展示会では、数多くの出展者が来場者に対して声掛けや営業トークを工夫し、互いに競い合っています。その中で、来場者の心を掴み、商談につなげるには、効果的なコミュニケーションが必要です。
そこで効果的なのが「トークスクリプト」です。トークスクリプトは、事前に準備したトークの流れをまとめたマニュアルであり、営業の型やコツが体系化されています。
本記事では、展示会で使えるトークスクリプトの作成方法や例文について解説します。単にセリフを暗記するのではなく、来場者の反応に応じて会話を進め、相手の課題を確認し、自社が役立てる相手なら次の一歩へつなぐための「会話の設計図」として使う方法まで解説します。
清永健一の結論
展示会のトークスクリプトは、「この通りにしゃべれば売れる台本」ではありません。
来場者の反応を見ながら、①短く声をかける、②相手の課題を聞く、③その課題に関係することだけ説明する、④自社が役立てるなら次の一歩を決める――この流れをスタッフ全員で再現するための設計図です。
商品説明をうまくすることより、相手の話を聞き、会話を次へ進めることを優先してください。
展示会白書のデータ
出展者536名に展示会当日に最も注力していることを尋ねると、最多は「多くの来場者に積極的に声をかけること」42.7%でした。一方、「来場者の課題をヒアリングし、最適な提案を行うこと」13.8%、「来場者と展示会後の商談の約束を取り付けること」6.9%にとどまっています。トークスクリプトは「たくさん話すため」ではなく、声かけを課題ヒアリングと次の行動につなげるために設計する必要があります。
展示会のトークスクリプト例文集
まず、展示会で使えるトークスクリプトの例文を紹介します。以下で紹介する例文は、相手との対話をイメージして作成しています。
1.呼びかけ・声掛け
自社)「こんにちは!本日は展示会にお越しいただき、ありがとうございます。〇〇株式会社の山田と申します。本日は環境に優しい新しい技術について、ご紹介させていただいております。」
このような挨拶でも問題ありませんが、展示会では来場者の時間が限られています。最初から自社説明を長く始めるより、相手がどこを見ているかに合わせて短く声をかける方が自然です。
たとえば、
- 「何か気になるものがありましたか?」
- 「こちら、実際に触っていただけます」
- 「〇〇でお困りでしたら、この事例だけ見てください」
- 「今ご覧になっているのは、〇〇工程の改善事例です」
という入り方です。
第一声の目的は商品説明を始めることではありません。相手が何に反応したのかを確かめ、会話を始めることです。
2.ヒアリング
自社)「まず、差し支えなければ、お客様のお仕事について少しお伺いしてもよろしいでしょうか?工場管理において、特に環境面で課題に感じていることはございますか?」
来場者)「そうですね、エネルギー消費量の削減が大きな課題です。コスト面でも環境面でも改善が必要だと感じています。」
自社)「エネルギー消費量の削減は、多くの製造業の方々が抱える課題ですね。具体的に、どの程度の削減を目標としていらっしゃいますか?」
来場者)「20%程度は削減したいと考えています。」
自社)「その目標達成に向けて、弊社の新技術がお役に立てるかもしれません。弊社のサービスをご紹介してもよろしいでしょうか?」
この流れで重要なのは、こちらが説明する前に相手の状況を確認していることです。「何をお探しですか?」「今はどう対応されていますか?」「どこが一番大変ですか?」という質問から始めると、相手に関係のない説明を減らせます。
3.製品や商品の説明
自社)「弊社が開発した『△△△△』は、工場のエネルギー消費を最適化するAIシステムです。主な特徴は3つあります。1つ目は(特徴の説明)。これらの機能により、平均してエネルギー消費量を30%削減することに成功しています。さらに、人手による管理工数も50%削減できるため、コスト面でも大きなメリットがあります。」
商品説明では、すべての機能を順番に話す必要はありません。先ほど相手から聞いた課題に関係する機能・事例だけを説明します。
たとえば、相手が「人手不足」に困っているなら、品質やデザインを長く説明するより、人員削減や作業時間短縮に関係する部分を優先します。トークスクリプトにも「この質問への回答が〇〇なら、説明Aへ」「△△なら、説明Bへ」という分岐を用意しておくと、台本の棒読みになりにくくなります。
