展示会リード獲得の成功率と単価の平均は?集客と受注率UPのコツも解説

展示会でのリード獲得においては、具体的な数値目標を設定することが成功への重要なステップです。しかし、リード獲得の本質を理解していなければ、十分な成果を得られる展示会を計画するのは難しいでしょう。
※「リード」とは、見込み客のことです。

 

展示会の企画や実施を任された際、「どれくらいのリードを獲得するべきか」「予算に見合った適切な目標設定ができない」といった悩みを抱える人も多く存在します。

 

本記事では、展示会におけるリード獲得率やリード獲得単価の平均値や効果的なKPI設定の方法、目標達成のための具体的な施策まで解説します。この記事を読めば、展示会における目標設定のコツがわかり、目標を達成するための実践的な手順が明確になります。

 

展示会でのリード獲得とは

展示会でのリード獲得とは、企業が商品やサービスを展示し、来場者との接点を持つことで潜在顧客を見つけ出すプロセスのことです。展示会は多くの業界関係者が集まる場であり、リードを獲得する絶好のチャンスです。

リードは、将来的な顧客候補であり、その情報を収集することで、営業活動をより効果的に進めることができます。展示会でのリード獲得には、訪問者に興味を持ってもらえる施策や、信頼関係を築くコミュニケーションが不可欠です。このプロセスを通じて、長期的なビジネス関係を構築することが目指されます。

展示会のリード獲得の平均相場

展示会におけるリードとは、名刺交換やアンケート回答、商談予約など、営業活動につながる見込み客を指します。実際の目標設定を行う際、平均的なリード獲得率と獲得単価の数値を参考にすることで、現実的な目標を立てられるようになります。

 

ここからは、展示会のリード獲得の平均相場について、数値例を交えて解説します。

 

平均獲得率は「5~10%」

展示会におけるリード平均獲得率は、ブース来場者数に対して5~10%程度が相場です。そのため、獲得したリードから実際の商談に進む割合(商談化率)は、1~5%程度を目標とするのが適切とされています。

 

たとえば、展示会の来場者が1,000名で、そのうちブース来場者が200名の場合、下記の数値が目安となります。

 

  • 獲得できるリード数:10~20名程度
  • 商談に進む件数:1名程度

 

これらの数値を参考に、自社の目標設定を行うようにしてください。

 

平均獲得単価は「8,000~10,000円」

展示会における平均的なリード獲得単価は、8,000~10,000円程度といわれています。たとえば、出展費用が100万円、リード獲得数が100件だった場合、リード獲得単価は10,000円となります。

 

リード獲得にかけたコスト(100万円)÷リード獲得数(100件)=リード獲得単価(10,000円)

 

自社のリード獲得に投資できる予算を考慮しながら、上記の平均単価を参考に目標とするリード獲得単価を算出しましょう。

 

 

展示会のおけるリード獲得に向けたKPIの設定方法

展示会を成功させるには、目標を明確化し、その達成度を測るための指標であるKPIを設定することが欠かせません。ここでは、具体的な設定手順について、4つのステップに分けて解説します。

 

なお、展示会のKPI設定は、出展の目的によって大きく異なります。まずは最適な目的を設定しましょう。展示会の目的の設定については、「展示会出展目的を明確にするコツ」を参考にしてください。

 

ステップ1:リードの価値を把握する

まず、展示会で獲得したリードが「自社のターゲット層に該当するか」を把握することが重要です。以下の観点でリードの価値を評価しましょう。

 

  • 決裁権の有無
  • 予算の有無
  • 導入検討のタイミング
  • 自社製品・サービスへのニーズ

 

たとえば、近い将来の導入を検討していて、自社の商品・サービスへのニーズが高い顧客は、リードとしての価値が高いといえます。

 

リードの数を多く獲得することだけを目標とするのではなく、その中から「実際に自社のサービスの契約や購入につながる顧客をどれだけ獲得できるのか」という視点で評価することが重要です。

 

ステップ2:リードの価値を算出する

ステップ1で評価したリードの価値を、以下の計算式を用いて数値化しましょう。

 

期待値=サービスの生涯価値(LTV)×受注率(獲得したリードに対する)

 

たとえば、自社サービスから得られる平均的な生涯価値(LTV)が100万円、過去のデータから算出した平均的な受注率が20%だった場合、リード1件あたりの期待値は20万円と算出できます。

