展示会場の様子がわかる動画です。
VIDEO
会場を歩いてまず感じたこと 東京ビッグサイトの東1・2ホールに足を踏み入れて、まず感じたのは音の質でした。にぎやかなのに、うるさくない。そういう会場です。
ジュエリーの展示会というと、華やかで写真映えする空間を想像される方が多いかもしれません。しかしJJFは、はっきりとビジネスの現場でした。
ブースの中では、ルーペを覗き込みながら石を確認する人がいます。その隣では、手帳を開いて年末商戦の仕入れ数量を詰めている人の姿がありました。
会場の入口付近に掲げられていた「AIでは伝えられない、人だから伝えられる価値がある」というメッセージが、僕にはとても印象的に映りました。この一文が、今年のJJFの性格をよく表しているように思います。
僕はこれまで数多くの業種の展示会を見てきました。その中でも宝飾業界は、対面でしか成立しない価値を最も色濃く残している業界のひとつです。
展示会基本情報 開催日時 2026年8月26日(水)から8月28日(金)までの3日間、開催されました。開場時間は10時から18時まで、最終日のみ17時終了という設定です。
今回で第34回を数える、歴史のある展示会になります。
会場 東京ビッグサイト 東1・2ホール(東京都江東区有明3丁目11-1)で開催されました。
2ホールを使い切った構成で、通路幅にゆとりがあり、商談テーブルを置いているブースが多いことが特徴的でした。
主催者 主催は、インフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社と一般社団法人日本ジュエリー協会(JJA)です。
世界最大級の宝飾展を手がける国際的な主催者と、日本の業界団体が組むという座組みになっています。国際的な商流と、国内業界の実情の両方に目配りが効いた運営で、その丁寧さは会場のあちこちに感じられました。
公式サイト 公式サイトはこちら
来場者層 「BtoBにこだわるプロのためのジュエリー展」という主催者の言葉どおり、来場者は宝飾専門店、百貨店、量販店のバイヤーが中心でした。事前登録制が徹底されており、一般のお客様が混ざることはありません。
加えて、卸売業者、デザイナー、加工職人、鑑別機関の関係者など、サプライチェーンのあらゆる立場の方が来場していました。海外からのバイヤーの姿も目立ちます。
今回は学生向けの特別招待プログラムも用意されていました。次世代の担い手に業界のリアルを見せようという設計で、こうした取り組みは業界の未来にとって大きな意味を持つはずです。
主な出展分野 ダイヤモンド、カラーストーン、真珠、ゴールドジュエリーといった王道の分野が中心です。そこにラボグロウンダイヤモンド、リジュエリー(中古・再生ジュエリー)といった新しい潮流が加わりました。
さらに、商品撮影、CAD、3Dスキャン、鑑別・検査機器といったジュエリーテクノロジーの分野も一角を占めています。素材から技術まで、業界を縦に貫く構成になっていました。
展示会の特徴 JJF最大の特徴は、開催時期にあります。8月末というタイミングは、宝飾業界にとって年末商戦の仕入れを決める季節にあたるのです。
つまりこの展示会は、「見て楽しむ場」ではなく「買い付けと企画提案の場」として明確に位置づけられています。来場者は目的を持って歩いていますし、出展者もそれを前提にブースをつくっていました。
もうひとつの特徴は、業界の垂直統合性です。石を売る人、加工する人、売り場に並べる人が、同じ会場に同時に存在しています。
この構造は他業種の展示会にはあまりない強みだと感じました。一枚の名刺交換が、そのまま次のシーズンの商品開発につながる。そんな密度がありました。
今回のみどころ 今回のみどころとして、まず挙げたいのがブライダルダイヤモンドパビリオンです。今年で3回目の開催となり、ラインナップがさらに充実していました。
婚姻件数が減少するなかで、ブライダル市場をどう捉え直すか。その問いに対する各社の答えが並んでいるようで、見ごたえがありました。
次に注目したのが、おかちまちパビリオンです。御徒町という日本有数の宝飾街に集まる職人と問屋が、まとまって出展していました。
個々では小規模な事業者が、地域という単位でまとまることで存在感を生む。これは中小企業の展示会戦略として、非常に示唆に富む形だと思います。
そして、ラボグロウン特集とリジュエリー特集。この2つは、業界がいま向き合っている変化そのものを可視化した企画でした。
加えて、山梨ワインマルシェや第9回ジュエリーコーディネーター接客コンテストといった催しも会場を彩っていました。商談一色にしない緩急のつけ方が、来場者の滞在時間を伸ばしていたように見えます。
注目ポイント 僕が最も注目したのは、ラボグロウンダイヤモンドの扱い方の変化です。数年前まで、この分野には業界内で戸惑いのようなものがありました。
ところが今回は、天然石とラボグロウンを対立させるのではなく、「輝きの選び方は、あなたが決める」というスタンスで並べて見せていたのです。市場に選択肢を提示するという成熟した構えに変わっていました。
リジュエリーの扱いも同様です。中古品を安価な代替品としてではなく、価値を引き継ぐ選択肢として提示していました。
もうひとつ注目したのが、ジュエリー技術特集のエリアです。3Dスキャンや商品撮影の機材が並び、実演にはじっくり見入る来場者が集まっていました。
職人技の世界にデジタルが入り込んでいく。その現場を目の当たりにできたことは、大きな収穫でした。
会場の様子 会場全体は、落ち着いたトーンで統一されていました。派手な呼び込みや大音量のBGMはほとんどありません。
その代わりに徹底されていたのが、照明です。石の輝きを引き出すためのライティングは、他業種の出展者がそのまま学べる水準にありました。
スポットの角度、色温度、背景の色。この3つを詰めているブースほど、来場者の足が止まっていたように見えます。
また、多くのブースが商談テーブルと椅子をしっかり用意していました。立ち話で終わらせず、座って話す前提の設計になっているのです。
座らせるということは、時間をもらうということです。展示会営業の観点から見ると、これは非常に重要な設計思想だと考えています。
通路には、商品を抱えて足早に移動するバイヤーの姿がありました。3日間という限られた時間のなかで、業界全体が動いている。そんな空気が会場に満ちていました。
業界への意味 今回の会場を歩いて強く感じたのは、宝飾業界がいま「価値の再定義」の只中にあるということです。
金相場の高騰、ラボグロウンの台頭、ブライダル市場の変化、そして中古流通の拡大。どれも業界の前提を揺さぶる変化です。
しかしJJFの会場に、悲観的な空気はありませんでした。むしろ、変化を新しい商機として捉え直そうとする前向きさが感じられたのです。
今回の展示会でも感じたのは、成果が出ている企業ほど「その場の対応」ではなく、事前・当日・事後までを一貫した設計で動いているという点です。この全体像を理解せずに出展してしまうと、どうしても場当たり的な営業になりがちです。展示会で成果を出すための考え方と具体的な進め方は、展示会営業 of 成功ガイド で体系的に解説しています。
実際、事前にバイヤーへ案内を送り、当日のアポイントを組んでいたブースは、初日の午前中から商談が途切れていませんでした。この差は、努力量ではなく設計の差だと思います。
今年の展示会トレンド 今年のJJFから読み取れたトレンドを、3つに整理してみます。
ひとつ目は、ストーリーの明示化です。石の産地、加工の背景、再生の履歴といった情報を、パネルやタブレットで丁寧に見せるブースが増えていました。
商品そのものではなく、商品に至るまでの物語を売る。この流れは宝飾業界に限らず、あらゆる業種に広がっている潮流でしょう。
ふたつ目は、テクノロジーとの融合です。CADや3Dスキャンが、もはや特殊な設備ではなく標準的な道具として語られていました。
3つ目は、人材育成への投資です。学生招待プログラムや接客コンテストといった企画が、展示会の中に自然に組み込まれていました。
展示会を商談の場だけで終わらせず、業界の未来をつくる場として使う。主催者のこうした姿勢には、率直に敬意を感じます。
過去のレポート 同じ展示会の過去のレポートを公開しています。業界の流れや変化を立体的に見る定点観測の材料になさってください。
ジャパンジュエリーフェア2025|現地観察レポート
ジャパンジュエリーフェア2025|現地観察レポート
ジャパンジュエリーフェア2023
ジャパンジュエリーフェア2022
ジャパンジュエリーフェア2024|現地観察レポート
あわせて、同じ宝飾分野の国際宝飾展 東京(ITJ)2026|現地観察レポート もご覧いただくと、業界の全体像がより鮮明に見えてくるはずです。
展示会営業の専門家 清永健一のワンポイントアドバイス JJFの会場で、僕が改めて確信したことがあります。それは、展示会が一次情報の宝庫であるということです。
AIが扱えるのは、すでに公開された二次情報にすぎません。しかし会場には、バイヤーが何に眉をひそめ、どの石の前で足を止めたかという生の反応があります。
「AIでは伝えられない、人だから伝えられる価値がある」という今年のメッセージは、まさにこの構造を言い当てていました。AIの時代だからこそ、一次情報を自分の手で掴んでいる企業が強くなります。
そのうえで、出展を検討されている方に実務的なアドバイスを3つお伝えします。
まず、出展目的を数字で決めてください。「認知向上」や「業界内でのPR」といった曖昧な目的では、当日の判断基準がぶれてしまいます。年末商戦向けの新規取引先を何社つくるのか、そこまで具体化することが出発点です。
次に、招待活動を必ず行ってください。JJFのように来場者が明確な業界展では、既存の取引先や見込み客に事前に声をかけるだけで、当日の商談密度が大きく変わります。
そして最後に、会期後のフォローを準備段階から設計しておくことです。名刺は成果ではありません。名刺を関係性に変えるプロセスまで含めて、はじめて展示会営業が完成します。
宝飾業界は、価格でも規模でもなく、目利きと信頼で勝負してきた業界です。それはまさに、中小企業が大企業と戦わずに勝つための構造そのものだと僕は思います。
3日間の熱気は、出展者、主催者、そして来場者それぞれの努力によって生まれていました。その積み重ねに敬意を表するとともに、この業界のさらなる発展を心から願っています。
※この記事はAIを活用して作成しました。
展示会で成果を出すコツを知りたい方へこのセミナーに参加すると、 成果を出すノウハウを習得できます。
オンライン展示会営業®セミナーの詳細はこちらをクリック
展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照 。 展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
展示会場の様子がわかる動画です。
VIDEO
会場を歩いてまず感じたこと 幕張メッセの5ホールに入ってすぐ、僕は少し立ち止まってしまいました。
展示会の入口というのは、たいてい大手企業の大型ブースが並び、華やかさで来場者を迎える構成になります。ところが今回まず目に入ってきたのは、地震体感車と、感震ブレーカーの実演でした。
楽しさを売る展示会が、いちばん目立つ場所に「もしもの時」を置いたわけです。
これは相当な意思決定だと感じました。
そしてその周りには、驚くほど人が集まっていたのです。親子連れが真剣な顔で説明を聞き、バイヤーの方々がメモを取り、若い来場者が体感車の順番待ちの列に並んでいました。
DIYという言葉が、趣味の領域から生活防衛の領域へと静かに広がっている。数字を確認する前に、会場の空気がそれを教えてくれました。
展示会基本情報 開催日時 2026年8月27日(木)から8月29日(土)までの3日間の開催でした。
時間は午前9時30分から午後5時まで、最終日のみ午後4時までという設定です。
会期の組み方に特徴があり、8月27日(木)・28日(金)が業界関係者向けのバイヤーズ・デー、8月28日(金)・29日(土)が一般PRデーとなっています。中日の28日が両方にまたがる構成になっているわけです。
会場 幕張メッセ 国際展示場 5・6・7・8ホール(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)でした。
4ホールを連続して使う構成で、ゾーンの切り替わりが歩いていて自然に伝わってくる動線設計になっていました。
主催者 一般社団法人 日本DIY・ホームセンター協会です。
後援には経済産業省、林野庁、千葉県、千葉市、日本貿易振興機構、アメリカ大使館商務部などが名を連ねています。
今回で62回目という歴史の長さは、それだけで大きな意味を持ちます。業界団体が半世紀以上にわたって市場づくりの場を守り続けてきた蓄積が、運営のあらゆる場面に表れていました。
公式サイト 公式サイトはこちら
来場者層 バイヤーズ・デーは、ホームセンター、スーパーセンター、GMS、百貨店、ドラッグストア、ディスカウントショップ、ホームインプルーブメント系専門店といった小売・卸売企業の仕入れ担当者が中心でした。
これに加えて、工務店や職人の方といったプロユーザーの姿も目立ちます。
一般PRデーになると層は一気に広がり、親子連れ、DIY愛好家、住まいのリフォームを検討中のご家族までが会場を埋めました。
今回の総来場者数は70,703人で、前回の66,340人から着実に伸びています。この数字の増え方も、後述する内容の変化と無関係ではないと僕は見ています。
主な出展分野 出展規模は603社、1,219小間でした。
分野としては、電動工具・手工具、建築資材・木材、塗料・接着剤、住宅設備、エクステリア・ガーデニング、収納・インテリア、家庭日用品、ペット関連、そして防災・防犯用品までが並びます。
ひとつの展示会でこれだけカテゴリの幅が広いのは、ホームセンターという業態そのものが「暮らしのすべて」を扱っているからでしょう。
展示会の特徴 この展示会の最大の特徴は、商談展と一般公開展を同じ会期の中に併せ持っている点です。
しかも先ほど触れたように、8月28日は両方が重なります。
つまり出展者は同じブースで、午前中にバイヤーと仕入れの話をし、午後に一般来場者から「これ、うちでも使えますか」という質問を受けることになるのです。
僕はこの構造を、出展者にとって非常に贅沢な設計だと考えています。
流通側が判断する「売れるかどうか」と、生活者が感じる「欲しいかどうか」を、同じ商品について続けて確かめられるからです。
この2つは、しばしばずれます。そのずれを自分の目で確認できる機会は、そう多くありません。
もうひとつの特徴は、体験型の企画が展示の中に深く組み込まれていることでした。単に見せるのではなく、触らせる、作らせる、使わせる。DIYという分野の本質に沿った設計だと感じます。
今回のみどころ 今回のショウテーマは「明日へつなげるDIY」でした。
このテーマのもとに、会場は3つのゾーンで構成されていました。
1つ目が【備える】ゾーンです。地震・豪雨といった自然災害への対策、防犯、そして酷暑対策が集約されていました。冒頭で触れた地震体感車や感震ブレーカーの実演に加え、防犯ガラスフィルムの強度を実際に叩いて確かめる実演、熱中症対策ウェアの試着コーナーなどが用意されていました。
2つ目が【作る】ゾーンでした。親子で本格的な木工家具を組み立てるプログラム、YouTuber「寿チャンネル」監修によるタンクレストイレ風のDIY体験、住まいの補修体験など、手を動かす企画が並びます。
3つ目が【知る】ゾーンです。電動工具の実践講座では職人の方が使い方のコツを直接教えており、子ども向けの「お仕事体験」ではホームセンターの仕事そのものを疑似体験できるようになっていました。
メインステージでは業界向け講演から一般向けトークショーまでが切れ目なく展開され、「JAPAN DIY大賞2026」の表彰式も行われました。
そして注目すべきなのが、8月28日・29日に実施された「DIY・ホームセンター業界就職合同説明会」です。今回は内容を拡充して実施されており、業界全体で人材確保に向き合う姿勢がはっきり見えました。
注目ポイント 僕がいちばん長く時間をかけて観察したのは、【備える】ゾーンの各ブースにおける「見せ方の差」でした。
防災商品というのは、実は展示会でもっとも売りにくいカテゴリのひとつです。