4.クロージング
自社)「エコファクトリーAIについて、いかがでしょうか?ご興味をお持ちいただけましたか?」
来場者)「はい。」
自社)「ありがとうございます。では、より詳細な資料と、実際の導入事例をお送りさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
来場者)「はい、お願いします。」
自社)「ありがとうございます。では、お名刺をいただけますでしょうか?」
(名刺交換)
自社)「ありがとうございます。3営業日以内に担当者からご連絡させていただきます。また、ご希望であれば、貴社のデータを使った無料シミュレーションも行えますので、ぜひご検討ください。本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。」
このように、実際の接客や営業の現場をイメージしながら、自社オリジナルのトークスクリプトを作成しましょう。
ただし、クロージングは必ず「次回商談のアポ」でなければならないわけではありません。相手の状況に応じて、資料送付、サンプル提供、技術回答、デモ、オンライン説明、見積など、次の一歩を決めることが重要です。
展示会トークスクリプトのテンプレート
展示会で効果的な営業を進めるためのテンプレートには、一定の流れや形があります。主な流れは、以下の4ステップです。
- 自己紹介
- 導入
- 本題
- クロージング
展示会白書のデータ
来場者1,089名の1社あたりのブース滞在時間は、「10~20分未満」39.5%が最多で、「5~10分未満」36.8%が続きました。長い台本を最初から最後まで話す前提ではなく、短い会話の中で相手の関心を見極め、必要な説明だけを選ぶスクリプトにすることが重要です。
1.自己紹介
自己紹介は、簡潔に「会社名」「所属」「名前」を伝え、相手に来場してもらったお礼を伝えましょう。
「この度はお忙しいところ、弊社ブースに興味を持っていただきありがとうございます。〇〇株式会社、△△営業担当の(名前)と申します。本日はよろしくお願いします。」
ただし、展示会では自己紹介を長くしすぎないことが重要です。会社沿革や事業全体を説明するより、相手が見ている展示物やキャッチコピーに話題を戻し、「どの部分が気になりましたか?」と早めに質問へ進みます。
2.導入
導入は、聞き手の心を掴み、話を最後まで聞いてもらうために重要なステップです。このステップでは製品・サービスのメリットや実績を伝えます。
「今回、〇〇についての課題を解決できるサービスとして、弊社の△△をご紹介させていただきます。こちら、すでに数十社が導入しており、□□の効果を実感しています。」
このように効果的に伝えることで、聞き手の興味を惹きつけ、今後の説明につなげられます。
さらに良くするなら、導入の前に一つ質問を入れます。
「今、〇〇について何かお困りのことはありますか?」
と確認し、その回答に合わせてメリットを伝える方が、相手にとって自分事になりやすくなります。
3.本題
本題では、相手へのヒアリングで目的やニーズを聞き出し、自社の説明に入ります。
「本日は〇〇のサービスについてご興味を持たれているとのことですが、具体的には会社の課題解決や業界のトレンド把握などの目的はございますか?」
次に、目的に応じて自社の説明に入ることを伝えましょう。
「今回、〇〇についての課題を解決できるサービスとして、弊社の△△をご紹介させていただきます。貴社のご状況に合わせて、課題の解決を図れる部分もあるかと思いますので、ご説明いたします。自社の提供する△△は……」
ここでは、商品の機能や効果、得られるメリットなどを数字と具体例を交えながら論理的に伝えましょう。商品の説明ばかりにならないように、相手の実態や疑問点を確認しながら、課題をどのように解決できるのか端的に説明します。
また、トークスクリプトに「説明する内容」だけでなく、「ここで相手に質問する」「ここで実物を触ってもらう」「ここで技術担当へ引き継ぐ」という行動まで書いておくと、会話が一方通行になりにくくなります。
4.クロージング
