展示会ブースでアンケートを実施することにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
この記事では、展示会出展においてアンケートがどのような役割を果たすのかについて解説します。また、アンケートの設問として使える例文や、アンケートの作成・集計方法もあわせてご紹介します。
目次
展示会で成果につなげるためには、アンケートで来場者の情報を取得することが重要です。
ここでは、展示会アンケートが重要な理由について解説します。
展示会ブースでアンケートを実施すると、アンケート内容から見込み客の温度感を把握することができます。たとえば、以下に該当する場合、比較的、購買意欲が高い見込み客であると判断できます。
このような来場者は、商材の購入を具体的に検討していると考えられます。したがって、商材に関するより詳細な情報提供や具体的な提案が必要だと判断できます。
一方で、購入時期や予算が決まっていない来場者は、現状では購買意欲が低いと考えられます。このような「そのうち客」は、メルマガなどで継続的な情報提供を行い、購買意欲を高めていく必要があります。
設問を通して来場者のニーズや課題を引き出せることも、アンケートが重要な理由の1つです。たとえば、「○○に関する貴社のお悩みについてお聞かせください」という設問を設けると、来場者が抱えている悩みや課題を把握できます。見込み客のニーズや課題を理解できれば、どのように商談を進めていくのかという具体的な作戦を練ることが可能です。その意味で、展示会でアンケートを活用することは、「新規商談の機会の獲得」や「顧客のニーズや課題の把握」にも寄与すると言えます。
展示会でアンケートを実施することで、展示会出展の目標を達成できたかどうかを測定することができます。たとえば、新商材のお披露目が目的のときには、その商材の印象についての設問を設けるとよいでしょう。また、出展目的として以下を設定している場合には、アンケートを通して目的の達成につなげられます。
展示会のアンケートを実施することには、多くのメリットがあります。具体的なメリットを把握したうえで準備を進めることで、高い効果を得られるでしょう。以下では、展示会のアンケートを実施する主なメリットを解説します。
展示会のアンケートを実施することで、その成果を数値で具体的に確認できる点はメリットです。アンケートの回答ごとに独自の点数を設定し、その数値を集計することで、顧客の満足度などを簡単に把握できます。
あくまでアンケートの結果であるため、実際の意見を参考にする形式とは異なりますが、それでも貴重なデータ収集につながる点はメリットになるでしょう。
展示会は規模が比較的大きいため、その成果を確認しづらいデメリットがあります。
「結局展示会は成功したのか?失敗したのか?」と悩み、次のステップに移行できないケースもあるでしょう。アンケートはそういった悩みを解消し、具体的な成果を確認するための指標として機能します。展示会の開催時にはアンケートを事前に作成し、積極的に記載を依頼していくとよいでしょう。
展示会のアンケートを軸にすることで、次回以降に開催予定の展示会の改善点などを、事前に発見できる可能性があります。アンケートの内容に偏りが見られる場合、それは明確な失敗・改善点になるケースが多いです。
不満が集中している分野がある場合、徹底的に原因を分析して対抗策を考え、次の展示会に導入する流れを作るのがポイントです。どのような展示会でも、何かしら改善すべきポイントが見つかります。逆に言えば改善点を見つけられないと、しっかりと内容を分析しきれていない可能性が懸念されるでしょう。
アンケート結果は自社の展示会出展の弱みを見つけるための有効な手段となるため、積極的な活用を検討してみてください。アンケートから見つけられる改善点は、1人の従業員だけでは発見しきれない可能性もあります。アンケートの調査や分析は複数人で実施し、改善点を漏らさないように備えるのも重要です。
展示会のアンケートは、比較的作成が容易な点もメリットです。後ほど展示会のアンケートの作成方法を解説しますが、多くの場合時間と労力をそれほどかけずに作成が可能です。それでいてアンケートから得られる情報は貴重であり、多くの使い道があります。
コストパフォーマンスのよい手段だと言えるため、展示会の出展時にはアンケートを利用した手法がおすすめです。もちろん、いい加減に作成したアンケートでは、正確に顧客の意思や気持ちを汲み取ることはできません。むしろアンケートの設問が稚拙だと、顧客からの印象を悪くする恐れもあるでしょう。
簡単に作れるからといって手を抜くのではなく、しっかりと分析・調査した内容を反映したアンケートの作成に力を入れるのが重要です。必要に応じてアンケートの作り直しや、チームによる協力体制での作成など、さまざまな工夫を取り入れることも考えられます。
