展示会に出展する際の準備は非常に重要です。本記事では、事前準備から当日の流れ、終了後のについて説明します。
目次
展示会の準備は、多岐にわたり、社内、社外の協力を仰がなければならないため、骨が折れるイメージがあります。しかし、1工程ずつ要点を押さえていけば、比較的容易に進めていくことができます。
この章では、展示会を準備する際の手順について解説します。
まずは社内での準備からスタートします。
展示会当日から6ヶ月前までに、社内で展示会出展の企画を立ち上げましょう。
※展示会企画書については、「通る!展示会企画書はこう書く」もご参照ください。
企画段階での内容の練り上げは、展示会で成果を出すために非常に重要です。
展示会出展の目的としては以下を設定するとよいでしょう。
また、目標としては、以下のようなものになるでしょう。
展示会出展の目的や達成したい目標、出会いたい相手が多く来場するかどうか、出展する商材と親和性の高いテーマかどうかなどの要素から展示会を選定し、申し込みを進めます。
※出展展示会の選び方は、「成果が出る展示会の選び方」もご参照ください。
早ければ開催の1年前から募集をかけている展示会もあります。早め、早めで準備を進めていきましょう。
出展のスケジュールが決定したら、次に出展コンセプトの策定に入りましょう。
※出展コンセプトのつくり方は、「出展コンセプトを練り上げる4つの質問とは?」もご覧ください。
ブースの場所は展示会ごとに決定方法が異なります。先着順で決定されることもあれば、参加企業がすべて確定した後に主催者がブースを割り振ったり、人気の場所は抽選になったりすることもあります。展示会によっては、ブースの2面が開放した角小間ブースを選ぶ際には、別途費用がかかるケースもあります。角小間は、多くの場合、成果を出しやすいケースが多いです。別途費用が発生しても極力角小間を押さえるようにしましょう。
また、社内のメンバーのうち、当日のブース接客は誰が担当するのかという当日の人繰りも大まかにはこの段階で決めておきましょう。
出展1ヶ月前までにブースレイアウトが完成し、制作物や準備物が全て揃っている状態が理想です。
残りの期間は万が一の事態に備える期間としておくことが望ましいでしょう。
準備した什器や制作物は、あらかじめ会場に搬送しておく必要があるため、搬送の申請書を会場宛に提出します。
実演や商材の説明に関しては、当日の接客スタッフ同士でロープレをするなどして練習をしておきましょう。
展示会が遠方で行われる場合は、スタッフの移動手段や宿泊先の確保も必要です。
多くの場合、開催前日には展示会場に入ることができます。現地での最終確認は、前日までに済ませておきましょう。
現地では、ブースの設営に関する不備や、不足している備品がないかなどをチェックします。
来場者数が少ないときと多いとき、それぞれの場合における導線の確保やスタッフの立ち位置にも配慮しておくと、当日の接客もスムーズです。
※スタッフの立ち方の詳細は、「即実践!マル秘テクニック」をご覧ください。
当日のスタッフと最終打ち合わせをして、様々な場面を想定しながらリハーサルをし、流れを再確認しておきます。
会場全体の配置も確認しておくとよいでしょう。
当日の朝にはあらためて、備品や機材の最終確認をします。スタッフの点呼を済ませた後は、当日の流れについて不安な点がないかを共有し合いましょう。
当日のブース対応では、来場者が少ない時間帯と多い時間帯の波があります。来場者が少ない時間帯はブース内に留まらず、他ブースへのあいさつ回りやレギュレーションの範囲内でのチラシ配りなど、スタッフを配置換えをすることも想定しておくとよいでしょう。また、ブースが閑散としている時間帯は、スタッフが、「さくら」として来場者のふりをするのも効果的です。人が人を呼び、賑わっている繁盛ブースをつくることを念頭に置いて行動しましょう。
展示会で出会った来場者との接点を、その後どのように活用するかは、展示会の成果に直結する最も重要なポイントです。
来場者の内、見込み度が高い方からは、名刺を交換したり、アンケート記入を促すなどし、連絡先をもらっておきましょう。
※名刺交換については、「展示会での名刺交換のコツ」もご覧ください。
つづいて、来場者へのアプローチや情報分析の仕方を紹介します。
展示会終了後は、来場者に対してお礼のメールを送信しましょう。
展示会での印象が薄れないうちに送信することが重要です。当日もしくは翌日に送ることがおすすめです。
この際、定型文であることを感じさせない文章を作成することがポイントです。
定型文と分かってしまうと読み飛ばされる可能性が高いため、せっかくのメール送信が意味をなさないことがあります。
来場者の業種や職種固有の内容やブースで受けた質問に回答する文章なら、来場客が「自分宛てである」と考えやすいでしょう。
※お礼メールについては、「展示会のお礼メールはこう書く!」もご覧ください。
展示会では、無数の来場者の中から見込み客になり得る人物を見極め、アプローチすることが重要です。
来場者の意図や要望を掴むことができるアンケートを入念に作成しましょう。
記入後のアンケートは集計・分析をして、見込み客の分類・セグメントに活用してください。