最後は、自社が求めるアクションを相手に行ってもらうようにお願いします。名刺交換をして次回の商談機会につなげる場合は、日程を提示して商談のアポイントを取りましょう。
「それでは、より詳しいお話やご説明をさせていただくために、名刺を交換していただきたいのですが、よろしいでしょうか?次回お打ち合わせさせていただくのに、来週の〇日、◯日ですと、どちらがよろしいでしょうか?」
アポイントや名刺交換が済んだあとは、お礼の言葉を伝え、必要に応じてノベルティなどを渡して終了です。
上記の構成を基本に、自社の商品説明やターゲットに合わせた言葉を組み込み、独自のトークスクリプトを作成してください。
展示会トークスクリプトの作り方
展示会のトークスクリプトは、テンプレートに当てはめるだけでは効果を発揮しません。効果的なトークスクリプトを作成するには、以下のポイントを押さえる必要があります。
- 目的を明確に設定する
- ペルソナを設定する
- 相手のニーズや課題を聞き出す質問を考える
- スクリプトに落とし込む
それぞれのポイントについて具体的に解説します。
1.目的を明確に設定する
トークスクリプトを作成する前に、展示会参加の目的を明確にしましょう。
例えば、新規顧客の獲得、既存顧客との関係強化、新製品のPRなど、具体的な目標を設定します。目的が明確になることで、トークスクリプトの内容や構成を適切に調整できます。また、本番に近いロールプレイングを行えるため、目的設定は重要といえるでしょう。
さらに、展示会当日の「接客ゴール」も決めます。名刺交換なのか、後日アポなのか、サンプル送付なのか、無料診断への申込みなのか。ゴールによって、クロージングの言葉が変わります。
2.ペルソナを設定する
ペルソナを設定することで、トークスクリプトがただの台本ではなく、臨場感のある営業トークに変わります。ターゲットの悩みや課題を把握し、相手のニーズを理解できるため、最適な解決策を提示しやすくなります。
ペルソナを設定する場合は、部署・役職・仕事の悩み・社内の関係者などを決定し、本当に存在しているかのような人物をイメージすることが重要です。リアリティのあるペルソナを作成できれば、具体性の高いトークスクリプトを作成できます。
ただし、ペルソナは相手を決めつけるためのものではありません。「この人ならこう答えるはず」と固定するのではなく、想定質問を準備するために使います。実際の接客では、目の前の来場者の話を優先してください。
3.相手のニーズや課題を聞き出す質問を考える
相手のニーズや課題を引き出すには、事前にどのような質問をするべきか決めておくのが重要です。
一般的な営業では、次のような項目が質問候補になります。
- 要望(理想)
- 事業
- 現在利用しているサービスや状況
- 課題
- 予算
- 選定基準
- 検討中のサービス
- 決裁者
- 導入時期
従来、BANT(予算、決裁者、ニーズ、導入時期)に関連する質問は営業でよく使われてきました。ただし、展示会の短い初回接点で、いきなり「予算はいくらですか」「決裁者は誰ですか」「いつ導入しますか」と尋ねると、売り手都合の選別に見えることがあります。
展示会では、まず「自社が相手に役立てる可能性があるか」を確かめる質問から入ることをおすすめします。
- 「今はどのように対応されていますか?」
- 「一番困っているのはどこですか?」
- 「それによって、現場ではどんな影響が出ていますか?」
- 「どうなれば理想ですか?」
そのうえで、自社が役立てそうなら、必要に応じて検討時期や社内体制を確認します。
SPIN話法を展示会向けに使う
営業トークの基本として、SPIN話法と呼ばれる手法があります。これは、顧客との会話を4つの質問タイプ(S、P、I、N)に分類し、顧客の潜在的なニーズを引き出し、最終的に購買へとつなげることを目的とした手法です。
S:状況質問(Situation)
「現在はどのように〇〇しているのですか?」
P:問題質問(Problem)
「現在の手法では、〇〇の管理が不便ではないですか?」
I:示唆質問(Implication)
「〇〇のコストが大きいことで、人件費や残業時間にも影響が出ていますか?」
N:解決質問(Need-payoff)
「もし〇〇の管理コストを削減でき、その分を別の業務へ回せるとしたら、どのくらいメリットがありますか?」
