東京ビッグサイト30周年。
これまで何度も「展示会は終わった」と言われてきました。
でも、終わらなかった。
むしろ今、展示会はもう一度、BtoBビジネスの主役に戻ろうとしています。
東京ビッグサイトが、今年で開業30周年を迎えました。
ぼくはこの節目を、とても感慨深い気持ちで迎えています。
展示会営業(R)コンサルタントとして1,300社以上の企業を支援してきたぼくにとって、
東京ビッグサイトは単なる会場ではありません。
商談が生まれる場所であり、
企業の未来が動き出す場所であり、
そして、ぼく自身の人生を変えてくれた場所です。
思い返せば、ぼくのキャリアは
決して順風満帆ではありませんでした。
※興味を持っていただける方、展示会営業(R)ノウハウ誕生秘話をご覧ください。
東京ビッグサイト開業の翌年、
新卒で入った会社を、わずか4か月で辞めました。
いきなりの挫折でした。
自信もない。実績もない。
これからどう生きていけばいいのかも分からない。
そんな状態の中でたまたま出会ったのが、「展示会」でした。
展示会で初めて接客した時のことを今でも鮮明に覚えています。
衝撃を受けました。
営業なのに、追いかけなくていい。
お客様の方から来てくれる。
しかもその場には、課題を持った人しかいない。
だから会話が深くなる。
その場で、信頼が生まれる。
その瞬間、気づいたのです。
営業とは、売り込むことではなく、
「教えること」、「価値を伝えること」なのだと。
そして展示会は、それを最も自然に実現できる場なのだと。
展示会とは、単なる「販売の場」ではありません。
出展を決断した時点ではプッシュ、でも当日の場ではプルになる。
プッシュ型営業とプル型営業が融合した唯一の営業の仕組みです。
それにしても東京ビッグサイト。
数字で見ても、その存在の大きさは圧倒的です。
総展示面積11万㎡超。
年間約300の展示会。
来場者数は年間1,400万人。
これは、東京都の人口とほぼ同じです。
これだけの人と企業が、同じ場所に集まり、
出会い、対話し、新しいビジネスを生み出している。
東京ビッグサイトは、ただの施設ではありません。
日本のビジネスを動かすエンジンなのです。
東京ビッグサイトのこの30年は決して平坦ではありませんでした。
東京都市博の中止。
リーマンショック。
東日本大震災。
そしてコロナ禍。
そのたびに、展示会は「終わった」と言われてきました。
ぼくも、何度もその声を聞いてきました。
でも、終わらなかった。
むしろコロナが明けたとき、多くの企業が気づいたのです。
「リアルで会う」ということの価値に。
これから、ますますAIが進化し、
情報がコモディティ化します。
WEB上の情報だけでなく、学術論文に書かれた最新の研究結果まで
AIのおかげで、誰でも簡単に手に入れられるようになります。
Deep Research(ディープリサーチ)機能は本当にすごいれす。
でも、だからこそ、その先にある
「人」「空気」「温度」が価値になる。
展示会は、それを一瞬で伝えられる場です。
ぼくは、この場所で何度も奇跡のような瞬間を見てきました。
たった1件の商談をきっかけに売上を2倍にした工具卸。
万策尽きた状態から、展示会で業界トップ顧客と取引が始まり起死回生を果たしたスタートアップ
展示会で出会ったバイヤーをきっかけに海外進出し、今では海外売上比率の方が高くなった食品製造業。
自信のなかった営業担当者が、お客様との対話で変わっていく瞬間。
展示ブースでの顧客との生の対話によって、顧客志向の本当の意味に気づいた開発者。
展示会は、モノを売るだけの場ではありません。
会社の「本気」を見せる場です。
そして今、また新たな試練の気配が見え始めています。
ホルムズ海峡の封鎖リスクによる物流の混乱、原材料費の高騰。
展示会に必要な資材やブース装飾のコストは上昇し、
中小企業にとっての出展負担がさらに大きくなる可能性があります。
出展を見送る企業も出てくるでしょう。
しかし、ぼくはあえて言いたいのです。
それでも、展示会に出てください。
中小企業は、量では勝てません。
資金量も人数も大企業には敵いません。
だからこそ、展示会という『知恵と工夫で勝てる場』を使うべきなのです。
競合が出ないときこそ、目立てる。
不安な時代ほど、人は「直接会える企業」を選ぶ。
これは理屈ではなく、
ぼくが現場で何度も見てきた現実です。
たとえば、紙ぶくろ製造販売業エス・ユニットさんは、
2020年、コロナ禍真っただ中にマーケティングWeek2020に出展し
むしろコロナ前の展示会以上の売上を掴みました
(エス・ユニットさんの事例はこちらをご覧ください。)
東京ビッグサイトは、この30年間で何度も危機を乗り越えてきました。
危機を乗り越えるたびに、
出展社は戻り、
来場者は集まり、
商談は生まれ続けてきました。
ぼくは確信しています。
これからの時代、
AIが進めば進むほど、
展示会の価値は上がる。
東京ビッグサイトは、これからも
日本のビジネスの最前線であり続けるでしょう。
出展企業にとっての「商談の聖地」として。
そしてぼくにとっての「原点」として。
東京ビッグサイト、30周年おめでとうございます。
これからも、この場所から
たくさんの挑戦と、たくさんの商談が生まれていくことを、心から願っています。
展示会営業®コンサルタント 清永 健一

展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照。
展示会をテーマとした書籍を5冊執筆している展示会の専門家。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。

