展示会は、業界の最新動向を把握したり、新しい製品・サービスを実際に見たり、取引先候補や専門家と直接話したりできる貴重な機会です。
一方、初めて展示会へ参加・見学する方からは、
- 展示会には誰でも参加できるのか
- 個人でも見学できるのか
- 何を準備して行けばよいのか
- 広い会場をどう回ればよいのか
- 出展企業へ何を質問すればよいのか
- 競合他社のブースを見学してもよいのか
- 名刺交換は必要なのか
- 展示会後のレポートには何を書けばよいのか
といった質問をよくいただきます。
展示会は、何となく会場を歩いて、カタログを集めて帰るだけでも参加できます。
しかし、それでは非常にもったいありません。
清永健一の結論
展示会見学とは「会場を見て回ること」ではありません。
事前に仮説を持って会場へ行き、
- 実物を見る
- 人に聞く
- 比較する
- 試す
- 自社の場合ならどうなるかを確かめる
ことで、WebやAI検索だけでは得られない一次情報を持ち帰る活動です。
「何社回ったか」より、
「会社へ持ち帰って次の意思決定に使える情報を何個取れたか」
を大切にしてください。
この記事では、展示会営業®コンサルタントとして累計1,300社超を支援し、ほぼ毎週のように展示会場を現地確認している清永健一が、展示会への参加・見学を成功させる方法を、事前準備、当日の回り方、質問、マナー、競合調査、名刺交換、展示会後のフォロー、レポート作成まで詳しく解説します。
さらに、株式会社展示会営業マーケティングが2026年4月に実施した、業務目的来場者1,089名への独自調査「展示会白書」のデータも使いながら、実際の来場者が何を目的に展示会へ行き、どのように行動しているのかも見ていきます。
展示会への参加・見学とは
展示会とは、企業・団体などが商品、技術、サービスなどを展示し、来場者が情報収集、比較検討、商談、体験などを行うイベントです。
BtoB展示会の場合には、主に企業の担当者が業務目的で参加します。
展示会によって、
- 業界関係者のみ
- 事前登録したビジネス来場者のみ
- 一般来場も可能
- 学生も参加可能
など参加条件が異なります。
参加したい展示会が決まったら、必ず主催者公式サイトで来場条件を確認してください。
展示会は個人でも参加できる?
展示会によって異なります。
一般公開されている展示会であれば個人でも参加できます。
一方、BtoB専門展示会では、会社名、部署名、業種などの登録が必要となり、業界関係者以外は参加できない場合があります。
「展示会だから誰でも入れる」とは限りません。
特に商談を目的とした専門展示会では、主催者が来場資格を設定しているケースがあります。
初めて展示会を見学する人でも大丈夫?
もちろん大丈夫です。
むしろ、初めてだからこそ、事前に、
- 何を見たいのか
- どんな会社を見たいのか
- 何を質問したいのか
を決めておくと、非常に有意義な見学になります。
専門知識が十分になくても、分からないことを出展者へ質問できます。
展示会は、専門家へ直接質問できる場でもあります。
展示会参加の目的を明確にする
展示会へ参加する前に、最初に決めたいのが参加目的です。
自社が所属する業界の展示会。
自社の顧客が所属する業界の展示会。
自社事業に関連するテーマの展示会。
同じ展示会でも、参加目的によって見るべき場所は変わります。
たとえば、
- 業界の最新トレンドを把握したい
- 新しい仕入れ先を探したい
- 導入候補の商品を比較したい
- 競合他社の動向を調べたい
- 将来自社が出展するために勉強したい
- 新規事業のヒントを探したい
- 顧客が何に興味を持っているか知りたい
- 特定企業と商談したい
などです。
目的が違えば、同じ会場でも見る景色が変わります。
展示会白書から見る|実際の来場者は何を目的に来ているのか
展示会へ行く前に、「自分は何を持ち帰るために参加するのか」を決めておくことが重要です。
展示会白書のデータ
業務目的来場者1,089名への調査では、展示会への来場目的として「情報収集や業界トレンドの把握」52.3%が最多でした。一方で、「特定の製品やサービスの商談」42.7%、「製品・サービスの実物を体験・確認すること」30.4%も挙げられています。
展示会は「情報を集めるだけの場」ではなく、商談、比較、実物確認など複数の目的を同時に果たせる場だと分かります。