理由はシンプルで、来場者が「自分に必要だ」と思っていないからです。
災害は、まだ起きていません。ですから商品を並べただけでは、どうしても他人事として通り過ぎられてしまいます。
ところが、明確に人を集めているブースがありました。
共通していたのは、商品を見せる前に「状況」を見せていたことです。
たとえば、あるブースは施工後の完成写真ではなく、地震の揺れで家具が動いた瞬間の再現映像を先に流していました。別のブースでは、フィルムを貼っていない窓ガラスと貼った窓ガラスを並べ、来場者自身に工具で叩かせていたのです。
叩いた本人の表情が変わる瞬間を、僕は何度も目撃しました。そのあと必ず、その方は説明員に質問をしていました。
一方で、同じ性能の商品を丁寧にパネル展示していたブースは、残念ながら足が止まりにくかったように思います。
商品の優劣ではなく、「来場者の中に問題意識を立ち上げられたか」の差です。
今回の展示会でも感じたのは、成果が出ている企業ほど「その場の対応」ではなく、事前・当日・事後までを一貫した設計で動いているという点です。この全体像を理解せずに出展してしまうと、どうしても場当たり的な営業になりがちです。展示会で成果を出すための考え方と具体的な進め方は、展示会営業 of 成功ガイド で体系的に解説しています。
会場の様子 初日午前の段階から、主要通路の人の流れは途切れませんでした。
バイヤーズ・デーということもあり、名札を確認しながらの立ち話や、その場で商品を手に取っての商談が随所で行われています。
印象的だったのは、商談スペースを設けているブースの多くが、椅子ではなく「作業台」のような高さのテーブルを使っていたことでした。
座って向き合うのではなく、並んで商品を見ながら話す形です。工具や資材を扱う業界らしい発想で、これは実によく機能していました。
一般PRデーに入ると、会場の音の質が変わります。
電動工具の音、木を切る音、子どもの声。にぎやかではあるものの、うるさいとは感じませんでした。
ゾーン設計によって体験企画が適切に分散されていたためだと思います。この点は主催者の運営設計が非常に丁寧でした。
会場内には、サボテンの寄せ植えワークショップやお名前チャームの製作コーナーもあり、売上を災害義援金に寄付するチャリティ即売会も開かれていました。
猛暑の8月末、幕張までの長い動線を歩いてこられた来場者の皆さまに向けて、案内表示や休憩スペースの配置が行き届いていたことも書き添えておきたいところです。
業界への意味 今回の会場構成が示しているのは、DIY・ホームセンター業界の役割そのものが変わりつつあるという事実だと思います。
かつてのホームセンターは、「日曜大工の材料を買う場所」でした。
それが今、「暮らしのリスクに備える場所」へと重心を移しつつあります。
背景は明白です。地震や豪雨の頻発、猛暑の常態化、住宅の高経年化、そして職人不足による工事待ちの長期化。生活者が自分で何かをしなければならない場面が、現実に増えているのです。
つまりDIYは、趣味であると同時に、生活インフラの一部になりかけています。
これは業界にとって、市場が広がる話です。
同時に、責任が重くなる話でもあります。趣味の失敗は笑い話で済みますが、防災の失敗はそうはいきません。
だからこそ今回、多くのブースが「実演」と「講座」に力を入れていたのでしょう。売るだけでなく、使い方まで届ける。その姿勢が業界全体に共有されているように見えました。
今年の展示会トレンド 会場全体を通して見えてきた流れを、僕は4つに整理しました。
1つ目は、防災・防犯・酷暑対策の主流化です。かつては特設コーナー扱いだった領域が、今回は会場の中心に据えられていました。
2つ目は、リフォーム・リノベーション需要への対応でした。新築ではなく、いまある住まいを直して長く使う。その前提に立った商品と情報提供が増えています。
3つ目は、体験の高度化です。ただ触らせるのではなく、YouTuberとの連携のように「誰から教わるか」まで設計されているケースが目を引きました。
4つ目は、人材への投資です。就職合同説明会の拡充は、業界が自らの担い手を育てる段階に入ったことを意味します。
そしてこの4つを貫いているのが、「明日へつなげる」というテーマそのものでした。
商品の性能を訴えるのではなく、その商品がある暮らしの未来を見せる。展示会の表現として、非常に成熟した形だと感じています。
過去のレポート 同じ展示会の過去のレポートを公開しています。業界の流れや変化を立体的に見る定点観測の材料になさってください。
DIYホームセンターショー2025|現地観察レポート
DIYホームセンターショー2024|現地観察レポート
DIYホームセンターショー2023
JAPAN DIY ホームセンターショー 2022
展示会営業の専門家 清永健一のワンポイントアドバイス 今回のJAPAN DIY HOMECENTER SHOWを歩いて、改めて確かめられたことがあります。
それは、来場者が足を止めるのは「良い商品」の前ではなく、「自分に関係があると気づいた瞬間」だという事実です。
この展示会は、そのことがきわめてはっきり見える場でした。
防災商品というカテゴリは、来場者が最初から欲しいと思っているわけではありません。それでも人を集めたブースは、来場者の中に問題意識を立ち上げることに成功していたのです。
ですから中小企業の皆さまにお伝えしたいのは、ブースのいちばん目立つ場所に商品名や会社名を大きく掲げるのをやめてみてはいかがでしょうかということです。
代わりに置いていただきたいのは、お客さまが抱えている困りごとの言葉です。
「その窓、外から一撃で割られます」という一言のほうが、商品スペックの羅列よりもはるかに強く人を止めます。
そしてもうひとつ。今回の会場で強く感じたのは、実演の力でした。
説明ではなく、来場者ご自身の手を動かしていただく。その数十秒があるかないかで、その後の会話の深さがまったく違ってきます。実演は、来場者の課題を聞き出すための最良の入口なのです。
最後に、会期後のフォローについてもお話しさせてください。
展示会の成果は、当日ではなく、その後の連絡で決まります。集めた名刺の枚数ではなく、関係性に変えられた件数こそが本当の成果です。
特にバイヤーズ・デーで出会った仕入れ担当者の方には、会期中に聞いた課題の言葉をそのまま添えてご連絡なさることをおすすめします。それだけで、他社の一斉メールとはまったく違う受け取られ方をします。
展示会は、一次情報の宝庫です。
AIがどれだけ賢くなっても、防犯フィルムを叩いた来場者の表情や、酷暑対策商品を試着された方の一言といった一次情報は、現場に立った企業だけが手にできるものです。
だからこそ僕は、AI時代のいまこそ展示会が中小企業の最大の武器になると確信しています。
最後に、猛暑のなかこれだけの規模の場を丁寧に運営された主催者の皆さま、実演と体験に膨大な準備を注がれた出展者の皆さま、そして真剣に暮らしの課題と向き合っておられた来場者の皆さまに、心から敬意をお伝えしたいと思います。
DIYという営みは、自分の暮らしを自分の手でよくしていく力そのものです。その力を支える産業の未来は、これからさらに広がっていくはずです。
※この記事はAIを活用して作成しました。
展示会で成果を出すコツを知りたい方へこのセミナーに参加すると、 成果を出すノウハウを習得できます。
オンライン展示会営業®セミナーの詳細はこちらをクリック
展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照 。 展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
展示会場の様子がわかる動画です。
VIDEO
会場を歩いてまず感じたこと 僕は初日のビジネスデーに東京ビッグサイトへ足を運びましたが、会場に入った瞬間からすごい熱気でした。
商談見本市の初日というのは、本来もう少し落ち着いた空気になることも多いのですが、今回の西ホールはまったく違いました。
そして歩きながら強く印象に残ったのが、推し活と絡めた展開の盛況ぶりです。
キャラクターを「持ち歩く」「飾る」「連れ出す」といった文脈の商品が並ぶエリアには、バイヤーの方々が何重にも人の輪をつくっていました。
玩具業界が子ども向けの市場から、世代をまたぐ愛着の市場へと静かに軸足を移しつつある。そのことが、数字を見る前に会場の空気で伝わってきたのです。
展示会基本情報 開催日時 2026年8月27日(木)から8月30日(日)までの4日間の開催でした。
前半の8月27日(木)・28日(金)が業界関係者向けのビジネスデー、後半の8月29日(土)・30日(日)が一般公開のパブリックデーという構成になっています。
会場 東京ビッグサイト 西1・2・3・4ホール(東京都江東区有明3-11-1)です。
西ホールを大きく使い切る構成で、通路の幅にも余裕を持たせた設計がなされていました。
主催者 一般社団法人 日本玩具協会です。
今回で63回目という長い歴史を重ねてきた見本市であり、業界団体が主催者として市場づくりを担い続けてきた蓄積を感じます。
公式サイト 公式サイトはこちら
来場者層 ビジネスデーは、国内外のバイヤー、流通・小売関係者、報道関係者、そして業界研究に訪れる就活学生が中心でした。
パブリックデーになると来場者層は一気に広がり、親子連れから大人のコレクターまでが会場を埋めます。
ちなみに前回2025年は4日間で72,621人を動員しており、国内最大規模のおもちゃ見本市という位置づけは揺らいでいません。
主な出展分野 玩具・ホビー業界の全般が対象で、今回は186社(国内110社、海外76社)が約3万5000点を展示していました。
カードゲーム、ぬいぐるみ、フィギュア・プラモデル、知育玩具、ハイテク系トレンドトイ、キャラクターグッズなど、カテゴリの幅がとにかく広いのが特徴です。
展示会の特徴 この展示会の最大の特徴は、商談見本市と一般公開展を同じ会期の中に併せ持っている点でしょう。
前半でバイヤーと向き合い、後半でエンドユーザーと向き合う。出展者はこの2つの顔を4日間で連続して体験することになります。
これは出展者にとって、かなり贅沢な構造です。
流通側の「売れるかどうか」という判断軸と、生活者側の「欲しいかどうか」という感情の反応を、同じブースで続けて確かめられるからです。
僕はこの構造を、一次情報を二重に取得できる場だと考えています。
AIがどれだけ発達しても、実際にその商品を前にした人の表情や、手に取るまでの数秒の迷いは、ネット上のデータには存在しません。
今回のみどころ やはり注目度が高かったのは「日本おもちゃ大賞2026」の受賞商品展示です。
今回で18回目を迎え、応募総数は44社356点。そこから選ばれた受賞商品が並ぶコーナーには、常に人が滞留していました。
キダルト部門大賞はBANDAI SPIRITSの「PERFECT GRADE UNLEASHED 1/60 νガンダム」、アクション部門大賞はタカラトミーの「動くぞ!ギガドクターイエロー」でした。
この2つの並びを見るだけでも、いまの玩具市場が「大人の熱量」と「子どもの驚き」の両輪で動いていることがよくわかります。
パブリックデーには小学館主催の「コロコロ魂フェスティバル」が西2ホール内で併催され、ステージショーやスタンプラリーも展開されました。
ビジネスデーにはIPビジネスセミナーや業界研究セミナーが用意されており、就活学生が真剣にメモを取る姿も見かけました。
注目ポイント 僕が今回いちばん時間をかけて観察したのが、冒頭でも触れた推し活文脈の売り場づくりです。
ぬいぐるみやアクリルスタンド、缶バッジといった単品そのものは、決して新しいカテゴリではありません。
それでも人が集まっていたブースには、明確な違いがありました。
商品を並べるのではなく、「推しと過ごす時間」そのものを見せていたのです。
バッグに付けた状態、デスクに飾った状態、旅先に連れて行った状態。そうした使用シーンをブース内で再現しているところは、来場者の足が明らかに止まっていました。
逆に、同じような商品を美しく整列させただけのブースは、通り過ぎられてしまう場面も少なくありませんでした。
ここには出展成果を左右する本質が表れていると感じます。
今回、来場者の足を止めていたブースには共通点がありました。それは「誰に、何を伝えるのか」が明確に設計されていることです。こうした成果の出る展示会営業は、決して偶然ではなく再現可能です。その具体的な考え方と手順は、展示会成功のための全体像 で体系的にまとめています。
会場の様子 初日午前の時点で、西ホールの主要通路はすでに人の流れが途切れない状態でした。
特に大手メーカーの大型ブース周辺は、商談スペースがほぼ埋まっており、立ち話のまま名刺交換をされている場面も目立ちました。
海外バイヤーの姿も多く、英語や中国語での会話が至るところから聞こえてきます。
興味深かったのは、ブースの中で「音」の設計に差が出ていたことです。
玩具展はもともと賑やかな展示会ですから、音量で目立とうとすると全体に埋もれてしまいます。
むしろ、実演の合間に間を取って来場者に語りかけていたブースのほうが、しっかりと人を集めていました。
会場全体の雰囲気は、明るく、前向きで、しかし商談としての緊張感もきちんとある。そのバランスがとても健全だったと思います。
主催者側の運営も丁寧で、案内表示や動線整理が行き届いていました。これだけの規模の展示会をこの完成度で運営されている労力には、素直に頭が下がります。
業界への意味 数字の面からも、今回の熱気には裏づけがありました。
2025年度の国内玩具市場規模は1兆1664億円、前年度比106.3%で、6年連続の過去最高更新となっています。
なかでもカードゲーム・トレーディングカードは市場全体の約30%にあたる約3384億円まで拡大しました。
この伸びを支えているのが、大人もおもちゃを楽しむ「キダルト(キッズ+アダルト)」層と、インバウンド需要です。
つまり玩具業界は、「子ども人口の減少」という構造的な逆風の中で、顧客の定義を広げることによって成長を続けているわけです。
これは玩具業界だけの話ではありません。
自社の商品が誰のためのものかという前提を、市場側の変化に合わせて言い換えられた企業が伸びる。あらゆる業界に共通する示唆だと受け止めました。
今年の展示会トレンド 会場を通して見えてきた流れは、大きく3つに整理できます。
1つ目は、やはりキダルトトイです。大人が自分のために買う玩具という前提で、価格帯も表現も明確に上振れしていました。
2つ目は、ノスタルジアトイの再登場です。かつて遊んだ商品が現代の技術で復活し、親子二世代の会話を生む設計になっているものが目を引きました。
3つ目は、サステナビリティや投資といった社会トレンドを織り込んだ玩具です。遊びながら社会の仕組みに触れられる商品が、着実に増えています。
そしてこれら全体を横断していたのが、推し活という消費行動でした。
推し活は単なる流行語ではなく、「好きなものに使う時間とお金を肯定する文化」だと僕は捉えています。
この文化が定着したことで、玩具は年齢で区切られる商品から、愛着で選ばれる商品へと性質を変えつつあるのでしょう。
過去のレポート 同じ展示会の過去のレポートを公開しています。業界の流れや変化を立体的に見る定点観測の材料になさってください。
東京おもちゃショー2025|現地観察レポート
東京おもちゃショー2024|現地観察レポート
東京おもちゃショー2023
東京おもちゃショー2022
展示会営業の専門家 清永健一のワンポイントアドバイス 今回のTOKYOおもちゃショーを歩いて、改めて確認できたことがあります。
それは、成果の差は商品力の差ではなく、伝え方の設計の差だという事実です。
特に来場者数の多い展示会では、来場者が1つのブースを見る時間はほんの数秒しかありません。
その数秒で伝わるのは、商品スペックではなく「これは自分に関係がある」という感覚です。
ですから中小企業の皆さまにおすすめしたいのは、ブースの一番目立つ場所に商品名を大きく出すのをやめてみることです。
代わりに置くべきは、来場者が抱えている困りごとの言葉です。
「〇〇でお困りではありませんか」という一言があるだけで、通り過ぎるはずだった人が足を止めてくれます。
もう1つ大切なのが、会期後のフォローです。
展示会の成果は当日ではなく、その後の連絡で決まります。名刺を集めた枚数ではなく、関係性に変えられた件数が本当の成果なのです。
