展示会場の様子がわかる動画です。
会場を歩いてまず感じたこと
2日目に行きました。全国の美味しいものが都道府県別に並んでいて、その場にいるだけで幸せな気分になります。
東京ビッグサイト東1ホールに入ると、まず目に入るのが県名を掲げたサインの列です。北から南へ、ホールをひとまわりするだけで日本の食の地図を歩いたような感覚になりました。
そして、どのブースも装飾がシンプルです。大きな造作やLEDの壁があるわけではなく、テーブルの上に商品が並び、その後ろに生産者が立っている。それだけの構成が延々と続きます。
この「それだけ」が、実はこの展示会の最大の特徴なのだと僕は考えています。装飾で差がつかない場では、何で差がつくのか。その答えが会場の至るところに転がっていました。
展示会基本情報
開催日時
2026年8月19日(水)から8月20日(木)までの2日間です。初日は10時から17時まで、最終日は10時から16時までの開催となっていました。
会場
東京ビッグサイト 東1ホールです。東京都江東区有明3丁目11-1に位置し、りんかい線の国際展示場駅、ゆりかもめの東京ビッグサイト駅からアクセスできます。1ホールに集約されているため、2日あれば全ブースをしっかり回れる規模感です。
主催者
株式会社日本政策金融公庫が主催しています。政府系金融機関が主催する展示商談会という点が、この展示会の性格を決定づけていると言ってよいでしょう。
今回で19回目です。金融機関が19年にわたって農林漁業者と食品事業者の商談機会をつくり続けてきたこと自体に、僕は素直に敬意を覚えます。
公式サイト
来場者層
スーパーや百貨店のバイヤー、外食や中食のメニュー開発担当者、卸売業者、通販事業者、商社が中心です。前回は国内外から12,833名が来場し、38,839件の商談が行われました。
注目すべきは、一般の方の来場を主催者がはっきりとお断りしている点です。試食が多く並ぶ展示会でありながら、あくまで商談の場として運営されています。この線引きが、出展者の時間を守っているのだと感じました。
主な出展分野
国産の農林水産物と、それを主原料とする加工食品です。米や穀類、野菜、果実、畜産物、水産加工品、味噌や醤油などの調味料、麺類、菓子、飲料、酒類と、商品カテゴリーは23項目に及びます。
出展資格が「国内で農林漁業を営む者」と「国産農林水産物を主原料とする国内食品製造業者」に限定されているのも大きな特徴です。今回は518先分の商品情報がカタログにまとめられ、500小間規模で構成されていました。
展示会の特徴
この展示会を語るうえで外せないのが、小間の仕様です。1小間は2.0メートル×2.0メートル。出展料は税込165,000円です。
主催者自身が「大掛かりな装飾を必要とするイベントではありません」と明言しています。つまり、お金をかけた造作で目立つという戦い方が、そもそも想定されていないのです。
これは中小規模の事業者にとって、きわめて有利な条件だと僕は考えます。展示会で小規模企業が苦しむ最大の理由は、多くの場合ブース投資の差にあります。隣が数百万円の造作を組んでいる横で、簡易パネル1枚では見劣りしてしまうからです。
ところがこの展示会では、その差が最初から存在しません。2メートル四方という枠は、全員に等しく与えられた条件です。だからこそ、装飾がシンプルで小規模企業も成果を出しやすい展示会になっています。
もうひとつの特徴は、都道府県別の配置です。バイヤーは「産地から探す」という自然な動線で歩くことができ、出展者は同じ県の仲間と並ぶことで、単独では届かない存在感を得ています。
今回のみどころ
僕が今年もっとも興味深く見たのは、出展者情報の絞り込み軸でした。公式サイトの検索機能が、商品カテゴリーと都道府県だけでなく、輸出の取り組み状況で絞り込めるようになっています。
「すでに輸出している」「今後輸出を希望する」「意向はない」という3つの区分です。輸出という言葉が、一部の大手の話題ではなく、個々の生産者が自分の立ち位置を表明する項目になっているわけです。
認証の軸も充実していました。有機JAS、GAP認証、FSSC 22000といった取得認証で絞り込めるようになっており、会場でも認証マークを大きく掲げるブースが目立ちました。
加えて、地域ブランド、有機・オーガニック、スマート農業といった取り組みの軸もあります。「何を作っているか」だけでなく「どう作っているか」で選ばれる時代に入ったことが、この検索軸から読み取れるのではないでしょうか。
注目ポイント
ブースを一つずつ見ていくと、足が止まる場所と通り過ぎられる場所の差が、はっきりと分かれていました。装飾がほぼ同じ条件なのに、なぜ差が生まれるのか。ここが今回いちばん考えさせられた点です。
足が止まるブースには、テーブルの上か背面パネルに「一言」がありました。産地名と商品名だけでなく、「この商品はこういう場面で使える」という一文が、通路から読める大きさで置かれているのです。
たとえば、同じ加工トマトを扱う2つのブースがあったとします。片方は「○○県産完熟トマト」、もう片方は「業務用パスタソースの原価を下げたい方へ」。後者に人が集まるのは、来場者が自分に関係のある展示だと一瞬で判断できるからです。
逆に、素晴らしい商品を持ちながら通り過ぎられているブースも少なくありませんでした。その多くは、商品を並べることが展示になってしまっている状態でした。
今回の展示会でも感じたのは、成果が出ている企業ほど「その場の対応」ではなく、事前・当日・事後までを一貫した設計で動いているという点です。この全体像を理解せずに出展してしまうと、どうしても場当たり的な営業になりがちです。展示会で成果を出すための考え方と具体的な進め方は、展示会営業 of 成功ガイドで体系的に解説しています。