このように、相手の潜在的なニーズを引き出し、抱える課題や悩みの重要性を整理したうえで、必要な解決策を提示します。
ただし、展示会では時間が限られます。SPINの4種類を必ず全部聞こうとする必要はありません。相手の反応を見ながら、2~3個の質問で「何に困っているか」「自社が役立てそうか」が分かれば、次の行動へ進めます。
4.スクリプトに落とし込む
スクリプトの作成には、台本形式またはフローチャートのいずれかが有効です。
台本形式
- 文量を多めに作成できる
- 実際のトークを想像しながら具体的に作成できる
- 想定質問から複数のパターンに分岐させにくいため、柔軟な対応には工夫が必要
フローチャート形式
- 想定質問や相手の回答に応じて、いろいろなパターンに分岐させられる
- 要所でポイントを記入できるため、全体像と部分的なコツを掴みやすい
- 具体的なセリフは少なくなるため、一定のアドリブが必要
スタッフの営業歴やトーク力を考慮しながら、自社に合った形式を取りましょう。
私がおすすめするのは、全文を丸暗記する長い台本ではなく、「質問→相手の反応→次の行動」が分かるフローチャート型です。
トークスクリプトに「説明」だけでなく「体験」を入れる
展示会での会話は、言葉だけで進める必要はありません。実物、デモ、サンプル、比較、診断など、相手自身に体験してもらえるなら、トークスクリプトの中へ体験を組み込みます。
たとえば、
- 「今、〇〇でお困りですか?」
- 「でしたら、この機能を15秒だけ試してみてください」
- 来場者が操作する
- 「今の操作で、どこが一番違いましたか?」
- 来場者の反応を聞く
- 必要なら詳しい説明へ進む
という流れです。
スタッフが説明を続けるより、来場者自身が触ったり比較したりした方が、短時間で理解できる商品は少なくありません。
トークスクリプトは「相手別」に分岐させる
展示会には、さまざまな状態の来場者がいます。同じトークを全員に使うと、会話が不自然になります。
最低でも次のような分岐を用意しておくと実践的です。
情報収集段階の来場者
「まだ具体的には決まっていない」と言う相手へ、無理にアポを迫る必要はありません。比較するときに役立つ資料、導入事例、チェックリストなどを渡し、継続的な接点をつくります。
具体的な課題がある来場者
現場の問題が具体的なら、詳しく課題を聞き、自社が役立てそうかを確認します。その場では解決しきれない場合、技術担当を交えた面談、デモ、サンプル、無料診断などへつなげます。
対象外の来場者
自社では役立てないと分かった場合は、無理に名刺を取りにいかず、必要な情報だけ提供して会話を終えます。展示会スタッフの時間は有限です。ターゲットへ対応する時間を残すことも重要です。
決裁者・重要顧客
経営課題や導入判断まで話が進みそうな相手には、責任者や社長、専門担当へ早めに引き継ぎます。一人のスタッフが最後まで抱え込まないよう、スクリプトに「この条件なら誰を呼ぶか」まで書いておくとスムーズです。
展示会トークスクリプトを作る際の注意点
展示会のトークスクリプトを作成する際には、以下のポイントに注意することが重要です。
- 経験豊富な社員が作成する
- 再現性が高いかを確認する
- 重要な箇所やポイントを示す
- 分析や改善ポイントを示す
これらのポイントを押さえることで、来場者の興味を惹きつける説明を行えるようになります。
経験豊富な社員が作成する
展示会で使うトークスクリプトは、現場で使える実践的な内容でなければなりません。そのため、経験豊富な社員が作成するのが理想です。顧客の状況をリアルに想定し、台本を棒読みにならないように工夫しましょう。
また、これまでの経験をもとに、どのような質問や返事をされるのかを予想したり、過去の事例を取り入れたりすることで、イレギュラーな事象が発生した場合にも柔軟に対応できるようになります。
ただし、ベテラン一人の「勘」をそのまま文章にするだけでは、他のスタッフには再現できない場合があります。ベテランが無意識に行っている「相手の反応を見る」「説明を止める」「担当者へ引き継ぐ」といった判断も言語化してください。
再現性が高いかどうか確認する