清永健一の解説
最も多いのは「情報収集や業界トレンドの把握」ですが、展示会は単なる情報収集の場所ではありません。
来場者は、商談、比較検討、実物確認、競合調査など、複数の目的を持って会場に来ています。
ですから、展示会へ行く前に、
「今日、何を持ち帰ったら参加した意味があったと言えるか」
を決めてください。
単に「最新情報を集める」ではなく、
「自社の〇〇課題を解決できそうな方法を3つ持ち帰る」
「競合5社が何を訴求しているか比較する」
「次回出展時に使いたいブースの工夫を10個撮る」
というように、持ち帰る成果を具体化すると見学の質が上がります。
個人のスキルアップのための目標
展示会参加は、個人のスキルアップにも役立ちます。
自分の専門分野だけでなく、関連技術、隣接業界、顧客業界を見ることで視野が広がります。
たとえば、
- 最新技術を3つ理解する
- 知らなかった業界用語を10個持ち帰る
- 専門家へ3つ質問する
- 自社の常識と異なる考え方を5つ探す
など、自分なりの目標を設定するとよいでしょう。
また、出展者との会話を通じて、カタログやWebサイトだけでは得られない現場の知識を得られます。
展示会見学の事前準備
展示会見学を成功させるためには、事前準備が非常に重要です。
展示会場へ行ってから、
「さて、どこから見ようか」
と考えていると、時間を浪費します。
特に東京ビッグサイトや幕張メッセのような大型会場では、端から端まで移動するだけでも時間がかかります。
参加する展示会の情報収集
まず公式Webサイトを確認します。
主に見るのは、
- 開催日時
- 会場
- 来場登録方法
- 出展企業一覧
- 会場マップ
- セミナープログラム
- 特別展示
- 実演・デモ
- 参加資格
です。
特に、出展企業一覧と会場マップは事前に確認してください。
本サイトでも展示会レポートを公開していますので、参加予定の展示会が掲載されている場合は参考にしてください。
AI・Webで「答え」を調べてから、展示会で確かめる
現在は、展示会へ行く前に、Web検索やAI検索でかなりの情報を収集できます。
ですから、展示会場でWebサイトに書いてあることを一から説明してもらうだけではもったいありません。
先に、
- 商品の基本スペック
- 会社情報
- 公開されている導入事例
- 競合商品
- おおよその特徴
を調べます。
そのうえで、展示会では、
- 実際の操作感はどうか
- 自社条件でも使えるか
- 弱点は何か
- 公開されていない事例はあるか
- 技術者はどう考えているか
を聞きます。
清永健一の見学方法
AI・Webで情報を集める。
展示会で意味を確かめる。
この使い分けがおすすめです。
展示会まで行って、Webサイトに書いてある情報だけを聞いて帰るのではなく、
「ネットには出ていない一次情報を一つでも持ち帰る」
という意識で参加してください。
見学前に「仮説」を一つ書いておく
展示会見学を単なる情報収集で終わらせないために、私は会場へ行く前に「今、自分はこう考えている」という仮説を一つ書いておくことをおすすめします。
たとえば、
- 「この業界では省人化よりも品質安定の方が強い課題になっているのではないか」
- 「競合各社はAI機能そのものより、導入後の業務時間削減を訴求しているのではないか」
- 「次回自社が出展するなら、大型パネルより実演の方が来場者を止めやすいのではないか」
という具合です。
仮説があると、会場で見るもの、聞くこと、比較することが明確になります。そして、予想どおりだったのか、外れたのかを確認できます。
展示会は「答えをもらう場所」ではなく、「自分の仮説を一次情報で検証する場所」と考えると、同じ1時間でも持ち帰れるものが大きく変わります。
立ち寄るべきブースのチェックリストを作成する
展示会の時間を有効に使うには、事前に訪問候補をリストアップしてください。
私は、次の3分類にしておく方法をおすすめします。
| 分類 | 意味 |
|---|---|
| A | 必ず訪問するブース |
| B | 時間があれば訪問するブース |
| C | 会場で気になったら訪問するブース |
Aランクには、商談予定企業や導入候補、重要な競合などを入れます。
あわせて、ブース番号も記録しておきましょう。