試食の扱い方にも差がありました。試食を配ることが目的になっているブースと、試食をきっかけに「普段はどんな料理にお使いですか」と会話を始めるブースでは、会期後に残るものが決定的に違ってきます。
会場の様子
2日目の午前中から、主要通路の人の流れは十分に太かったです。最終日は16時終了ですから、バイヤーの多くが午前中に来場して効率よく回っている印象を受けました。
興味深かったのは、混雑の質です。人が滞留しているのは試食待ちの列だけではありませんでした。テーブルを挟んで名刺を交換し、その場でスマートフォンのメモを取り合っている場面を、あちこちで目にしています。
出展者は両日とも会場に滞在することが求められ、商品だけを置く展示は認められていません。このルールが効いているのでしょう。どのブースにも必ず話せる人が立っていて、来場者は聞きたいときにすぐ聞けます。
会場の空気は、率直に言って心地よいものでした。全国から集まった生産者が、自分の育てたものを自分の言葉で説明している。その光景に、僕はこの展示会の本質があると感じました。
相談コーナーが設けられていたのも、主催者の姿勢がよく表れている部分です。出展して終わりではなく、そのあとの資金や販路の相談まで受け止める構えが、金融機関主催ならではの強みになっています。

業界への意味
農業と食品産業は今、いくつもの課題に同時に向き合っています。生産者の高齢化、資材や燃料の高騰、気候変動による収穫の不安定さ、国内市場の縮小です。
こうした状況で、生産者が価格の受け手であり続けることには限界があります。だからこそ、自分の商品を自分で説明し、直接バイヤーとつながる場の価値が高まっているのです。
この展示会が19回も続いてきた理由は、まさにそこにあると僕は見ています。市場や卸を経由するだけでは伝わらない栽培のこだわりや加工の工夫が、ここでは2メートル四方の空間から直接伝わります。
会場で聞ける話は、すべて一次情報です。バイヤーがいま何に困っているのか、どんな規格を求めているのか、価格のどこに納得しないのか。これらはインターネットを検索しても出てきません。
AIがどれだけ賢くなっても、AIが扱うのは公開済みの二次情報です。会場で交わされる本音は、その場にいた人だけが持ち帰れる資産になります。AI時代において一次情報を持つ企業が強くなるという構造は、この会場を歩くとよくわかります。
今年の展示会トレンド
会場を歩いて感じたトレンドを、3つに整理してみます。
1つ目は、輸出を前提とした商品設計です。これまで輸出は「余力のある事業者の選択肢」でしたが、今回は小規模な事業者からも輸出の話が自然に出てきました。国内市場が縮小するなかで、輸出が特別なチャレンジではなくなりつつあるのでしょう。
2つ目は、認証やトレーサビリティの実装です。有機JASやGAP、FSSC 22000といった認証が、理念の表明ではなく取引条件として語られる段階に入っていました。認証マークを掲げているかどうかで、商談の入口の広さが変わってきます。
3つ目は、用途提案型への移行です。「良いものがあります」ではなく「この業態のこのメニューに、この形で使えます」という語り口が、確実に増えています。
この3つはいずれも、来場者の意思決定を助ける方向の変化です。展示会が商品の陳列場から、課題解決の相談窓口へと役割を移しつつあることの表れだと受け取りました。
過去のレポート
同じ展示会の過去のレポートを公開しています。業界の流れや変化を立体的に見る定点観測の材料になさってください。
展示会営業の専門家 清永健一のワンポイントアドバイス
この展示会に出展される方に、僕がお伝えしたいことは3つあります。
1つ目は、2メートル四方という枠を制約ではなく武器として捉えることです。装飾で差がつかない場では、言葉と人で差がつきます。165,000円の出展料でバイヤー1万人規模の場に立てるのですから、これほど中小企業にとって条件のよい展示会はそう多くありません。
2つ目は、掲示物を書き換えることです。「自社が言いたいこと」ではなく「来場者が知りたいこと」を書いてください。産地名と商品名だけのパネルは、残念ながら通路からは読まれません。
おすすめしたいのは、A3用紙1枚に「こんなお悩みはありませんか」と1行だけ書いて、テーブルの前面に貼ることです。準備に費用はかかりませんが、足が止まる回数は目に見えて変わります。
3つ目は、会期後のフォローです。展示会の成果は、名刺の枚数ではなく関係性で決まります。そして関係性の材料は、来場者が話してくれた課題の中にあります。
「今の仕入れで一番手間がかかっているのはどこですか」。この一言を聞けているかどうかで、会期後に打てる手の数が変わります。聞けていれば、後日の連絡は売り込みではなく相談の続きになるからです。
準備で8割が決まり、当日は関係構築に集中し、フォローで成果を確定させる。この3つのフェーズを一本の線として設計できれば、2メートル四方のブースは十分に強い営業拠点になります。
全国の生産者が自分の言葉で自分の商品を語る光景は、日本の食の底力そのものです。この場に立つ企業が一社でも多く成果を持ち帰れるよう、僕も微力ながら応援していきたいと思っています。
※この記事はAIを活用して作成しました。
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展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照。
展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。

