出展社の成長が展示会を育てる 

出展社の成長が展示会を育てる 

TSO International株式会社

代表取締役社長 佐々木 剛様

【TSO International株式会社】

2011年4月設立。外食産業とスポーツ産業、レジャー・セレモニー産業を軸に数々の展示会を起ち上げ、主催・共催・企画・運営を手がける。2019年には22本の展示会を開催、出展社数2650社、出展規模は2850小間以上となる。展示会を「新しい産業やビジネスを創出する経済成長のためのリアルメディア」と捉え、各産業会の団体・企業とWin- Winの連携を行い、産業発展と経済振興、働く人のQOL(Quality of Life)向上へ貢献している。代表の佐々木剛氏は、テクノロジーの導入や働き方改革など日本の展示会産業の課題解決について常に提言を投げかけている、展示会業界の若手リーダーのひとりだ。

 

■出展社の成長が展示会を育てる 

清永:本日(インタビュー収録日の2020年1月22日)は、TSO Internationalさんと私でセミナー「2020年新春特別セミナー」を共催させていただいておりまして、その終了後に代表取締役の佐々木剛さんにお越しいただきました。お疲れさまです。

佐々木:ご講演ありがとうございます。今回のセミナーでは、弊社の展示会に出展予定、検討の方が多かったのですが、すぐに役立つメソッドが多くて、参加者の満足度も高かったようです。

 

清永:ありがとうございます。お褒めいただいたお返しというわけではないのですが、スポルテックをはじめ御社の展示会はどれも成長著しく、開催件数も増えていてそれぞれの展示会の出展社数が堅調に伸びていますね。

佐々木:私どもは、各産業会の団体や企業と手を取り合って、各社の売上向上と産業の振興へ注力しており、それが評価されたものだと思っています。しかし、まだまだ改善の余地があり十分ではありません。

清永:出展企業の伸びは素晴らしいものだと思いますが…

佐々木:出展社数の6〜7割がリピート出展の企業(既存顧客)です。それ以外が新規の出展でそこが伸びているため、出展企業の総数は増えています。しかし新しく出展した企業が、次年度に継続出展する割合がおよそ50%で、そこはもっと伸ばせると考えています。

清永:1年目の出展というのは、外部の専門家に頼らず自社だけで準備を進めてしまった場合、成果が上がらないことが多くて、次の年はやめてしまうというのは、どの展示会でも多いですね。

佐々木:出展した製品やサービスと来場者のミスマッチ、魅力ある商談機会が提供できていないとしたら、私どもの力不足です。それもあるとは思うのですが、既存の出展企業の皆さんは成果を上げておられます。そのちがいは出展社が上手に展示会を活用できているかどうか、ということではないかと考えています。

清永:私の目からみると改善点しか見えないくらいです。おかげで弊社のコンサルティングを受けたいという企業が増えているのですが…。

佐々木:日本の企業で、KGI(重要目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)を設定し、スケジュールをたててタスクフォースに落とし込んで、展示会に出展しているところがどれくらいあるのか。おそらく1%とかのレベルじゃないでしょうか

清永:少ないでしょうね。

佐々木:ですからセミナーなどで清永さんがお話してくれる出展効果をあげるノウハウはすべての出展企業に身に付けてほしい。多くの企業に清永さんのコンサルティングを受けて欲しいな、と。

清永:ありがとうございます(笑)

佐々木:楽天市場の出展企業にECサイトのノウハウを提供する楽天大学のようなイメージでしょうか。出展社のクオリティ向上が、マーケット全体の向上になるのは展示会も同じ。いい出展社がいい展示会つくってくれるのです。ですから、出展ノウハウの講義は必修にして、受講しないと出展できないようにするくらいのことをやった方がよいのかもしれません。

 

■出展企業のフォローをプロフィットセンターにする 

清永:「出展社の成果が上がるまで、展示会前後の活動をフォローする。」と主催者さんがおっしゃるケースもありますが、なかなかそこまではできていない現状がありますよね。

佐々木:展示会主催者のビジネスは小間(出展スペース)を売ることではなく、出展社の成功をサポートすること、と肝に銘じて弊社の営業担当者はクライアントさんの要望に応えているのですが、なかなか万全とはいかない。他の主催会社さんも同様なのではないでしょうか?

清永:展示会主催者の皆さんも売上目標を達成しないといけませんからね。

佐々木:どうしても目にみえる指標を目標にしますからね。出展企業のフォローやサポートをコストセンターとして捉えると、どうしても出展社満足度の向上は二の次になってしまいがちです。そこで、出展企業に対するサポートをメニュー化するのもありかなぁと思っています。

清永:たしかに、それはよいアイディアですね。売りモノだからこそ甘えがなくなり責任を持ってサポートできそうです。

佐々木:そうなんです。サービス品質を向上できるはずです。出展企業の方には、またお金がかかるのか、とネガティブに捉えられるかもしれませんが、かかる費用以上の成果が出ればむしろウェルカムなはずです。それに、マクロでみると経済はお金をどれだけ流通させるかということですからね。全国の展示会出展企業を合わせると、どれくらいになるでしょうか?

清永:カウントの仕方にもよりますが、約10万社くらいでしょうか?

