展示会のレポート・報告書の書き方を解説!ポイントから例文まで解説

展示会に来場者として参加した後にすべきことの1つとして、レポートや報告書の作成があります。

ところが、レポートや報告書には定められた書き方があるわけではなく、正しい作成方法が分からないと不安を抱くことがあるかもしれません。

そこで本記事では、展示会レポート・報告書の書き方について、例文付きで解説します。

目次

展示会レポート・報告書を作成すべき理由

 展示会のレポートや報告書を作成する意義とは、何なのでしょうか。

ここでは、レポートを作成することで得られる効果について解説します。

①社外向け|見込み顧客との接触機会

社外向けの効果として、見込み客との接触の機会として活用できる点が挙げられます。

展示会の模様をレポートにしてプレスリリースしたり、ホームページに公表することで、休眠客に自社の存在を思い出してもらったり、検討中客の背中を押すことができる可能性があります。人気があり、人だかりができている自社ブースの写真などがあると、ブランディングにもつながります。

②社内向け|次回出展に向けた課題・評価の発掘

社内向けの効果としては、次回の出展に向けた課題や評価が明確になることが挙げられます。レポートにするこで、展示会出展の目的や成果を再確認できるためです。

出展によって得られる効果を明らかにし、次回はより大きな効果を得るためのアプローチ方法を検討します。

また、それらを社内で共有することで、次回の展示会出展をブラッシュアップすることができます。

展示会レポート・報告書を書く3つの事前準備

 展示会のレポート・報告書を効果的に作成するためには、いくつかの準備が必要です。

ここでは、展示会のレポートや報告書を作成する際の事前準備として、3つのポイントを解説します。

 

展示会に参加する際のどのブースをどの順番で回るかを大まかに計画しておくことは、レポートを作成する事前準備として重要です。

当日は、多くの来場者で会場が混雑することが考えられます。情報収集を効率化するためには、事前にブースに立ち寄る順番を考えておくことが非常に重要なのです。

レポートに書く内容や構成についてある程度イメージしながら、それらの情報を集めるために必要なブースを回れるという観点でブース順路を計画するとよいでしょう。

当日、構成や必要な情報について悩むことがなくなるので時間を無駄にすることもないでしょう。

②何を重視して展示会へ参加するのか明確にする

何を重視して参加するか、来場の目的について決めておくことも重要です。

来場目的は、そのままレポートのテーマとして使えます。レポート構成の軸を設定することで、作成が容易になります。

③レポートに書く項目をある程度挙げておく

レポートに書く項目を設定しておくこともポイントです。

具体的に項目を挙げておくと、必要な情報が明確になります。

ただし、項目が多くなりすぎないようにすることも大切です。あまりに項目が多すぎると、時間内にすべてを網羅できない危険性があるからです。

当日に無理なく動けるよう、レポートに記載する項目は、ルートや時間配分をイメージしながら設定しましょう。

④展示会当日における情報収集の方法を確立しておく

展示会レポート・報告書を作成する際には、多くの情報が求められます。情報の量が少なすぎると、展示会レポート・報告書に記載することが見つからず、有益な内容を構成できない可能性があります。そのため事前に展示会当日の情報収集方法を確立し、多くの情報を集められるように備えるとよいでしょう。

 

例えば名刺交換・競合他社のブースチェック・顧客とのコミュニケーション・試供品やノベルティの感想・アンケートへの回答などによる方法が、スムーズな情報収集につながります。すべての方法を実践するのか、それとも自社でやりやすいものを選別して行うのか、事前に決めておくのもポイントです。

 

⑤事前にチェックする企業情報を確認する

展示会レポート・報告書を書く際には、先に解説したように参加している企業のブースを効率よく見て回るのがポイントです。ブースで商品情報を確認したり、展示方法をチェックしたりすることで、レポート・報告書に記載する情報を濃くすることができます。

 

また、展示のやり方などは次回以降の展示会に参加する際の参考にできるため、積極的に多くのブースを確認するのがおすすめです。そして展示会のブースをチェックする際には、事前に企業情報を確認しておくのがおすすめです。企業情報を事前に把握できていれば、そこでしか確認できない商品情報などの収集に集中できます。