従来は紙媒体でのアンケートが主流でしたが、最近では集計の手間が少ないオンラインアンケートも活用されています。
※アンケートについては、「展示会アンケートはこうつくる!」もご覧ください。
展示会の会期中は、毎日、夕礼を行い、スタッフ全員で当日の反省点や明日から改善できることについてまとめましょう。
以下の要素から意見を出すと、次回の改善点が見つけやすいといえます。
これらのほかにも、気になった要素があれば積極的に意見を上げることが重要です。
反省点・改善点を整理し共有しておくと、展示会の会期中に自社のブース対応がブラッシュアップされていく上、次回の展示会出展の際にも活用できます。次回の費用対効果を高めることにつながるので、記録として詳細情報を残すことをおすすめします。
ここまでの内容を踏まえ、展示会の際に社内で共有すべき準備項目の一覧表を、以下に作成しています。
展示会準備にお役立てください。
準備期間 |
準備項目 |
担当者 |
締切 |
チェック欄 |
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〜6か月前 |
出展候補展示会の選出 |
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予算を組む |
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企画内容をまとめる |
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展示会の申し込み |
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展示会の目的・目標を決める |
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〜3か月前 |
ブース設営などの外注先の選定 |
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出展コンセプトを策定する |
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制作物準備(チラシ・タペストリー・アンケートなど) |
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スタッフの選定 |
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ブース装飾の決定・什器備品の発注 |
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ブース対応トークスクリプトの検討 |
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出展告知・休眠客等の集客方法の検討と実施 |
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〜1か月前 |
ブース装飾・制作物発注(チラシ・アンケート・名刺など) |
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搬入申請書提出 |
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スタッフの宿泊・交通手配 |
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ブーススタッフのロープレ |
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前日まで |
什器備品の搬入完了 |
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ブース設営完了 |
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スタッフ最終打ち合わせ |
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当日 |
ライト・BGM・モニターなどの機材確認 |
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配布物の確認 |
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スタッフの体調管理 |
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終了後 |
来場者へのお礼メール送信 |
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アンケート集計・分析 |
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反省点・改善点を社内共有 |