佐々木:そうでしょうね。全国で開催される展示会の出展社数は10万社くらいと私も試算しているのですが、各社平均して100万円多く展示会出展に投資すれば、1000億円が動きます。この経済効果は大きいですよ。

清永:そういった考え方も重要ですよね。

佐々木:そう、だから展示会担当者は社長であるべきですよ。

清永:私もまったく同感です。書類の提出とか事務的な窓口などを行う業務担当者は別に必要ですが、最終判断ができる社長自身が出展の総責任者でないといけない。展示会で800万円儲かるなら500万円かけてもいいじゃないですか。でもそれを判断できるのは、中小企業では社長だけですからね。

佐々木:展示会出展に工程が多いのも事実ですが、業務担当者レベルでは判断できないことが多いですからね。

 

■展示会産業のプロフェッショナル人材の育成

清永:海外に目を向けると、たとえば、ドイツは人口約8300万人、経済規模でもGDP4位と日本を下回っていますが、東京ビッグサイトの4~5倍の規模(約50万㎡)の展示会場ハノーバー国際見本市会場をもつなど展示会を国の基幹産業として位置づけています。アメリカや中国の展示会産業が大きいのはわかりますが、ドイツのほかフランスやイギリスなど欧州の展示会産業が大きいのは意外な感じがしますね。

佐々木:欧州展示会は開催各国だけでなくEU全体からバイヤーが集まってくるということといった歴史的な経済環境は大きいのですが、展示会産業というもののステータスが高いことも重要だと思います。

清永:欧州では自治体が展示会の会場会社や主催企業に投資したり運営に関わっていることも多く、自国の経済振興のインフラという認識が高いですね。

佐々木:一方、日本は経済規模と比較して展示会産業は規模も小さく、注目度も低いです。政治・行政に施設への投資や主催企業の支援を促すのも必要かもしれませんが、私は人材育成も大きな課題だと考えています。

清永:展示会業界で働く人の育成ということですね

佐々木:子供が将来なりたい職業ランキングに、展示会プロデューサーが入ってほしい。

清永:いいですねぇ!あっておかしくないですよね。

佐々木:映画監督とか音楽プロデューサーにはみんななりたがるんです。でも展示会のことはみんななんとなく知っているけど、その展示会を誰が企画・運営しているかを知らないという現実があります。

清永:1人傑出した人をつくりだすことも大切ですが、全体として職業としての認識を高めるということも重要ですね。

佐々木:そうですね。さきほど出展社がもっと展示会を上手に活用してほしいと言いましたが、それ以上に重要なのが展示会のプロフェッショナル人材育成ですよね。弊社は業界のなかでも人材については採用・育成ともに力を入れていて、トップの私が陣頭指揮をとりますし、予算も多く使っています。

清永:まずは優秀な人材を採用しないといけませんしね

佐々木:展示会業界の方々は、いい人材が採れないって言っていますが、年収が安く採用戦略も練らずでは、無理に決まっています。

清永:御社は新しいスタッフの方も入っていらっしゃるようですし、皆さんいきいきと働いてらっしゃいますもんね。

佐々木:展示会産業は、労働集約型で人が財産ですから、もっとも大切なのは人材です。採用の次には育成も必要。しかし、展示会主催者というのは、弊社も含めて社員数が多い業態ではないので、1社で教育プログラムを組むのはむずかしいのです。

清永:業界の人材を育成する横断的なプログラムがあればいいですね。

佐々木:そこでは、清永さんに出展企業さんの成果をあげるための研修プログラムをしていただいたり、展示会業界のOBに運営や企画の話しをしてもらったり、経営や経済など業界外からの講師も招聘したりと、お話しする中で、色々なアイデアが浮かんできました。

清永:いいですねぇ。よろこんでご協力しますよ。

佐々木:教育と関連して資格認証も欲しいですよね。

清永:展示会そのものの認証としては、日本展示会認証協議会が実施していますが、展示会業界に特化した個人の資格はないようですね。

佐々木:展示会の運営やプロデュースのスキルの見える化をしづらいので、社内外の評価や人の流動化がむずかしいですね。なにより働く人がきちんと評価され、給与や待遇が改善されて欲しいですね。関係者がいきいき働いていない展示会なんてすぐにダメになってしまいますよ。

 

■展示会は三方良しで儲かり体質が増幅する!

佐々木:ほとんどの出展企業が効果的な出展ノウハウを持っていない状況で、清永さんが啓蒙していただければ、出展社は売上が上がるので儲かります。その話を聞いた他の企業が次々と出展すれば、弊社のような展示会主催者も儲かります。展示会で出展している製品やソリューションは、企業の課題を解決するためのものなので、それらを導入した来場者も儲かるという三方良しですね。

清永:成功した出展企業の噂を聞いて、多くの企業が私のコンサルティングを受けてくれるので弊社も儲かり、その結果、さらに出展企業が増加し、展示会主催者も一層儲かります。出展企業さんの商材を導入した来場者さんももちろんさらに儲かります!三方よしの儲かり体質が増幅していきますね!Win-Winとよく言われますが、1つの製品をつくるのに多くの企業が関わる傾向は、今後のIoT化によってますます強まるでしょうから、みんながハッピーになる方法を考えたいですね。その方法は、やはり展示会出展社さんの成果をあげることだと強く思います!

とくに、本書にも詳しく書きましたが、出展企業の方にとって、展示会出展のために、長期的なビジョンを描いたり、自社の強みや顧客、競合を考慮しながら出展コンセプトを練り上げたりすることは、会社の方向性を考えるよい機会になると思います。売上アップ以外にもさまざまな大きな成果が上がります。展示会は会社を儲かり体質に変え、そしてそれを増幅させる取り組みなのです。

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