展示会は、一次情報の宝庫です。
AIがどれだけ賢くなっても、来場者の本音や市場の温度感といった一次情報は、現場に立った企業しか手にできません。
だからこそ僕は、AI時代のいまこそ展示会が中小企業の武器になると確信しています。
最後に、これだけの熱気ある場をつくり上げた主催者の皆さま、準備に膨大な時間を投じられた出展者の皆さま、そして真剣に商品と向き合っておられた来場者の皆さまに、心から敬意をお伝えしたいと思います。
おもちゃという産業は、人が誰かを好きになる気持ちを支える産業です。その未来はきっと、まだ広がっていくはずです。
※この記事はAIを活用して作成しました。
展示会で成果を出すコツを知りたい方へこのセミナーに参加すると、 成果を出すノウハウを習得できます。
オンライン展示会営業®セミナーの詳細はこちらをクリック
展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照 。 展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
展示会では、たくさんの人がブースに来てくれた。
名刺も予定以上に集まった。
会場では「盛況でしたね」と言われた。
ところが、1か月、2か月たってみると、商談は思ったほど増えていない。売上への貢献もよく分からない。
「あれだけ人が来たのに、なぜだろう?」
展示会のご相談を受けていると、ぼくはこうした話をよく耳にします。
このときぼくは、名刺の集め方だけを見直すことはしません。ブース装飾だけを変えることもしません。
見るのは、展示会の「入口・中身・出口」が一本につながっているか です。
入口とは、「誰に、何と伝えて気づいてもらうか」。中身とは、「ブースに入った人に、なぜこの会社を選ぶのかという判断材料を渡せているか」。出口とは、「興味を持った人が、次の商談へ進める道を用意しているか」です。
この3つのどこかが切れていると、ブースはにぎわっても売上につながりません。
反対に、3つが一本につながれば、必ずしも大きなブースや大量の名刺は必要ではありません。
この記事では、出展者536名・来場者1,089名を調査した『展示会白書』 と、ぼくが1,300社以上の企業を支援してきた現場経験をもとに、「名刺は集まるのに売上につながらない」という問題を3段階に分けて考えてみます。
展示会が売上につながらない企業は「入口・中身・出口」が別々になっている 展示会への出展が決まると、多くの企業では準備が分業されます。
ブースは装飾会社と検討する。チラシは販促担当がつくる。当日の接客は営業部門に任せる。会期後のフォローは集まった名刺を営業担当者へ渡して考えてもらう。
一つひとつの仕事としては、間違っていません。
問題は、それぞれが別々の目的で動き始めることです。
ブース担当は「目立つブースをつくろう」と考え、当日のスタッフは「名刺をたくさん集めよう」と考え、営業部門は会期後になってから「この人たちに何を提案すればいいのだろう」と考える。
これでは、展示会という一つの営業活動が途中で何度も分断されます。
ぼくは展示会を、数日間だけのイベントだとは考えていません。
「出会いたい相手に気づいてもらい、対面で判断材料を渡し、その関心を次の接点へ進める営業プロセス」 だと考えています。
ですから、ブースをつくる前に「出口」まで考えておく必要があります。
入口は「目立つこと」ではなく、役に立てる相手に自分事化してもらうこと 最初の関門は、通路を歩いている来場者に立ち止まってもらうことです。
ここで、多くの企業は「隣のブースより目立とう」と考えます。
もちろん、照明、色、ブースの見栄えは大切です。ただ、来場者が実際に何を見て立ち寄るブースを決めているのかを見ると、少し違う景色が見えてきます。
『展示会白書』の来場者調査では、「展示会でブースに立ち寄る際、重視する要素は何ですか?」という設問で、上位3つまで選んでもらいました。
来場者1,089名のうち、最も多い51.5%が選んだのは、「自社の業務課題に直結するキーワードや展示内容が目に留まったこと」 でした。
一方、「ブースの見た目や演出が目を引くこと」は20.3%です。
これは「装飾は不要」というデータではありません。
ぼくはこの結果を、装飾の役割は、来場者に見てもらうこと。 その先で足を止めてもらう決め手は、「これは自分の問題だ」と気づいてもらえる言葉である と捉えています。
たとえば、知名度がまだ高くない企業が、ブースの一番目立つ場所に会社名だけを大きく掲げても、初めてその会社を見る来場者には立ち寄る理由がありません。
それよりも、
「食品工場の洗浄時間を短縮したい方へ」 「多品種少量生産の段取り替えに悩む工場長へ」 「人手不足でも検品精度を落としたくない方へ」 というように、「誰の、どんな問題に役立つのか」を先に出した方が、自分との関係を判断しやすくなります。
これは、ぼくが展示会営業®ノウハウでお伝えしている「ワンブース・ワンアイテム・ワンターゲット」の考え方にもつながります。
展示スペースが小さい会社ほど、あれもこれも見せるのではなく、今回もっとも出会いたい相手と、その相手に提供したい価値を絞ることが重要です。
実際、ぼくが支援したある企業では、展示会直前にブースキャッチコピー を見直し、A4用紙に1文字ずつ印刷した簡素な看板を急きょ取り付けました。見た目は決して豪華ではありませんでしたが、有効名刺の獲得数は前年比3.7倍になりました。
ここで重要なのは、「安い装飾の方がよい」ということではありません。
誰に気づいてほしいのかが曖昧なまま装飾費を増やしても、成果の入口は改善しない ということです。
中身ではスペックの説明を繰り返すのではなく「選ぶための判断材料」を渡す ターゲットとなる来場者に足を止めてもらえた。
しかし、ここで安心してはいけません。
次に必要なのは、「わざわざ展示会場まで来たからこそ得られるもの」を渡すことです。
『展示会白書』では、来場者1,089名に「期待外れだと感じたブースの特徴」を複数回答で尋ねています。
そのうち35.1%が、「展示内容がWebサイトで得られる情報と大差なかった」 と回答しました。
いまは、来場者自身がWebや生成AIを使って、スペック、価格帯、対応規格、導入事例の概要などを事前に調べられる時代です。
その状態で展示会場まで来てもらい、Webサイトに載っている説明を営業担当者がそのまま読み上げるだけでは、新しい判断材料を渡せません。
では、対面では何を渡すべきなのでしょうか。
同じ来場者調査で、購買判断において「展示会での対面情報の方が影響が大きかった」「どちらかといえば展示会での対面情報」と回答した人は合計60.0%でした。
また、展示会で得た情報が購買意思決定に影響したと回答した来場者に、その内容を複数回答で尋ねると、44.1%が「実物を見たことで、導入への社内説得がしやすくなった」、39.9%が「担当者と直接話したことで、信頼性や対応力を確認できた」と回答しています。
ここから先は、データそのものではなく、ぼくの解釈です。
来場者が対面で確認しているのは、スペック表の数字だけではありません。
「自社の現場で本当に使えるのか」
「想定外のことが起きたとき、この会社はどう対応するのか」
「導入後も長く付き合える会社なのか」
そうした、検索結果だけでは判断しにくい部分を見ています。
だからぼくは、展示会では製品のスペックだけでなく、「なぜこの製品をつくったのか」「どんな課題を放置したくないのか」「顧客に対して何を大切にしている会社なのか」 まで伝えてほしいと考えています。
これが、BtoB営業における「理念」や「世界観」です。
ただし、理念をきれいに語れば売れる、という意味ではありません。
性能、品質、価格、納期、供給能力などの必要条件を満たしていることが大前提です。そのうえで、会社が語ることと、製品、社員の受け答え、提案内容、導入後の対応が一致していると、「この会社なら任せられそうだ」という判断材料になります。
ぼくは以前、ある企業の社長に「展示会で自社の想いや志を語ってください」とお願いしたことがあります。
最初は「照れくさいから嫌だ」と言っていましたが、最終的には若手社員と交代しながら、自社が何を実現したいのかを来場者に向けて語りました。
すると展示会後、その話を聞いていた大手企業の経営者から問い合わせがあり、その後の商談を経て受注につながりました。
もちろん、「想いを語れば受注できる」という因果関係を一般化するつもりはありません。
ただ、この事例は、スペック以外にも「誰が、何を大切にしてこの商材を提供しているのか」が、相手の関心を深める情報になり得ることを示しています。
展示会で自社の想いや志をどう伝えるか は、特に個別提案、長期取引、保守、伴走支援が重要な商材では考えておきたいテーマです。
反対に、仕様が厳密に決められており、価格や納期が主要な選定基準となる入札型の商材などでは、理念よりも客観条件の方が大きな比重を持ちます。
理念はスペックの代わりではありません。
スペックで比較された後に、「なぜこの会社を選ぶのか」を補うもの なのです。
出口がない展示会は、良い出会いまで「名刺の山」に変えてしまう 入口でターゲットに気づいてもらい、中身で「もっと知りたい」と思ってもらった。
それでも、出口がなければ売上にはつながりません。
出口とは、来場者が次に取る行動です。
たとえば、個別相談、現場診断、サンプル提供、テスト導入、デモ、技術打ち合わせ、ウェビナー、セミナー、工場見学などです。
ぼくは、これを展示会終了後に考えるのでは遅いと考えています。
展示会前に「この人が興味を持ってくれたら、次に何を提案するか」まで決めておきます。
なぜなら、展示会で出会った人は、その日、自社だけを見ているわけではないからです。
数日後に「先日はありがとうございました。弊社では〇〇を提供しております」とゼロから説明を始めれば、せっかく会場で生まれた関心がリセットされてしまいます。
『展示会白書』の出展者調査では、「展示会出展において感じている課題」を複数回答で尋ねたところ、536名の50.0%が「費用対効果が見えにくい」 と回答し、最も多い課題になりました。
費用対効果が見えなくなる大きな理由の一つは、最初から出口まで数値でつないでいないことです。
「名刺300枚」を目標にするのではなく、受注から逆算します。
たとえば、受注目標を3件とし、案件化後の受注率を20%、商談から案件化する割合を30%、有望接点から商談につながる割合を仮に置くなら、
受注 → 案件 → 商談 → 有望接点
という順番で必要数を逆算できます。
名刺数は目標そのものではなく、受注に向かう途中の数字になります。
展示会のROIを測る方法 を考えるときも、会期直後の売上だけで判断するのではなく、商談化、案件化、受注までの進み方を継続して見ることが重要です。
この考え方を象徴する事例が、空き家収益化コンサルティングを提供するゼロイエ社です。
同社はFRAXへの初出展時に、展示会でその場で売り切ろうとはしませんでした。
展示会で関心を持ってもらい、その場で次の「受注獲得型セミナー」へ申し込んでもらう導線を出展前から設計していました。
その結果、展示会終了から10日後までに有料セミナー34件とコンサルティング2件が成約し、合計336万6,600円の売上につながりました。
詳しい流れは展示会初出展から10日後に売上につながった実事例 でも紹介しています。
ここで真似してほしいのはセミナーそのものではありません。
展示会が始まる前から「次」をつくっていたこと です。
「入口・中身・出口」をA4一枚でつなぐ6項目の設計手順 ここまでの話を、実際の準備に落とし込みましょう。
ぼくは、装飾会社にブース案を依頼する前に、最低限、次の6項目を一枚に書き出すことをおすすめします。
誰と出会いたいのか 業種だけでなく、役職、置かれている状況、抱えている課題まで具体化します。その人は何に困っているのか 自社が言いたいことではなく、相手が日頃心の中でつぶやいている言葉まで考えます。通路から何と伝えるのか 「誰の、どの課題に、どう役立つか」が一瞬で分かるブースキャッチコピーにします。ブースで何を確かめてもらうのか 実物、デモ、比較、開発者との対話、導入時の注意点、失敗事例、会社の判断基準など、Webだけでは得にくい情報を用意します。興味を持った人に次に何をしてもらうのか 診断、サンプル、技術相談、デモ、セミナーなど、自社商材に合う次の接点を決めます。受注まで何を測るのか 有望接点、次回接点、商談、案件、受注を追跡し、どこで止まっているのかを確認します。この6項目が一本につながっているかを確認すると、展示会準備で「何にお金を使うべきか」も見えやすくなります。
たとえば、ターゲットに気づかれていないなら、装飾を豪華にする前にキャッチコピーを変える。
立ち寄ってはもらえるのに会話が深まらないなら、製品説明ではなく体験や質問への回答力を見直す。
良い会話はできているのに商談にならないなら、会期後の営業担当者を責める前に、その場で次回接点を提案できる設計になっているかを確認する。
こうすれば、「今年はなんとなく成果が悪かった」という反省ではなく、どこを直せばよいのか が分かるようになります。
展示会の成果は「何人集めたか」より、一本の流れを何人が進んだかで見る 展示会場は華やかです。
人だかりができれば、成功したように見えます。大量の名刺が積み上がれば、成果が出た気がします。
しかし、本当に見るべきなのは、その人たちがどこまで次へ進んだかです。
自社が役に立てる相手に気づいてもらえたか。
その人に、Web検索では得られない判断材料を渡せたか。
「もう少し話を聞いてみたい」と思った瞬間に、次の行動を用意できていたか。
ぼくは、この3つが展示会成果の背骨だと考えています。
そして、ここには中小企業ならではの強みがあります。
大企業のような巨大ブースをつくれなくても、ターゲットを深く理解することはできます。
大型モニターを何台も並べられなくても、開発者本人が来場者と話し、自社の考え方や技術の背景を伝えることはできます。
スタッフが何十人もいなくても、本当に役に立てる相手に絞って、次の商談まで丁寧につなぐことはできます。
1小間は、巨大ブースの縮小版ではありません。
ぼくはむしろ、「誰に、何を伝え、どこへ連れていくか」を研ぎ澄ませた小さな専門店 として設計すればよいと考えています。
展示会準備を始めるとき、最初にブースの色を決める必要はありません。
まず一枚の紙に、こう書いてみてください。
「今回、誰と出会い、その人に何を確かめてもらい、展示会の後に何をしてもらいたいのか?」
この一文に明確に答えられるようになれば、キャッチコピーも、展示内容も、接客も、フォローも、KPIも一本につながり始めます。
名刺を集める展示会から、出会いが次の商談へ自然に流れていく展示会へ。
その転換こそが、展示会営業®ノウハウでぼくがもっとも大切にしていることです。
展示会の成果設計についてよくある質問 1小間の小さなブースでも、この考え方は使えますか? 使えます。むしろ、展示できるものが限られる1小間ほど、対象者、訴求商材、伝える価値を絞る効果が出やすくなります。ただし、大型製品の展示や複数商材の比較が来場目的となる展示会では、必要なスペースを確保することも重要です。小さいこと自体を目的にする必要はありません。
ブースでは理念と製品説明のどちらを優先すべきですか? まず、来場者が検討するために必要な製品情報を正確に伝えることが前提です。そのうえで、競合とスペックが似ている、長期取引になる、導入後の支援が重要といった商材では、「なぜつくったのか」「何を大切にしているのか」といった会社の判断基準が選択材料になりやすいとぼくは考えています。
展示会のKPIは名刺枚数ではいけませんか? 名刺枚数も途中経過を把握する指標として使えます。ただし、名刺枚数だけを最終目標にすると、対象外の来場者との名刺交換まで増やす行動につながりやすくなります。有望接点、次回面談、商談、案件化、受注までを併せて追うことが重要です。
BtoBで受注まで半年以上かかる場合、展示会ROIはどう考えればよいですか? 会期直後の売上だけで結論を出さず、展示会起点のリードが商談、案件、見積、受注へどう進んだかを一定期間追跡します。短期売上だけでなく、購買プロセスをどこまで前進させたかを記録しておくことで、次回出展の改善材料をつくれます。
あなたの展示会の成功を心から応援しています!
