目次
総評
2026年3月17日、東京ビッグサイトで開幕したSMART ENERGY WEEK 春展を訪れました。
「GXを加速させる、新エネルギーの総合展」というコンセプトを掲げるこの展示会は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた技術・ソリューションが一堂に会する場です。
会場に足を踏み入れると、そのスケールに改めて圧倒されます。 約1,600社が出展し、展示される製品数は約3,300点にのぼります。
エネルギー分野のビジネスが今どこへ向かっているのか。 その「今」を肌で感じられる展示会として、業界を問わず多くの方に訪れてほしい場でした。
展示会は一次情報の宝庫です。 インターネットやAIで集められる情報はすべて誰かが発信した二次情報に過ぎません。 しかしこの会場には、来場者の本音・市場のリアル・競合の動きが凝縮されていました。 GXという潮流の中で、日本の産業界が今まさに何を求めているかを、この場所で直に感じることができました。
展示会基本情報
開催日時
2026年3月17日(火)〜 19日(木) 10:00〜17:00
会場
東京ビッグサイト(東京都江東区有明)
主催者
RX Japan 合同会社
公式サイト
https://www.wsew.jp/spring/ja-jp.html
来場者層
エネルギー・電力・製造・建設・自動車・官公庁など、幅広い業種から専門家が集まります。 技術者や研究開発担当者はもちろん、経営層や事業企画担当者の姿も多く見られました。
セミナーには経済産業省・環境省・農林水産省の担当者が登壇しており、政策動向を把握しようとするビジネスパーソンも数多く訪れていました。 目的意識を持って情報収集に来ている方の割合が高く、会場全体に真剣さと熱気が漂っていました。
主な出展分野
本展示会は8つの専門展が同時開催される構成です。 水素・燃料電池(H₂ & FC EXPO)、太陽光発電(PV EXPO)、二次電池・蓄電池(BATTERY JAPAN)、スマートグリッド(SMART GRID EXPO)、風力発電(WIND EXPO)、バイオマス発電(BIOMASS EXPO)、ゼロエミッション火力発電(ZERO-E THERMAL EXPO)が並びます。
さらに特別企画として、建物一体型太陽光発電(BIPV WORLD)と次世代発電技術ワールドも設けられており、新エネルギーの全領域をカバーする構成となっています。 これだけの領域が一つの会場に集まる展示会は、日本でも他に類を見ません。
会場の様子
東京ビッグサイトの広大なホールに入ると、1,600社が並ぶ展示ブースの密度に圧倒されます。 通路を歩くだけでも視覚的な情報量が膨大で、会場全体が活気に満ちていました。
開幕直後の午前中から来場者の足取りは速く、スマートフォンで出展者情報を確認しながら目当てのブースへ向かう姿が目立ちました。 事前にリサーチしてから来場する「目的来場者」の割合が高いことを示しています。
水素・燃料電池エリアと蓄電池エリアには特に人が集まっており、実機展示やデモを前に担当者と話し込む場面が随所で見られました。 セミナー会場では満席に近い状態が続いており、200本以上が開催されるカンファレンスへの関心の高さが伝わってきました。
展示物のスケール感も印象的でした。 大型の水素関連設備、次世代電池のサンプル、太陽光パネルの最新製品など、実物を目の前にして技術の進化を実感できる場は、カタログやウェブサイトでは決して代替できません。

展示会の特徴
SMART ENERGY WEEK 春展の最大の特徴は、エネルギー転換に関わるすべての技術領域を1つの会場で俯瞰できることです。 水素から太陽光、蓄電池、風力、バイオマス、スマートグリッドまで、脱炭素社会を支える技術が横断的に集まっています。
同展示会は春・秋・関西と年3回開催されており、業界全体の定点観測ができる場としての機能も果たしています。 年間来場実績は約13万4千人に達しており、エネルギー業界を代表するトレードショーとして定着しています。
さらに、政策担当者・技術者・経営層が一堂に集まることで、業界の方向性を読むうえで非常に価値の高い展示会です。 RX Japanによる会場設計・動線・セミナー運営には丁寧さが感じられ、主催者としての成熟度と来場者への配慮が随所に表れていました。
今回の見どころ
今回の春展で特に注目したいのは、「浮体式洋上風力発電」と「次世代蓄電池」の展示です。
浮体式洋上風力は、急峻な海底地形を持つ日本の地形的条件に対応する技術として国際的にも注目が高まっています。 WIND EXPOエリアでは浮体式を中心に据えた展示が増えており、日本発の技術が国際市場をねらう姿勢が伝わってきました。
次世代蓄電池については、全固体電池や次世代リチウムイオン電池の展示が充実していました。 EV用途だけでなく、系統安定化・家庭用蓄電・産業用バックアップへの展開が具体的に語られており、実用段階が近づいていることを肌で感じさせる内容でした。
また、BIPV WORLD(建物一体型太陽光発電)の特別企画も見どころのひとつです。 外壁や窓ガラスに太陽光発電機能を持たせる技術は、都市部の建築物における脱炭素対応として実需が生まれつつあり、建設・不動産業界にとって新しい商材候補になりうる展示として関心を持って観察しました。
注目ポイント
僕が展示会を観察するときに必ず見るのは、「来場者がどのブースで足を止めるか」です。
