展示会を失敗させないセミナー

展示会を見れば「世の中」がわかる。マクロとミクロで読み解く一次情報の宝庫

AIでもネットでも手に入らない情報が、展示会場にある

こんにちは!展示会営業(R)コンサルタントの清永です。

「情報はネットで調べればいい」「わからないことはAIに聞けばいい」

そういう時代になりました。

確かに、生成AIは便利です。調べたいことを入力すれば、数秒で整理された回答が返ってくる。

知識の取得コストは劇的に下がりました。

ぼくもめちゃくちゃ使っています。

でも、ちょっと待ってほしいのです。

ネットで調べられる情報、AIが答えてくれる情報というのは、誰かがすでに書いたこと、すでに公開されたことを集めて再構成したものです。つまり、「二次情報」なんですね。それはとても便利だけれど、誰でも同じものを手に入れることができます。

競争が激しいビジネスの世界で、みんなと同じ情報を使っていては差別化できません。

では、他の人が持っていない情報、まだどこにも書かれていない生きた情報はどこにあるのか?

その答えのひとつが、「展示会の現場にある」です。

展示会は単なる「名刺交換の場」でも「広告宣伝の一環」でもありません。

展示会は、今この瞬間の世の中を映す鏡であり、一次情報の宝庫です。

このコラムでは、マクロとミクロという二つの視点から、展示会がいかに「世相」を体現しているかをお伝えしたいと思います。


マクロ視点 ― 新産業が「メジャーデビュー」する舞台

展示会というのは、どんなタイミングで生まれるのかを考えたことがありますか?

じつは、展示会の初開催時期と、その業界やテーマが社会に定着していくタイミングというのは、驚くほど一致しています。

わかりやすい例を二つ挙げましょう。

一つ目は「ブロックチェーン」という技術です。仮想通貨バブルとともに「ブロックチェーン」という言葉が一般にも広まったのが2017年頃のこと。当時はまだ「難しそう」「投機的なもの」というイメージが強く、ビジネスとして実装しようとしている企業はまだ少数派でした。その後徐々に土壌が整い、技術としてもビジネスとしても現実的に使えるという認識が広がってきた2020年に「ブロックチェーンEXPO」が初開催されます。

二つ目は「推し活」という生活様式です。アイドルやキャラクター、俳優、VTuberなど、自分の「推し」を応援する文化自体は以前から存在していましたが、「推し活」という言葉が一般化し、大きな社会現象として認識されるようになったのは2020年前後です。SNSの普及によってファン同士のつながりが可視化され、「推しにお金を使うこと=自己表現」という価値観が広がり、一気に市場としての存在感を強めました。当初は一部の熱量の高いファンの文化という見られ方もありましたが、次第に企業側もこの市場の可能性に注目し始めます。アクリルスタンド、ぬいぐるみ、フォトスポット、カラーグッズなど、「推し活」を前提とした商品やサービスが次々と生まれ、BtoCだけでなく、施設やイベント側も“推し活対応”を意識するようになっていきました。そして、「個人の趣味」から「明確な消費市場」へと進化したタイミングで、そのニーズと供給を結びつける場として2024年に「推し活EXPO」が立ち上がります。単なるトレンド紹介ではなく、企業が本気で取り組むべき市場として認識された証が、この展示会の開催と言えるでしょう。

この二つに共通するパターンが見えませんか?

少し怪しさがあり、知る人ぞ知る時代を経て、ビジネスとして現実的に動き始めるタイミングに、専門展示会が誕生する。これがまさに展示会の本質を表していると僕は思っています。

イノベータ理論で言うところの、アーリーアダプターが注目し始めた時期と言ってもよいでしょうね。

音楽でいえば、インディーズでファンを増やしてきたアーティストが、メジャーレーベルと契約を結んで全国デビューするあの瞬間。展示会の初開催は、産業にとってのそのタイミングに当たります。

だとすれば、逆のこともいえます。

「今、新しく開催され始めている展示会のテーマを見れば、今後、伸びる産業がわかる」

展示会は、すごく先の未来ではなく、現在から少し先を映しています
展示会のテーマは、世の中のマクロなトレンドを少しだけ先取りしているのです。業界紙やニュースサイトなどの二次情報でトレンドを追いかけるよりも、新たに誕生している展示会のリストをチェックするほうが、あなたのビジネスの役に立つ。それくらいの情報密度が展示会には詰まっています。

あなたのビジネスに関係する可能性がある分野で、新たな展示会が立ち上がっていないか。ぜひチェックしてみてください。そこに、次のビジネスチャンスが眠っているはずです。


ミクロ視点 ― 現場のブースが語る「生々しい世相」

マクロな話だけではありません。展示会が映す世相は、もっとミクロなレベルでも確認できます。

実際に展示会の会場を歩いてみると、気づくことがあります。同じような商材を扱うブースが複数並んでいる、というシーンに出会うことがあるんですね。偶然ではありません。市場・マーケット・現場で今まさに起きていることが、そこに凝縮されているのです。

具体例をお話しします。

今、食品系の展示会に行くと、「海外バイヤー向け」と銘打ったお茶のブースがずらっと並んでいます。緑茶、抹茶、ほうじ茶、玄米茶。様々なお茶のブランドが、英語のPOPを掲げて積極的にアピールしています。

これは何を意味しているのか。

世界的な健康志向の高まりを背景に、日本のお茶が海外市場で急速に評価されてきているということです。実際に海外バイヤーが展示会に来て反応している、だから企業も出展する。この循環が、ブースの数という形で可視化されているわけです。

