展示会に来場者として参加した後にすべきことの1つとして、レポートや報告書の作成があります。
ところが、レポートや報告書には定められた書き方があるわけではなく、正しい作成方法が分からないと不安を抱くことがあるかもしれません。
そこで本記事では、展示会レポート・報告書の書き方について、例文付きで解説します。
※展示会のレポートの作成をアシストしてくれるAI、「展示会レポート作成アシストくん」もご活用ください。
清永健一の結論
展示会レポートは「行ってきました。こんな商品がありました」と記録するための作文ではありません。
展示会でしか得られない一次情報を社内へ持ち帰り、「何が起きていたか」「なぜ重要なのか」「自社は次に何をするのか」まで整理して、意思決定と次の行動につなげるための資料です。
だから、展示会へ行く前にレポートの目的と見るべき項目を決め、会場では事実と所感を分けて記録し、帰社後はできるだけ早く次のアクションまで書き切ってください。
展示会白書のデータ
来場者1,089名に「展示会で得た情報が自社の購買意思決定に影響を与えたことはありますか」と尋ねると、「はい」79.7%でした。展示会で得られる情報は、その場の印象だけではなく、実際の購買判断にまで影響しています。だからこそ、展示会レポートには「何を見たか」だけでなく、比較判断に使える事実・一次情報・自社への示唆を残す価値があります。
展示会レポート・報告書を作成すべき理由
展示会のレポートや報告書を作成する意義とは、何なのでしょうか。
ここでは、レポートを作成することで得られる効果について解説します。
①社外向け|見込み顧客との接触機会
社外向けの効果として、見込み客との接触の機会として活用できる点が挙げられます。
展示会の模様をレポートにしてプレスリリースしたり、ホームページに公表することで、休眠客に自社の存在を思い出してもらったり、検討中客の背中を押すことができる可能性があります。人気があり、人だかりができている自社ブースの写真などがあると、ブランディングにもつながります。
ただし、社外向けレポートでは「自社ブースが盛況でした」だけで終わらせないことが大切です。来場者が何に関心を示していたのか、会場全体ではどのテーマが注目されていたのか、顧客にとってどんな情報が役立つのかまで示すと、単なる活動報告ではなく読み物として価値が出ます。
②社内向け|次回出展に向けた課題・評価の発掘
社内向けの効果としては、次回の出展に向けた課題や評価が明確になることが挙げられます。レポートにすることで、展示会出展の目的や成果を再確認できるためです。
出展によって得られる効果を明らかにし、次回はより大きな効果を得るためのアプローチ方法を検討します。
また、それらを社内で共有することで、次回の展示会出展をブラッシュアップすることができます。
特に社内向けレポートでは、単なる感想ではなく、次の展示会で「何を続けるか」「何をやめるか」「何を変えるか」まで書くと実務で使える資料になります。
展示会レポート・報告書を書く6つの事前準備
展示会のレポート・報告書を効果的に作成するためには、いくつかの準備が必要です。
レポートは展示会から帰ってきてから考え始めるのではなく、会場へ行く前から始まっています。何を見に行くのか、何を持ち帰るのかを決めておくことで、会場で集める情報の質が変わります。
①どのブースをどの順番で回るか決めておく
展示会に参加する際のどのブースをどの順番で回るかを大まかに計画しておくことは、レポートを作成する事前準備として重要です。
当日は、多くの来場者で会場が混雑することが考えられます。情報収集を効率化するためには、事前にブースに立ち寄る順番を考えておくことが非常に重要なのです。
レポートに書く内容や構成についてある程度イメージしながら、それらの情報を集めるために必要なブースを回れるという観点でブース順路を計画するとよいでしょう。
当日、構成や必要な情報について悩むことがなくなるので時間を無駄にすることもないでしょう。
②何を重視して展示会へ参加するのか明確にする
何を重視して参加するか、来場の目的について決めておくことも重要です。
来場目的は、そのままレポートのテーマとして使えます。レポート構成の軸を設定することで、作成が容易になります。