 

どのような企業なのか、市場においてどのような立ち位置にいるのかといった基本情報は、なるべく事前に確認しておきましょう。

 

⑥展示会当日に気になったことや気づいたことをメモできるように備える

展示会レポート・報告書を記載することを前提に、当日の情報をメモできるように備えるのもポイントです。展示会の当日には、さまざまな発見が期待できます。しかし、人間の記憶は時間経過とともに曖昧になっていくため、気になったことや気づいたことはその場でメモするのが鉄則です。

 

「今は忙しいからあとでメモしよう」と考えていると、貴重な発見を忘れてしまう可能性があるでしょう。だからといって簡単なメモを残すだけだと、見返した際に内容がわからなくなる可能性もあります。

 

アプリや各種メモツールなどを使用したり、ボイスメモで詳細を自分の声で吹き込んだりと、なるべくあとからでも確認しやすいかたちにするのが重要です。

 

展示会レポート・報告書に書く5つの必須項目

 展示会のレポートや報告書に必ず記載しなければならない項目はあるのでしょうか。

重要なことは、展示会の様子をより明確に伝えることです。

以下では、報告書に必ず記載するべき項目を5つ挙げます。

また、その他当日の会場の雰囲気をより想像しやすいように、来場者やブースの数などを加えてもよいでしょう。

①展示会名および開催日時・場所

展示会の正式名称と開催日時・場所を明記することは必須です。

とくに、展示会名は他の展示会と区別するため、一字一句間違えないように注意しましょう。

また、個別企業のブースをレポートする際は、社名や出展商材名を明らかにしましょう。

いつ開催された展示会で、どの企業がどのようなブースを出展をしたかが分からなければ、その後に続く内容も伝わりづらくなります。

展示会名はタイトルと同じように、レポートの概要を示すものだと理解しましょう。

②レポート作成者・作成日

レポート作成者の氏名と、作成日も必須の項目です。

レポート作成者の氏名はフルネームで記名し、社名、部署、役職などの所属を明らかにしましょう。

これによって、レポートが誰の責任下で書かれているかが一目で分かります。

また、レポートの評価は、作成者の評価と同等です。観察の視点やまとめ方など、仕事ぶりをアピールする機会にもなることを覚えておきましょう。

作成日に関しては、レポートがどの時点での情報かを明示するものとして重要です。

③展示会に参加した目的

展示会に参加した目的を記すことも必須です。

これによって、レポートが伝えようとする内容が明らかになります。

また、展示会をまだ経験したことのない人にとっては、次回参加する展示会を選ぶための判断材料になります。

④展示会の参加内容

展示会の具体的な内容が記載されていなければ、報告書とはいえません。

事前準備として作成した項目に基づき、客観的な事実を伝えるようにしましょう。

⑤作成者の所感(感想)

作成者の所感を記すことも重要なポイントです。

実際に見てきた者の視点は、報告を受ける側にとって説得力があります。

安易に「おもしろい」「よかった」などと表現することは避け、現場にいたからこそ得られた感想をできるだけ詳細に述べます。

  • 展示会のどのような点を見てどう思ったか
  • 展示会の来場者が特に関心を持ったテーマは何だったか、それはなぜだと思うか
  • 業界のトレンドが何で自社にどう取り入れられるか
  • ライバル企業のブースの特徴はどうだったか。それを踏まえて後自社でどのような改善をすればよいか

など、具体的な内容について展開しましょう。

 

展示会レポート・報告書を書く4つのポイント

 必ず書かなければならない内容以外に、展示会のレポート・報告書にあるとよい内容には、どのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、実際にレポートや報告書を作成する際に押さえるべき4つのポイントを解説します。