※調査数値の出典:株式会社展示会営業マーケティング『展示会白書』。来場者調査は直近1年以内にBtoB展示会へ業務目的で来場した会社員1,089名、出展者調査は直近1年以内に展示会出展の責任者・担当者として携わった経験がある会社員536名を対象に、2026年4月に実施しています。回答形式は各数値の記載箇所に示したとおりです。
展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照 。 展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
展示会場の様子がわかる動画です。
VIDEO
会場を歩いてまず感じたこと 2日目に行きました。全国の美味しいものが都道府県別に並んでいて、その場にいるだけで幸せな気分になります。
東京ビッグサイト東1ホールに入ると、まず目に入るのが県名を掲げたサインの列です。北から南へ、ホールをひとまわりするだけで日本の食の地図を歩いたような感覚になりました。
そして、どのブースも装飾がシンプルです。大きな造作やLEDの壁があるわけではなく、テーブルの上に商品が並び、その後ろに生産者が立っている。それだけの構成が延々と続きます。
この「それだけ」が、実はこの展示会の最大の特徴なのだと僕は考えています。装飾で差がつかない場では、何で差がつくのか。その答えが会場の至るところに転がっていました。
展示会基本情報 開催日時 2026年8月19日(水)から8月20日(木)までの2日間です。初日は10時から17時まで、最終日は10時から16時までの開催となっていました。
会場 東京ビッグサイト 東1ホールです。東京都江東区有明3丁目11-1に位置し、りんかい線の国際展示場駅、ゆりかもめの東京ビッグサイト駅からアクセスできます。1ホールに集約されているため、2日あれば全ブースをしっかり回れる規模感です。
主催者 株式会社日本政策金融公庫が主催しています。政府系金融機関が主催する展示商談会という点が、この展示会の性格を決定づけていると言ってよいでしょう。
今回で19回目です。金融機関が19年にわたって農林漁業者と食品事業者の商談機会をつくり続けてきたこと自体に、僕は素直に敬意を覚えます。
公式サイト 公式サイトはこちら
来場者層 スーパーや百貨店のバイヤー、外食や中食のメニュー開発担当者、卸売業者、通販事業者、商社が中心です。前回は国内外から12,833名が来場し、38,839件の商談が行われました。
注目すべきは、一般の方の来場を主催者がはっきりとお断りしている点です。試食が多く並ぶ展示会でありながら、あくまで商談の場として運営されています。この線引きが、出展者の時間を守っているのだと感じました。
主な出展分野 国産の農林水産物と、それを主原料とする加工食品です。米や穀類、野菜、果実、畜産物、水産加工品、味噌や醤油などの調味料、麺類、菓子、飲料、酒類と、商品カテゴリーは23項目に及びます。
出展資格が「国内で農林漁業を営む者」と「国産農林水産物を主原料とする国内食品製造業者」に限定されているのも大きな特徴です。今回は518先分の商品情報がカタログにまとめられ、500小間規模で構成されていました。
展示会の特徴 この展示会を語るうえで外せないのが、小間の仕様です。1小間は2.0メートル×2.0メートル。出展料は税込165,000円です。
主催者自身が「大掛かりな装飾を必要とするイベントではありません」と明言しています。つまり、お金をかけた造作で目立つという戦い方が、そもそも想定されていないのです。
これは中小規模の事業者にとって、きわめて有利な条件だと僕は考えます。展示会で小規模企業が苦しむ最大の理由は、多くの場合ブース投資の差にあります。隣が数百万円の造作を組んでいる横で、簡易パネル1枚では見劣りしてしまうからです。
ところがこの展示会では、その差が最初から存在しません。2メートル四方という枠は、全員に等しく与えられた条件です。だからこそ、装飾がシンプルで小規模企業も成果を出しやすい展示会になっています。
もうひとつの特徴は、都道府県別の配置です。バイヤーは「産地から探す」という自然な動線で歩くことができ、出展者は同じ県の仲間と並ぶことで、単独では届かない存在感を得ています。
今回のみどころ 僕が今年もっとも興味深く見たのは、出展者情報の絞り込み軸でした。公式サイトの検索機能が、商品カテゴリーと都道府県だけでなく、輸出の取り組み状況で絞り込めるようになっています。
「すでに輸出している」「今後輸出を希望する」「意向はない」という3つの区分です。輸出という言葉が、一部の大手の話題ではなく、個々の生産者が自分の立ち位置を表明する項目になっているわけです。
認証の軸も充実していました。有機JAS、GAP認証、FSSC 22000といった取得認証で絞り込めるようになっており、会場でも認証マークを大きく掲げるブースが目立ちました。
加えて、地域ブランド、有機・オーガニック、スマート農業といった取り組みの軸もあります。「何を作っているか」だけでなく「どう作っているか」で選ばれる時代に入ったことが、この検索軸から読み取れるのではないでしょうか。
注目ポイント ブースを一つずつ見ていくと、足が止まる場所と通り過ぎられる場所の差が、はっきりと分かれていました。装飾がほぼ同じ条件なのに、なぜ差が生まれるのか。ここが今回いちばん考えさせられた点です。
足が止まるブースには、テーブルの上か背面パネルに「一言」がありました。産地名と商品名だけでなく、「この商品はこういう場面で使える」という一文が、通路から読める大きさで置かれているのです。
たとえば、同じ加工トマトを扱う2つのブースがあったとします。片方は「○○県産完熟トマト」、もう片方は「業務用パスタソースの原価を下げたい方へ」。後者に人が集まるのは、来場者が自分に関係のある展示だと一瞬で判断できるからです。
逆に、素晴らしい商品を持ちながら通り過ぎられているブースも少なくありませんでした。その多くは、商品を並べることが展示になってしまっている状態でした。
今回の展示会でも感じたのは、成果が出ている企業ほど「その場の対応」ではなく、事前・当日・事後までを一貫した設計で動いているという点です。この全体像を理解せずに出展してしまうと、どうしても場当たり的な営業になりがちです。展示会で成果を出すための考え方と具体的な進め方は、展示会営業 of 成功ガイド で体系的に解説しています。
試食の扱い方にも差がありました。試食を配ることが目的になっているブースと、試食をきっかけに「普段はどんな料理にお使いですか」と会話を始めるブースでは、会期後に残るものが決定的に違ってきます。
会場の様子 2日目の午前中から、主要通路の人の流れは十分に太かったです。最終日は16時終了ですから、バイヤーの多くが午前中に来場して効率よく回っている印象を受けました。
興味深かったのは、混雑の質です。人が滞留しているのは試食待ちの列だけではありませんでした。テーブルを挟んで名刺を交換し、その場でスマートフォンのメモを取り合っている場面を、あちこちで目にしています。
出展者は両日とも会場に滞在することが求められ、商品だけを置く展示は認められていません。このルールが効いているのでしょう。どのブースにも必ず話せる人が立っていて、来場者は聞きたいときにすぐ聞けます。
会場の空気は、率直に言って心地よいものでした。全国から集まった生産者が、自分の育てたものを自分の言葉で説明している。その光景に、僕はこの展示会の本質があると感じました。
相談コーナーが設けられていたのも、主催者の姿勢がよく表れている部分です。出展して終わりではなく、そのあとの資金や販路の相談まで受け止める構えが、金融機関主催ならではの強みになっています。
業界への意味 農業と食品産業は今、いくつもの課題に同時に向き合っています。生産者の高齢化、資材や燃料の高騰、気候変動による収穫の不安定さ、国内市場の縮小です。
こうした状況で、生産者が価格の受け手であり続けることには限界があります。だからこそ、自分の商品を自分で説明し、直接バイヤーとつながる場の価値が高まっているのです。
この展示会が19回も続いてきた理由は、まさにそこにあると僕は見ています。市場や卸を経由するだけでは伝わらない栽培のこだわりや加工の工夫が、ここでは2メートル四方の空間から直接伝わります。
会場で聞ける話は、すべて一次情報です。バイヤーがいま何に困っているのか、どんな規格を求めているのか、価格のどこに納得しないのか。これらはインターネットを検索しても出てきません。
AIがどれだけ賢くなっても、AIが扱うのは公開済みの二次情報です。会場で交わされる本音は、その場にいた人だけが持ち帰れる資産になります。AI時代において一次情報を持つ企業が強くなるという構造は、この会場を歩くとよくわかります。
今年の展示会トレンド 会場を歩いて感じたトレンドを、3つに整理してみます。
1つ目は、輸出を前提とした商品設計です。これまで輸出は「余力のある事業者の選択肢」でしたが、今回は小規模な事業者からも輸出の話が自然に出てきました。国内市場が縮小するなかで、輸出が特別なチャレンジではなくなりつつあるのでしょう。
2つ目は、認証やトレーサビリティの実装です。有機JASやGAP、FSSC 22000といった認証が、理念の表明ではなく取引条件として語られる段階に入っていました。認証マークを掲げているかどうかで、商談の入口の広さが変わってきます。
3つ目は、用途提案型への移行です。「良いものがあります」ではなく「この業態のこのメニューに、この形で使えます」という語り口が、確実に増えています。
この3つはいずれも、来場者の意思決定を助ける方向の変化です。展示会が商品の陳列場から、課題解決の相談窓口へと役割を移しつつあることの表れだと受け取りました。
過去のレポート 同じ展示会の過去のレポートを公開しています。業界の流れや変化を立体的に見る定点観測の材料になさってください。
アグリフードEXPO 2024 レポート
アグリフードEXPO レポート(過去記事)
展示会営業の専門家 清永健一のワンポイントアドバイス この展示会に出展される方に、僕がお伝えしたいことは3つあります。
1つ目は、2メートル四方という枠を制約ではなく武器として捉えることです。装飾で差がつかない場では、言葉と人で差がつきます。165,000円の出展料でバイヤー1万人規模の場に立てるのですから、これほど中小企業にとって条件のよい展示会はそう多くありません。
2つ目は、掲示物を書き換えることです。「自社が言いたいこと」ではなく「来場者が知りたいこと」を書いてください。産地名と商品名だけのパネルは、残念ながら通路からは読まれません。
おすすめしたいのは、A3用紙1枚に「こんなお悩みはありませんか」と1行だけ書いて、テーブルの前面に貼ることです。準備に費用はかかりませんが、足が止まる回数は目に見えて変わります。
3つ目は、会期後のフォローです。展示会の成果は、名刺の枚数ではなく関係性で決まります。そして関係性の材料は、来場者が話してくれた課題の中にあります。
「今の仕入れで一番手間がかかっているのはどこですか」。この一言を聞けているかどうかで、会期後に打てる手の数が変わります。聞けていれば、後日の連絡は売り込みではなく相談の続きになるからです。
準備で8割が決まり、当日は関係構築に集中し、フォローで成果を確定させる。この3つのフェーズを一本の線として設計できれば、2メートル四方のブースは十分に強い営業拠点になります。
全国の生産者が自分の言葉で自分の商品を語る光景は、日本の食の底力そのものです。この場に立つ企業が一社でも多く成果を持ち帰れるよう、僕も微力ながら応援していきたいと思っています。
※この記事はAIを活用して作成しました。
展示会で成果を出すコツを知りたい方へ このセミナーに参加すると、 成果を出すノウハウを習得できます。
オンライン展示会営業®セミナーの詳細はこちらをクリック
展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照 。 展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
展示会場の様子がわかる動画です。
VIDEO
会場を歩いてまず感じたこと 2日目に行きましたがすごい熱気です。東京ビッグサイト東館に足を踏み入れた瞬間、通路の密度と話し声の量で、この展示会が今どういう状態にあるのかがすぐに伝わってきました。
例年以上に、養殖や鮮度管理、流通などの周辺技術の展示にも活気があるように感じました。魚そのものを見せる展示会でありながら、その魚を「どう育て、どう運び、どう鮮度を保つか」を語るブースに人が集まっていたのです。
水産物の展示会は、試食があるぶん賑わいが生まれやすい場です。しかし今年の熱気は、試食待ちの列だけでは説明がつきません。
商談テーブルに座り込み、資料を広げて話し込んでいる組み合わせが、どの通路にも見受けられました。会場全体が「見学」ではなく「相談」のモードに入っている、という印象を受けました。
展示会基本情報 開催日時 2026年8月19日(水)から8月21日(金)までの3日間です。開催時間は10時から17時まで、最終日のみ16時までとなっています。
会場 東京国際展示場、東京ビッグサイト東館です。東京都江東区有明3丁目10-1に位置し、りんかい線やゆりかもめでアクセスできます。
主催者 一般社団法人大日本水産会が主催しています。水産業界の中核団体が28回にわたって積み上げてきた歴史そのものが、この展示会の信頼性を支えていると言えるでしょう。
公式サイト 公式サイトはこちら
来場者層 水産バイヤー、食品バイヤー、漁業者、養殖業者が中心です。加えて、外食や中食のメニュー開発担当者、量販店のバイヤー、輸出入に関わる商社、水産加工機器の導入を検討する製造現場の担当者など、水産物が食卓に届くまでの全工程の関係者が集まります。
主な出展分野 水産物および水産加工品が中心ですが、同時開催展の幅広さがこの展示会の大きな特徴になっています。すしEXPO、国際水産養殖技術展、鮮度流通技術展、フィッシュネクスト技術展、アクアポニックスEXPOコーナー、水産エコラベルコーナー、海と水産業のSDGsコーナー、衛生管理推進コーナーが並び、規模は1,400小間に及びます。
展示会の特徴 この展示会の面白さは、「食材」と「技術」が同じ屋根の下に置かれている点にあります。多くの業界展示会は、素材の展示会と設備の展示会が別々に開催されるのが一般的です。
ところがシーフードショーでは、産地のブースの隣に冷凍機のブースがあり、その先にエコラベルの認証コーナーが続きます。来場者は歩きながら、商品の話と技術の話を自然に往復することになります。
この構造は、出展者にとって非常に有利です。自社の商品を売るだけでなく、「なぜその品質が実現できるのか」を、隣の技術展示を引き合いに出しながら説明できるからです。
もうひとつの特徴は、全国の産地が地域単位でまとまって出展していることです。県単位、漁協単位のブースが並ぶ光景は、日本の水産業の地図をそのまま歩いているような感覚を与えてくれます。
今回のみどころ 僕が今年もっとも注目したのは、養殖関連の展示の質的な変化です。かつての養殖関連展示は、飼料や生簀といった資材の紹介が中心でした。
今回は、水温や溶存酸素をセンサーで測り、給餌のタイミングを最適化するといったデータ活用の話が前面に出ていました。「勘と経験」を否定するのではなく、それを数値で裏づけて次世代に引き継ぐ、という文脈で語られていたのが印象的でした。
鮮度流通技術展の一角も見応えがありました。急速凍結や解凍の技術は、単なる設備の話ではなく、「これまで流通に乗らなかった魚を商品にする」という新しい市場創出の話になっています。
すしEXPOの周辺も相当な人の流れです。海外バイヤーの姿が目立ち、日本の水産物が世界の食卓とどうつながっているかを、会場の空気そのものが物語っていました。
注目ポイント ブースを一つずつ見ていくと、来場者の足が止まっている場所と、通り過ぎられている場所の差がはっきり分かれます。
足が止まるブースには、必ず「一言」がありました。産地名や社名を大きく掲げるだけでなく、「この魚をこう使うと、こういう課題が解決する」という提案が、遠目からでも読み取れる形で示されているのです。
逆に、素晴らしい商品を扱っていながら通り過ぎられてしまうブースもありました。その多くは、商品名の羅列だけで、来場者が自分に関係のある展示かどうかを判断できない状態になっていました。
今回、来場者の足を止めていたブースには共通点がありました。それは「誰に、何を伝えるのか」が明確に設計されていることです。こうした成果の出る展示会営業は、決して偶然ではなく再現可能です。その具体的な考え方と手順は、展示会成功のための全体像 で体系的にまとめています。
もう一点、試食の扱い方にも大きな差がありました。試食を配ることが目的になっているブースと、試食をきっかけに「普段どんな用途でお使いですか」と会話を始めるブースでは、その後に残るものが全く違ってきます。
会場の様子 東館の通路は、2日目の午前中から人の流れが太く、正午前後には主要動線で立ち止まるのが難しいほどでした。
一方で、奥のエリアや技術系の展示ゾーンは、比較的落ち着いた密度が保たれていました。ここが今年の面白いところで、人が少ないのではなく、一人あたりの滞在時間が長いのです。
担当者と来場者が図面や仕様書を挟んで長く話し込んでいる場面を、何度も目にしました。これは、その場の判断で買うものではなく、社内で検討して導入するものを扱っているブースの特徴だと言えます。
会場スタッフの方々の動きも丁寧でした。1,400小間という規模を3日間にわたって滞りなく運営し続けることの大変さを思うと、主催者と運営に携わる皆さんの努力には頭が下がります。
