コロナ禍において、Web上で開催し非接触で完結するオンライン展示会が注目を集めました。本記事では、オンライン展示会と従来の(リアル)展示会の違いやメリット・デメリットなどを解説します。
目次
オンライン展示会とは、インターネット上で開催される新しいスタイルの展示会です。従来の展示会と同様に製品やサービスを紹介する場ではありますが、参加者は会場に足を運ぶ必要はなく、パソコンやスマートフォンなどのデバイスを利用し、好きな場所から参加できます。
オンライン展示会は、以前からありましたが、特に新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、出展する企業、来場するビジネスパーソンが増え、注目されました。コロナウィルス感染症が収束しても、出展者・参加者の地理的な制約を克服できるオンライン展示会は、企業の販路開拓、ビジネスパーソンの情報収集の場として定着していくものと思われます。
オンライン展示会とリアル展示会の違いは、主に下記の3点です。
オンライン展示会には、さまざまな種類があります。具体的な種類とそれぞれの特徴をチェックすることで、自社に最適なオンライン展示会を計画しやすくなるでしょう。以下では、オンライン展示会の主な種類を紹介します。
自社だけで開催するオンライン展示会は、「単独開催型のオンライン展示会」に属します。参加する企業が自社だけとなるため、オンライン会場のレイアウトやデザインなどを、自由に決定できるのが特徴です。また、競合同時に出展する他社のことを気にする必要がないため、アピールしたいポイントに集中できるメリットもあります。
一方で、自社だけで宣伝や集客を行う必要があるため、コストがかかりやすい点がネックです。準備段階で成功につながる企画を立てられなかったり、マーケティング活動につまづいたりすると、オンライン展示会の成果が得られない可能性もあります。
まだオンライン展示会を経験したことがない場合には、より準備が難しくなるため、最初は後述する合同開催型のオンライン展示会から始めるのがおすすめです。
複数の企業で1つのイベントを作り上げる方式が、「合同開催型のオンライン展示会」となります。主催となる他社のオンライン展示会企画に出展したり、協力して展示会を運営したりするケースが基本です。宣伝や集客を複数社で実施できるため、多くの顧客へのアプローチに期待できるのが強みです。
自社のブランディングも兼ねて出展したい場合や、可能な限り多くの顧客へのアピールを目的とする場合には、合同開催型のオンライン展示会がおすすめです。一方で、合同開催型のオンライン展示会は、自社の商品・サービスのアピールが難しいという難点があります。
多くの企業が出展しているため、上手くPRできないと数に埋もれてしまうケースが懸念されるでしょう。自社への集客力を高める方法を考案し、有効なアピールを実践していくのがポイントです。
オンライン展示会で自社商品・サービスを紹介する際には、さまざまな方法から手法を選択できます。具体的にどのような方法があるのか確認し、自社商品・サービスと相性がよいものを選ぶのがコツです。以下では、オンライン展示会における主な方法・手法について解説します。
オンライン展示会では、「3DCGブース」を活用するケースが多いです。3DCGブースとは、3DCGの技術を使って顧客が実際に展示会場を見て回るようなかたちを提供する方法です。リアルに近い環境を整備できるため、展示物の迫力などを伝えやすい点がメリットになります。
臨場感が強いので、展示会の熱気が高まりやすい特徴もあります。オンライン展示会の弱点である「商品のサイズや見た目を伝えづらい」という点も、3DCGブースならある程度の改善が見込めます。一方で、3DCGブースの制作にはコストがかかり、技術的なハードルが高い点がデメリットです。
「360°画像ブース」を使ったオンライン展示会も、主流の方法の1つです。360°画像ブースとは、ブースを360°の画像を使って公開する方法です。パノラマカメラを使って撮影した画像を使用し、参加者が自由に周囲360°を見回せる環境を構築します。
3DCGブースほどではありませんが、360°画像ブースも強い臨場感とリアル感を演出できるのが特徴です。自社ブース全体を上手く活用できれば、多くの情報をオンライン展示会を通じて提供することも可能です。コスト面も安いので、バランスのよい方法だと言えるでしょう。
一方で、360°画像ブースを意識したブース環境や展示方法にしないと、そのメリットを活かせません。360°全部を活用できるように、商品の見え方やアピール方法を細かくチェックする手間がかかる点はデメリットです。