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展示会の準備を成功させるには、いくつかのコツを踏まえた行動が重要です。準備においてどのような流れが求められるのか、どんなポイントを理解しておくべきなのかを知ることが、結果的に展示会の効果を最大化します。以下では、展示会の準備におけるコツについて解説します。
展示会の準備を始めるときには、まず全体の流れを展示会プロジェクトチームのメンバー全体と共有しておきましょう。展示会の準備についての情報を、上層部や担当者だけが把握している状態だと、スタッフが準備のために上手く動けなくなる可能性があります。
また、「なぜこの作業が必要なのか」が伝わらなくなり、モチベーションの低下を招くケースもあるでしょう。そのためまずは展示会の準備における基本的な流れを、参加するプロジェクトメンバー全員に対して伝える必要があります。
先に紹介した全体のスケジュールを公開し、どのタイミングでどんな作業が必要になるのかイメージしてもらいましょう。準備の流れはいつでも確認できるように、データ化しておくのも1つの方法です。
展示会の準備時には、細かな目標設定も成功のコツになります。先に解説したスケジュールを見てもわかるように、展示会の出展にかかる準備は長期的に実施されます。そのため途中で具体的な方向性を見失ったり、作業の優先順位がわからなくなったりする可能性が懸念されるでしょう。
そこで展示会の準備に関する目標を複数設定して、適切な流れを維持できるように努めるのがおすすめです。「〇〇を完成させる」という目標を達成したら、すぐに「〇〇の準備を完了させる」といった目標に切り替えることで、無駄な時間を最小限に抑えられます。
プロジェクトメンバーが効率よく準備を進めるための指標にもなるので、展示会に参加するときには目標設定に時間をかけるのがポイントです。
展示会の準備時には、必要になるタスクを可視化するのも1つのコツです。先の解説通り展示会の準備は長期間実施されるため、やるべきことを明確にしておかないとスムーズな作業ができない可能性があります。
必要とされるタスクを可視化し、クリアしたものから順にリストから削除していくかたちを取ることで、効率よく展示会への参加準備を進められるでしょう。
タスクを可視化する際には、まずタスクの種類・項目をピックアップしてリストを作成します。そのうえで優先順位や期日を設定し、タスクとしてリマインド設定を行うのがポイントです。タスク管理ツールなどを用いることで、作業の確認忘れなどを防止できます。
簡単にタスク内容の可視化もできるため、関連ツールの導入も積極的に行うとよいでしょう。
展示会に関する理解度を深める機会を設けるのも、準備を成功させるコツです。展示会出展が初めての企業などは、不慣れな環境で上手く作業が進行しないケースも懸念されます。
特にスタッフが展示会の状況をイメージできていなかったり、参加のメリットを把握しきれていなかったりすると、準備作業の停滞を招くリスクがあるでしょう。そこでまずは展示会の理解度を深めるために、説明機会を設ける方法が考えられます。
社内で勉強会を開いたり、セミナーなどに参加して講習を受けたりと、さまざまなパターンで展示会への理解度を深めることが可能です。まずは具体的な方法を模索し、自社に最適なパターンを見つけ出すことがポイントです。
プロジェクトメンバー一人ひとりに対して、展示会の準備に関する役割を的確に割り振ることも成功につながります。準備に必要なスタッフ数を確保できても、それぞれに役割を提供できなければ、人材の有効活用ができません。結果的に集めた従業員を活用しきれず、準備も中途半端に終わるといったパターンも懸念されます。
まずは展示会の準備におけるタスクを管理し、スタッフごとに細かく割り振ることが重要です。スタッフも自分の役割がわかれば、自発的に行動してくれる可能性が高まります。それぞれのスタッフが最適な行動を取れるように備えるのも、展示会の準備を成功に導くきっかけになるでしょう。
展示会に出展したけれど、上手く効果を得られなかったというケースは珍しくありません。そこで展示会の失敗パターンを事前にチェックし、内容を反面教師にして役立てる方法も考えられます。なぜ失敗したのか、どんな原因があったのかを把握できれば事前に問題の予防と対処が行えます。
準備の段階で失敗する可能性を下げられれば、当日も安定した展示会運営が可能となるでしょう。インターネットやSNSなども参考に失敗パターンを分析して、同じ轍を踏まないように備えるのもコツです。
展示会の準備を進行する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。展示会の注意点を把握し、事前に備えができれば、自然と成功の確率が高まるでしょう。展示会準備の注意点については、以下で詳しく解説しています。実際に展示会の準備を始める前に、注意点の把握と共有も進めておきましょう。
展示会準備の際に、よく起こりがちな失策をもとに、注意点をまとめます。
展示会の予算は、準備の初期段階で決定しますが、予算分配は慎重に進めるようにしましょう。なぜなら、想定よりも大きい費用がかかるケースが多くあるためです。