もう一つ。エネルギー関連の展示会に行くと、太陽光パネルや蓄電池のブースに混じって、「ケーブル盗難防止」を打ち出した商材を扱う企業が何社も出展しています。

聞いたことがある方もいるかもしれません。近年、太陽光発電所の銅線ケーブルが盗まれるという被害が全国で多発しています。金属価格の高騰が背景にあるのですが、それが現場の深刻な問題になっているからこそ、解決策を持つ企業が展示会に出てくる。ケーブル盗難防止というニッチに見えるテーマが、複数の企業のビジネスとして成り立つほどの市場になっているということを、展示会のブース数が教えてくれるのです。

ここで重要なポイントをお伝えします。

出展企業は基本的に、「今、顧客が最も困っていること」に対する解決策を持ってきます。自社の商品・サービスが「売れる見込みがある」と判断したからこそ、コストをかけて出展している。

つまり、複数の企業が似たような商材で出展しているということは、その課題が今まさに市場で拡大していることの証明なのです。

どのブースに人だかりができているか。どんなキャッチコピーが増えているか。商談スペースがどれだけ埋まっているか。

そういったことを会場全体を歩きながら観察するだけで、ニュースになる前の「生々しいミクロの世相」が肌感覚でつかめる。これが展示会の持つ、他にはない情報価値です。


AI時代だからこそ、一次情報の価値が高騰する

ここまで読んでくださった方の中には、「でも最近はSNSで現場情報も手に入るし、ニュースも速い。わざわざ展示会に行かなくてもいいのでは?」と思った方もいるかもしれません。

その疑問に、正面からお答えします。

確かに、情報の流通速度は上がっています。でも、だからこそ逆説的に、「現場でしか得られない一次情報」の価値が急上昇しているのです。

考えてみてください。ChatGPTをはじめとする生成AIは、Web上に存在するテキストデータを学習して動いています。ということは、AIが答えられる情報は、すでに誰かが公開した「過去の情報」です。どれだけ優秀なAIを使っても、「まだ誰も書いていないこと」は出てこない。

そして今、ほとんどのビジネスパーソンが同じAIを使い、同じ検索エンジンを使い、同じニュースサイトを読んでいます。みんなが同じ二次情報を元にビジネスの判断をしているとしたら、そこに差は生まれません。

でも、展示会の現場で得られる情報は違います。

海外バイヤーがお茶のブースで見せた目の輝き。ケーブル盗難に悩む来場者が語った切実な声。人だかりができているブースから漂う、独特の熱気と興奮。ある商材の説明を聞いて「それ、うちの会社に必要だ!」と思った瞬間の感覚。

こういったものは、現場に足を運んだ人間にしか得られない情報です。Webに載っていない。AIも教えてくれない。まさに「一次情報」そのものです。

AIやデジタルの利便性が上がれば上がるほど、「現場で五感を使って得た情報」は希少価値を増していきます。人間が実際に集まり、話し、体験し、感じる場所。展示会はそういう場所であり続けます。

だから僕は言い続けています。展示会には行くべきです。自分が出展するだけでなく、来場者としても積極的に活用してほしい。そこには、どんな優れたAIも出力できない、生きた情報が溢れています。


展示会を「世相の観測所」として使い倒す

ここまでお読みいただいて、展示会の見方が少し変わってきましたか?

展示会を最大限に活用するために、具体的な視点をお伝えします。

来場者として展示会に行くとき、目的のブースだけを見て帰らないでほしいのです。もちろん、自分のビジネスに直結するブースを回ることは大切です。でも、それと同時に、会場全体を俯瞰する時間を必ずとってほしい。

「今回の展示会で、どんなテーマのブースが増えているか」「どこに人が集まっているか」「どんなキャッチコピーが目につくか」を意識して歩くだけで、情報収集の密度がまったく変わってきます。ちょっと立ち止まって、隣のブースを眺めてみる。知らない業界のゾーンを歩いてみる。そこに、思いがけない気づきが待っていることが多いのです。

展示会を「世相の観測所」として歩く。この習慣をぜひ身につけてほしいと思います。

出展者として展示会に参加するときは、自社の商材が「今の世相や顧客の深い悩み」にどう応えているかを、しっかり言語化してブースに反映させてほしい。

機能の説明をずらっと並べただけのブースより、「この課題、抱えていませんか?」と今の顧客の悩みにピンポイントで刺さる言葉を掲げているブースのほうが、人が立ち止まります。世相を映した言葉には、引力があります。展示会の現場で学んだミクロの世相を、自社のブースキャッチコピーに活かしてほしいと思います。

※成果が出る企業には共通した設計があります。そのチェックポイントと具体的な進め方は、展示会営業の成功ガイドでご確認ください。


おわりに:デジタルが進むほど、リアルの価値は上がっていく

最後にお伝えしたいことがあります。

「展示会はアナログで古い」「デジタル化の時代に逆行している」という声を、たまに聞きます。でも、僕はまったくそう思いません。むしろ逆です。

デジタル化が進めば進むほど、AIが発達すれば発達するほど、「リアルな人間が集まる現場」の価値は上がっていきます。

なぜなら、デジタルが得意とすることは「すでにある情報の整理と伝達」だからです。でも、新しい価値は人間が実際に出会い、対話し、体感するところから生まれます。展示会はその最前線です。

マクロには、今どんな産業が社会に定着しようとしているかを教えてくれる。ミクロには、今まさに現場で起きているリアルな課題と熱量を教えてくれる。そして何より、そこにいる人の言葉、表情、反応という、数字に変換できない情報を全身で受け取ることができる。

展示会を「世相の観測所」として、「一次情報の宝庫」として積極的に活用してください。

あなたのビジネスの次の一手は、会場の熱気の中にきっとあります。足を運んだ人にしか見えない景色が、そこには広がっています。

ぜひ、会場でお会いしましょう。

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