展示会白書から見る|多くの来場者は事前に訪問候補を決めている
事前に訪問ブースを決めることは、特別に几帳面な人だけがやっているわけではありません。
展示会白書のデータ
業務目的来場者1,089名への調査では、少なくとも1社以上、来場前から訪問候補を決めていた人は90.6%でした。なかでも「3~5社」39.2%が最多です。
展示会は会場に入ってから行き先を考えるより、優先して確認したい企業を事前に決めておく方が、限られた時間を有効に使いやすいことが分かります。
清永健一の解説
多くの来場者は、数社程度を事前に決めて会場へ来ています。
これは来場者にとって合理的です。
広い会場を端から端まで漫然と歩くより、必ず確認したい企業を先に押さえ、残った時間で新しい発見を探す方が効率的だからです。
ただし、予定したブースだけを最短距離で回って帰るのも、展示会の価値を半分にしてしまいます。
「必ず見るブース」を決めたうえで、予定外の発見に使う時間も残す。
この両方を設計しておくのが、展示会見学のコツです。
各ブースで聞きたい質問を事前に一つ書いておく
訪問リストを作ったら、会社名だけで終わらせず、質問も書いておきます。
たとえば、
- 「うちの〇〇条件でも使えますか?」
- 「既存の〇〇との一番大きな違いは何ですか?」
- 「導入してうまくいかなかったケースはありますか?」
- 「どんな会社には向きませんか?」
- 「実際の導入先では何が一番評価されていますか?」
などです。
私は特に、
「どんな会社には向かないですか?」
という質問は有効だと思っています。
メリットだけでなく、適合条件や限界も確認できるからです。
商談したい企業には事前アポイントを取る
「絶対にこの会社と詳しく話したい」という企業があるなら、当日任せにしない方がよいでしょう。
大型展示会では、人気企業のブース担当者が常に接客していることがあります。
可能なら、事前に出展企業へ連絡し、
「〇日の〇時ごろ伺いたい」
とアポイントを取ります。
展示会当日の動き方
準備ができたら、いよいよ展示会当日です。
受付で参加証・来場者バッジを受け取り、会場マップを確認します。
事前登録が必要な展示会では、QRコードなどをすぐ提示できる状態にしておくとスムーズです。
最初に会場全体を把握する
大型展示会では、いきなり最初のブースへ突入する前に、
- ホール構成
- 目的ブースの位置
- セミナー会場
- 休憩場所
- 出口
を確認してください。
特に複数ホールを使う展示会では、移動時間を考えて回る必要があります。
効率的にブースを回る方法
私は、展示会見学では、
「必ず見る」→「気になる」→「偶然の発見」
の3段階で回る方法がおすすめです。
まずAランクの訪問先を確実に回ります。
その途中でBランクを見ます。
さらに、会場を歩きながら、予定していなかったCランクのブースにも立ち寄ります。
事前計画だけで固めすぎると、展示会ならではの偶然の発見を失います。
反対に、すべて偶然任せにすると、本当に見たかった企業を見逃します。
事前計画7割、偶然の発見3割くらいの感覚で考えるとよいでしょう。
1社に長居しすぎない
一つのブースで話が盛り上がると、30分、40分と経ってしまうことがあります。
それが重要な商談なら問題ありません。
しかし、情報収集が目的なら、時間配分を考えてください。
特に大きな展示会では、
「午後になったら見たいブースが残っているのに時間切れ」
ということがよくあります。
詳しい話をしたい場合には、展示会後にオンライン商談を設定する方法もあります。
実物は「見る」だけでなく、可能なら触る・動かす
展示会へ行く価値の一つが、実物を確認できることです。
Web上の写真や動画だけでは分からない、
- 大きさ
- 重さ
- 質感
- 操作感
- 音
- 動くスピード
- 使いやすさ
などを確認してください。
触ってよい展示物なら、スタッフへ確認したうえで実際に操作します。
説明を聞くより質問する
展示会でよくあるのが、出展者の会社説明を最初から最後まで聞く見学です。
もちろん必要なこともあります。
しかし、せっかく対面で専門家がいるのですから、自分から質問してください。
特に、
「自社の場合はどうですか?」
という質問が重要です。
一般論ではなく、自社条件に当てはめた情報を取ることができます。