たとえば「新商品探索」「競合調査」「次回自社出展の参考」「業界トレンドの把握」「仕入先候補の探索」では、見るべきブースも質問内容も変わります。目的を一文で言える状態にしてから会場へ向かってください。
③レポートに書く項目をある程度挙げておく
レポートに書く項目を設定しておくこともポイントです。
具体的に項目を挙げておくと、必要な情報が明確になります。
ただし、項目が多くなりすぎないようにすることも大切です。あまりに項目が多すぎると、時間内にすべてを網羅できない危険性があるからです。
当日に無理なく動けるよう、レポートに記載する項目は、ルートや時間配分をイメージしながら設定しましょう。
④展示会当日における情報収集の方法を確立しておく
展示会レポート・報告書を作成する際には、多くの情報が求められます。情報の量が少なすぎると、展示会レポート・報告書に記載することが見つからず、有益な内容を構成できない可能性があります。そのため事前に展示会当日の情報収集方法を確立し、多くの情報を集められるように備えるとよいでしょう。
例えば名刺交換・競合他社のブースチェック・顧客とのコミュニケーション・試供品やノベルティの感想・アンケートへの回答などによる方法が、スムーズな情報収集につながります。すべての方法を実践するのか、それとも自社でやりやすいものを選別して行うのか、事前に決めておくのもポイントです。
さらに、写真、手書きメモ、スマートフォンの音声入力、ボイスメモ、会場マップへの書き込みなど、情報の種類によって記録方法を分けると効率的です。
⑤事前にチェックする企業情報を確認する
展示会レポート・報告書を書く際には、先に解説したように参加している企業のブースを効率よく見て回るのがポイントです。ブースで商品情報を確認したり、展示方法をチェックしたりすることで、レポート・報告書に記載する情報を濃くすることができます。
また、展示のやり方などは次回以降の展示会に参加する際の参考にできるため、積極的に多くのブースを確認するのがおすすめです。そして展示会のブースをチェックする際には、事前に企業情報を確認しておくのがおすすめです。企業情報を事前に把握できていれば、そこでしか確認できない商品情報などの収集に集中できます。
どのような企業なのか、市場においてどのような立ち位置にいるのかといった基本情報は、なるべく事前に確認しておきましょう。
⑥展示会当日に気になったことや気づいたことをメモできるように備える
展示会レポート・報告書を記載することを前提に、当日の情報をメモできるように備えるのもポイントです。展示会の当日には、さまざまな発見が期待できます。しかし、人間の記憶は時間経過とともに曖昧になっていくため、気になったことや気づいたことはその場でメモするのが鉄則です。
「今は忙しいからあとでメモしよう」と考えていると、貴重な発見を忘れてしまう可能性があるでしょう。だからといって簡単なメモを残すだけだと、見返した際に内容がわからなくなる可能性もあります。
アプリや各種メモツールなどを使用したり、ボイスメモで詳細を自分の声で吹き込んだりと、なるべくあとからでも確認しやすいかたちにするのが重要です。
展示会白書のデータ
来場者1,089名に、展示会来場後にブースで見た製品・サービスについてAI検索やWeb検索で追加調査をした経験があるかを尋ねると、「ある」76.7%でした。会場で見たことをそのまま記憶だけで報告するのではなく、展示会後にWeb・AIで追加確認し、事実関係や関連情報を補強してからレポートへ落とし込むことも有効です。
展示会レポート・報告書に書く5つの必須項目
展示会のレポートや報告書に必ず記載しなければならない項目はあるのでしょうか。
重要なことは、展示会の様子をより明確に伝えることです。
以下では、報告書に必ず記載するべき項目を5つ挙げます。
また、その他当日の会場の雰囲気をより想像しやすいように、来場者やブースの数などを加えてもよいでしょう。
①展示会名および開催日時・場所
展示会の正式名称と開催日時・場所を明記することは必須です。
とくに、展示会名は他の展示会と区別するため、一字一句間違えないように注意しましょう。
また、個別企業のブースをレポートする際は、社名や出展商材名を明らかにしましょう。