①可能であれば写真を挿入

できる限り、写真を報告書に組み込みましょう。

視覚的な情報があると、展示会の様子がより伝わりやすくなるためです。

当日は、以下の点を含めて、アングルを変えた写真を数枚撮影するとよいでしょう。

  • 遠くから全体を写す
  • にぎわっているブースを撮る
  • 来場者が注目している展示物を撮影する

②展示会参加後、なるべく早く作成

展示会に参加した後、なるべく早い段階でレポートを作成することもポイントの1つです。

頭の中に新鮮な情報がある状態でレポートを作成したほうが、鮮明で的確なレポートが作成できるからです。

たとえ、事細かにメモをしていたとしても、時間が経過すればするほど、記憶が薄れてしまいます。

できる限りリアルタイムに近い状態で、生々しい情報を共有できるようにしましょう。

③客観的事実と自分の意見・所感は分けて作成

客観的な事実と、作成者の意見・所感を区別してまとめることも重要です。

この2点を同じ項目で述べてしまうと趣旨が不明瞭になります。別々に記載しましょう。

また、たとえば出展の内容について「○○だと思う」とすると、感想文のように見え、読み手が混乱します。表現の仕方にも注意を払いましょう。

④誰が読んでも理解できる文章で作成

誰が読んでも理解できる平易な文章で作成することも重要なポイントです。

専門用語の多用は避けましょう。展示会に参加していない読み手がイメージしやすいような言葉選びを心がけるとよいでしょう。

また、長い文章は読み手にとって負担になります。必要な情報を簡潔に書くことが重要です。

⑤表や数字を取り入れて具体的かつ見やすいものを作成する

展示会レポート・報告書には、写真のほかに表や数字を取り入れることもポイントです。具体的な成果を数値化して表現したり、交換した名刺の詳細やアンケートへの回答結果を表にしてまとめたりすることで、展示会レポート・報告書で伝える情報の補強ができます。

 

文章だけのレポート・報告書よりも見やすくなるメリットもあるため、写真と合わせて積極的に表や数字を導入するとよいでしょう。表や数字を利用する際には、具体的かつ見やすいかたちを意識するのが重要です。

 

記載する数字が大雑把すぎたり、表のフォントサイズや種類がバラバラだったりすると、逆にレポート・報告書全体が見づらくなる可能性もあります。レポート・報告書の全体像をイメージしつつ、邪魔にならない程度に情報を加算していくのがポイントです。

 

⑥社内に有益な内容になるように調整する

展示会レポート・報告書は、まず社内の従業員にとって有益なものになるように調整するのがポイントです。展示会レポート・報告書は、自社に所属する従業員にとって重要な情報源となります。社外のステークホルダーに提供する情報とは性質が異なるため、社内の人間が理解しやすい形に調整するとよいでしょう。

 

社外向けにも展示会レポート・報告書を作成する場合、社内向けのものとは異なる内容でまとめる必要があります。自社の従業員とはニーズが違うため、同じ内容を公表してもメリットが少なくなる可能性があるでしょう。社内向けと社外向けで、しっかりと内容を分けて書くのも重要です。

 

⑦作成したレポートはデータ化していつでも見返せるようにしておく

作成した展示会レポート・報告書は、データ化して保存しておきましょう。紙媒体に起こして元データを削除してしまうと、あとから内容を確認・修正したい場合に多くの手間がかかります。展示会レポート・報告書はその後も活用できる重要な情報源になるので、データ化して社内で保存・管理するのがおすすめです。

 

展示会への参加回数が増えれば、それだけレポート・報告書の数も増えます。過去のレポート・報告書と比較して現状の課題を見つけたり、改善策を発見したりすることも可能なため、基本的にはデータを残しておくのがおすすめです。

 

⑧5W1Hで内容をまとめる

展示会レポート・報告書の内容は、5W1Hでまとめるのがポイントです。「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」の6つの要素で構成することで、わかりやすいレポート・報告書を構成できます。

 

5W1Hを前提に構成すると、何を書くべきかが明確になるため、時短にもつながる点がメリットです。レポート・報告書が書きやすくなるだけでなく、読みやすい内容にもなるため、全体のクオリティを高めるきっかけになるでしょう。

 

レポート・報告書の作成に慣れていない場合にも、5W1Hを意識することでスムーズに構成を考えられるので便利です。

 