競合他社の展示会ブースを見学する場合
GSCでも「展示会 競合他社 見学」でこのページが検索されています。
展示会参加の目的の一つとして、競合他社の調査を行う企業は少なくありません。
競合他社の動向調査も、展示会見学で行われる代表的な情報収集の一つです。単に商品を見るのではなく、競合が市場をどう捉え、何を顧客課題として訴求しているかまで観察してください。
競合を見るときは「何を売っているか」だけを見ない
競合ブースへ行くと、つい新製品や価格だけを見てしまいます。
私はそれ以外にも、
- 誰をターゲットにしているか
- どんな課題をキャッチコピーにしているか
- 何を一番大きく展示しているか
- 実物・デモをどう見せているか
- どんな質問をしているか
- 誰がブースに立っているか
- 来場者は何に反応しているか
を見ることをおすすめします。
商品を見るだけでなく、
「競合は市場をどう捉えているのか」
を観察します。
競合調査のマナー
競合企業だからといって、身分を偽って情報を聞き出す必要はありません。
また、撮影禁止のブースで無断撮影したり、公開していない情報を執拗に聞いたりすることも避けます。
主催者・出展者のルールを守って見学してください。
展示会参加時の持ち物
展示会見学であると便利なものをまとめます。
- 来場者登録用QRコード
- 名刺
- スマートフォン
- モバイルバッテリー
- メモ帳・ペン
- 会場マップ
- 訪問ブースリスト
- 質問リスト
- 両手が使いやすいバッグ
- 必要に応じて飲み物
スマートフォンにすべて入れても構いませんが、バッテリー切れに備えてモバイルバッテリーがあると安心です。
展示会参加時の服装・靴
BtoB展示会であれば、通常はビジネスに適した服装で参加します。
必ずスーツでなければならないわけではありませんが、商談相手と会う可能性があるなら、相手に失礼のない服装にします。
そして、意外に重要なのが靴です。
展示会場ではかなり歩きます。
履き慣れた靴をおすすめします。
荷物は、両手を使いやすいリュックや肩掛けバッグなども便利です。
展示会見学の注意点
予定を詰め込みすぎない
30社も40社も訪問予定に入れると、一つ一つのブースで十分に確認できなくなります。
優先順位を付けてください。
カタログを集めることを目的にしない
展示会へ行くと大量のカタログを持ち帰る人がいます。
しかし、カタログの多くはWebでも確認できます。
紙資料を集めるより、
「その場にいる人からしか聞けないこと」
を優先してください。
写真を撮る前に確認する
展示会では撮影可能なブースと撮影禁止のブースがあります。
特に新製品、試作品、技術情報などが展示されている場合は注意してください。
必要であればスタッフへ、
「写真を撮っても大丈夫ですか?」
と確認します。
長時間歩く前提で休憩する
展示会は想像以上に疲れます。
疲れた状態で回ると、後半の情報が頭に入らなくなります。
適度に休憩し、水分補給をしてください。
展示会で得た情報をその場でメモする
「会社に戻ってから整理しよう」
と思っても、数十社見学すると、どこのブースで何を聞いたのか混ざります。
私は、少なくとも、
- 何が面白かったか
- 何が自社に使えそうか
- 次に何を調べるか
を、その場で短くメモすることをおすすめします。
マナーと礼儀
展示会は多くの出展者・来場者が集まる場です。
基本的なビジネスマナーを守りましょう。
ブースで長時間担当者を独占しない
質問が多い場合や詳しい相談をしたい場合には、
「展示会後に詳しくお話しできますか?」
と次の機会をつくる方法があります。
名刺交換は必要な相手と行う
すべてのブースで名刺交換する必要はありません。
今後連絡を取りたい相手や、詳しい情報を送ってもらう相手と交換します。
名刺は通常のビジネスマナーに沿って丁寧に扱います。
スタッフが接客中なら割り込まない
担当者が他の来場者と商談中の場合には、無理に割り込まず、少し待つか別のブースを先に見ます。
サンプルやノベルティだけを目的にしない
出展者は、商品・サービスについて知ってもらうために展示しています。
サンプルやノベルティを受け取ること自体は問題ありませんが、それだけを目的にブースを回るような行動は避けましょう。
知識不足のときはどうする?