トークスクリプトを作成する際は、実現可能なものか再現性を確認しましょう。自社の視点だけで作成すると、都合の良い方向に話を進めようと無意識に台本を作ってしまう可能性があります。
したがって、顧客のニーズや課題、疑問点を想定し、複数人で確かめ合いながら作成しましょう。
営業経験が浅い人、技術者、管理職など、立場の異なるスタッフにもロールプレイで使ってもらい、「この質問は言いにくい」「この回答が来たら次が分からない」という箇所を修正します。
重要な箇所やポイントを示す
作成したトークスクリプトは、どのメンバーが活用しても一定の成果を上げられることが重要です。要所でポイントやコツを記載し、状況と対策をセットで説明しましょう。
例えば、「〇〇部分では、顧客は△△に感じているので、冷静に再度整理しながらヒアリングする」など、具体的な対応策を明記することがポイントです。
また、文字だけでなく、
- ここでは説明しすぎない
- ここで実物を触ってもらう
- この質問が出たら技術担当を呼ぶ
- この条件なら次回アポを提案する
- この状態なら無理に追わない
といった「行動指示」を太字や色で目立たせると、現場で使いやすくなります。
分析や改善ポイントを示す
トークスクリプトは、一度作成して終わりではありません。展示会ごとに分析と改善を繰り返し、常に最適なものにブラッシュアップしていくことが大切です。
良い部分は継続し、悪い点は原因と改善策を話し合いながら修正しましょう。市場や顧客のニーズは日々変化するため、常に改善意識を持ち続けることが重要です。
展示会当日の終礼で、
- どの第一声に反応が良かったか
- どの質問で会話が深まったか
- どの説明で相手が離れたか
- 想定外の質問は何だったか
- 次回アポにつながった会話はどんな流れだったか
を共有すると、翌日からスクリプトを改善できます。3日間の展示会なら、初日と最終日で同じ台本を使い続ける必要はありません。
展示会白書のデータ
展示会で得た情報が購買意思決定に影響したと回答した来場者868名では、「比較検討していた候補を絞り込む判断材料になった」63.5%、「担当者と直接話したことで、信頼性や対応力を確認できた」39.9%でした。展示会の会話は単なる商品説明ではなく、来場者が「この会社を候補に残すか」を判断する材料にもなっています。スクリプトは説明内容だけでなく、質問への答え方や担当者への引き継ぎまで含めて設計する必要があります。
トークスクリプトで絶対に避けたい7つの失敗
1.長い自己紹介から始める
来場者は会社沿革を聞くために足を止めたとは限りません。自己紹介は短くし、すぐ相手の関心へ話題を移します。
2.全員に同じ商品説明をする
相手の課題に関係のない説明を続けると、売り込み感が強くなります。質問してから、説明する内容を選びます。
3.質問項目をチェックリストのように全部聞く
予算、時期、決裁者などを次々に尋ねると尋問のようになります。会話の流れに合わせ、本当に必要な質問だけを使います。
4.スクリプトを丸暗記して棒読みする
言葉を一字一句合わせる必要はありません。重要なのは会話の順番と判断基準です。
5.専門外の質問にもその場で答えようとする
分からないことを曖昧に答えるより、「技術担当を呼びます」「確認して後ほど回答します」と次へつなぐ方が信頼につながります。
6.名刺交換をゴールにする
名刺をもらっただけでは商談にはなりません。会話内容と次の行動を残します。
7.一度作ったスクリプトを毎回そのまま使う
来場者の反応、質問、競合状況、出展商材は変わります。展示会ごと、会期中でも改善してください。
展示会トークスクリプトの実践チェックリスト
- 今回の展示会の目的が明確か
- 出会いたいターゲットが具体的か
- 第一声が短いか
- 最初から商品説明を始めていないか
- 課題を聞く質問を3つ程度用意しているか
- 相手の回答に応じた分岐があるか
- 説明する内容を絞っているか
- 実物・デモ・体験を会話に組み込んでいるか
- 自分で答えられない質問の引き継ぎ先が決まっているか
- 名刺交換後の次の行動が決まっているか
- 対象外の相手を無理に追わない基準があるか
- ロールプレイを行ったか
- 展示会当日に改善できる仕組みがあるか
展示会トークスクリプトに関するよくある質問
トークスクリプトはどこまで細かく書くべきですか?
