。バックオフィスという、これまで展示会になりにくいと思われていた領域を、ここまでの規模に育ててきた運営力には敬意を覚えます。
会場の動線設計、受付の処理速度、セミナー会場の回転、いずれも大量の来場者をさばく前提で細かく組み立てられていました。
公式サイト
来場者層
来場者の中心は、総務、人事、経理、法務、広報、そして情報システムやDX推進を担当する方々です。加えて、経営者や経営企画の立場で会場を回る方も多く見かけました。
前回にあたる2026年6月開催の第25回では、3日間で26,728名が来場しています。今回も、初日の午前中から入場ゲートに列ができていました。
特徴的なのは、来場者の多くが「複数の課題」を抱えて来ている点です。中小企業の総務担当者は、防災も、福利厚生も、労務管理も、一人で兼務していることが珍しくありません。
だからこそ、一度の来場で複数の領域をまとめて見比べられるこの構成が効いてきます。
主な出展分野
今回の構成展は次の10展です。HR EXPO、福利厚生EXPO、健康経営EXPO、総務サービスEXPO、ワークプレイス改革EXPO、オフィス防災EXPO、会計・財務EXPO、法務・コンプライアンスEXPO、働き方改革EXPO、そして今回が初開催となるバックオフィスAIエージェントEXPO。
採用管理システムから備蓄食料、オフィス家具から電子契約、健康経営の支援サービスから経費精算まで、扱われる商材の幅は相当なものです。
展示会の特徴
この展示会の最大の特徴は、技術や製品のカテゴリーではなく、来場者の職種を軸に束ねられていることです。
多くの産業展示会は「何を作っているか」で会場が分かれます。一方でこの展示会は、「誰が困っているか」で分かれているのです。
総務の担当者にとって、椅子の話とAIの話と防災備蓄の話は、まったく別の業界の話ではありません。すべて自分の担当業務です。
この構成は、出展者にとって大きな意味を持ちます。自社の商材がどのカテゴリーに属するかではなく、目の前を歩いている人がどんな一日を送っているかを想像できるかどうかで、成果が変わってくるからです。
もう一つの特徴は、セミナーの充実ぶりでしょう。今回は全体で90を超える講演が組まれ、法改正への対応、他社事例、AI活用の実務といったテーマが並びました。
展示を見に来たつもりが、セミナーで課題認識が変わり、そのまま関連するブースへ向かう。そうした流れが、会場のあちこちで生まれていました。
今回のみどころ
今回いちばんの話題は、やはりバックオフィスAIエージェントEXPOの初開催です。
生成AI、AIエージェント、社内問い合わせAI、AI-OCRと文書処理、社内LLMやRAGの構築支援。こうしたサービスが一つのゾーンに集まりました。
注目したいのは、この新設が「AI EXPO」ではなく「バックオフィスAIエージェントEXPO」という名前になっている点です。
AIそのものを見せる展示ではなく、経理の月次処理や人事の問い合わせ対応といった具体的な業務に踏み込む展示にする、という意思がうかがえます。
実際、来場者の反応にもそれははっきり出ていました。「すごいAIですね」で終わってしまうブースの前は、人が通り過ぎていきます。
逆に、「月末の請求書処理、今どのくらい時間かかっていますか」と問いかけるブースには、足が止まっていました。
注目ポイント
僕がもっとも長く観察したのは、AIゾーンと防災ゾーンの対比です。
この二つは、展示のつくり方が正反対でした。
AIゾーンは、モニターと文字情報が中心です。導入効果を示すグラフ、削減時間の数字、画面遷移のデモ。どれも論理的で、よく整理されています。
一方の防災ゾーンは、実物が主役でした。段ボール製の簡易ベッドが組み立てられ、非常用トイレが並び、備蓄食料をその場で食べられます。
来場者の滞在時間が長かったのは、圧倒的に後者でした。
ただ、これは「モノの展示が強くてITは弱い」という話ではありません。実際、AIゾーンの中でも人が集まっているブースは確実にありました。
共通していたのは、来場者に何かを操作させていたことです。自社のよくある質問を打ち込んでもらう、手元の請求書を読み取らせてみる、といった仕掛けです。
見せるのではなく、やってもらう。この一手間の有無が、そのまま通路での足の止まり方に表れていました。
展示会の現場に立つと、「頑張っているのに成果が出ない」企業が少なくありません。その原因は、努力不足ではなく「設計」の問題であることがほとんどです。展示会営業は、正しい順番と考え方で取り組めば結果が大きく変わります。その本質については、展示会営業の成功ガイドで詳しく解説しています。
もう一点、印象に残ったのが福利厚生EXPOと健康経営EXPOの隣接配置でした。
この二つを続けて歩くと、来場者の頭の中で「従業員のための福利厚生」と「経営指標としての健康」が自然につながります。配置そのものが提案になっている、うまい設計だと感じました。
会場の様子
初日の午前は、入場ゲートから通路がゆっくり流れていく状態が続きました。
正午前後になると、セミナー会場への移動で人の流れが一気に変わります。講演が終わる時間帯には、その逆の波が起こりました。