初めての業界展示会では、専門用語が分からないこともあります。
それでも問題ありません。
事前に基本情報を調べたうえで、分からないことは素直に質問してください。
たとえば、
「この業界は初めて勉強しているのですが、まず何を理解すればよいですか?」
「この商品と従来品の違いを初心者向けに教えていただけますか?」
と尋ねてもよいでしょう。
専門家と直接話せることが展示会の価値です。
展示会後のフォローアップ
展示会が終わったら、集めた情報をそのままにしないでください。
展示会参加の価値は、会場から帰った後に決まる部分も大きいです。
連絡先交換をした相手へのフォローアップメール
名刺交換した相手の中で、今後も関係を続けたい相手には、早めに連絡します。
その際、単に、
「昨日はありがとうございました」
だけではなく、
「〇〇について教えていただいた件が参考になりました」
「〇〇について社内で確認します」
など、実際の会話内容を入れます。
こうすると、相手も誰との会話だったか思い出しやすくなります。
「これは!」と思った出展者とは次の一歩を決める
本当に自社に役立ちそうな製品・サービスがあれば、展示会場で終わらせないでください。
- 詳しいオンライン説明
- デモ
- サンプル
- 見積
- 訪問
- テスト
など、次の具体的な行動につなげます。
展示会で取ったメモは「事実・解釈・次の行動」の3点で残す
展示会場でメモを取るときは、単に「良かった」「面白かった」と感想だけを書かないでください。
私は、メモを次の3つに分けると社内で使いやすくなると考えています。
- 事実:実際に見たこと、聞いたこと、数字、展示方法、来場者の反応
- 解釈:なぜそうなっていると考えたか、自社にどんな意味があるか
- 次の行動:誰が、何を、いつまでに確認・検討するか
たとえば「A社のブースが混んでいた」だけでは事実の一部しか残りません。
「A社は入口で製品名ではなく『検品人員を半減』と課題・成果を掲げており、実機デモに人が集まっていた。自社次回展でも、スペック説明より先に顧客課題を見せる案を検討する」と書けば、観察が次の改善につながります。
この形式で残しておくと、展示会レポートも書きやすくなり、AIへ入力して整理・比較するときにも、事実と自分の解釈が混ざりにくくなります。
展示会レポートを作成する
展示会へ業務として参加した場合は、レポート・報告書を作成することも多いでしょう。
展示会レポートの目的は、
「自分が行ってきたことを証明すること」ではありません。
展示会で得た情報を、行けなかった社内メンバーの意思決定に使える状態にすること
です。
展示会レポートの基本構成
基本的には、次のような構成が分かりやすいでしょう。
- 展示会名・日時・会場
- 参加目的
- 展示会全体で感じた変化・トレンド
- 注目した企業・商品・技術
- 競合動向
- 自社に関係する示唆
- 今後行うこと
展示会概要を延々と書くより、
「だから自社はどうするのか」
まで書くことが重要です。
展示会レポートのテンプレート
展示会名:
開催日:
会場:
参加目的:
今回確認したかった仮説:
業界全体で感じた変化:
注目した企業・商品:
競合他社の動き:
自社に活かせそうなこと:
自社として検討すべきこと:
次のアクション:
具体例|単なる感想を「経営に使える情報」に変える
たとえば、
「AI関連の展示が多かった」
だけでは感想です。
これを、
「競合5社中4社が、従来製品にAI機能を追加して訴求していた。特に〇〇用途への提案が目立った。一方、具体的な導入効果まで提示していた企業は1社だった。自社ではAI搭載そのものではなく、〇〇工程を何分短縮できるかという価値訴求を検討したい」
まで書けば、社内で次の議論に使えます。