いつ開催された展示会で、どの企業がどのようなブースを出展したかが分からなければ、その後に続く内容も伝わりづらくなります。
展示会名はタイトルと同じように、レポートの概要を示すものだと理解しましょう。
②レポート作成者・作成日
レポート作成者の氏名と、作成日も必須の項目です。
レポート作成者の氏名はフルネームで記名し、社名、部署、役職などの所属を明らかにしましょう。
これによって、レポートが誰の責任下で書かれているかが一目で分かります。
また、レポートの評価は、作成者の評価と同等です。観察の視点やまとめ方など、仕事ぶりをアピールする機会にもなることを覚えておきましょう。
作成日に関しては、レポートがどの時点での情報かを明示するものとして重要です。
③展示会に参加した目的
展示会に参加した目的を記すことも必須です。
これによって、レポートが伝えようとする内容が明らかになります。
また、展示会をまだ経験したことのない人にとっては、次回参加する展示会を選ぶための判断材料になります。
④展示会の参加内容
展示会の具体的な内容が記載されていなければ、報告書とはいえません。
事前準備として作成した項目に基づき、客観的な事実を伝えるようにしましょう。
「A社で〇〇を見た」「B社では△△というデモを行っていた」といった事実と、「これは自社にも応用できそうだ」「この訴求は来場者に刺さっていた」といった所感を混ぜずに整理すると、読む側が判断しやすくなります。
⑤作成者の所感(感想)
作成者の所感を記すことも重要なポイントです。
実際に見てきた者の視点は、報告を受ける側にとって説得力があります。
安易に「おもしろい」「よかった」などと表現することは避け、現場にいたからこそ得られた感想をできるだけ詳細に述べます。
- 展示会のどのような点を見てどう思ったか
- 展示会の来場者が特に関心を持ったテーマは何だったか、それはなぜだと思うか
- 業界のトレンドが何で、自社にどう取り入れられるか
- ライバル企業のブースの特徴はどうだったか。それを踏まえて今後自社でどのような改善をすればよいか
など、具体的な内容について展開しましょう。
展示会レポート・報告書を書く8つのポイント
必ず書かなければならない内容以外に、展示会のレポート・報告書にあるとよい内容には、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、実際にレポートや報告書を作成する際に押さえるべき8つのポイントを解説します。
①可能であれば写真を挿入
できる限り、写真を報告書に組み込みましょう。
視覚的な情報があると、展示会の様子がより伝わりやすくなるためです。
当日は、以下の点を含めて、アングルを変えた写真を数枚撮影するとよいでしょう。
- 遠くから全体を写す
- にぎわっているブースを撮る
- 来場者が注目している展示物を撮影する
なお、会場や出展企業によっては撮影禁止の場合があります。必ず主催者や出展者のルールに従ってください。
②展示会参加後、なるべく早く作成
展示会に参加した後、なるべく早い段階でレポートを作成することもポイントの1つです。
頭の中に新鮮な情報がある状態でレポートを作成したほうが、鮮明で的確なレポートが作成できるからです。
たとえ、事細かにメモをしていたとしても、時間が経過すればするほど、記憶が薄れてしまいます。
できる限りリアルタイムに近い状態で、生々しい情報を共有できるようにしましょう。
③客観的事実と自分の意見・所感は分けて作成
客観的な事実と、作成者の意見・所感を区別してまとめることも重要です。
この2点を同じ項目で述べてしまうと趣旨が不明瞭になります。別々に記載しましょう。
また、たとえば出展の内容について「○○だと思う」とすると、感想文のように見え、読み手が混乱します。表現の仕方にも注意を払いましょう。
④誰が読んでも理解できる文章で作成
誰が読んでも理解できる平易な文章で作成することも重要なポイントです。
専門用語の多用は避けましょう。展示会に参加していない読み手がイメージしやすいような言葉選びを心がけるとよいでしょう。
また、長い文章は読み手にとって負担になります。必要な情報を簡潔に書くことが重要です。
⑤表や数字を取り入れて具体的かつ見やすいものを作成する