この波を読んでいるブースと、読んでいないブースの差は、はっきり出ます。人の流れが細るタイミングでスタッフ全員が下を向いている区画がある一方で、その時間を使って通路側に出て声をかけているブースもありました。
スーツ姿の方だけでなく、作業着の方や、明らかに社長ご自身と思われる方が単独で熱心にメモを取っている姿も目立ちます。
会場の一角には、職種別の交流エリアが設けられていました。同じ立場の担当者同士が名刺を交換し、自社の悩みを話している。「うちも同じです」という声が聞こえてきます。
バックオフィスという仕事は、社内では成果が見えにくく、孤独になりやすい職種です。その人たちが年に一度、同じ悩みを持つ人と出会える場になっている。ここに、この展示会の隠れた価値があるのではないでしょうか。
出展者スタッフの様子で印象的だったのは、説明の姿勢です。売り込みのトーンで始めるブースより、まず相手の状況を聞くブースのほうが、会話が長く続いていました。

業界への意味
バックオフィスは、長らくコストセンターと呼ばれてきました。
売上を生まない部門、できるだけ小さくすべき部門。そうした見方が根強くあったことは事実です。
しかし今回の会場を歩くと、その前提が明確に崩れつつあることがわかります。
採用力は人事の設計で決まり、離職率は福利厚生と健康施策で変わり、事業継続力は防災の備えで決まる。いずれも、会社の競争力そのものに直結する話です。
AIの導入についても同じことがいえます。バックオフィスの定型業務をAIに任せられれば、人は判断と企画に時間を使えるようになります。
つまり、この展示会は「間接部門の効率化」を見せる場から、「会社の体質をどう変えるか」を見せる場へと役割を変えつつある、と僕は受け取りました。
そしてもう一つ。ここで手に入るのは、Web検索やAIの回答では得られない一次情報です。
どの機能に他社の担当者が食いついているのか、価格の相場はどのあたりなのか、導入後に何でつまずいたのか。こうした温度感は、現場でしか拾えません。
AIがあらゆる二次情報を整理してくれる時代だからこそ、自分の足で一次情報を取りに行った会社が強くなります。
今年の展示会トレンド
今回の現地観察から、業種を越えて通じるトレンドが四つ見えてきました。
一つめは、AIの「業務名詞化」です。AIという抽象語で語る段階が終わり、請求書処理、問い合わせ対応、議事録作成といった業務名とセットで語られるようになりました。訴求の解像度が一段上がったといえるでしょう。
二つめは、体験展示の標準化です。触る、動かす、試す。この三つを用意しているかどうかが、無形サービスの分野でも成果を分けはじめています。
三つめは、課題起点の会場設計です。技術カテゴリーではなく、来場者の職種や悩みで区画を束ねる発想は、他の産業展示会にも広がっていくと見ています。
四つめは、交流機能の組み込みでしょう。展示と商談だけでなく、来場者同士がつながる場を主催者が用意する。来場理由そのものを増やす、賢い打ち手だと思います。
過去のレポート
同じ展示会の過去のレポートを公開しています。業界の流れや変化を立体的に見る定点観測の材料になさってください。
p>https://tenjikaieigyo.com/soumuweek/
展示会営業の専門家 清永健一のワンポイントアドバイス
今回の会場から、中小企業がすぐに持ち帰れる実務ポイントを三つお伝えします。
一つめは、キャッチコピーを「業務名」で書くことです。
「AIで業務効率化」では、誰の何が変わるのかが伝わりません。「月末3日かかる請求書処理を、半日に」と書けば、その業務を担当している人だけが確実に足を止めます。全員に届く言葉より、一人に刺さる言葉を選んでください。
二つめは、無形の商材こそ体験を用意することです。
ソフトウェアでも、コンサルティングでも、来場者が自分の手で何かを入力したり、自社の数字を当てはめたりできる仕掛けは必ず作れます。説明を聞いた人より、手を動かした人のほうが深く記憶に残ります。
三つめは、会期後のフォロー設計を、出展申込の段階で決めてしまうことです。
展示会の成果が決まるのは当日ではなく、そのあとの動きです。誰が、いつまでに、どんな内容で連絡するのか。この段取りを先に決めておけば、集めた名刺は関係性に変わっていきます。
そして根っこにある考え方を一つだけ付け加えます。展示会は、売り込む場ではなく、相談を受ける場です。
来場者は課題を抱えて自分の意思で会場に来ています。こちらから押し込まなくても、相手の困りごとを丁寧に聞くだけで、会話は自然に商談へ向かいます。
バックオフィスという地味に見える領域が、これだけの熱量を持つ場に育っている。その事実は、どんな業種の中小企業にとっても心強い材料ではないでしょうか。
次の出展が、あなたの会社にとって会社成長イベントになることを願っています。
※この記事はAIを活用して作成しました。
展示会で成果を出すコツを知りたい方へ
このセミナーに参加すると、
成果を出すノウハウを習得できます。

展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照。
展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。