 

さらに、リードを以下の4つのタイプに分類し、それぞれの期待値を設定することで、より精度の高いKPI設定が可能です。

 

決裁者

商談化率が高く、即決の可能性がある

インフルエンサー

社内の意思決定に影響力を持つ

ユーザー

実際の利用者として要望を持つ

一般の来場者

情報収集段階の見込み顧客

 

特に、決裁者であれば成約の可能性が高く、成約率を30%と仮定した場合、期待値は30万円と算出できます。このようにリードを分類し、それぞれの期待値を明確にすることで、より効果的な営業戦略を立てられます。

 

ステップ3:目標リード獲得数を設定する

目標とするリード獲得数は、以下の3つの要素を考慮しながら、具体的な数値を設定していくことが重要です。

 

  • ターゲット数の算出(来場者数やターゲット層、ブースの通過人数を元に目標を設定する)
  • 接客可能人数の計算(自社の接客人数や時間を基に、最大接客数を算出する)
  • 集客プランの設定(事前集客や当日客に応じて目標を設定する)

 

たとえば、1人あたりの接客時間が30分、スタッフが2名、展示会の開催時間が5時間だった場合、接客可能な人数は「20名」となります。もし、目標とするリード獲得数を50件に設定した場合、現在のスタッフ体制では1日に対応できる人数を超えているため、目標を達成するには、少なくとも3名程度のスタッフ追加が必要になることがわかります。

 

このように、展示会全体の規模や自社の体制で対応可能な範囲を考慮しながら、現実的なリード獲得数を設定することが重要です。

 

展示会におけるスタッフの役割や事前準備については、「展示会で説明員が成果を出すコツ」で解説しているので、ぜひ参考にしてください。

 

ステップ4:費用対効果を算出する

展示会の成果を図るうえで、リード獲得数だけでなく費用対効果も必ず確認しましょう。マーケティング活動では、限られた予算のなかで、いかに効率的にリードを獲得できるかが重要となります。

 

売上の計算式:「価格」×「受注率」×「リード数」

ROI(投資収益率)の計算式:「売上」-「経費」÷投資額×100

 

たとえば、展示会にかかる費用が80,000円で、リード獲得単価を8,000円とした場合、単純計算では10件のリード獲得が見込めます。しかし、綿密な準備や戦略的なブース運営などにより、30件のリードを獲得できたとします。この場合、費用対効果が高いといえるでしょう。

 

以上のように、過去の展示会の実績や競合他社の動向、業界全体の平均値などを参考にしながら、費用対効果を意識した、現実的な目標を設定することが重要です。

 

 

展示会におけるリード獲得に向けたKPIを達成するための施策

目標値を設定したら、次は具体的な施策を考えましょう。

 

ここでは、リード獲得を最大化するための施策について紹介します。

 

人員の確保と当日のスケジュールを組む

展示会当日の運営をスムーズに行うためには、適切な人員配置と効率的なスケジュール管理が重要になります。無駄なく、スムーズな来客対応を行うことができれば、より多くのリード獲得や商談につながるでしょう。

 

ブースの人員配置は、下記のようにバランスを考慮して決めましょう。

 

  • 受付担当:1-2名
  • 商談担当:2-3名
  • 説明担当:1-2名
  • 管理責任者:1名

 

また、1日のスケジュールは以下のように組むと効率的です。

 

1日のスケジュール

内容

1.開場前

朝礼とブース最終チェック

2.午前中

事前アポイント対応

3.午後

飛び込み来場対応

4.終了後

実績集計とミーティング

 

いつどのような流れで、誰がどう動くのかを詳細に決めておくことで、効率的なブース運営を実現できます。

 

自社サービスとマッチする展示会を選ぶ

展示会の内容と自社サービスの相性は、リード獲得の質に大きく影響します。以下のポイントを確認しながら、最適な展示会を選びましょう。

 

選ぶポイント

詳細

来場者の業種・職種

ターゲットとする顧客層が来場する展示会であるか

展示会の規模と実績

期待する規模感や、実績のある展示会であるか

過去の来場者データ

来場者の属性が、自社のターゲットと合致しているか

同業他社の出展状況

競合となる企業の出展状況はどうなっているか

 

展示会の内容が自社のサービスとマッチしていなければ、せっかく来場しても自社のターゲットとなる顧客が少ない可能性があります。そうなれば、リード獲得数が少なくなってしまい、展示会出展の費用対効果が低くなってしまうでしょう。