展示会レポート・報告書には、写真のほかに表や数字を取り入れることもポイントです。具体的な成果を数値化して表現したり、交換した名刺の詳細やアンケートへの回答結果を表にしてまとめたりすることで、展示会レポート・報告書で伝える情報の補強ができます。
文章だけのレポート・報告書よりも見やすくなるメリットもあるため、写真と合わせて積極的に表や数字を導入するとよいでしょう。表や数字を利用する際には、具体的かつ見やすいかたちを意識するのが重要です。
記載する数字が大雑把すぎたり、表のフォントサイズや種類がバラバラだったりすると、逆にレポート・報告書全体が見づらくなる可能性もあります。レポート・報告書の全体像をイメージしつつ、邪魔にならない程度に情報を加算していくのがポイントです。
展示会白書のデータ
展示会出展のROIを測定している出展者423名に測定方法を尋ねると、「商談化件数・商談化率の追跡」65.2%が最多で、「案件化数・見積提出数の追跡」54.6%、「獲得リード数の集計」53.4%、「受注金額・受注件数との紐づけ」52.7%が続きました。出展報告書では、名刺枚数や来場者数だけでなく、商談・案件・受注まで追える数字を残すと、次回出展の判断材料になります。
⑥社内に有益な内容になるように調整する
展示会レポート・報告書は、まず社内の従業員にとって有益なものになるように調整するのがポイントです。展示会レポート・報告書は、自社に所属する従業員にとって重要な情報源となります。社外のステークホルダーに提供する情報とは性質が異なるため、社内の人間が理解しやすい形に調整するとよいでしょう。
社外向けにも展示会レポート・報告書を作成する場合、社内向けのものとは異なる内容でまとめる必要があります。自社の従業員とはニーズが違うため、同じ内容を公表してもメリットが少なくなる可能性があるでしょう。社内向けと社外向けで、しっかりと内容を分けて書くのも重要です。
⑦作成したレポートはデータ化していつでも見返せるようにしておく
作成した展示会レポート・報告書は、データ化して保存しておきましょう。紙媒体に起こして元データを削除してしまうと、あとから内容を確認・修正したい場合に多くの手間がかかります。展示会レポート・報告書はその後も活用できる重要な情報源になるので、データ化して社内で保存・管理するのがおすすめです。
展示会への参加回数が増えれば、それだけレポート・報告書の数も増えます。過去のレポート・報告書と比較して現状の課題を見つけたり、改善策を発見したりすることも可能なため、基本的にはデータを残しておくのがおすすめです。
⑧5W1Hで内容を整理する
展示会レポート・報告書の内容は、5W1Hで整理するのがポイントです。「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」の6つの要素で構成することで、わかりやすいレポート・報告書を構成できます。
5W1Hを前提に構成すると、何を書くべきかが明確になるため、時短にもつながる点がメリットです。レポート・報告書が書きやすくなるだけでなく、読みやすい内容にもなるため、全体のクオリティを高めるきっかけになるでしょう。
レポート・報告書の作成に慣れていない場合にも、5W1Hを意識することでスムーズに構成を考えられるので便利です。
展示会レポートを「感想文」にしないために、次の一歩まで書く
展示会レポートが社内で読まれなくなる最大の理由の一つは、情報が「見たものの列挙」で終わっていることです。
たとえば、
「A社のブースはきれいだった。B社は人が多かった。C社の商品が面白かった。」
だけでは、読む側は何を判断すればよいか分かりません。
展示会レポートでは、事実 → 意味 → 自社への示唆 → 次の行動の順で整理してください。
- 事実:A社は製品を1点に絞り、実演を繰り返していた
- 意味:来場者が短時間で製品価値を理解できる設計になっていた
- 自社への示唆:当社は商品を並べすぎて主役が分かりにくい
- 次の行動:次回は主役商品を1点に絞り、15秒でできるデモを設計する
ここまで書けば、視察した本人の頭の中にある気づきを、会社の改善活動へ変換できます。
来場者として視察した場合と、出展者として報告する場合では見る数字が違う
「展示会レポート」と一口に言っても、来場者として視察した報告書と、自社が出展した結果報告書では、残すべき情報が違います。