展示会のアンケートは、内容を従業員に共有することで、認識を統一できるメリットもあります。展示会に参加した従業員は、それぞれ別の業務を担当します。そのため展示会に対する認識が異なり、人によっては成功したと感じることもあれば、失敗だったと反省することもあるでしょう。
そういった個々の認識をそのままにするのではなく、展示会のアンケートを活用して内容をまとめ、具体的な総評にして共有するのがポイントです。展示会に参加した顧客がどのように感じたのか、どんな点が気になったのかを共有することで、従業員の認識を一致させられます。
それは次の展示会を企画するうえで、全員が同じ方向を向いて仕事をするための準備につながるでしょう。個々の従業員ごとに展示会への印象が異なるまま次に移行しても、上手く意見がまとまらない可能性があります。そういった曖昧な状況を打破するためにも、展示会のアンケートの内容はまとめて共有するのがおすすめです。
展示会のアンケートは、回数を重ねるごとにデータとして蓄積できるのもメリットです。アンケート結果が蓄積されれば、その内容や回答の変化を参考にして、自社の展示会の評価を客観的に把握できます。過去のアンケートと現在のアンケートを比較して、具体的な変化を確認することも可能です。
過去と比較して満足度が高まっていれば、順調に展示会のクオリティが上がっていると考えられるでしょう。逆に満足度の低下が見られる場合には、何が原因なのかを特定し、具体的な対策に乗り出す必要があります。また、展示会のアンケート結果が変わらない場合にも、何かしらの対策が必要です。
展示会の出展内容がマンネリ化している可能性があるため、積極的に新しい取り組みに挑戦したり、思い切ってブースの雰囲気や展示方法を変更したりといったことも考えられるでしょう。いずれにしても展示会のアンケート結果はデータとして収集・保管し、有効活用していくのが重要です。
展示会アンケートは、見込み客の購買意欲の測定や課題・ニーズの把握につながるため、展示会後のマーケティング活動や営業活動に役立てることができます。しかし、アンケート内容が適切でなければ、その効果は薄れてしまう危険性があります。
ここからは、展示会のアンケートを作成する際のポイントについて解説します。
アンケートを営業ツールとして活用する場合は、実際に日々見込み客と接している営業パーソンと連携して作成する必要があります。営業部門ではなく、マーケティング部門が展示会の企画を行っている場合は、特に注意が必要です。マーケティング部門がアンケートを作成すると、実情に合わない机上の空論になりがちです。一方、営業パーソンは、毎日、見込客と会話しているため、見込客のニーズを踏まえ適切な設問を作成できる可能性が高いのです。
アンケートの設問数は、15問程度を目安にすることがポイントです。
アンケートは、顧客の意見を聞く貴重な機会ですから、つい多くの項目を盛り込みたくなりますね。お気持ちはわかります。しかし、設問数が多すぎると、回答に時間がかかり来場者の負担が大きくなってしまいます。
来場者が負担に感じるアンケートでは、十分な回答数を得られません。これでは本末転倒です。そうならないように、
数分で回答できる15問程度の設問数にすることを心がけましょう。
記述式の設問を少なくすることも、アンケートを作成するポイントの一つです。
記述式の設問は、選択式よりも回答に時間がかかります。しかも、文章として表現する必要があるので、来場者の負担が非常に大きくなるのです。アンケートの回答数を向上させるためには、短時間かつ直感で回答できるように選択式の設問を中心にすることが重要です。
とはいえ、より具体的な意見を聞くために、文章で回答してほしいケースもあると思います。特に詳しく聞きたい項目のみを1つだけ記述式にするとよいでしょう。
設問ごとの意図を揃えることも重要です。アンケート全体に一貫性を持たせることで、回答者の考えがまとまりやすくなります。
例えば、以下のようなアンケートでは、正しいデータが得られない可能性があります。
アンケート集計後、有効な分析を行うためには明瞭な回答を得ることが必要です。設問内容を精査して作成しましょう。
ここでは、具体的なアンケートの作成方法について解説します。
展示会アンケートを作成する準備として、展示会の出展目的や目標を具体的に設定する必要があります。展示会の目的を明確にすることで、アンケートで聞くべき内容を具体的に検討できるようになります。
出展目的には、すべての会社で、一義的には「売上アップ」ということになりますが、ここでは、「売上アップ」からもう一段ブレークダウンした目的を考えるとよいでしょう。例えば、以下のような内容が挙げられます。
ブレークダウンした展示会目的を定めたら、次に設問を決定していきます。このとき、BANTと呼ばれる指標に基づいて設定するとよいでしょう。