 

こうした失敗を避けるためにも、自社の目的や目標数値と照らし合わせたうえで、展示会の選定を行うようにしてください。

出展すべき展示会の選定法については、「成果が出る展示会の選び方」に詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

トークスクリプトの作成

トークスクリプトの作成は、展示会でのリード獲得において極めて重要なステップです。訪問者に対して自社の商品やサービスの特徴を明確に伝えるため、事前にスクリプトを用意しておきましょう。

まずは、相手の関心を引く導入部分を考えます。次に、自社の強みや提供できる価値を分かりやすく伝える内容を盛り込みます。そして、相手のニーズに合わせた質問を織り交ぜることで、双方向のコミュニケーションを促進しましょう。

最後に、相手に次のステップ(名刺交換や詳細な説明を希望するかなど)を提案する締めくくりの部分も用意しておくとスムーズです。こうした準備をすることで、効果的なリード獲得が期待できます。

事前ロールプレイの実施

事前ロールプレイの実施は、展示会でのリード獲得において非常に効果的な手段です。具体的には、スタッフが来場者とどのようにコミュニケーションを取るかを模擬的に練習することを指します。このプロセスでは、営業トークや商品説明の流れを確認し、疑問点を解消することができます。

また、ロールプレイを通じてスタッフ同士の意見交換が促進され、チーム全体の連携も強化されます。これにより、展示会当日には一貫性のあるメッセージを発信でき、訪問者に与える印象を向上させることにつながります。事前の準備と練習を怠らず、展示会での成功を勝ち取りましょう。

展示会場のなかで立ち寄りやすい場所にブースを構える

ブースの位置は、リード獲得数に大きな影響を与えます。特にメインの通路に面したブースは、サブ通路と比べて来場者数に大きな差が出ます。

 

そのため、以下の条件に当てはまるブース位置を、できる限り確保することをおすすめします。

 

  • メイン通路に面している
  • 出入口からの動線上にある
  • 休憩スペース付近
  • 大手企業ブースの周辺

 

上記の条件に当てはまる場所であれば、来場者の目に1度はとまるはずです。しかし、このような場所は人気が高いため、早めに確保するようにしてください。

効率的な名刺交換のテクニック

効率的な名刺交換は、展示会でのリード獲得において重要な要素です。まず、訪問者と自然に会話を始めることが必要です。共通の関心事や展示内容について話し、興味を引くよう心がけましょう。

次に、会話の流れの中で名刺を差し出すタイミングを見計らいます。訪問者が興味を示した瞬間がベストです。この時、名刺を渡す際には、自社の特長や製品の魅力を短く伝えると、記憶に残りやすくなります。

また、名刺交換後は必ず感謝の意を伝え、会話を終了することで、良好な印象を与えましょう。このようなテクニックを活用することで、効果的な名刺交換が可能になります。

コンパニオンや特典を用意する

展示会では、多くの企業がそれぞれのサービスや製品をアピールしており、来場者の注目を集めるためには、工夫を凝らしたアピール方法が重要になります。そこで、プロのコンパニオンを活用したり、魅力的な特典を用意したりすることが効果的です。

 

プロの力を借りれば、来場者に魅力的なアプローチができます。特典は、下記の内容から来場者にとってメリットのあるものを選びましょう。

 

  • 業界に関連する実用的なグッズ
  • オリジナルコンテンツ
  • サービス体験版や期間限定特典
  • アンケート回答者限定の情報提供

 

こうした付加価値の提供も検討することで、展示会出展後も自社を思い出してもらいやすくなります。

 

展示会でのリード獲得数を増やすコツについては、「展示会でリード獲得数を増やすポイント」で解説しています。ぜひ参考にしてください。

 

 

展示会のリード獲得から商談につなげるためのコツ

リードを獲得しても、その後の適切なフォローがなければ商談には結びつきません。ここでは、獲得したリードを効果的に商談へつなげるための具体的な方法を解説します。

名刺情報のデータ化

名刺情報のデータ化は、展示会でのリード獲得を効果的に活用するための重要なステップです。手に入れた名刺をただ保存するのではなく、デジタル化することで情報を整理し、効率的に活用できます。

名刺情報をデータベースに入力することで、後のフォローアップやマーケティング活動がスムーズになります。たとえば、連絡先情報を統一された形式で管理することで、検索や分析が容易になるのです。