来場者として視察した場合
来場者側のレポートでは、次のような項目が重要です。
- 注目した企業・製品
- 業界トレンド
- 競合企業の動き
- 会場でしか聞けなかった一次情報
- 自社へ応用できそうな考え方
- 追加調査が必要なテーマ
出展者として報告する場合
出展者側の報告では、活動量だけではなく営業成果まで記録します。
- 来場者との有効会話数
- 名刺・リード獲得数
- ターゲットに該当するリード数
- 資料・サンプル・技術回答など次の行動が決まった件数
- 後日アポ件数
- 商談化件数・商談化率
- 案件化・見積提出数
- 受注件数・受注金額
- 顧客から得た新しい課題・要望
「何人来たか」「名刺を何枚集めたか」だけでは、次回出展の意思決定には不十分です。出展後も数字を追跡し、展示会が商談・案件・売上へどのようにつながったかを追加更新していくと、報告書が経営判断に使える資料になります。
展示会レポートで残すべき「会場でしか取れない一次情報」
展示会レポートを作るとき、会社概要や製品スペックなど、Webサイトを見れば分かる情報ばかりを書いてしまうことがあります。しかし、それでは展示会へ足を運んだ価値が十分に残りません。
展示会で優先して記録したいのは、会場に行った人にしか取れない情報です。
- 実物を見たときの大きさ・質感・音・操作感
- デモを見て初めて分かった使い勝手
- 開発者や技術担当者から聞いた開発背景
- Webサイトには載っていない導入事例や活用方法
- ブース担当者へ質問したときの回答
- 来場者がどの展示物で足を止めていたか
- どのキャッチコピーに人が反応していたか
- どのブースに人だかりができていたか
- 競合企業が何を一番強く訴求していたか
- 会場全体で増えていたテーマ・キーワード
こうした情報は、検索すれば誰でも手に入る二次情報とは違います。展示会に行った本人が、実物を見て、人と話して、会場の空気を観察したからこそ得られる情報です。
たとえば「A社が新製品Xを出展していた」だけなら、プレスリリースでも分かります。しかし、「A社は新製品Xの性能ではなく、導入後の保守負担削減を前面に出していた。実際、来場者からも保守体制についての質問が多かった」という情報なら、競合の営業戦略や顧客ニーズを考える材料になります。
展示会レポートでは、Webで調べれば分かる情報を長く書くより、会場でしか得られなかったことは何かを意識して残してください。
経営層が読むレポートは、最初の1ページで結論が分かるようにする
展示会の視察内容を詳しく書くと、どうしてもレポートは長くなります。しかし、社長や役員、部門長が最初から最後まで細かく読むとは限りません。
そこで、詳しいレポートとは別に、最初の1ページで全体像が分かる「エグゼクティブサマリー」をつくる方法があります。
最初の1ページには、次の5項目を入れると整理しやすくなります。
- 参加目的:何を確認するために行ったのか
- 結論:最も重要な発見は何だったか
- 重要な事実・数字:判断に必要な根拠
- 自社への示唆:何を変える必要があるか
- 次の行動:誰が、いつまでに、何をするか
たとえば、次のようにまとめます。
参加目的:次回自社出展に向け、競合ブースの訴求方法と来場者の反応を調査する。
結論:競合3社はいずれも商品名より「導入後の成果」を大きく掲げ、実物デモへ誘導していた。当社も商品説明中心から課題訴求+体験型へ変更すべき。
重要な事実:視察した10ブースのうち7ブースが実物デモを実施。特にA社ではデモ開始時に平均5~8人が立ち止まっていた。
自社への示唆:現在の当社ブースは製品を4種類並べており、主役が分かりにくい。次回は主役商品を1点に絞る。
次の行動:来週の出展準備会議までに、営業部と技術部で15秒体験デモ案を3案作成する。
このように結論と次の行動を先に示し、その後に詳細な観察記録や写真を続けると、読む人の立場に合わせて使いやすい報告書になります。
展示会レポートは「保存する資料」ではなく、次回まで更新する資料にする
展示会レポートを提出して共有フォルダへ保存した瞬間に終わらせてしまうのはもったいありません。特に自社が出展した場合、展示会当日にはまだ分からない成果があります。