業界への意味 水産業は今、いくつもの構造変化に同時に直面しています。漁獲量の変動、海水温の上昇、担い手の減少、輸出市場の再編といった課題が、それぞれ独立してではなく絡み合いながら押し寄せている状況です。
だからこそ、この展示会で「周辺技術」に活気が出ていることには、大きな意味があると僕は考えます。獲れる魚が変わるなら、育てる技術と保つ技術と運ぶ技術で価値を作る、という発想の転換がそこにあるからです。
これは、水産に限った話ではありません。主力商品が置かれている環境が変わったとき、企業が生き残る道は、周辺領域に自社の強みを再配置することにあります。
会場に並ぶ中小企業のブースは、その再配置の実例集でもありました。長年培った加工技術を新しい魚種に応用する、冷凍のノウハウを別の食材に展開する、といった話を、僕は今年いくつも聞くことができました。
今年の展示会トレンド 今年の会場を歩いて感じたトレンドは、大きく3つに整理できます。
1つ目は、データと現場の接続です。センサー、記録、可視化といった言葉が、実験段階ではなく実務の言葉として語られるようになりました。
2つ目は、サステナビリティの実装化です。水産エコラベルやSDGs関連のコーナーが独立して置かれているだけでなく、一般の出展ブースの説明の中に認証や資源管理の話が自然に組み込まれていました。理念の掲示から、取引条件としての実装へと段階が進んだ印象を持ちます。
3つ目は、用途提案型の展示への移行です。「良い魚があります」ではなく「この業態のこのメニューに、この形で使えます」という語り口が増えていました。
この3つは、いずれも来場者の意思決定を助ける方向への変化です。展示会が情報の陳列場から、課題解決の相談窓口へと役割を移しつつあることの表れではないでしょうか。
過去のレポート 同じ展示会の過去のレポートを公開しています。業界の流れや変化を立体的に見る定点観測の材料になさってください。
ジャパン・インターナショナル・シーフードショー2025|現地観察レポート
ジャパン・インターナショナル・シーフードショー2024|現地観察レポート
ジャパン・インターナショナル・シーフードショー2023
展示会営業の専門家 清永健一のワンポイントアドバイス この展示会に出展される企業の方に、僕がお伝えしたいことは一つです。試食と名刺を目的にしないでください。
水産物の展示会は、試食があるので賑わいが作りやすく、名刺も集まりやすい場です。しかしその賑わいは、成果と同じものではありません。
展示会の最大の収穫は、名刺の枚数ではなく関係性です。そして関係性を作る材料は、来場者が話してくれる一次情報の中にあります。
「今、何にお困りですか」「今の仕入れで一番手間がかかっているのはどこですか」。この2つを聞けているかどうかで、会期後に打てる手の数が変わってきます。
そのためには、ブースの掲示物を「自社が言いたいこと」から「来場者が知りたいこと」に書き換える必要があります。自社の強みを並べたパネルは、残念ながら通路からは読まれません。
そして会期後です。展示会の成果は、フォローで決まります。3日間で聞いた課題を相手ごとに整理し、「あのときお話しされていた件で」と切り出せる状態を作っておけば、それは売り込みではなく相談の続きになります。
水産業は変化の只中にありますが、変化とは、新しい組み合わせが評価される時期でもあります。会場の熱気は、その組み合わせを探しに来た人たちの熱気だと僕は受け取りました。
この熱気を持ち帰り、自社の営業構造を組み替える。それができた企業にとって、今年のシーフードショーは大きな転換点になるはずです。
※この記事はAIを活用して作成しました。
展示会で成果を出すコツを知りたい方へこのセミナーに参加すると、 成果を出すノウハウを習得できます。
オンライン展示会営業®セミナーの詳細はこちらをクリック
展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照 。 展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
展示会営業®コンサルタントの清永です。
生成AIがここまで進化すると、こんな疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。
「これからはAIで何でも調べられる。それでも、わざわざ展示会に行く意味はあるのか?」
製品情報を調べる。
競合製品を比較する。
業界動向を把握する。
導入事例を探す。
以前なら検索サイトを何度も行き来し、何時間もかけて調べていたことを、今ではChatGPTやGemini、Perplexityなどの生成AIに尋ねれば、短時間で整理してもらえます。
では、AIが進化すればするほど、展示会は必要なくなるのでしょうか。
ぼくは、そうは考えていません。
むしろ、AIの普及によって展示会の役割がはっきりしてきた と感じています。
結論を先に言います。
AIと展示会は競合するものではありません。
これからのBtoB購買では、
AIで調べる → 展示会で確かめる → AIやWebでもう一度調べる
という流れがますます重要になります。
ぼくはこれを、
「AI → 展示会 → AI」
という購買行動として捉えています。
これは単なる未来予測ではありません。
ぼくたち株式会社展示会営業マーケティングが2026年4月に実施した、出展者536名、来場者1,089名への独自調査『展示会白書 』から、すでにその兆候がはっきり見えているのです。
AIが普及すると、展示会は不要になるのか? まず確認しておきたいのが、「AIが普及すればリアルな展示会は衰退する」という見方です。
実際の来場者はどう考えているのでしょうか。
『展示会白書』で来場者1,089名に、
「AI・デジタルマーケティングが急速に普及する中、対面展示会の重要性は今後どうなると思いますか?」
と尋ねました。
すると、
「大幅に高まると思う」16.4% 「やや高まると思う」51.5%
となり、合わせて67.9%が「展示会の重要性は高まる」と回答しました。
反対に「低下する」と答えた人は、合計5.7%にすぎません。
出展企業側でも同様です。
出展者536名への調査では、
「大幅に高まると思う」25.0% 「やや高まると思う」44.6%
で、合計69.6%がAI時代に対面展示会の重要性は高まると答えています。
つまり、出展者も来場者も約7割が、
「AIが普及するからこそ、展示会の重要性は高まる」
と見ているのです。
これはなかなか興味深い結果です。
ではなぜ、そうなるのでしょう。
すでに「AIか展示会か」ではなくなっている その答えを考えるうえで、さらに重要なデータがあります。
来場者に「業務上、どのような手段で情報収集していますか?」と尋ねた結果です。
最多は、
Web検索 56.5%
でした。
ここまでは想像どおりかもしれません。
ところが、その次が、
AI検索ツール 50.2%
そして、
展示会・見本市への来場 50.0%
でした。
AI検索と展示会が、ほぼ同じ水準に並んでいます。
ここを、
「AIが50.2%まで増えている」
だけで見ると、本質を見誤ります。
重要なのは、
AIを使う人と展示会へ行く人が、別々に存在しているわけではない
ということです。
同じビジネスパーソンが、
Webでも調べる。
AIにも聞く。
そして展示会にも行く。
そうやって情報収集手段を使い分けています。
つまり、すでに問いは、
「AIか、展示会か」
ではありません。
「AIと展示会を、それぞれ何のために使うのか」
なのです。
76.7%が、展示会の後にWebやAIで調べ直している それを象徴しているのが、ぼくが今回の調査でも特に注目した数字です。
展示会に来場した後、
「ブースで見た製品・サービスについてAI検索ツールやWeb検索で追加の情報収集をしたことがありますか?」
と尋ねたところ、
76.7%
が「ある」と答えました。
4人に3人以上です。
ここから、現在のBtoB購買行動が見えてきます。
展示会前:AI・Webで調べる まずWeb検索やAI検索によって、
「どんな技術があるのか」
「どのような企業があるのか」
「どんな選択肢が考えられるのか」
を調べる。
展示会中:リアルで確かめる そのうえで展示会へ行き、
実物を見る。
触る。
動かしてみる。
担当者や開発者に直接質問する。
競合製品と比較する。
そして候補を絞る。
展示会後:もう一度AI・Webで調べる ブースで気になった企業について、
会社のWebサイトを見る。
製品情報を調べる。
競合製品と比較する。
導入事例を確認する。
あるいは生成AIに、
「○○社の△△という製品について教えて」
と質問する。
つまり、
AI → 展示会 → AI
です。
AIと展示会は、顧客を奪い合っているのではありません。
一つの購買プロセスの中で、別々の役割を担っている
と考えた方が、実態に近いのです。
AIが得意なのは「調べること」。展示会が得意なのは「確かめること」 では、AIと展示会の違いは何なのでしょうか。
ぼくは、
「二次情報」と「一次情報」の違い
だと考えています。
生成AIが得意なのは、すでに世の中に存在している大量の情報を探し、整理し、比較し、わかりやすく提示することです。
たとえば、
「A社とB社の製品スペックを比較して」
「○○業界の最近の動向を教えて」
「この設備を導入するメリットとデメリットを整理して」
といったことです。
これはAIの得意分野です。
一方、展示会には、その場に行かなければ得られない情報があります。
実際に機械を動かしたときの音。
素材に触れたときの感触。
製品の大きさ。
操作したときの感覚。
担当者が質問にどう答えるか。
開発者がなぜその製品をつくったのか。
ほかの来場者がどこに興味を示しているか。
まだWebサイトにも記事にもなっていない話。
こうしたものは、現場で初めて得られる一次情報 です。
だからAI時代になったからといって展示会が不要になるのではありません。
むしろAIが二次情報を効率よく処理してくれるほど、
「検索してもわからないことを確かめる場所」
として展示会の役割が明確になっていくのです。
来場者自身も「AIでは得られない価値」を感じている これは、ぼくの感覚だけではありません。
「AI時代に展示会の重要性が高まる」と答えた来場者740名に、その理由を尋ねています。
最も多かったのは、
「オンライン商談だけでは構築しにくい信頼関係を対面で築けるから」63.4%
でした。
続いて、
「AI検索では得られない、五感を使った製品体験や実物確認ができるから」42.7%
「情報過多の時代に、直接対話で得られる一次情報の価値が高まっているから」41.6%
となっています。
ここに、AI時代の展示会戦略を考えるヒントがあります。
AIが便利になるほど展示会をデジタル化すればいい、という単純な話ではないのです。
むしろ出展企業が考えるべきなのは、
「AIでは代替できないものを、このブースでどこまで提供できるか」
です。
Webサイトに書いてあることを説明するだけのブースは厳しくなる AI時代の展示会で、これから価値が下がっていく可能性が高いブースがあります。
それは、
Webサイトやカタログに載っていることを、社員がそのまま説明しているだけのブース
です。
「弊社は創業○年で……」
「こちらの製品には3つの特徴がありまして……」
「従来品と比較して○%性能が向上していて……」
もちろん、それらの情報も必要です。
でも、その情報だけなら、来場者は展示会まで来なくても調べられます。
実際、『展示会白書』で「期待外れだったブース」を聞いたところ、
35.1%が「展示内容がWebサイトで得られる情報と大差なかった」
と回答しています。
これは重い数字だと思います。
来場者は展示会に、 「ホームページの立体版」 を求めているのではありません。
Webで見た情報が本当なのか確かめたい。
自社でも使えるのか聞いてみたい。
実物を比較したい。
担当者の知識や姿勢を確認したい。
そして、ときには、
自分が検索することすら思いつかなかった情報に出会いたい。
それが展示会なのです。
AI時代、展示会は「説明する場所」から「判断を前に進める場所」へ もう一つ注目したいデータがあります。
「展示会で得た情報が、自社の購買意思決定に影響したことがありますか?」
という質問に対して、
79.7%
が「ある」と答えています。
約8割です。
さらに、その79.7%の人たちにどのような影響があったのかを聞くと、
最も多かったのが、
「比較検討していた候補を絞り込む判断材料になった」63.5%
でした。
次いで、
「実物を見たことで、導入への社内説得がしやすくなった」44.1%
「担当者と直接話したことで、信頼性や対応力を確認できた」39.9%
となっています。
ここから見えてくることがあります。
かつて展示会は、
「知らない商品を知る場所」
という役割が大きかったかもしれません。
しかしAIやWebで事前に大量の情報を取得できる時代には、
展示会は、
「知る場所」から「確かめ、比較し、判断を進める場所」へ
役割を変えていくのです。
この変化を理解しているかどうかで、ブースのつくり方は大きく変わります。
AI時代のブースでは「会社」より「来場者の課題」を見せる では、具体的にどんな展示会ブースが求められるのでしょうか。
白書で、
「ブースに立ち寄る際、何を重視しますか?」
と尋ねました。
トップは、
「自社の業務課題に直結するキーワードや展示内容」51.5%
でした。
次が、
「製品・サービスの実物展示やデモ体験ができる」40.1%
そして、
「事例や開発者の見解、初公開情報など、展示会場でしか得られない情報」34.6%
です。
一方、
「ブースの見た目や演出が目を引く」20.3%
でした。
もちろん装飾が不要という意味ではありません。
問題は優先順位です。
AI時代だから大型モニターを増やそう。
AIアバターを置こう。
派手なデジタル演出をしよう。
その前に考えることがあります。
「誰の、どんな困りごとを解決するブースなのか?」
です。
来場者は何百ものブースが並ぶ会場を歩いています。
そのとき探しているのは、
「○○株式会社」
ではなく、
「自分の困りごとを解決してくれそうなもの」
です。
だからぼくは、展示会では以前から、
ワンブース・ワンアイテム・ワンターゲット
を勧めています。
AI時代には、この考え方がむしろ重要になると思っています。
情報が簡単に手に入る時代ほど、
「何でもできます」
では選ばれにくくなるからです。
展示会にAIをどう活用すればいいのか? ここまでは「AI時代に展示会がどう変わるか」を見てきました。
では、出展企業自身は展示会でAIをどう活用すればいいのでしょうか。
ぼくは、AIそのものを目玉にするより、
展示会の前・会期中・展示会後の営業プロセスを強くするために使う
ことをお勧めします。
展示会前のAI活用:「誰に何を伝えるか」を深く考える 展示会準備でありがちなのが、
「何を展示する?」
から始めてしまうことです。
しかし本来は、
「誰に来てほしい?」
「その人は普段、何に困っている?」
から始めるべきです。
ここでAIはかなり役立ちます。
たとえば、
「この製品を必要とする可能性がある部署や役職を挙げて」
「工場長が○○について困っているとき、どんな言葉で悩みを表現する?」
「購買担当者と技術担当者では、この製品を見るポイントがどう違う?」
と問いかける。
AIに正解を決めてもらうのではありません。
自分たちだけでは思いつかなかった仮説を増やすために使う。
その仮説を営業担当者、技術担当者、既存顧客へのヒアリングなどで検証していけばいいのです。
展示会キャッチコピーの案出しにも使えます。
ただし、
「当社製品のキャッチコピーを10個考えて」
だけでは弱い。
それより、
「この製品の特徴は○○。展示会で出会いたい相手は△△。その人が日頃困っていることは□□。通路を3秒歩く間に『自分に関係がある』と思ってもらう言葉を考えて」
と条件を与える。
AIは、問いの解像度が高いほど役に立ちます。
会期中のAI活用:接客をAIに任せるより「人間の会話」を残す では、展示会当日はどうでしょうか。
ぼくは、展示会接客そのものをAIに置き換えることを最優先にする必要はないと思っています。
来場者が展示会の価値として挙げているのは、
信頼関係。
五感を使った体験。
直接対話。
一次情報。
だからです。
むしろAIを使いたいのは、人間同士の会話を資産として残す部分 です。
たとえば接客後に、
「食品工場の生産技術。現在○○で困っている。△△の機能に強く反応。既存設備との接続方法を知りたい。事例希望」
などと短いメモを残す。
それをAIによって整理する。
すると単なる、
「会社名・名前・役職」
だったリード情報が、
「何に困り、何に興味を持ち、次に何を必要としている人なのか」
という営業情報に変わります。
ここには大きな価値があります。
展示会後のAI活用:1000通のメールを書くために使わない 生成AIがあれば、展示会後のお礼メールを1000通つくることも簡単です。
でも、それだけでは意味がありません。
むしろ注意した方がいい。
白書では、展示会後のフォローアップに不満を感じた来場者に内容を尋ねたところ、
最も多かったのが、
「ブースで話した内容と無関係な営業をされた」50.6%
でした。
一方、理想のフォローアップとして最も多かったのは、
「ブースで話した内容を踏まえた提案や情報提供」56.3%
です。
この二つを並べると、AIの使い方が見えてきます。
大量の定型メールをつくるためではありません。
展示会場で得た、
「この人は何を話したのか」
「何に困っていたのか」
「どこに興味を持ったのか」
という一次情報をAIに渡し、
その人との「会話の続き」をつくるために使う。
たとえば、
「今日の展示会でこの方とはこういう話をした。売り込みにならないよう、相手が希望していた事例を送り、次の相談につながるお礼メールを作成して」
と依頼する。
こういう使い方なら、AIは展示会営業を大きく助けてくれます。