展示会レポート・報告書を書くときの注意点

展示会レポート・報告書を書くときには、事前に注意点を確認するのもポイントです。注意すべきポイントを踏まえつつ、計画的に作成することで、より精度の高い展示会レポート・報告書が構成できるでしょう。以下では、展示会レポート・報告書を書くときに注意すべきことを解説します。

 

曖昧な情報は記載しない

展示会レポート・報告書には、曖昧な情報を記載しないように注意しましょう。情報の正確性が損なわれると、展示会レポート・報告書として機能しなくなる恐れがあります。記憶が定かでない情報や、データの出所がわからないものは、展示会レポート・報告書に使用しないのが基本です。

 

情報の正確性を高めるには、展示会で得た情報を細かく確認し、その根拠や証拠となるものをまとめておくのがポイントです。情報の説得力を高められる資料などを添えることで、展示会レポート・報告書の信憑性も向上します。曖昧な情報に惑わされないように、しっかりと収集段階でデータとして確保するように努めましょう。

 

誤字脱字のチェックも欠かさない

展示会レポート・報告書の作成時には、誤字脱字のチェックも重要です。有益な情報が記載されているのに、誤字脱字が多いレポート・報告書になると、最後まで読まれない可能性が出てしまいます。せっかくの情報を社内で共有できなくなる恐れがあるため、提出前に内容の確認を済ませておきましょう。

 

できるならほかの人に誤字脱字などのチェックを依頼し、複数の目で問題がないことを確認する方法がおすすめです。チェック段階で客観的な視点を取り入れることで、情報の記載方法や内容を見直すきっかけにもなります。書いている本人では気付きづらいミスの発見も可能となるため、最終チェックの方法として有効です。

 

クオリティアップにつながる可能性もあるので、積極的に展示会レポート・報告書の内容を周囲に確認してもらうとよいでしょう。

 

長くなりすぎないように注意する

展示会レポート・報告書は、簡潔にまとめるのが基本です。内容が長くなりすぎると、読みづらさが目立つ可能性があります。記載すべき内容を選別して、長くなりすぎないように調整するのも展示会レポート・報告書の作成におけるポイントです。

 

どうしても展示会レポート・報告書の内容が増えてしまう場合には、表を使って簡略化したり、詳細な情報はURLを載せるかたちで紹介したりといった方法が考えられます。文字数を削減する方向にシフトし、読みやすい構成になるように調整していくのがコツです。

 

展示会レポート・報告書の例文

 この章では、展示会のレポートや報告書を作る際に使える例文について紹介します。

レポート・報告書を作成する際には、是非参考にしてください。

①展示会の視察の場合

展示会に来場者として訪れた際のレポートに使える例文です。

  • 目的「自社が展示会出展する際に、ブース装飾や説明の仕方などの参考材料とするため」
  • 内容
     A社

  ①ブース形態・デザイン:ブース入口に配置されているものがなく、開放的で入りやすかった。

  ②パラペット:社名と製品名のみでメリットについては触れられていなかった。改善ポイント。

  ③ノベルティ:卓上カレンダーを配布。小型で扱いやすい。名刺交換の際に手渡していた。

  ④PR方法:動画はなく、デモンストレーションに特化。

  ⑤接客の様子:2人のスタッフが呼び込みをし、3人のスタッフがデモンストレーションの位置に常駐していた

 

   B社……

 

   C社……

 

②自社が新商品デビューのために出展したの場合

新商品の初公開を目的とする展示会出展でのレポートで使える例文です。

 

  • 目的「●●を新発売するにあたって、情報公開およびアピールをし認知度を上げるため」
  • 内容「●●の詳細を動画で流し、パンフレットと共にサンプルとノベルティを配布した」

 ①訪問者数:●人

 ②サンプル配布:●部

 ③ノベルティ配布:●部

  • 感想
    「●●に搭載されている機能が他社より優れているかどうかは議論の余地があるが、価格やデザインと合わせて総合的に見ると人気を集める可能性は高い。またサンプルやノベルティが来場者の注意を引き付けているように感じたため、次回も継続したい」

 

まとめ

展示会のレポートは、社内外へのアピールとして活用できます。

参加の目的と展示内容を明確にし、簡潔にまとめましょう。

 

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