「2Dブース」とは、ブースの写真や自社商品・サービスが掲載されている画像を用意し、そのなかにリンクを設置するオンライン展示会の手法です。参加者は表示される画像から興味の引かれるものをクリックし、直接商品・サービス紹介のリンクや動画サイトなどへアクセスします。
オンライン展示会のWebサイトにリンク付きの画像を配置するだけなので、手間とコストを抑えて商品・サービスのアピールが可能です。特別な技術も必要ないため、内製で済ませられる点も魅力でしょう。一方で、上記で紹介した方法と比較すると没入感を得られないため、参加者によっては早期離脱の可能性が懸念されます。
ウェビナーとは、「Webセミナー」の略称です。オンライン環境を使って商品の説明や紹介を行い、魅力を伝えるのがウェビナー型に分類される方法です。ウェビナーへの参加は簡単で、開催中の会場にアクセスできるURLをクリックするだけとなります。
手軽に企業の商品・サービスに関する情報を得られるため、多くの顧客を呼び込める可能性が高いのが特徴です。インターネット環境だけで参加が可能なので、幅広い層を呼び込むチャンスとなります。
一方で、ネット環境によっては映像が止まるなどの問題が発生したり、長時間の説明に参加者の集中力が続かなかったりする点がデメリットです。
オンライン展示会は、非接触で完結するメリットから需要が高まりました。一方、非接触であることのデメリットもあります。主なメリット/デメリットをご紹介します。
メリット | デメリット |
---|---|
距離の制約がないため、集客の幅が広がる | 気軽に参加できるからこそ離脱されやすい |
人件費・会場使用料・広告費が削減できる | 商材の訴求方法の幅が狭くなる |
デジタルなので参加者のデータの収集・分析がしやすい | 手に取って実感・体験してもらえないため商品やサービスの訴求が難しい |
個別チャット等を導入することで関心の高いリードを把握しやすくなる | インターネットに不慣れな世代をターゲットにしにくい |
上記のメリット・デメリットを踏まえることで、オンライン展示会ならではの特徴や魅力が見えてきます。オンライン展示会の機会を有効活用するためにも、独自の特徴について考えておくのも重要です。以下では、オンライン展示会ならではの特徴について解説します。
オンライン展示会なら、当日にリアルでの参加が難しい顧客ともアプローチが取れます。会場が遠方にある顧客も対象になるため、多くの人に商品・サービスの情報を伝えられるでしょう。リアルの展示会は開催日と時間が限定されるため、そもそも参加を諦めざるを得ない人が出てしまいます。
その点、オンライン展示会ならインターネット環境があれば、簡単に参加が可能です。オンライン展示会への参加を訴求することで、これまでアプローチできなかった新規層の開拓につながる可能性もあるでしょう。
オンライン展示会は、従業員の確保や育成などにかかるコストを削減できます。リアルの展示会を成功させるには、ブース運営や準備に必要な従業員を確保したうえで、知識・技術を学ばせなければなりません。育成にかかるコストは決して安くないため、状況によってはコストパフォーマンスが悪くなる可能性もあるでしょう。
オンライン展示会は、リアル展示会との同時進行も検討できます。リアル展示会の状況をオンラインで配信することで、より多くの顧客にアピールが可能です。リアルタイムで状況をオンライン上に公開できるため、リアル参加者への訴求にもつながります。
相乗効果によって、展示会の成果を高められる可能性に期待できる点も、オンライン展示会の魅力になるでしょう。
オンライン展示会は、まだ歴史が浅いイベント形式です。そのため今後テクノロジーが発展していけば、より快適で効果的なオンライン展示会が開催できるようになる可能性もあります。将来性を考慮すると、早いうちからオンライン展示会の方法を確認しておくのもおすすめです。
オンライン展示会に使えるプラットフォームも充実しはじめているため、現時点でもさまざまな技術を活用した手法が広まりつつあります。今後の展開に注視して、オンライン展示会の進化に期待するのもよいでしょう。自社の目的とオンライン展示会の技術レベルがマッチしたら、率先して導入することが検討されます。
オンライン展示会はリアル展示会と異なり、リアルな会場がないので、商品や機材を搬入しセッティングをする必要はありません。その代わり、オンライン展示会ならではの準備があります。
ここでは、オンライン展示会の開催の流れを5つのステップに分けて解説します。
まず初めに展示会の目的やコンセプトを決めます。
オンライン展示会では、リアル展示会のようにたまたま立ち寄ってもらえることはありません。ターゲット層に興味を持ってもらい、オンラインブースを閲覧してもらう必要があります。そのためには、コンセプトを明確にしアピールすることが重要です。
また、オンライン展示会出展の目的とその成果を測る指数もこの段階で設定します。オンライン展示会への出展を通して何を得たいのかを明確にしましょう。