写真だけのレポートにしない
ブース写真をたくさん貼り付けたレポートがあります。
写真は重要ですが、
「なぜその写真を撮ったのか」
を一言付けてください。
たとえば、
「ブース上段に顧客課題を掲示しており、当社次回出展の参考になる」
というように、意味を添えます。
名刺交換した企業も整理する
名刺交換した場合は、
- 会社名
- 担当者名
- 何を話したか
- 次に何をするか
を残しておきます。
名刺だけファイルしても、数週間後には会話内容を忘れます。
外部公開する展示会レポートのポイント
自社ホームページやnoteなどへ展示会見学レポートを公開する場合には、社内報告書とは少し目的が異なります。
読者に役立つ情報を整理してください。
基本情報に加えて、
- 現地で実際に見たこと
- 注目した展示
- 業界の変化
- 自社専門領域からの分析
を入れると、単なる公式サイトの要約ではない記事になります。
公式サイトに書いてある情報だけを並べない
開催日、出展社数、会場などだけなら、主催者公式サイトを見れば分かります。
わざわざ自社がレポートを書くなら、
「現地へ行ったから分かったこと」
を書いてください。
他社ブースの紹介は事実ベースで書く
他社の商品やブースを紹介する場合、誤った情報や一方的な評価にならないよう注意します。
撮影禁止の展示物を掲載しないことも重要です。
展示会見学で持ち帰るべき5つの一次情報
私は、展示会から帰るときに、少なくとも次の5種類の一次情報を持ち帰ることをおすすめします。
1.実物を見た感想
大きさ、質感、操作感、音、スピードなど、Webでは分かりにくいことです。
2.専門家から直接聞いた話
技術者、開発者、経営者などから聞いた、公開情報には載っていない話です。
3.顧客・来場者の反応
どの展示に人が集まり、何を質問しているかを観察します。
4.競合が強く訴求していたテーマ
商品そのものだけでなく、「今、何を顧客課題だと捉えているのか」を確認します。
5.自社で次に試したいこと
最後は、自社の行動に変換します。
「勉強になった」で終わらせず、
「来週〇〇を確認する」
「次回の商品会議で提案する」
「次回展示会で試す」
まで決めます。
展示会参加・見学のチェックリスト
展示会前
- □ 参加目的を決めた
- □ 今日持ち帰る成果を決めた
- □ 主催者公式サイトを確認した
- □ 来場登録を済ませた
- □ 出展企業一覧を見た
- □ 必ず訪問する企業を決めた
- □ ブース番号を控えた
- □ 会場マップを確認した
- □ 質問を用意した
- □ 商談したい企業には事前連絡した
- □ 名刺を用意した
- □ スマートフォン・バッテリーを準備した
展示会当日
- □ 会場全体の位置関係を最初に確認する
- □ 優先度の高いブースから回る
- □ 一つのブースに長居しすぎない
- □ 実物を見る
- □ 可能なら実際に触る・操作する
- □ 専門家へ質問する
- □ 「自社の場合ならどうか」を聞く
- □ 競合ブースでは訴求テーマも見る
- □ 撮影ルールを守る
- □ その場でメモを残す
- □ 適度に休憩する
展示会後
- □ 名刺・メモを整理する
- □ 重要な相手へ連絡する
- □ 約束したことを実行する
- □ 追加でWeb・AI検索する
- □ レポートを作成する
- □ 自社への示唆を整理する
- □ 次に行うアクションを決める
よくある質問|展示会の参加・見学
展示会は誰でも参加できますか?
展示会によって異なります。一般公開の展示会もあれば、業界関係者・ビジネス目的の来場者に限定している展示会もあります。必ず主催者公式サイトで来場資格を確認してください。
展示会は個人でも参加できますか?