「BANT」とは、以下の4つで顧客の温度感を図るためのフレームワークです。
これらの要素を数値化することで、受注確度を予測できるようになります。
ただし、予算や購入時期に関しては、慎重に文言を選ぶことを心がけましょう。直接的な表現の設問や選択項目では、回答する側にプレッシャーを与える危険性があるからです。
BANTの項目に対する設問の例を紹介します。
【需要】
【決済権】
【予算】
【導入時期】
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設問内容が決まったら、アンケート回答のツールを決定しましょう。ツールとして考えられるものは、主に以下の2種類です。
紙やタブレットは、展示会の当日に来場者に回答してもらう方法です。紙の場合、集計に労力・時間がかかることに注意しなければなりません。一方、タブレットの場合は、データの集計がしやすくなりますが、複数の端末を準備する必要があります。
展示会アンケートを改善につなげるためには、集計して分析を行うことが欠かせません。
ここでは、展示会のアンケート集計のポイントを解説します。
集計した情報は、データ化することが重要です。情報を数値化して、グラフや表にすることで、アンケート結果を可視化しやすくなります。データ化するツールには、Excelや集計専用のソフト、アプリケーションなどがあります。また、顧客の名刺データとアンケート回答を紐づけておくと、アンケート回答を営業追客活動に活用しやすくなります。
複数の集計方法を活用することも重要です。
集計方法には、主に以下の3つの種類があります。
単純集計が使用されるシーンは、主に3つに分かれています。
また、クロス集計では、回答者の年齢や性別などの要素をかけ合わせることで、より緻密な集計ができます。自由記述集計の場合は、Excelや集計ソフトを活用して、最大値・最小値、平均値・中央値を集計することがポイントです。
展示会のアンケートを作成する際には、事前に把握しておくべき注意点もあります。状況によってはアンケートが機能せず、せっかくのメリットを活かせない可能性も出てくるでしょう。以下を参考に、展示会のアンケートを作成する際の注意点について確認してみてください。
展示会のアンケートを作成する際には、あらかじめ他の社員と内容を共有しておきましょう。アンケートの内容が共有されていないと、来場者から質問を受けた際に、スムーズに回答できない危険性があります。それでは会社の信用にも関わるため、事前にアンケート内容を確認するように備えるのがポイントです。
展示会のアンケートを共有すると、内容によっては不適切だと捉える意見が出てくる可能性もあります。そういった意見は尊重し、設問の変更などを行い、トラブルを未然に防ぐのも重要です。従業員の客観的な視点を活用して、アンケートの質を高めるのもポイントになるでしょう。
特に営業担当の従業員とは、綿密にアンケートの内容を共有しておく必要があります。営業担当者はアンケートの回答を促したり、その結果を参考に営業方法を変えたりする立場にあります。そのため展示会のアンケート内容が共有できていないと、スムーズな営業を妨げるリスクがあるでしょう。
営業担当者と定期的に連絡を取り、アンケートの内容について話し合うのも1つの方法です。営業側の視点や意見も取り入れることで、よりよいアンケートの制作につなげられるでしょう。
展示会のアンケートを作成する際には、個人情報の利用目的を明示することを忘れないようにしましょう。何のためのアンケートなのか、どのように活用するのかが明確になっていないと、トラブルに発展する可能性があります。
アンケートの設問を考えるのとは別に、きちんと個人情報の利用目的について記載する項目を用意しておきましょう。また、個人情報の取り扱い方法や開示の有無などについても、きちんと明示することが重要です。個人情報について敏感な人は多いため、少しでも不安を減らせるように記載できることはすべて載せるのが基本です。
展示会のアンケートで個人情報についての記載があれば、スムーズに話を進められます。逆に個人情報についての記載がないと、「なぜないのか」と問い詰められたり、アンケートへの回答を拒否されるリスクがあります。事前に問題を解決できるように、個人情報の重要性についてしっかりと理解を深めておきましょう。
展示会アンケートは、来場者の購買意欲を見極めたり、課題・ニーズを把握したりするために行い、今後の展示会企画や営業活動の改善や商品の改良のための重要な材料になります。アンケートを実施する際は、回答しやすい設問を作成するとともに、データを数値化して分析することがポイントです。
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