加えて、CRM(顧客関係管理)ツールを活用することで、リードの情報を一元管理し、それぞれのニーズや関心に応じたアプローチが可能となります。このように、名刺情報をデータ化することは、成果を上げるための基本的な作業といえるでしょう。

展示会後にメールや電話でフォローを入れる

展示会は、当日の対応だけで終わらせないようにしてください。展示会で接点を持った顧客には、必ずメールや電話でのフォローを入れましょう。特に、展示会から3営業日以内に最初の接触を行うのがポイントです。

 

以下の流れでフォローを入れることで、顧客との良好な関係を構築しながら、商談化率を高められます。

 

  1. 展示会でのやり取りに触れながら、具体的な商談予約を提案する
  2. 展示会で案内した資料やサンプルなどを送付する
  3. 顧客から受けた質問に対する回答を、わかりやすく丁寧に伝える

 

顧客一人ひとりに寄り添った丁寧なフォローアップを行い、顧客満足度と自社への信頼感を高め、商談へとつなげることが重要です。

 

展示会後のフォローアップメールの書き方については、「展示会のお礼メールはこう書く」、「フォローメールの効果を高めるコツ」で解説しているので、ぜひ参考にしてください。

 

メールマガジンなどで定期的な教育を行う

展示会後も継続的に顧客とコミュニケーションを取り続けるため、メールマガジンなどを活用した情報発信も行いましょう。配信する情報としては、以下の内容が効果的です。

 

  • 業界の最新トレンド情報
  • 課題解決のためのノウハウ
  • 事例紹介や成功事例
  • 新製品・サービスの情報

 

顧客にとってメリットのある情報を提供することで、関係性が向上し、商談につなげやすくなります。

 

ウェビナーやオンラインセミナーを開催する

展示会後のフォローとして、オンラインでの情報提供も効果的です。以下のコンテンツを提供することで、購買意欲の向上につながります。

 

  • 製品・サービスの詳細説明
  • 導入事例の詳細解説
  • 業界専門家による講演
  • 実際の活用方法のデモンストレーション

 

オンラインでの情報提供は、顧客が時間や場所を選ばずに参加できるメリットがあります。そのため、オフラインに比べると参加者が集まりやすく、効率的に顧客との接点を増やせます。

 

展示会でのリード獲得成功事例

展示会でのリード獲得に成功した事例は多数あります。一つの例として、あるソフトウェア企業は、ブースにインタラクティブなデモを取り入れました。訪問者が実際に製品を体験できることで、興味を引くことに成功し、多くのリードを獲得しました。

さらに、別の企業は、参加者に特製のノベルティを配布し、その際に名刺を受け取る方式を採用しました。このように、訪問者との接点を増やすことで、後のフォローアップリードにつなげることができました。

これらの成功事例から学べるのは、訪問者の関心を引くための工夫やアプローチが重要であるということです。

成功企業のケーススタディ

成功企業のケーススタディとして、あるIT企業の展示会参加を取り上げます。この企業は、来場者向けに特別セミナーを実施しました。セミナーでは最新の技術トレンドを紹介し、参加者が自社のサービスをどう活用できるかを具体的に示しました。

その結果、多くの参加者が興味を示し、名刺交換や具体的な相談に繋がりました。また、セミナー後に配布した情報資料も好評で、後日のフォローアップに役立ちました。このように、先進的な情報提供を通じて、企業名とサービスをしっかり印象づけることが、リード獲得に繋がったのです。

具体的な施策と成果

成功した展示会においては、具体的な施策が成果につながっています。たとえば、企業Aはブースにインタラクティブなタッチパネルを設置しました。参加者が自社製品の機能を体験できることで、興味を持った来場者が増加しました。

また、企業Bは魅力的なセミナーを開催し、参加者に詳しい情報提供を行いました。この施策により、セミナー参加者の約30%からリードを獲得でき、興味のある顧客へ後のアプローチが可能となりました。

こうした具体的な施策が、リード獲得につながる鍵となります。

まとめ

展示会の出展効果を高めるには、正確なデータに基づいた現実的な目標設定が欠かせません。適切なKPI設定を行い、計画段階から準備を綿密に整えましょう。本記事で解説した内容を参考にして、ぜひ展示会での効果的なリード獲得に役立ててください。

 

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