今回の会場で足止め率が高いと感じたのは、「課題を言語化しているブース」でした。 「蓄電コストを2030年までに半減させる」「工場の電力自給率を100%へ」といった、明確な数字と目標を掲げているブースには、来場者が立ち止まって担当者に質問する場面が多く見られました。
一方で、技術的な仕様やスペック情報を大量に掲示しているブースは、来場者が通り過ぎるケースも見受けられました。 「何ができるか」ではなく「誰のどんな課題を解決するか」を前面に出しているブースが、会話を生む傾向は今回も変わりませんでした。
また、注目したのは「政策と市場の連動が可視化されている」という点です。 経済産業省・環境省・農林水産省の複数の官庁担当者が同じ会場でカンファレンスを行う場面は珍しく、エネルギー政策が省庁横断の課題として取り組まれていることを示すシグナルとして、業界の今後を読むうえで非常に重要な場面でした。
業界への意味
今回のSMART ENERGY WEEK 春展を観察して感じたのは、「GXが観念から実業へと移行しつつある」という変化です。
2023年頃までのエネルギー転換関連の展示会は、「将来こうなる」という未来像を語るものが多い印象でした。 しかし今回は、「今すぐ導入できる」「この規模なら費用対効果が出る」という現実的な提案が増えていました。 政府のGX推進政策が具体的な制度・補助金として動き始めたことが、出展者側の商談姿勢にも影響しているようです。
中小企業にとっても、エネルギーコストの削減や脱炭素対応は「いつかやること」ではなく「今取り組むべきこと」になっています。 この展示会は、そのための情報と人脈を一度に得られる場として、業界における位置づけが明らかに高まっています。
大企業と中小企業が同じ土俵に立てる数少ない機会でもあります。 ブースの大きさに差はあっても、技術力と提案内容が評価される場であり、実力のある中小企業がここで存在感を示すことで、大きな商機を掴むケースは少なくありません。
今年の展示会トレンド
2026年の展示会全体を見ていて感じるのは、「商談の前倒し」という傾向です。 展示会当日に初めて製品を見せるのではなく、事前にオンラインで情報提供し、会場では深掘りの商談に入るという設計をしている出展者が増えています。 来場者側も目当てのブースを事前に絞り込んでいるため、会話の質が上がっていると感じました。
もう一つのトレンドは「データの可視化」です。 「CO₂排出量を年間○トン削減」「電力コストを○%低減」といった実績数値が展示の中心に据えられており、来場者の意思決定を後押しする材料として機能していました。 カタログやウェブで伝えられる情報はAIでも代替できます。 だからこそ展示会では「実物・数字・体験」という価値がより強く求められるようになっています。
さらに、「中小企業向けの入口展示」という傾向も見られました。 大手メーカーのブースでも、中小規模の工場や施設向けのパッケージ製品・導入支援サービスを前面に出す動きが増えており、GX対応の裾野が確実に広がっていることを反映しています。
過去のレポート
過去にも関連する展示会レポートを公開しているため、あわせて読むと業界の流れや変化がより立体的に見えてきます。
展示会営業の専門家 清永健一のワンポイントアドバイス
SMART ENERGY WEEK 春展のような専門性の高い大規模展示会に出展する際、多くの企業が陥りやすい落とし穴があります。 それは「技術を見せることが目的になってしまう」ことです。
エネルギー分野は技術の深さが競争優位の源泉ですが、展示会の来場者は必ずしも技術者ばかりではありません。 導入を決める経営層、コスト削減を検討する設備担当者、補助金活用を考える総務担当者など、さまざまな立場の方が訪れます。
そのため出展コンセプトを「技術の説明」ではなく、「来場者の課題解決」に設定することが重要です。 ブースのキャッチコピーは「何ができるか」ではなく「誰のどんな悩みを解決できるか」を軸に設計してください。
また、ブースでの会話はまず「どのような課題をお持ちですか?」という問いから始めることをお勧めします。 来場者はすでにウェブで製品情報を調べてから来ています。 一方的に説明するのではなく、相手の話を聞いてから自社の技術がどう役立てるかを伝える順番が、展示会での正しい営業の流れです。
そして展示会で最も大切なのは、会期後のフォローです。 展示会の成果は名刺の枚数ではなく、会期後の丁寧な連絡・課題整理・提案によって決まります。 名刺を関係性に変えていくプロセスこそが、展示会営業の本質です。 GXの追い風が吹いている今だからこそ、この流れを設計した上で展示会に臨んでいただければと思います。
【展示会現場観察レポート】
展示会営業(R)コンサルタント
清永健一
展示会を通じて中小企業の可能性を広げることをライフワークとして活動しています。
※この記事はAIを活用して作成しました。
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展示会で成果を出す営業の考え方
展示会をきっかけに新規顧客を獲得するための営業手法を 「展示会営業」と呼びます。 展示会営業では、出展準備、ブース設計、当日のコミュニケーション、 そして展示会後のフォローまでを一つの営業プロセスとして設計することが重要です。 展示会営業の具体的なノウハウを体系的にまとめた 「展示会成功の強化書」はこちらをご覧ください。 展示会成功の強化書

展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照。
展示会をテーマとした書籍を5冊執筆している展示会の専門家。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
