こんにちは。展示会営業(R)コンサルタントです。
今日は、展示会出展を検討されているBtoB企業の皆様に、
ぜひ知っていただきたい興味深いニュースをご紹介します。
先日、日本経済新聞に掲載されたモノタロウの営業戦略に関する記事です。
この事例は、私たち展示会に関わる人にとって、非常に重要なメッセージを含んでいます。
目次
EC企業の雄が、なぜ「対面営業」を選んだのか
工具通販大手のモノタロウといえば、ECビジネスの成功モデルとして知られています。
豊富な品揃え、当日出荷の早さ、24時間いつでも注文できる利便性。
これらを武器に、中小企業や個人事業者から圧倒的な支持を得てきました。
つまり、「対面営業の手間を省く」ことで効率化し、成長してきた企業なのです。
その企業が今、大手製造業向けに「対面営業」を強化しています。
しかも、単なる訪問営業ではなく、顧客の工場内で
商品の展示会を開催するという手の込んだアプローチです。
記事によると、
大阪府枚方市にあるコマツの大阪工場では、
工場の一角に手袋やクリーナーなど約200点の工具・資材を並べ、
昼休みの時間を利用して従業員が商品を手に取り、質感や手触りを確かめました。
モノタロウは営業人員を2割増の80人超に増やし、
現場訪問の回数も倍増させたとのこと。
その結果、中堅・大企業への売上比率は2020年の17%から
2025年には33%へと約2倍に成長したそうです。
なぜEC企業が、わざわざコストをかけて対面にシフトするのか?
ここに、私たちが見逃してはいけない重要なポイントがあります。
デジタル化、効率化の時代に、なぜわざわざ非効率な対面営業に投資するのでしょうか?
答えは明確です。
大手製造業には
「現場ごとに調達方法が異なる」
「長年取引のある資材商社から購入する慣習がある」
という特有の性質があり、ECサイトだけでは顧客の本当のニーズに応えきれなかったからです。
記事の中で、コマツ調達本部の担当者はこう語っています。
「商品は写真だけだとピンとこない。実際に見て触ると魅力的なものもある」
この一言に、すべてが集約されています。
どれだけ高解像度の写真や詳細なスペック表を用意しても、
BtoB商材においては、「実物を見て触る」体験に勝るものはないのです。
モノタロウほどのECプラットフォームと成功体験を持つ企業が、このことを認めたという事実。
これは、展示会というリアルな接点の価値を証明していると私は考えています。
BtoBビジネスにおける「泥臭さ」の重要性
私は長年、展示会営業(R)のコンサルティングをしてきましたが、
成功している企業に共通することがあります。
それは、
「顧客と泥臭く向き合っている」
ということです。
メールやWEBサイトで完結できることでも、
わざわざ顔を合わせ、対話し、相手の反応を肌で感じ取る。
この一見非効率な行為が、実は最も効率的な信頼構築の方法なのです。
モノタロウの取り組みも、まさにこの「泥臭さ」を体現しています。
営業担当者が現場に足を運び、昼休みの従業員に声をかけ、一つひとつの商品を説明する。
この地道な活動を通じて、モノタロウは、大手製造業という新しい市場を開拓しました。
そして重要なのは、この対面での接点を通じて得られる「顧客の生の声」です。
対面で得た声が、次のビジネスを生む
記事によると、モノタロウは対面営業の現場で聞いた
顧客の声を、プライベートブランド商品の開発に活かしています。
「安全性を重視したい」
「環境に配慮した商品が欲しい」
こうした現場の本音は、アンケートやオンライン調査ではなかなか拾えません。
実際に商品を手に取りながら、
「ここがもう少しこうなら」
「こういう機能があれば」
という会話の中でこそ、本当のニーズが浮かび上がってくるのです。
そして、そのニーズに応えた商品を開発すると、今度はその商品が大きな売上を生み出します。
記事では、
「PB商品の売り上げが前年から倍増した客先の工場もある」
と報じられています。
対面での接点が、商品開発につながり、さらなる売上増加につながる。
この好循環こそが、モノタロウが対面営業に投資する理由なのです。
この事例が、展示会出展者に教えてくれること
モノタロウの事例から、私たち展示会出展者が学べることは何でしょうか。
私は、3つあると考えています。
学び①:デジタル時代だからこそ、触れる・体感する」価値が際立つ
オンラインで情報収集できる時代に、わざわざ展示会に足を運ぶ理由は何でしょうか?