展示会直後には、名刺数、会話数、アポ数までしか分からなくても、その後に商談化、見積、案件化、受注が進みます。そこで、展示会レポートを「一度書いて終わる文書」ではなく、一定期間更新する成果記録として扱う方法があります。
たとえば、展示会終了時、1か月後、3か月後、6か月後に次の数字を追記します。
- 展示会当日:有効会話数、獲得リード数、次回アポ数
- 1か月後:商談化件数、見積提出数
- 3か月後:案件化件数、案件金額
- 6か月後:受注件数、受注金額
こうしておけば、「あの展示会は人が多くて盛況だった」という印象ではなく、「最終的に何件の商談・案件・受注を生んだのか」で次回出展を判断できます。
さらに、顧客から聞いた要望や質問も追加しておけば、営業部門だけでなく、商品開発、技術、製造、マーケティングなど他部門が利用できる資料になります。
展示会レポートを蓄積する目的は、過去を記録することだけではありません。前回の仮説と結果を次回へ引き継ぎ、展示会に出るたびに会社の学習量を増やしていくことです。
展示会レポート・報告書を書くときの注意点
曖昧な情報は記載しない
展示会レポート・報告書には、曖昧な情報を記載しないように注意しましょう。情報の正確性が損なわれると、展示会レポート・報告書として機能しなくなる恐れがあります。記憶が定かでない情報や、データの出所がわからないものは、展示会レポート・報告書に使用しないのが基本です。
情報の正確性を高めるには、展示会で得た情報を細かく確認し、その根拠や証拠となるものをまとめておくのがポイントです。情報の説得力を高められる資料などを添えることで、展示会レポート・報告書の信憑性も向上します。曖昧な情報に惑わされないように、しっかりと収集段階でデータとして確保するように努めましょう。
誤字脱字のチェックも欠かさない
展示会レポート・報告書の作成時には、誤字脱字のチェックも重要です。有益な情報が記載されているのに、誤字脱字が多いレポート・報告書になると、最後まで読まれない可能性が出てしまいます。せっかくの情報を社内で共有できなくなる恐れがあるため、提出前に内容の確認を済ませておきましょう。
できるならほかの人に誤字脱字などのチェックを依頼し、複数の目で問題がないことを確認する方法がおすすめです。チェック段階で客観的な視点を取り入れることで、情報の記載方法や内容を見直すきっかけにもなります。書いている本人では気付きづらいミスの発見も可能となるため、最終チェックの方法として有効です。
クオリティアップにつながる可能性もあるので、積極的に展示会レポート・報告書の内容を周囲に確認してもらうとよいでしょう。
長くなりすぎないように注意する
展示会レポート・報告書は、簡潔にまとめるのが基本です。内容が長くなりすぎると、読みづらさが目立つ可能性があります。記載すべき内容を選別して、長くなりすぎないように調整するのも展示会レポート・報告書の作成におけるポイントです。
どうしても展示会レポート・報告書の内容が増えてしまう場合には、表を使って簡略化したり、詳細な情報はURLを載せるかたちで紹介したりといった方法が考えられます。文字数を削減する方向にシフトし、読みやすい構成になるように調整していくのがコツです。
AIで文章を整える場合も「一次情報」は自分で残す
現在は、展示会当日のメモからAIを使ってレポートの下書きを作ることもできます。文章整理、見出し作成、要約、表形式への変換などはAIと相性のよい作業です。
ただし、AIは会場を歩いていません。どのブースで何を感じたか、誰が何と答えたか、どんな製品に人が集まっていたかといった一次情報は、現場にいた人しか残せません。
AIへ渡す前に、
- 事実
- 数字
- 写真
- 会話内容
- 自分の所感
- 次に確認したいこと
を分けて記録しておくと、より質の高いレポートを作れます。
展示会レポート・報告書の例文
この章では、展示会のレポートや報告書を作る際に使える例文について紹介します。
レポート・報告書を作成する際には、ぜひ参考にしてください。
①展示会の視察の場合
展示会に来場者として訪れた際のレポートに使えるフォーマット例です。
自社のビジネスのヒントを得るために視察した場合
| タイトル | 〇〇EXPO視察レポート |
|---|---|