一般公開の展示会なら個人参加できる場合があります。BtoB専門展示会では会社情報の登録や業界関係者であることが必要になる場合があります。
展示会へ初めて見学に行きます。何を準備すればよいですか?
来場登録、名刺、スマートフォン、モバイルバッテリー、訪問ブースリスト、質問リストを用意するとよいでしょう。
特に、「何を持ち帰るか」を事前に決めることをおすすめします。
展示会は何時間くらい見ればよいですか?
会場規模や目的によって変わります。
大型展示会で複数テーマを確認する場合には、半日以上確保した方がよいケースもあります。訪問社数より、目的に必要な一次情報を取れる時間を確保してください。
展示会では何社くらい回ればよいですか?
数を目標にする必要はありません。
数を目標にする必要はありません。自社にとって重要な情報が取れるかどうかを優先してください。
競合他社のブースを見学してもよいですか?
通常の来場資格を満たし、主催者・出展者のルールを守る範囲で見学できます。
撮影禁止を守る、身分を偽らない、公開されていない情報を無理に聞き出さないなど、通常のビジネスマナーを守ってください。
展示会では名刺交換した方がよいですか?
今後連絡を取りたい相手や、資料・情報を送ってもらう相手とは交換するとよいでしょう。
すべての出展者と交換する必要はありません。
展示会で写真を撮ってもよいですか?
展示会・ブースによってルールが異なります。撮影禁止表示がある場合は撮影せず、不明なら出展者へ確認してください。
展示会レポートには何を書けばよいですか?
展示会概要だけではなく、参加目的、業界の変化、注目企業、競合動向、自社への示唆、次のアクションまで書くことをおすすめします。
展示会見学は「情報を集める」のではなく「一次情報を取りにいく」
展示会への参加・見学を成功させるには、事前準備が重要です。
展示会名を調べる。
出展企業を調べる。
訪問候補を決める。
質問を考える。
そして当日は、
実物を見る。
触る。
専門家へ聞く。
比較する。
競合を見る。
その場でメモする。
展示会後には、その情報を整理し、社内で共有し、次の行動につなげます。
前述の展示会白書データからも、来場者は情報収集だけでなく、商談や実物確認など複数の目的を持ち、事前に訪問候補を決めて会場へ来ていることが分かります。
やはり、展示会参加は会場に入ってから始まるわけではありません。事前に仮説をつくり、会場で確かめ、帰社後に次の行動へ変換するところまでが展示会見学です。
清永健一の結論
展示会見学の成果は、「何社見たか」でも「何枚カタログを持ち帰ったか」でもありません。
Web・AIで事前に情報を調べ、
展示会では、
実物。
体験。
人との対話。
来場者の反応。
競合の動き。
という一次情報を取りにいく。
そして会社へ戻った後に、
「だから自社は次に何をするか」
へ変換する。
そこまでやって初めて、展示会へ参加・見学した価値が生まれます。
展示会営業®とは、展示会で名刺を集める活動ではなく、ターゲット企業との接点をつくり、商談・案件・売上につなげ、そのプロセスを通じて会社を強くする営業活動です。
全国の展示会を探す場合は、全国の展示会スケジュール、現地の様子を確認したい場合は、展示会レポート一覧もご覧ください。
展示会報告書をさらに詳しく作りたい方は、展示会報告書・レポートの書き方も参考にしてください。
今回引用した業務目的来場者1,089名への独自調査は、展示会白書で公開しています。
展示会で成果を出すコツを知りたい方へ
「次回、自社も展示会へ出展する予定なので、まず見学して勉強したい」
「展示会へ行っても、いつもカタログを集めて帰るだけになっている」
「競合ブースをどう見ればよいか分からない」
「展示会を自社の営業・マーケティングにどう活かせばよいか知りたい」
という方は、展示会を単発のイベントではなく、準備・当日・フォローまで一つの営業プロセスとして捉えることが重要です。
展示会を失敗させないセミナーでは、展示会を名刺集めで終わらせず、商談・案件・売上につなげる展示会営業®の考え方を体系的に解説しています。

展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照。
展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