AIに営業を任せるのではありません。
人間が得た一次情報を、AIで次の行動に変換する。
ここがポイントです。
展示会後に「AIで調べられる会社」になっているか? そして、もう一つ忘れてはいけないことがあります。
先ほど紹介したとおり、来場者の76.7%が展示会後、気になった製品やサービスについてWebやAIで追加調査しています。
ということは、
ブースを出た後も展示会営業は続いている
ということです。
来場者が帰りの電車の中で会社名を検索する。
翌日、上司に説明するため製品ページを見る。
競合製品との違いをAIに尋ねる。
そのとき、
会社のWebサイトを見ても何をしている会社かわからない。
製品情報が古い。
導入事例がほとんどない。
よくある質問に答えていない。
技術的な解説がない。
開発した人の考えも載っていない。
これでは、展示会場で高まった興味が途中で途切れてしまいます。
展示会とWebサイトを別々に考えてはいけません。
これからは、
「展示会で興味を持つ → Web・AIで調べる → 商談へ進む」
ところまで設計する必要があります。
ぼくはこれからの展示会準備では、
「ブースをどうする?」
だけでなく、
「展示会後に検索されたとき、自社はどう見える?」
も必ず確認した方がいいと思っています。
出展企業にとって展示会は「一次情報をつくる場所」でもある ここまでは来場者側から考えてきました。
しかしAI時代には、出展企業側にも展示会の新しい価値があります。
それは、
一次情報をつくることです。
展示会に出ると、顧客からたくさんの反応が返ってきます。
「この機能はいいね」
「ここはうちでは使いにくい」
「こんな用途でも使える?」
「この業界向けはないの?」
「これ、もっと小型にならない?」
そうした言葉は、まだGoogleにも生成AIにも載っていません。
その展示会場で、今、生まれた情報だからです。
さらに、
どのキャッチコピーで人が止まったか。
どのデモで反応が変わったか。
どんな質問が繰り返されたか。
どの業界の人から想定外の相談が来たか。
競合企業は何を強く訴求していたか。
こうした情報もすべて一次情報です。
この一次情報を持ち帰り、
AIで分類する。
頻出質問を抽出する。
顧客ニーズを整理する。
営業トークに反映する。
商品開発の仮説をつくる。
FAQにする。
Web記事にする。
次回展示会の訴求に生かす。
ここまでやれば、展示会は単なる3日間のイベントではありません。
会社独自の情報を生み出す市場調査の場 にもなります。
そしてAI時代には、この価値がさらに大きくなるとぼくは考えています。
なぜなら、誰もが同じAIを使える時代には、AIそのものより、
「AIに何を与えることができるか」
の差が重要になるからです。
他社も入手できる公開情報だけをAIに読ませるのか。
自社が顧客との対話から得た独自の一次情報をAIに与えるのか。
出てくるものが同じになるはずがありません。
AI時代の展示会戦略は「AIを入れること」ではない AI時代の展示会というと、
AI接客。
AIアバター。
AIによる来場者分析。
AIによる商談記録。
といった新しい技術に目が向きがちです。
もちろん、有効なものは積極的に使えばいいと思います。
しかし、それより先に考えてほしいことがあります。
「AIで何でも調べられる時代に、それでもお客様がわざわざ自社ブースまで来る理由は何か?」
です。
実物を触れるからなのか。
実演を見られるからなのか。
技術者に質問できるからなのか。
自社の条件に合わせて相談できるからなのか。
他では聞けない事例があるからなのか。
まだ公開されていない情報を得られるからなのか。
ここが決まっていなければ、ブースにどれだけAIを導入しても、本質的には変わりません。
逆に、この価値がはっきりしていれば、
AIは展示会をもっと強くしてくれます。
これからの展示会は「AIにできることを減らす場所」になる 少し逆説的な言い方をしてみます。
これからの展示会で考えるべきなのは、
「展示会で何にAIを使うか」だけではありません。
むしろ、
「AIに任せられることを、展示会からどれだけ外せるか」
です。
スペックを調べる。
一般的な製品情報を比較する。
業界の基礎知識を知る。
定型的な資料をつくる。
会話メモを整理する。
お礼メールの下書きをつくる。
そうしたことはAIに任せればいい。
そして展示会では、
実物を見る。
触る。
試す。
質問する。
議論する。
相手の反応を見る。
偶然の出会いから、新しい用途に気づく。
まだ言葉になっていないニーズを拾う。
人間とリアルな場にしかできないことへ、時間を使う。
AI時代の展示会は、そういう方向へ進んでいくのではないでしょうか。
AIは展示会をなくさない。「普通の展示会」を厳しくする 最後に、最初の問いに戻ります。
「AIが進化すると、展示会は必要なくなるのでしょうか?」
ぼくの答えは、
「展示会そのものはなくならない。しかし、Webサイトと同じ情報を並べ、商品説明をして、名刺を集めるだけの展示会は、ますます厳しくなる」
です。
AIによって、調べることはどんどん簡単になります。
だからこそ、
実物。
体験。
対話。
信頼。
偶然の発見。
まだ公開されていない情報。
顧客の生の反応。
こうした一次情報の価値 が高まります。
これからの展示会で成果を出す企業は、
AIと展示会のどちらかを選ぶ企業ではありません。
AIにできることはAIに任せ、展示会でしかできないことに集中できる企業です。
そして、
AIで調べてもらう。
展示会で確かめてもらう。
展示会後にもう一度AIやWebで調べてもらう。
その結果、商談へ進んでもらう。
「AI → 展示会 → AI」
という一連の購買行動を設計できる企業が強くなる。
ぼくは、そう考えています。
AIの進化によって問われているのは、
「展示会が必要か、不要か」
ではありません。
本当に問われているのは、
「あなたの会社には、わざわざ会いに行く価値があるか?」
なのです。
調査について 本記事で紹介した数値は、株式会社展示会営業マーケティング『展示会白書』掲載の独自調査に基づいています。
調査は2026年4月に実施し、直近1年以内に展示会への出展に携わった536名、直近1年以内に展示会へ来場した1,089名を対象としています。
AI時代における展示会の位置づけや、一次情報と二次情報の違いについてさらに詳しく知りたい方は、『展示会白書 第6章 AI時代の展示会の位置づけ 』もあわせてご覧ください。
展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照 。 展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
「うちは大企業みたいに、お金をかけられないから」
展示会の相談を受けていると、こんな言葉をよく耳にします。
「1小間しか出せない」 「営業マンが少ない」 「うちの商品は地味だから」 「競合みたいな派手なデモができない」 「知名度がないから、人が集まらない」
たしかに、その通りなのかもしれません。
予算もある。 人もいる。 知名度もある。 大きなブースも出せる。
そんな会社のほうが、展示会では有利に見えます。
でも、ぼくはそんな話を聞くたびに、こう思うのです。
本当に、その「ない」は不利なのでしょうか?
ひょっとすると、その「ない」があるからこそ、大企業とは違う戦い方を考えざるを得ない。
そして、その制約の中にこそ、
競合には真似できない売り方の種が眠っているのではないか。
そんなことを考えさせてくれる、少し変わったコーヒーがあります。
インドネシアの「コピ・ルアク」。
いわゆる、ジャコウネココーヒーです。
「普通の道」を塞がれたから、別の道が生まれた コピ・ルアクについては、こんな逸話が広く伝えられています。
(余談ですが、ぼくはこの話を池井戸潤さんの小説、『ブティック』で知りました。企業のM&Aについて扱っていてとても面白かったです。)
オランダ植民地時代、インドネシアのコーヒー農園で働いていた現地の人々は、自分たちが栽培しているコーヒーを自由に飲むことができなかった。
目の前にはコーヒーがある。
自分たちで育てている。
でも、その豆を自由に使うことはできない。
そこで目をつけたのが、森に生息するジャコウネコでした。
ジャコウネコは熟したコーヒーの実を食べます。
果肉は消化されますが、種であるコーヒー豆は消化されず、糞と一緒に排出されます。
普通なら、
「糞の中にある豆なんて使えるわけがない」
と思うでしょう。
しかし、その豆を拾い、洗い、乾燥させ、焙煎して飲んでみた。
すると、通常とは異なる独特の香味があった。
こうしてコピ・ルアクが生まれた、と伝えられています。
ぼくが面白いと思うのは、珍しいコーヒーが誕生したことそのものではありません。
もっと手前です。
普通の方法を封じられたから、普通ではない方法を探した。
ここです。
もし最初から自由にコーヒー豆が使えていたら、誰もジャコウネコの糞を見ようとはしなかったかもしれません。
制約があった。
だから、誰も見ていなかった場所を見る必要が生まれた。
ぼくは、展示会営業もまったく同じだと思うのです。
成果が出ない会社ほど、「ないもの」を数えている ぼくはこれまで1,300社を超える企業の展示会や営業活動を支援してきました。
そこで感じるのは、成果が出ない会社ほど、展示会に出る前から「ないもの」を数えてしまうということです。
「予算がない」
「人がいない」
「知名度がない」
「新製品がない」
「派手なデモができない」
「大きなブースが出せない」
そして、それらを全部持っている競合企業を見て、
「やっぱり、うちには難しいですね」
と結論づけてしまう。
でも、展示会で成果を出している中小企業は、必ずしも条件に恵まれている会社ではありません。
むしろ、
自社に何がないのかを理解したうえで、そこから違う勝ち方をつくっている会社
なのです。
ぼくが大切だと考えているのは、
制約をなくすことではありません。
制約から逆算して、
「だったら、どう戦うか?」
を考えることです。
1小間しかない。それなら「1つしか言わない」 たとえば、
「うちは1小間しか出せません」
という会社があったとしましょう。
そこで多くの会社がやってしまうのが、
大企業の巨大ブースを、そのまま小さくしたような展示
です。
壁には会社案内。
その横に製品一覧。
テーブルにはカタログ。
棚にはできるだけ多くの商品。
モニターでは会社紹介動画。
せっかく出展するのだから、
「あれも見せたい」
「これも知ってほしい」
となる。
その結果、小さなブースの中に情報がぎゅうぎゅうに詰め込まれてしまいます。
そして通路を歩いている来場者から見ると、
結局、何のブースなのか分からない。
これでは止まりません。
だったら逆です。
1小間しかないなら、
「1つしか言わない」
と決めればいい。
ぼくが展示会支援でお伝えしている、
「ワンブース・ワンアイテム・ワンターゲット」
という考え方です。
今回の展示会では、
1つのターゲットに、
1つの商品・サービスで、
1つの課題解決だけを伝える。
「あれもできます。これもできます」
ではなく、
「この悩みを持っている人だけ、来てください」
と絞り込む。
すると不思議なことが起こります。
「1小間しかない」という弱みが、
「伝えることを研ぎ澄ませざるを得ない」
という強みに変わるのです。
実際、『展示会白書 』の来場者調査では、来場者がブースに立ち寄る理由として最も多かったのは、
「自分の課題に直結していると感じた」51.5%
でした。
巨大なブースだから立ち寄るのではありません。
派手だから立ち寄るのでもありません。
来場者は、
「これは自分のことだ」
と感じたブースに足を止めるのです。
つまり1小間でも、十分に戦える。
むしろ、1小間だからこそ、
「誰に、何を伝えるか」
を研ぎ澄ませることができます。
営業マンが少ない。それなら全員に声をかけなくていい 「展示会に出したいけれど、人が足りません」
これもよく聞きます。
大企業のブースを見ると、スタッフが10人、20人と並んでいる。
一方、自社から出せるのは3人。
「とても勝てない」
と思うかもしれません。
でも、本当にそうでしょうか。
人が少ないのであれば、
そもそも通行人全員に声をかける必要があるのでしょうか?
展示会では、
「とにかく多くの人に声をかけよう」
「とにかく名刺を集めよう」
となりがちです。
しかし、100人と名刺交換しても、そのうち誰とも次の話につながらなければ意味がありません。
それより、
本当に会いたい人が立ち止まるキャッチコピーをつくる。
来場者自身に、
「これは自分のためのブースだ」
と気づいてもらう。
そして、課題を持った人だけが入ってくるようにする。
それなら3人でも十分対応できます。
つまり、
「人が少ないからダメ」
なのではありません。
人が少ないからこそ、
「誰と会うべきか」を徹底的に考える必要が生まれる。
それが、展示会営業を研ぎ澄ませてくれるのです。
商品が地味なら、「商品」を主役にしなければいい もうひとつ、よくある相談があります。
「うちの商品、展示会映えしないんですよ」
ネジ。
加工部品。
素材。
業務用ソフト。
物流サービス。
検査装置。
巨大ロボットや最新EVのように、置いておくだけで人だかりができる商品ではない。
たしかにそうかもしれません。
でも、これも本当に弱みなのでしょうか。
ぼくなら、
商品そのものを主役にしません。
その商品によって、
顧客の何が変わるのか
を主役にします。
「ネジを展示しています」
ではなく、
「設備停止を年間30時間減らしたい方へ」
と伝える。
「精密加工技術を紹介しています」
ではなく、
「他社から『加工不能』と言われた部品をお持ちください」
と伝える。
「業務システムを展示しています」
ではなく、
「毎月3日かかっている集計作業を、半日にしたい方へ」
と伝える。
地味な商品だからこそ、
商品を並べれば人が来る、という甘えが許されません。
だから必然的に、
「誰の、どんな困りごとを解決するのか」
を考え抜かなければならなくなる。
これもまた、
制約が価値を研ぎ澄ませているのです。
知名度がない。それなら「社名」を売らなくていい 「うちは有名企業じゃないので、人が来ないんですよ」
これもよく言われます。
だからブースの一番目立つ場所に、
「株式会社〇〇製作所」
と社名を大きく掲げる。
しかし、少し厳しい言い方をすると、
初めてその会社を知る来場者にとって、
知らない会社の社名には、ほとんど意味がありません。
知名度がない会社が、大企業と同じように社名を前面に出しても勝てない。
だったら、
社名を覚えてもらおうとするのをやめればいい。
代わりに、
来場者が毎日心の中でつぶやいている悩み
を大きく掲げる。
「検査工程の人手不足で困っていませんか?」
「小ロットなのに短納期を要求されていませんか?」
「展示会で名刺は集まるのに、商談につながっていませんか?」
こう書いてあったら、
会社名を知らなくても足を止めます。
知名度がないからこそ、
社名ではなく、顧客理解で勝つ。
これも、制約から生まれる戦い方です。
本当の差別化は、「何を持っているか」ではない ここで、もう一度ジャコウネココーヒーに戻りましょう。
元のコーヒー豆だけを見れば、必ずしも唯一無二の豆だったわけではありません。
特徴を生んだのは、
「何を通ってきたか」
です。
一度、ジャコウネコの体内を通った。
そのプロセスによって、通常とは違うものになった。
ぼくは、企業も同じだと思っています。
会社の強さは、
「何を持っているか」だけではありません。
むしろ、
「何を通ってきた会社なのか」
に宿っていることがあります。
納期トラブルを何度も乗り越えてきた。
お客様から無理難題を言われ続け、そのたびに技術を磨いてきた。
大企業が断るような小ロット案件に対応し続けてきた。
失敗作を100個つくって、ようやく今の商品にたどり着いた。
人手不足だったから、自動化を極限まで進めた。
熟練工が辞めたから、誰でも作業できる仕組みをつくった。
全部、一見すると「苦労話」です。
ぼくはこういう話を聞くと、
「そこですよ」
と思います。
なぜなら、その苦労を通ったからこそ、
その会社には、
他社が簡単にはコピーできない技術や知恵や仕組みが生まれているからです。
AI時代だからこそ、「何を通ってきた会社か」が重要になる これは、これからますます重要になると思っています。
価格。
サイズ。
処理能力。
納期。
材質。
対応範囲。
こうしたスペック情報は、Webで検索できます。
AIに聞けば、複数企業の商品を比較することもできます。
つまり、
スペックだけで勝負しようとすると、企業はますます比較表の中の1社になっていく。
では、何が残るのでしょうか。
「なぜ、この会社はこの技術に強いのか」
「なぜ、この商品はこんな細かいところまで工夫されているのか」
「なぜ、この会社の人たちは、顧客のこの悩みをこんなに深く理解しているのか」
その背景には、その会社が通ってきた歴史があります。
失敗があります。
顧客とのやり取りがあります。
現場で積み重ねてきた工夫があります。
これは、単なるスペック表では伝わりません。
そしてぼくは、
展示会とは、そうした「会社が通ってきたもの」を、目の前のお客様に直接伝えられる場所
だと思っています。
AIが二次情報を整理する時代だからこそ、
展示会では一次情報を伝える。
現物。
実演。
技術者の言葉。
顧客との対話。
失敗から生まれた工夫。
そこに、展示会の価値があります。
弱みを消すのではなく、弱みから逆算する 多くの会社は、自社の弱みをなくそうとします。
小さいから、大きく見せよう。
知名度がないから、有名企業っぽく見せよう。
商品が地味だから、派手な装飾をしよう。
人が少ないから、とにかく応援スタッフを集めよう。
もちろん、それが必要な場合もあります。
でも、その前に一度考えてほしいのです。
その弱み、本当に消す必要がありますか?