このステップはオンライン展示会出展全体の土台であるため、全工程で最も重要なポイントといえます。
※コンセプトのつくり方は、「出展コンセプトを練り上げる4つの質問とは?」もご覧ください。
※目標設定は、「展示会で成果を出す目標設定法」もご参照ください。
展示会の詳細な計画が決まったら、オンライン展示会に必要なツール類を用意しましょう。
オンライン展示会ツールにはいくつか役割があり、主な機能は以下の通りです。
次は集客です。
集客には、主催者が集客した来場者を自社ブースに立ち寄らせるためのものとオンライン展示会自体に来場してもらうためのものがあります。
オンライン展示会の主催者が集客した来場者に自社ブースに立ち寄ってもらうために、来場者を惹きつけるキャッチコピーやクリックしたくなるサムネイル画像を用意しましょう。
※キャッチコピーのつくり方は「ブースキャッチコピー3つの鉄則」をご覧ください。
オンライン展示会には、自ら集客しなくても、主催者が集客した参加者が一定数存在するものの、オンライン展示会場で開催される著名人のセミナー目当ての方も多く、出展するだけではかなか自社ブースに立ち寄ってもらうことはできません。そこで、商談中客や休眠客にオンライン展示会の出展をメールなどで告知しましょう。オンラインブース来場特典を設けるなどの工夫をすることで反応率を高めることができます。
オンライン展示会でもスタッフの確保は必要です。ただし、オンライン展示会では会場の設営に人員を割く必要がありません。来場者のチャットに対応するスタッフなど、最小限のスタッフで進行できます。
展示会終了後に、お礼メールやアンケートメールの送付や、アポの打診などアフターフォローを行います。
展示会は終わってからが本番なので、このアフターフォローは非常に重要です。アフターフォローで、どのような特典企画を用意し、誰にどのようにアプローチをかけるのかをコンテンツの制作や集客と並行して事前に決定しておきましょう。
※お礼メールについては、「展示会のお礼メールはこう書く」や「展示会お礼メールのポイント」もご参照ください。
※特典企画については、「目からウロコの展示会フォロー」をご覧ください。
ここまでお読みいただきご理解いただけたでしょうが、オンライン展示会とリアル展示会の開催は同じ展示会といえど大きく異なる点がいくつもあります。ここからはオンライン展示会ならではの注意点を3点ご紹介します。
コロナ禍においてオンライン展示会の需要が高まった結果、多くの展示会ツールが開発されました。選択肢が増えることはよいことですが、どれが自社に合うのか迷ってしまいます。
展示会ツールからどどのオンライン展示会に出展するかを決定する際には、次の3点を指標として選ぶことをおすすめします。
前述したように、リアル展示会のように、ブース設置費用や人件費が削減できることがオンライン展示会のメリットの1つです。しかし、利用するツールや紹介する商品によっては、たとえば、動画制作費用が高額になるなどによって、リアル展示会よりも費用が高くなる危険性もあります。費用対効果を計算して、オンライン展示会への出展を検討しましょう。
オンライン展示会の大きなデメリットは参加者が商品を手に取ったり、サービスを体験できないことです。そのため、商品をどのようにアピールするかを考えることは最も重要なポイントです。たとえば、ライブチャット機能を利用し、参加者の疑問を即座に解決することで商品を体験できない欠点を補うなどは解決策のひとつです。目的と出展コンセプトを明確にしてオンライン展示会出展の準備を奨めましょう。
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、人が集まるイベントが軒並み中止となる中、オンライン展示会はその需要を伸ばしてきました。感染症が収束しても、出展者・参加者の地理的な制約を克服できるオンライン展示会は、企業の販路開拓、ビジネスパーソンの情報収集の場として定着していくものと思われます。場所の制約なく参加でき、費用も抑えられるメリットを考えると、商品やサービスによってはオンライン展示会の方が費用対効果が高いケースもあります。アピールしたい商品やサービスとオンライン展示会の相性を考え、適した方法を選択しましょう。
オンライン展示会については、こちらの記事:オンライン展示会とは?メリットや出展方法、
※本記事では、自社とは別の主催者が開催する合同オンライン展示会について記載しましたが、自社が主催者となって単独で行う自前オンライン展示会という手法もおすすめです。詳細は、「費用ゼロでできる自前オンライン展示会」をご覧ください。
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