| 所属・氏名・作成日 | 〇〇課|〇〇 〇〇|〇〇月〇〇日(○曜日) |
| 展示会参加日・展示会名・会場 | 〇〇月〇〇日(○曜)|〇〇展示会|〇〇 |
| 参加目的 | この展示会は、機械部品や加工技術の最新動向や製品を一堂に紹介するもので、我々の事業の新たな方向性やアイデアを検討する目的で参加しました。 |
| 主な発見 | A社のブースでは、メタルソーのメンテナンスサービスを訴求していました。不等ピッチという技術を使うことで、メタルソーの寿命を伸ばし、送り速度を高め、バリ・騒音・電気代を抑える加工技術とのこと。私の印象としては、この技術は今後ますます広まっていくだろうと感じました。 B社のブースでは…… C社のブースでは…… |
| 詳細情報・自社への示唆 | 本展示会を通じて、製造業のサービス化ということについて考えさせられました。ものづくり企業でも、単によいものをつくるだけでなく、その活用法や維持管理方法をレクチャーしたり、教えたりすることが、今後ますます重要になってくると実感しました。我々も、IoT技術を活かして、コネクティッドカーの発想で、使い方提案やメンテナンス方法を提供することで課金できないか検討して参ります。 |
| 写真や図表 | ※当日撮影した写真などを挿入 |
自社の展示会出展の参考にするために視察した場合
目的:「自社が展示会出展する際に、ブース装飾や説明の仕方などの参考材料とするため」
A社
- ①ブース形態・デザイン:ブース入口に配置されているものがなく、開放的で入りやすかった。
- ②パラペット:社名と製品名のみでメリットについては触れられていなかった。改善ポイント。
- ③ノベルティ:卓上カレンダーを配布。小型で扱いやすい。名刺交換の際に手渡していた。
- ④PR方法:動画はなく、デモンストレーションに特化。
- ⑤接客の様子:2人のスタッフが呼び込みをし、3人のスタッフがデモンストレーションの位置に常駐していた。
B社……
C社……
②自社が新商品デビューのために出展した場合
新商品の初公開を目的とする展示会出展でのレポートで使える例文です。
- 目的:「●●を新発売するにあたって、情報公開およびアピールをし認知度を上げるため」
- 内容:「●●の詳細を動画で流し、パンフレットと共にサンプルとノベルティを配布した」
①訪問者数:●人
②サンプル配布:●部
③ノベルティ配布:●部
感想:
「●●に搭載されている機能が他社より優れているかどうかは議論の余地があるが、価格やデザインと合わせて総合的に見ると人気を集める可能性は高い。またサンプルやノベルティが来場者の注意を引き付けているように感じたため、次回も継続したい」
この例文に加えて、出展報告の場合は「ターゲットとの有効会話数」「次回アポ件数」「商談化見込み」「来場者から得た要望」「次回改善点」まで記録すると、営業と改善に使える報告書になります。
良い展示会レポートは、会場の一次情報を会社の次の行動に変える
展示会のレポートは、社内外へのアピールとして活用できます。参加の目的と展示内容を明確にし、簡潔にまとめましょう。
しかし、それだけではありません。
展示会で得られる最大の価値の一つは、WebやAIだけでは得にくい実物・対話・その場の反応という一次情報です。その情報を本人の頭の中だけで終わらせず、社内で使える形に変換するのが展示会レポートです。
良いレポートは、
目的を決める → 会場で一次情報を集める → 事実と所感を分ける → 数字や写真で補強する → 自社への示唆を整理する → 次の行動を決める
という流れで作られています。
※展示会のレポートの作成をアシストしてくれるAI、「展示会レポート作成アシストくん」もぜひご活用ください。
展示会を単発で終わらせず、準備・当日・フォローまで一気通貫で成果を出す方法は、展示会成功の強化書で体系的に解説しています。
この記事で引用した調査結果の全体は、展示会白書で無料公開しています。
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展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照。
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