それは、
「実物を見て、触って、質感を確かめたい」
からです。
モノタロウの顧客が語った
「写真だけではピンとこない」
という言葉は、すべての展示会来場者の本音でもあります。
デジタル化が進めば進むほど、リアルな体験の価値は相対的に高まります。
あなたが次回、展示会に出展する時、
この「体感価値」を最大化することを意識してみてください。
商品を触れるようにする、デモンストレーションを見せる、サンプルを手渡す。
こうした「体感」こそが、展示会の最大の武器なのです。
※体験価値の高め方については、「展示会で行うべき体験アトラクションとは?」もご参照ください。
学び②:「待ちの展示会」と「攻めの展示会」を組み合わせる
従来の大型展示会は、不特定多数の来場者を「待つ」スタイルです。
これは新規顧客開拓や認知度向上に非常に有効です。
一方、モノタロウが実践する顧客先での展示会は、特定の重要顧客に「攻める」スタイルです。
この2つは対立するものではなく、むしろ補完し合うものです。
たとえば、大型展示会で名刺交換した有力な見込み客に対して、
後日、
「先日の展示会でお話しした新商品について、
昼休みなどに御社の皆様に気軽にご覧いただけるように、
出前展示会で詳しくご紹介させていただけませんか?」
と提案することができます。
大型展示会での「出会い」を、顧客先での展示会で「深化」させる。
この組み合わせは、展示会営業の成果を最大化する方法のひとつです。
学び③:展示会は「聞く場」でもある
多くの出展者は、展示会を「情報提供」だと考えています。
もちろん、それは正しいのですが、それだけではもったいない。
モノタロウの事例が示すように、展示会は「顧客の生の声を聞く場」
でもあるのです。
「この商品、いいですね」
「でも、こういう機能があればもっといいのに」
展示会のブースで交わされるこうした何気ない会話の中に、
次のヒット商品のヒントや、新しいサービスのアイデアが隠れています。
展示会で得た顧客の声を商品開発にフィードバックする。
そして、その商品を次の展示会で披露する。
この循環を回すことで、
展示会が単なる受注促進イベントから、顧客と共に成長する「共創の場」へと進化していきます。
顧客先での「出前展示会」を始めてみませんか?
「モノタロウのような大企業だからできるんでしょう?」
そう思われたかもしれません。
でも、実は顧客先での出前展示会は、低コストで実施できます。
実際にかかる費用は、商品の運搬費と営業担当者の人件費程度なのです。
始めるための3ステップ
ステップ1:候補顧客を選ぶ
既存顧客や、大型展示会で名刺交換した見込み客の中から、
- 取引額を増やせる可能性がある
- 新商品を提案したい
- 関係をより深めたい
という企業を3〜5社選びましょう。
ステップ2:提案する
「御社の従業員の皆様に、新商品を実際に見て触っていただく機会を作りたいのですが、
会議室や休憩スペース、あるいは工場の一角をお借りできませんか?」
と提案してみましょう。
昼休みの1時間程度からでも構いません。
所要時間、必要スペース、顧客側のメリットを明確に伝えることが大切です。
ステップ3:フィードバックを得る
展示会の場で、参加者の反応をよく観察し、意見を積極的に聞きましょう。
「この商品、どう思われますか?」
「こういう機能があったら便利ですか?」
この対話から得られる顧客インサイトこそが、次の商品開発や営業戦略の改善につながります。
BtoBビジネスの本質は「人と人とのつながり」
デジタル化、AI、自動化。
ビジネスを取り巻く環境は日々変化しています。
しかし、BtoBビジネスの本質は変わりません。
それは、「人と人とのつながり」です。
信頼できる相手から、必要な商品を、適切なタイミングで購入する。
この当たり前のことを実現するために、顔を合わせ、対話し、相手のニーズを理解する。
そして、時には、ニーズを超えた、相手が考えてもいなかったような提案をする。
この「泥臭い」プロセスこそが、実は最も確実で、最も効果的な方法なのだと清永は思います。
EC企業として効率化を追求してきたモノタロウが、わざわざコストと手間をかけて
対面営業に回帰したという事実は、このことを雄弁に物語っているのです。
まとめ: リアル展示会の価値を今こそ見直そう
モノタロウの事例は、私たちに、あることを教えてくれています。
それは、
「デジタル全盛の時代だからこそ、リアルな接点の価値が高まる」
ということです。
大型展示会への出展は、新規顧客との出会いを生み、業界での存在感を高めます。
そこに加えて、重要顧客のもとへ出向く「出前展示会」を組み合わせれば、
顧客との関係はさらに深まり、顧客の生の声を聞くことで商品開発の精度も上がります。
「待ちの展示会」で種をまき、「攻めの展示会」で刈り取る。
この両輪を回すことで、あなたの展示会営業はさらに大きな成果を生み出せるはずです。
EC企業の雄であるモノタロウが証明してくれたように、
BtoBビジネスにおいて、顧客と泥臭く向き合うことの価値は、決して失われることはありません。
むしろ、デジタル化が進む今だからこそ、
実物を見て、触って、対話する場としての展示会の価値は、これまで以上に輝きを増しているのです。
次回の展示会で、あるいは次の商談で、
「御社で出前展示会を開催させていただけませんか?」
と提案するところから始めてみてはいかがでしょうか。
きっと新しい扉が開かれるはずです。
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【参考記事】
工具・資材、大手に対面営業 モノタロウが工場訪ね展示会
中小・個人から顧客広げる
(日本経済新聞 2026年2月27日付)
https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&ng=DGKKZO94660900W6A220C2LKB000&scode=3064&ba=1
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展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照。
展示会をテーマとした書籍を5冊執筆している展示会の専門家。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。