展示会は、展示会場のその場で成約を得ることは困難です。
売上を過大に見込むのではなく見込み客の名刺情報獲得なども出展効果と考えて、費用対効果を算出しましょう。
展示会の目標を明確に設定し、展示会プロジェクトチーのすべての取り組みをそこに通じるようにしておくことが重要です。
目標設定の例としては、以下の要素があげられます。
展示会プロジェクトチーム内で共有している目標にばらつきがあると、当日の動きも連携が取りにくくなります。
展示会終了後の効果を測定しやすくするためにも、目標の明確化は必須と言えるでしょう。
展示会の集客では、来場者の導線でのチラシの配布、パネルや商品の展示が大きな働きをします。
※チラシの代わりに展示会専用名刺を使う方法もあります。詳細は、「展示会名刺 3つのポイント」もご参照ください。
効果を高める工夫として、例えば以下の工夫が有効です。
※体験アトラクションの詳細は、「ブースでの体験はこうつくる!」をご覧ください。
※セミナーについては、「ブース前ミニセミナーのコツ」をご覧ください。
数あるブースの中で、いかに来場者の興味を引くかを検討し、競合他社に差をつけましょう。
社内で、ブレーンストーミング的に、アイデア出しをするのもおすすめです。
展示会の準備を始めるときには、事前に必要なことを確認しておくのも有効な手段となります。勢いだけで準備を始めても、方向性を見失う可能性が高く、余計な混乱を生むリスクも懸念されるでしょう。以下を参考に、展示会の準備を始めるために必要なことを事前に確認してみてください。
準備を具体的に始める前に、参加する展示会の情報を確認してまとめる作業が必要です。展示会の雰囲気や方向性、参加する顧客の属性や会場の規模といった基本情報を確認したうえで、必要な準備を進めることが求められます。特に展示会への参加や開催が初めての場合には、積極的な情報収集を最初に行うのがおすすめです。
展示会の内容に合わせて準備の方法やスケジュールを組めれば、スムーズな参加が可能となります。逆に情報収集を満足に行わないままだと、途中で準備内容を変更したり、企画を練り直したりしなければならない可能性があります。展示会に関する情報収集を行う時間は、初期段階に確保するとよいでしょう。
展示会の準備を進めるなかで、社員に対する教育を積極的に実施するのもコツです。社員が展示会について正確に把握できていなかったり、間違った認識を持っていたりするケースは珍しくありません。共通の認識ができていないと、準備段階でトラブルを引き起こす可能性も考えられます。
全員で同じ方向を向いて準備ができるように、展示会に関する情報提供や準備に関する知識・技術の教育を実践し、共通認識を広めることもポイントです。
展示会の準備時には、さまざまなツールやパソコンソフトが役立つ可能性があります。例えばチラシのデザインなどは、専用のツールを使うことで本格的なものを作成できます。そういった必要な環境は早めに把握して、最善の状況を構築するのがポイントです。
専用ツールやソフトはすぐに使いこなせない可能性もあるため、練習する時間を確保するのがコツです。同時に、社内で各種ツール・ソフトを使える人材がいないか確認し、担当者として専任する方法も検討しておきましょう。
展示会の準備を進める際には、必要に応じて外注に依頼することも考えられます。展示会の参加・開催時に必要とされる準備のなかには、専門性の高い作業も多いです。自社の従業員では対応しきれないケースもあるため、外注してプロに依頼することも1つの方法となります。
外注すればすべての作業を任せられるので、人的リソースをほかの部分に活用できます。クオリティの高さにも期待できるため、展示会で想定以上の効果を得られる可能性もあるでしょう。
展示会準備においてよくある質問ベスト3つとその回答について解説します。
展示会に出展するメリットは以下の通りです。
特定のテーマに興味があり、購入意欲が高い見込み客と接点を持てる
コロナでも、見込み客とリアルに直接会うことができる
商材や技術・サービスを五感を使って伝えられる
商材の改善・改良の声を収集する場になる
自社の顧客への提供価値を見直し、営業手法等に落とし込むきっかけになる
業界に存在感を示すことができる
テレビ、新聞等に取材されやすい
備えておくべきポイントは以下の通りです。
出展回数を追うごとに情報も蓄えられるます。最初から素晴らしいマニュアルをつくろうとせず、徐々に作成を進めていくとよいでしょう。
ブーでの接客対応の成功例、失敗例、響いた言い回しなどをまとめておくと、似たケースに遭遇したときの対応のヒントになります。
展示会では、特定テーマに関心のある来場者が数千人、数万人は訪れます。
自社で1から集客することと比べると、見込み客と接点を持つという点で圧倒的に有効な手法です。
初回の準備には時間を要しますが、回数を重ねるとナレッジが蓄積され、マニュアルも体系化されていきます。
自社の商品・サービスを存分にアピールする場として、展示会をフル活用しましょう。
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