新人が使う場合は具体的な例文まで書き、経験者向けなら「質問→分岐→次の行動」のポイントだけでも構いません。全員が同じ文章を読むことより、同じ考え方で接客できることを優先してください。
台本形式とフローチャート形式はどちらがよいですか?
営業経験が浅いスタッフには台本形式が理解しやすく、来場者の回答に応じて柔軟に対応したい場合はフローチャート形式が向いています。両方を組み合わせても構いません。
展示会では何分くらい話すのがよいですか?
一律の正解はありません。重要なのは、相手に必要な情報へ早く到達することです。長時間説明する前提ではなく、短いヒアリングから必要な説明だけを選び、詳しい話は後日面談へ切り分ける方法もあります。
BANTは使わない方がよいですか?
BANT自体が悪いわけではありません。ただし、展示会の初回接点で売り手都合の質問を連続させると会話が硬くなります。まず相手の課題と自社の貢献可能性を確認し、必要に応じて予算・決裁体制・時期を確認してください。
スクリプトどおりに話せないスタッフがいても大丈夫ですか?
問題ありません。セリフを一致させることが目的ではありません。「何を聞くか」「どの回答なら何を説明するか」「どこへつなぐか」が共有されていれば十分です。
展示会当日にトークスクリプトを変更してもよいですか?
むしろ、来場者の反応を見ながら改善してください。初日の終礼で反応の良い質問や説明を共有し、翌日に反映させると実戦的なスクリプトになります。
展示会トークスクリプトは「台本」ではなく会話を次へ進める設計図
トークスクリプトは、メンバー全員が使えて、一定の成果を出すために必要です。作成にあたって、ターゲットや自社の目的を明確にし、テンプレートや営業の基本を押さえたうえで、自社オリジナルを作成しましょう。
ただし、最も重要なのは「何を話すか」だけではありません。
声をかける → 相手の課題を聞く → 自社が役立てるかを判断する → 必要なことだけ説明する → 実物や事例で確かめてもらう → 次の一歩を決める
という会話の流れを、スタッフ全員が再現できる状態にすることです。
本記事を参考に、ぜひ自社独自の再現性あるトークスクリプトを作成してください。
展示会を単発で終わらせず、準備・当日・フォローまで一気通貫で成果を出す方法は、展示会成功の強化書で体系的に解説しています。
この記事で引用した調査結果の全体は、展示会白書で無料公開しています。
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展示会営業(R)コンサルタント。経済産業大臣登録中小企業診断士。詳細はウィキペディアご参照。
展示会をテーマとした著書5冊を含む合計7冊を執筆し、すべてAmazon部門1位を獲得している。執筆書籍は、すべてamazon部門1位を獲得しており、「日経MJ」、「NHKラジオ総合第一」他、多くのメディアで取材を受けている。1300社を超える展示会出展支援経験に基づく実践的なアドバイスが好評を博している。ほぼ毎週、東京ビッグサイトに出没する自称 展示会オタク。
