こんにちは!展示会営業(R)コンサルタントの清永です。
このコラムは、2025年5月26日に書いています。
お米の価格高騰問題が大きな話題になっていますね。実際、お米の価格の高止まりは、ぼくたち生活者にとっても大きな負担となっています。そして、先週末には小泉進次郎大臣が就任するなど、政府の対応にも注目が集まっています。
そこで今回は、「お米の高騰問題について展示会の専門家が考えてみた」というテーマでコラムを書いてみました。お米の価格高騰問題を展示会業界と絡めて一緒に見ていきましょう。
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音声でお聞きになりたい方は、こちら↓をご覧ください。ラジオ風に聞きやすくアレンジしています。
目次
お米の価格高騰の背景には、複雑な米の流通構造が存在しています。お米は「生産者→JA(農協)→卸売業者→小売店→生活者」という流れで流通します。この中で重要な役割を果たすのが卸売業者です。
卸売業者が高い価格を維持したまま小売店にお米を供給しているため、生活者が支払う価格は下がらないと言われています。それならば、
「生産者である農家やJA(農協)が卸売業者を飛ばして、直接、食品スーパー等の小売店に売ることができれば、価格が下がるじゃないか!」
あなたは、そう思ったかもしれません。でも、この方法は現実的ではありません。なぜなら、スーパーなどの小売店には、多くの場合、お米を保管するスペースや温度管理の設備など不足しているため、大量にお米を在庫することができないからです。その意味で、今、悪者のように言われている卸売業者には、仕入れたお米を倉庫に一時的に保管し、小売業者に供給するまでの間、在庫管理や品質維持を行い、生産と販売のズレを吸収し、安定した供給を実現する、という重要な機能を有していることがわかります。
また、小泉進次郎大臣が楽天の三木谷社長と面談し、流通の新しい形を模索しています。楽天は、流通段階で考えると、卸売業者であり小売店でもあると言えます。楽天のようなネット通販大手が卸売業者兼小売店の役割を果たすことで、米の価格高騰問題を解決できる可能性はあると思います。
展示会業界でも、お米の流通構造と同様に、流通業者(バイヤー)が重要な役割を果たしています。展示会では、出展者が製品を展示し、バイヤーとの商談を通じて市場に流通させることが目的です。しかし、現状では、雑貨や食品の展示会において特に、出展者がエンドユーザー(食べる人、使う人)向けの訴求に偏っており、バイヤーへの訴求が不足しているケースが多いのです。
出展者が「美味しい」「手触りが良い」といった食べる人や使う人向けのアピールを強調する一方で、バイヤーが求めているビジネス的な価値を伝えることができていない場合、展示会後に商談が成立しないという問題が発生します。
いかがでしょうか?
米の高騰問題と展示会業界は似ている部分があり、どちらも流通業者の重要性を見逃してはいけないということをご理解いただけたと思います。
お米の流通問題では、卸売業者の影響力が強すぎることが問題ですが、展示会業界では、流通業者であるバイヤーに対する出展者の訴求が不十分なことが問題です。出展者がバイヤーに対してメリットを伝えないと、展示会で得られる成果は限られてしまいます。
わたしは、展示会営業(R)コンサルタントとして、日々多くの出展者さんと接しています。
その時に、出展者さんに、こう質問するのです。
「あなたの出展商材は、何がいいのですか?」
すると、多くの場合、このような答えが返ってきます。
(食品の場合)
(雑貨の場合)
でも、これって、全部、食べる人や使う人にとってのメリットなんです。
食べてもらったり、使ってもらうためには、まず、中間流通を担うバイヤーさんに取り扱ってもらわなければ始まりません。そして、展示会には、エンドユーザーでなくバイヤーさんが来場するのです。
もうお分かりですね。展示会では、何よりもバイヤーのメリットを訴求する必要があるのです。
しかし、それができていない出展者が多すぎる。ここを改善するだけでも大きな成果を手に入れることができます。
では、バイヤーのメリットとは、どういうものでしょうか?
それは、
などでしょうね。この点を踏まえて展示会出展すると大きな成果につながります。あなたも考えてみてくださいね。
さらに、「この商品を仕入れて喜んでいるバイヤーの声」や「実際に市場での反応を得た成功事例」を紹介すると効果的です。バイヤーは、製品を仕入れてエンドユーザーに届ける役割を担っています。出展者はビジネス的な視点でバイヤーのメリットを訴求し、バイヤーのニーズに応える必要があります。
展示会業界においても、お米の流通構造と同様に「中間業者」であるバイヤーの役割を意識し、訴求を強化することが大切です。出展者がバイヤーにとって魅力的な商談を提供することで、商談が成立し、製品が最終的にエンドユーザーに届く確率が高まります。
もちろんエンドユーザー向けの訴求をするのが悪いわけではありません。食べる人、使う人にとってよいものであるということは、バイヤーにとっても重要だからです。ただ、展示会では、それよりも、バイヤーのメリットを訴求することの方が優先順位が高いと考えてください。このように、流通構造を意識したアプローチが、展示会業界でも重要だということを忘れずに取り組んでいきましょう。
今回は、お米の価格高騰問題を展示会業界と絡めて考えてみました。
あなたの展示会の成功を心から応援しています!
展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照。
展示会をテーマとした書籍を5冊執筆している展示会の専門家。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。