小さい会社だから、社長自身がお客様と直接話せる。
商品数が少ないから、1つの商品を誰より深く語れる。
人が少ないから、会いたい相手を徹底的に絞り込める。
予算が少ないから、装飾ではなく言葉を磨く。
知名度がないから、社名ではなく顧客の悩みを大きく掲げる。
これは、
「弱みを克服した」
のではありません。
弱みを起点に、別の勝ち方をつくった
のです。
ぼくは、この発想が中小企業の展示会ではとても重要だと思っています。
大企業と同じ条件で戦おうとしない。
大企業の縮小コピーにならない。
むしろ、
自社にしかない制約から、自社にしかない戦い方をつくる。
それが、中小企業の展示会営業です。
糞の中にある豆を、誰が拾うのか 普通の人なら捨ててしまう。
汚いと思う。
価値がないと思う。
ジャコウネコの糞の中に残ったコーヒー豆など、まさにそうでしょう。
でも、
誰かが拾った。
洗った。
焙煎した。
飲んでみた。
そして、
「これは違うぞ」
と気づいた。
企業の中にも、こうした
「まだ価値だと思われていないもの」
がたくさん眠っています。
営業マンが何気なくやっている工夫。
ベテラン社員しか知らない技術。
顧客から何度も聞かれる同じ相談。
不採用になった試作品。
過去のクレームをきっかけに改善した工程。
昔から当たり前すぎて、誰も強みだと思っていないサービス。
展示会の現場で、来場者から何度も繰り返される質問。
そういうものの中に、
新商品の種があるかもしれない。
新しいキャッチコピーがあるかもしれない。
新市場への入口があるかもしれない。
商機というものは、
いつもピカピカの状態で目の前に現れるとは限りません。
むしろ、
「こんなもの、価値があるわけがない」
と思っているものの中に落ちていることがあります。
閉塞したときこそ、「普通ではない道」を探せ 展示会で成果が出ない。
営業しても新規顧客が増えない。
価格競争になっている。
競合との差が出せない。
そんな閉塞感の中にいると、人はつい、
「もっと予算があれば」
「もっと人がいれば」
「もっといい商品があれば」
と、足りないものを求めます。
でも、本当に必要なのは、
「足りないものを手に入れること」
ではないのかもしれません。
今ある制約の中で、
「普通とは違う道はないか?」
と考えることなのかもしれません。
1小間しかないなら、1小間だからこそできる展示を。
営業マンが3人しかいないなら、3人だからこそできる接客を。
商品が地味なら、商品そのものではなく、顧客の変化を伝える訴求を。
知名度がないなら、社名ではなく来場者の悩みを掲げるブースを。
制約は、可能性を奪うものではありません。
むしろ、
「普通の会社と同じことをしてはいけない」
と教えてくれているのです。
あなたの会社が今、
「これがないから無理だ」
と思っているものは何でしょうか。
その「ない」を、いったん逆から眺めてみてください。
そこに、
競合には簡単に真似できない、
あなたの会社だけの勝ち方が隠れているかもしれません。
苦難を通ってきた豆が、元の豆とは違う味わいを持つように。
会社も、人も、商品も、
困難を通ったからこそ、
以前にはなかった強さを身につけることがあります。
そして展示会とは、
その「通ってきたもの」を、
目の前のお客様に直接伝えられる場所なのです。
だからぼくは、展示会に出る会社にこう言いたい。
「ないもの」を嘆くのは、もうやめましょう。
大切なのは、
「何がないか」ではありません。
その制約から、どんな勝ち方をつくるか。
商機は、ときとして、
誰も見向きもしない場所に落ちています。
糞の中の豆を拾った人だけが、
その価値に気づけるように。
展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照 。 展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
展示会場の様子がわかる動画です。
VIDEO
会場を歩いてまず感じたこと 2026年8月5日から3日間、パシフィコ横浜で開催された楽天AI Optimism 2026の会場に足を運びました。
最終日となる8月7日、僕がまず感じたのは、来場者の熱量が三日目になってもまったく落ちていないという事実でした。
展示会は最終日になると会場全体の空気が緩みがちです。
しかし今回は、AIという時代のテーマそのものが持つ引力の強さを、肌で実感する時間になりました。
展示会基本情報 開催日時 2026年8月5日(水)から8月7日(金)までの3日間にわたって開催されました。
会場 パシフィコ横浜 展示ホールB・C・Dです。
首都圏はもちろん、全国からのアクセスを意識した立地選定だと感じます。
主催者 主催は楽天グループ株式会社です。
これほど幅広い事業領域を横断した展示会を一社で作り上げる労力は、決して小さなものではないはずです。
公式サイト 公式サイトはこちら
来場者層 経営層やビジネスリーダー、マーケティング関連の実務者に加え、AI技術そのものに関心を持つ一般来場者まで、幅広い層が集まっていました。
立場の異なる来場者が同じ会場に共存している点も、このイベントの懐の深さを表していると思います。
主な出展分野 Rakuten AIによる生成AI領域、楽天モバイルの5GとAIを組み合わせたサービス、楽天市場のAIショッピング体験、フィンテック、スポーツ、トラベル、ゴルフAI解析のGORAなど、楽天グループの事業を横断した展示構成でした。
展示会の特徴 特定の商品カテゴリに閉じず、金融、通信、旅行、スポーツといった複数の事業をAIという一つの軸で束ねている点が最大の特徴です。
単独の企業グループが、ここまで幅広い業界のAI活用事例を一度に見せる展示会は、国内でも珍しいのではないでしょうか。
今回のみどころ 国内外のトップリーダーによるカンファレンスセッションが、英日同時字幕という形で開かれていた点が印象的でした。
専門性の高い議論を、言語の壁を越えて誰もが受け取れるようにする配慮に、主催者の本気度がにじんでいました。
注目ポイント AIスイング解析や生成AIの投影、AIコンシェルジュのデモなど、来場者が「見る」だけでなく「体験する」仕掛けが随所にありました。
体験を通じてAIの実用性を実感できる設計は、来場者の記憶に長く残るはずです。
会場の様子 展示ホールB・C・Dという広大な空間を歩きながら、各ブースの前で足を止める来場者の表情を観察していました。
説明を聞くだけでなく、実際にデバイスを操作したり、スタッフに質問を重ねたりする姿が多く見られました。
単なる見学ではなく、学びの場として活用されている雰囲気が会場全体から伝わってきました。
業界への意味 一つの企業グループが、自社の複数事業をAIという共通言語でつなぎ直して見せたことには、業界全体への示唆があります。
AI活用というテーマは、もはや特定の技術部門だけの話ではなく、金融から旅行、スポーツに至るまであらゆる事業の共通課題になっているという現実を、会場全体が体現していました。
今年の展示会トレンド 生成AIを「体験」として伝える設計、業界横断型のテーマ設定、そして国際色を意識した同時字幕対応など、今年ならではの傾向がいくつも見られました。
単独の技術紹介にとどまらず、AIが実生活やビジネスにどう溶け込むかを見せる姿勢が、会場全体を貫いていたように思います。
過去のレポート 同じ展示会の過去のレポートを公開しています。業界の流れや変化を立体的に見る定点観測の材料になさってください。
Rakuten AI Optimism 楽天AIオプティミズム2025
Rakuten Optimism 楽天オプティミズム2024
展示会営業の専門家 清永健一のワンポイントアドバイス 展示会の現場に立つと、「頑張っているのに成果が出ない」企業が少なくありません。
その原因は、努力不足ではなく「設計」の問題であることがほとんどです。
今回のように来場者の関心が非常に高い展示会であればあるほど、ブースでの一瞬の出会いをその場限りで終わらせず、会期後のフォローまで見据えて設計できているかどうかで、得られる成果には大きな差が生まれます。
展示会営業は、正しい順番と考え方で取り組めば結果が大きく変わります。
その本質については、展示会営業の成功ガイド で詳しく解説しています。
来場者が課題を持って自ら会場に足を運んでくれるこうした場は、企業にとって一次情報を得られる貴重な機会でもあります。
その価値を最大限に生かせるかどうかは、これからの各社の取り組み次第だと感じています。
※この記事はAIを活用して作成しました。
展示会で成果を出すコツを知りたい方へこのセミナーに参加すると、 成果を出すノウハウを習得できます。
オンライン展示会営業®セミナーの詳細はこちらをクリック
展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照 。 展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
展示会場の様子がわかる動画です。
VIDEO
会場を歩いてまず感じたこと 東京ビッグサイトの会場に足を踏み入れて、まず感じたのは空気の真剣さでした。
ここに集まっているのは、一般の消費者ではありません。全国各地の自治体で下水道事業を担当している、いわば日本のインフラを支える現場の責任者たちです。
だからこそ、ブースでの会話ひとつひとつに重みを感じます。見た目の派手さで人を集める展示会とは、明らかに温度が違っていました。
僕はこれまで数多くの展示会を見てきましたが、これほど専門性の高い来場者と専門性の高い出展者が向き合う場は珍しいと思います。
展示会基本情報 開催日時 令和8年8月4日(火)から8月7日(金)までの4日間です。開館時間は10時から17時までとなっており、初日のみ10時30分開館です。
会場 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-11-1)です。国内最大級の展示会場であり、下水道分野の一大拠点にふさわしい規模を備えています。
主催者 公益社団法人日本下水道協会が主催しています。全国の下水道事業を横断的に支える公的な団体であることが、展示会全体の信頼感につながっていると感じました。
公式サイト 公式サイトはこちら
来場者層 来場者の中心は、全国の地方公共団体で下水道事業を管理する立場にある方々です。技術職の職員だけでなく、政策や予算を検討する立場の方も多く見られました。
そのため、来場者の一人ひとりが明確な課題意識を持って会場を歩いている印象を受けます。
主な出展分野 下水道に関わる最新技術、機器、サービスを扱う企業や団体が数多く出展しています。
今回は新設ゾーンとして「IT・DXゾーン」と「管路診断ゾーン」が設けられており、時代の変化を象徴する構成になっていました。
展示会の特徴 下水道展’26東京は、下水道分野における国内最大の展示会です。
単なる機器の展示にとどまらず、セミナーやキャリア関連の企画まで幅広く用意されているところに特徴があります。
一般的な消費財の展示会とは違い、来場者の目的が情報収集に強く振り切れている点も印象的でした。
今回のみどころ 今回の目玉のひとつが、8月5日に開催された「インフラDXが拓く下水道の未来」というスペシャルセミナーです。
定員400名という規模で、企業幹部が登壇し、DXという切り口から下水道の未来を語る企画でした。
老朽化した管路の維持管理や人手不足という、業界が長年抱えてきた課題に対して、テクノロジーがどのような答えを出していくのか。その最前線を見られる場になっていたと思います。
注目ポイント 僕が特に注目したのは、新設された「IT・DXゾーン」と「管路診断ゾーン」です。
下水道という社会インフラは、目に見えない場所で日々老朽化が進みます。その見えない課題を、センサーやデータで可視化しようという流れが、ゾーンの構成そのものに表れていました。
今回、来場者の足を止めていたブースには共通点がありました。それは「誰に、何を伝えるのか」が明確に設計されていることです。こうした成果の出る展示会営業は、決して偶然ではなく再現可能です。その具体的な考え方と手順は、展示会成功のための全体像 で体系的にまとめています。
専門性の高い展示会だからこそ、伝え方の巧拙が来場者の反応にはっきり表れるのだと感じました。
会場の様子 会場全体を歩いてみると、落ち着いた雰囲気の中にも活気がありました。
派手な演出で人を集めるというより、技術資料やデモンストレーションでじっくり対話をするブースが目立ちます。
また、8月7日には全国360以上の自治体が参加する「公務員キャリアフェス」も併催されており、業界の未来を担う人材確保という視点まで会場に組み込まれていました。
展示会が単なる商談の場ではなく、業界全体の未来をつくる場になっている。そんな光景が広がっていました。
業界への意味 下水道というインフラは、老朽化と人手不足という二つの課題に同時に向き合っています。
この展示会は、その課題に対して全国の自治体と企業が一堂に会し、解決策を持ち寄る貴重な機会になっています。
普段は競合関係にある企業同士も、業界全体の課題解決という共通の目的の前では、情報を交換し合う場面が見受けられました。
これは、下水道という社会インフラがもはや一企業の努力だけでは支えきれない領域に入っていることの表れだとも感じます。
今年の展示会トレンド 今年際立っていたのは、DXという言葉が単なるスローガンではなく、具体的な技術として提示されていたことです。
管路の劣化状況をデータで診断する技術や、AIを活用した維持管理の提案など、現場の課題解決に直結する展示が増えていました。
加えて、太陽光発電やブルーカーボンといった環境関連のテーマも取り上げられており、下水道インフラが単なる処理施設ではなく、エネルギーや環境資源の拠点として捉え直されつつあることがうかがえます。
過去のレポート 同じ展示会の過去のレポートを公開しています。業界の流れや変化を立体的に見る定点観測の材料になさってください。
下水道展2024|現地観察レポート
下水道展2022
展示会営業の専門家 清永健一のワンポイントアドバイス 下水道展のような専門性の高い展示会では、来場者はすでに明確な課題を持って会場を訪れています。
だからこそ、ブースで最初にすべきことは売り込みではなく、課題を聞くことです。
来場者が抱えている悩みを丁寧にヒアリングし、それに対する自社の答えを提示できたブースほど、深い会話につながっていました。
そして、展示会の成果は当日だけで決まるわけではありません。会期中に出会った担当者へ、会期後どれだけ丁寧にフォローできるかで、商談化するかどうかが大きく変わってきます。
名刺の数を目的にするのではなく、そこから生まれる関係性を目的にする。この視点を持てる企業ほど、下水道展のような専門展示会での投資対効果を高められるはずです。
※この記事はAIを活用して作成しました。
展示会で成果を出すコツを知りたい方へこのセミナーに参加すると、 成果を出すノウハウを習得できます。
オンライン展示会営業®セミナーの詳細はこちらをクリック
展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照 。 展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
展示会場の様子がわかる動画です。
VIDEO
会場を歩いてまず感じたこと 東京ビッグサイト南展示棟に足を踏み入れて、まず感じたのは会場全体を包む熱量でした。
カフェ、健康食品、発酵・醸造、インバウンド対応という一見別々のテーマが、ひとつのフロアで自然に隣り合っている光景は壮観です。
来場者は目的を持ってブースを渡り歩いており、ただ眺めるだけの人はほとんど見かけませんでした。
4つの専門展が同時開催されているにもかかわらず、動線に迷いが少なく、来場者の意識がしっかり商談に向いていると感じます。
展示会基本情報 開催日時 2026年8月4日(火)から6日(木)までの3日間、各日10時から17時まで開催されます。
会場 東京ビッグサイト 南展示棟です。
主催者 4展はいずれもTSO International株式会社が主催しています。
このうちウェルネスフードジャパンは一般社団法人日本ウェルネス産業推進協会との共催、国際発酵・醸造食品産業展は日本醸造機械用品商工組合と日本発酵文化協会の特別協力のもとで運営されています。
公式サイト CAFERES JAPAN 公式サイトはこちら
ウェルネスフードジャパン 公式サイトはこちら
国際発酵・醸造食品産業展 公式サイトはこちら
インバウンドフードビジネスEXPO 公式サイトはこちら
来場者層 4展合計でおよそ4万5千名の来場が見込まれています。
カフェ・ベーカリー・スイーツ店舗の開業予定者から、健康食品業界の商品企画担当者、酒造・醸造メーカーの技術者、そして外食・宿泊・小売でインバウンド対応を進める事業者まで、来場者の顔ぶれは非常に幅広いです。
共通しているのは、いずれも自ら課題を持って情報収集に来ているという点でしょう。
主な出展分野 カフェ・ベーカリー・スイーツ向けの食材や調理機器、健康食品・機能性表示食品やOEM関連サービス、醸造・蒸留機器やHACCP対応機器、ハラル・ビーガン食品や多言語対応システムなど、出展分野は多岐にわたります。
4展合わせて約600社が出展しており、ひとつの会場で食品ビジネスの上流から下流までを俯瞰できる構成になっています。
展示会の特徴 この4展の最大の特徴は、単独開催ではなく意図的に同じ会場・同じ会期でまとめられている点にあります。
カフェ需要と健康志向、発酵という日本の伝統技術、そしてインバウンドという成長市場が、ひとつの動線上でつながっているのです。
来場者は目当ての専門展だけでなく、隣接する展示にも自然に立ち寄ることになり、結果として想定外の出会いが生まれやすい設計になっていると感じました。
今回のみどころ 今回はSAKE LEADERS SUMMITをはじめ、50本以上の専門セミナーが用意されており、単なる商談の場を超えた学びの場になっています。
発酵・醸造の技術トレンドとウェルネス市場の最新動向を同時に把握できるのは、この合同開催ならではの価値です。
複数の業界を横断して情報を得たい来場者にとって、非常に効率のよい3日間になるはずです。
注目ポイント 会場を歩いていて特に目を引いたのは、来場者の足を止めているブースにいくつかの共通点があったことです。
それは、商品説明よりも先に「誰の、どんな課題を解決するのか」を一言で伝えている点でした。
こうした成果の出る展示会営業は、決して偶然ではなく再現可能です。その具体的な考え方と手順は、展示会成功のための全体像 で体系的にまとめています。
特にインバウンド対応ブースでは、多言語POPと実演を組み合わせている企業ほど、外国人来場者との会話が弾んでいました。
会場の様子 南展示棟全体は、試食や試飲の香りが漂い、五感で楽しめる雰囲気に包まれていました。
発酵・醸造ゾーンでは杜氏や醸造技術者らしき方々が真剣な表情で機器を見比べており、専門性の高さがうかがえます。
一方でカフェ・スイーツゾーンは明るい配色のブースが多く、同じ会場内でもエリアごとに異なる空気感が楽しめました。
業界への意味 健康志向、発酵食品ブーム、そしてインバウンド需要という3つの潮流が同時に会場で交差している点は、日本の食産業が置かれている状況を象徴していると思います。
国内市場の成熟と海外からの高い関心が同時に存在するいまだからこそ、こうした横断的な展示会の意義は大きいです。
一次情報を直接得られる場が業界内にあることは、これからの企業経営にとって貴重な財産になるでしょう。
今年の展示会トレンド 今年特に感じたのは、省人化・DX関連の出展が全体を通じて増えていることです。
配膳ロボットやキャッシュレス決済、多言語対応システムなど、人手不足を前提とした店舗運営ソリューションが各ゾーンに共通して見られました。
健康・発酵・インバウンドという異なるテーマの展示会であっても、根底にある課題は共通しつつあるようです。
過去のレポート 同じ展示会の過去のレポートを公開しています。業界の流れや変化を立体的に見る定点観測の材料になさってください。
カフェレスジャパン、ウェルネスフードジャパン2025|現地観察レポート
カフェレスジャパン、ウェルネスフードジャパン2024
カフェレスジャパン、和麺産業展、国際和食産業展、国際発酵・醸造食品産業展、ウェルネスフードジャパン2023
カフェ&ウェルネスウィーク(カフェレスジャパン、ウエルネスライフジャパン)
展示会営業の専門家 清永健一のワンポイントアドバイス 僕がこの4展を見て感じたのは、テーマの異なる展示会を同じ会場でまとめる主催者の設計力の高さです。
出展社にとっても、隣接する専門展の来場者と出会えるというのは大きなチャンスといえます。
ただし、そのチャンスを活かせるかどうかは、事前準備の段階で「自社の商品が、どの来場者層のどんな課題を解決するのか」を明確にできているかにかかっています。
目的が曖昧なまま出展すると、せっかくの合同開催のメリットを十分に活かせません。
来場者との対話では売り込みではなく、まず相手の課題を聞く姿勢を大切にしていただきたいと思います。
そして何より重要なのは、会期後のフォローです。会場で得たご縁を、その場限りにせず次の商談へとつなげていく仕組みを、ぜひ準備段階から組み込んでおいてください。
※この記事はAIを活用して作成しました。
展示会で成果を出すコツを知りたい方へこのセミナーに参加すると、 成果を出すノウハウを習得できます。
オンライン展示会営業®セミナーの詳細はこちらをクリック
展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照 。 展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
展示会への出展が決まると、多くの企業はまずブース装飾の検討を始めます。
壁面を何色にするか? 大型モニターを置くか? 製品を何点並べるか? 隣に大企業の巨大ブースがあると分かれば、「うちも、もっと目立たなければ」と不安になるかもしれません。
しかし、展示会の費用対効果を高めるために、最初に考えるべきことは装飾ではありません。
誰の、どのような課題に対して、自社がどのように役立ち、その関心を会期後の商談へどうつなげるか。
この一連の流れを設計することが先です。
ブースの見せ方、スタッフの接客、展示する製品、会期後のフォローが一本につながれば、1小間の小さなブースでも成果を生み出せます。
反対に、それぞれを別々に考えると、名刺は集まっても商談につながらず、「結局、展示会に出て何が残ったのか分からない」という結果になりがちです。
展示会の費用対効果が見えない原因は、出展費用の高さだけではない 『展示会白書』 では、直近1年以内に展示会出展の責任者・担当者を務めた536名に、出展時の課題を尋ねています。
最も多かった回答は、「費用対効果が見えにくい」の50.0% でした。「出展コストが高い」は39.7%です。
この結果から分かるのは、出展企業が悩んでいるのは、単にお金がかかることではないということです。
本当の問題は、出展後に次の問いへ答えられないことです。
狙っていた相手と何件出会えたのか そのうち何件が次の約束につながったのか 何件が商談や案件に進んだのか どの受注が展示会をきっかけに生まれたのか 費用を下げるだけでは、費用対効果は改善しません。成果へ至る道筋を見えるようにする必要があります。
展示会を「3日間のイベント」ではなく、会期前の設計から会期後の商談まで続く営業プロセス として捉えることが出発点です。
1小間で成果を出す企業は、来場者の判断順序に合わせている 展示会場で来場者は、すべてのブースをじっくり比較しているわけではありません。通路を歩きながら、ほんの数秒で「自分に関係があるか」を判断しています。
同白書の来場者調査1,089名では、ブースに立ち寄る際に重視する要素として、51.5%が「自社の業務課題に直結するキーワードや展示内容が目に留まったこと」 を挙げました。
一方、「ブースの見た目や演出が目を引くこと」は20.3%でした。
装飾が不要なのではありません。問題は、装飾を整えることが目的になり、「このブースは誰の何を解決するのか」が見えなくなることです。
来場者の判断は、概ね次の順序で進みます。
自分に関係がありそうだと気づく 本当に役立つのかを確かめる この会社に相談して大丈夫かを判断する さらに話を進める理由を見つける したがって、成果につながるブースには、次の4つが必要です。
課題に気づかせる言葉 価値を実感できる展示や体験 信頼性や対応力が伝わる対話 会期後の次の一歩 この4つを一つの流れとして設計することが、限られたスペースと予算を生かす鍵です。
まず「誰に役立つブースなのか」を一人まで絞る 小さなブースほど、情報を増やしてはいけません。
扱っている製品をすべて並べ、対応可能な加工やサービスを全部掲示すると、一見すると充実したブースになります。しかし、通路を歩く来場者には、結局何を相談できる会社なのかが伝わりません。
そこで重要になるのが、ワンブース・ワンアイテム・ワンターゲット という考え方です。
一つのブースで、主役となる商材を一つに決め、その商材で最も役立てる相手を一人まで具体化します。
例えば、対象を「製造業」にすると広すぎます。
「多品種少量生産の段取り替えに悩む工場長」まで絞れば、掲げる言葉も、見せる製品も、スタッフが聞く質問も明確になります。
ターゲットを絞ると、来場者が減るように感じるかもしれません。しかし、展示会で必要なのは、誰でもよいから立ち寄ってもらうことではありません。
自社が役立てる相手に、自分のためのブースだと気づいてもらうこと です。
出展コンセプトの詳しい考え方は、『展示会白書』第8章「展示会成果を高める実践ステップ」 でも解説しています。
ブースキャッチコピーは製品説明ではなく課題解決を示す ターゲットを決めたら、その人が会場を歩きながら心の中でつぶやいている悩みを言葉にします。
例えば、次のような表現です。
食品工場の洗浄時間を短縮したい方へ 物流倉庫のピッキングミス対策 人手不足でも検品精度を落とさない方法 「高性能画像処理システム」「独自技術を搭載した昇降装置」といった製品説明だけでは、来場者は自社との関係を瞬時に判断できません。
最初に伝えるべきなのは、製品の正体よりも、導入後に現場がどう変わるかです。
キャッチコピーは、次の型で考えるとつくりやすくなります。
〇〇に悩む△△責任者へ。□□を実現する(商品カテゴリ)
〇〇には課題、△△には具体的な対象者、□□には導入後の変化を入れます。
根拠のある数字があれば、「作業時間を30%短縮」「3工程を1工程に」と具体化します。ただし、説明できない数字や条件が不明確な実績を使ってはいけません。
ブースキャッチコピーの具体的なつくり方は、展示会のキャッチコピー例とテンプレート も参考になります。
AIやWebで分かる説明を繰り返しても、来場者の判断は進まない 来場者が足を止めた後、すぐに会社概要や製品スペックを最初から説明してはいけません。
今の来場者は、展示会へ来る前からWebサイトや検索エンジン、生成AIで情報を調べています。
同白書では、「期待外れだったブース」の特徴として、35.1%が「展示内容がWebサイトで得られる情報と大差なかった」 と回答しました。
つまり、Webに書いてある内容を、会場で社員が読み上げるだけでは不十分です。
展示会で渡すべきなのは、検索結果の続きにある判断材料です。
実物の大きさ、重さ、操作感 自社の条件でも使用できるか 導入時に起こりやすい問題 個別対応できる範囲とできない範囲 問題が起きた際の支援体制 製品を開発した背景や会社の判断基準 来場者調査では、購買判断において「展示会での対面情報の方が影響した」「どちらかといえば対面情報の方が影響した」と答えた人は、合計60.0%でした。
さらに、展示会情報が購買意思決定に影響した内容として、44.1%が「実物を見たことで社内説得がしやすくなった」、39.9%が「担当者と直接話し、信頼性や対応力を確認できた」と回答しています。
対面の価値は、スペックを詳しく説明できることではありません。
相手の状況に合わせて説明を変え、実物と対話を通じて、導入判断への不安を減らせること です。
理念は飾り文句ではなく「この会社なら任せられる」の根拠になる BtoB商材では、性能や価格だけで取引先が決まるとは限りません。
個別設計が必要な商材、導入後の保守が重要な商材、長期取引になる商材、失敗時の影響が大きい商材では、「何を買うか」と同時に「誰と取り組むか」が問われます。
そこで効いてくるのが、企業の理念や姿勢です。
ただし、抽象的な企業理念をパネルに大きく掲げればよいという話ではありません。
来場者が確認しているのは、次のような一貫性です。
なぜ、この製品をつくったのか どのような顧客の課題を放置したくないのか 何を大切にして開発・提供しているのか できることと、できないことを誠実に伝えるか トラブル時にも向き合ってくれそうか ブースで掲げた言葉と、展示内容、スタッフの受け答え、会期後のフォローが一致していれば、理念は信頼を生む判断材料になります。
反対に、「お客様第一」と掲げながら、一方的に売り込んだり、質問への回答を曖昧にしたりすれば、立派な言葉ほど逆効果になります。
名刺枚数ではなく受注から逆算してKPIを決める メッセージと接客を整えても、成果の測り方が名刺枚数だけでは、費用対効果は見えるようになりません。
展示会の目標は、最終的な受注目標から逆算します。
例えば、展示会をきっかけに受注3件を目指すとします。
案件化した商談の受注率が20%なら、必要案件数は15件 商談から案件化する割合が30%なら、必要商談数は50件 有望な接点から商談へ進む割合を基に、必要接点数を算出 こうして初めて、名刺数や接客数が、受注につながる途中のKPIになります。
なお、比率は他社の数字をそのまま使うのではなく、自社の過去実績を使うのが基本です。初出展でデータがなければ仮置きし、出展後に実績との差を確認します。
会期中に把握する数字 重点ターゲットとの接点数 課題を具体的に把握できた件数 デモ、診断、相談などへの申込数 次回の約束を得た件数 会期後に追跡する数字 アポイント数 商談数 案件化数 受注数と受注金額 受注までに要した期間 展示会ROIの考え方と計算方法は、展示会の費用対効果を高める方法 でも詳しく紹介しています。
フォロー方法は展示会が終わる前に決めておく 展示会が終わってから、「誰に、何を送ろうか」と考え始める企業は少なくありません。
しかし、来場者は一日に何十社ものブースを見ています。数日たてば、担当者の顔も、説明内容も曖昧になります。
会期前に、少なくとも次の3点を決めてください。
どのような相手に、自社が役立てるのか 相手の課題ごとに、次に何を提案するのか 誰が、いつまでに連絡するのか 次の接点は、商品説明の続きをするためだけの面談である必要はありません。
現場診断 個別デモ サンプル提供 技術担当者との相談 事例解説セミナー オンライン相談 相手が判断を進めるために必要な場を用意します。
そして、名刺を「今すぐ客」「そのうち客」と売り手側の都合だけで分類するのではなく、会話で把握した課題に応じて、次の行動を決めます。
関連事例を送る 技術回答を返す サンプルを手配する オンライン面談を設定する 現時点では追客しない 展示会後のお礼メールも、会期前に骨子をつくっておけば、当日の会話内容を加えて素早く送れます。詳しい文例は、展示会のお礼メールの書き方 をご覧ください。
出展前に確認したい一貫設計チェックリスト 次の項目に、一つでも答えられないものがあれば、装飾を確定する前に出展設計へ戻ることをおすすめします。
今回の展示会で最も出会いたい人を、一文で説明できる その人が抱える具体的な課題を言葉にできる ブースを3秒見れば、誰に役立つ展示か伝わる 主役となる製品・サービスが一つに絞られている 製品の特徴ではなく、導入後の変化を伝えている Webでは得にくい実物、体験、対話を用意している 自社の姿勢や対応力が接客に表れている 受注目標から商談数と接点数を逆算している 会期中と会期後のKPIを分けている 来場者の課題別に次の提案が決まっている フォロー担当者と期限が決まっている 小さなブースほど「出会いから商談まで」を一本につなぐ 展示会の費用対効果は、ブースの大きさだけで決まりません。
来場者の課題に直結する言葉を掲げる。実物と対話で判断材料を渡す。会社の姿勢を行動で示す。そして、関心が高まった相手を次の接点へつなぐ。
この流れが一本につながっていれば、1小間は弱点ではありません。むしろ、訴求を絞り、展示と接客を一貫させやすいという強みになります。
派手なブースをつくる前に、まず問い直してください。
今回の展示会で、誰のどのような判断を前に進めるのか。
この答えが明確になれば、掲げる言葉、見せる製品、スタッフが聞く質問、追跡する数字、会期後に提案する内容まで決まります。
展示会を単発イベントで終わらせず、改善できる営業活動へ変える第一歩は、出会いから商談までを一つの設計図に描くことです。
“`
展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照 。 展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。